介護にまつわるお役立ちコラム

日曜日ヘルパーは頼める?訪問介護の介護保険適用と土日の注意点

2025年09月27日

平日は訪問介護を利用できても、「日曜日はどうすればいいの?」と不安を抱えるご家庭は少なくありません。高齢のご家族を支える中で、休日こそ介護のサポートが必要になる場面は多いものです。しかし、介護保険で利用できるサービスには曜日や人員配置に関する制約があり、希望通りに支援を受けられないケースもあります。

 

そこで本記事では、日曜日の訪問介護サービスにおける介護保険の適用範囲や利用のポイント、さらに保険では対応できないニーズに応えるための介護保険外サービスについて解説します。日曜日に「ヘルパーを頼めるのか?」という疑問を解消し、ご家族が安心して過ごせる選択肢を見つけるための参考にしてください。

日曜日の訪問介護、介護保険の適用範囲と利用のポイント

日曜日でも介護保険を利用した訪問介護サービスは基本的に利用可能です。しかし、実際には事業者によって対応状況が異なり、土日のサービス提供には制約があることも少なくありません。

 

ここでは、日曜日の訪問介護について、介護保険の適用可否から料金体系、さらにサービス利用開始までの具体的な手順まで、詳しく解説していきます。

介護保険における日曜利用の可否

介護保険制度上、日曜日でも訪問介護サービスの利用は可能です。法的な制約はなく、平日と同様にヘルパーによる身体介護や生活援助を受けることができます。

 

しかし実際には、すべての事業社が日曜日に対応しているわけではありません。多くの訪問介護事業社では、ヘルパーの大半がパートタイマーの主婦であり、日曜日を休みとしているケースが多いのが現状です。このため、日曜日に稼働している事業社を見つけることが難しい場合があります。

 

日曜日のサービス利用を希望される場合は、まず担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談することが重要です。地域内で日曜日対応可能な事業社の情報を持っているケアマネジャーが、適切な事業社を紹介してくれるでしょう。

日曜利用における料金・単位数の変動

日曜日の日中(午前8時~午後6時)に訪問介護を利用する場合、介護保険の単位数は平日と変わりません。曜日による料金の違いはなく、自己負担額も同額となります。

ただし、以下の時間帯については割増料金が適用されます。

時間帯

割増

早朝(午前6時~午前8時)

25%増

夜間(午後6時~午後10時)

25%増

深夜(午後10時~午前6時)

50%増

 これらの時間帯別加算は曜日に関係なく適用されるため、日曜日の早朝や夜間にサービスを利用する際は、割増料金となることを理解しておく必要があります。詳細な料金体系については、厚生労働省の「介護報酬の算定構造」をご確認ください。

 

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造 

介護保険サービス利用開始までの手順

訪問介護サービスの利用を開始するには、まず担当のケアマネジャー(介護支援専門員)への相談が必要です。ケアマネジャーは市役所や介護保険施設でも紹介を受けることができます。

 

次に、ケアマネジャーが利用者の心身の状況や生活環境、ご本人やご家族の希望を詳しくヒアリングします。この情報をもとに、必要なサービス内容や頻度を盛り込んだケアプランを作成していきます。

 

ケアプランが完成したら、選定された訪問介護事業所と契約を結びます。契約時には具体的なサービス提供日時や内容を決定し、その後サービス利用が開始されることになります。このプロセス全体で、通常2週間から1か月程度の期間が必要となります。

介護保険では対応困難な日曜日の介護ニーズ

介護保険制度は多くの高齢者の生活を支える重要な仕組みですが、日曜日の利用には現実的な課題が存在します。事業所の人員体制の問題や、介護保険の厳格なルールにより、必要なサービスを受けられないケースも少なくありません。

 

ここでは、日曜日の介護サービス利用が困難となる具体的な要因や、介護保険では対応できないサービス内容、さらに要支援認定者特有の制約について詳しく解説していきます。

人員不足によるサービス提供の限界

多くの訪問介護事業所では、日曜日に勤務可能なヘルパーの確保が困難な状況にあります。ヘルパーの多くは、家庭や子育てと両立しながら働く短時間勤務のスタッフであり、日曜日を休みとしている人が大半を占めているためです。

 

特に「急な仕事が入った」といった当日の長時間依頼への対応はさらに困難となります。週末の急な依頼で数時間の介護を必要とする場合でも、対応できる事業所を見つけることは非常に難しいのが現実です。

 

この問題は訪問介護だけでなく、デイサービスなど介護業界全体に共通しています。日曜日に稼働している事業所自体が少ないため、ケアマネジャーが複数の事業所に問い合わせても、日曜対応可能な事業所が見つからないケースが頻繁に発生しています。

保険適用外となるサービス内容の具体例

介護保険の訪問介護で提供できるサービスは「身体介護」と「生活援助」に限定されています。これ以外の行為については、介護保険の適用外となり、全額自己負担での利用となります。

サービスの種類

介護保険適用(〇)

介護保険適用外(×)

通院の付き添い

自宅と病院間の移動介助

院内での待ち時間や診察の付き添い、会計の代行

外出の付き添い

日用品の買い物代行

趣味や娯楽のための外出(散歩、イベント参加など)

家事

利用者本人のための調理、掃除、洗濯

家族のための家事、大掃除、庭の手入れ

見守り

-

安否確認や話し相手のみを目的とした長時間の滞在

院内介助が保険適用外となるのは、「病院の中で必要な介護は病院が行うべきで、その対価は診療報酬に含まれる」という原則があるためです。この考え方により、病院内での付き添いは自費対応となっています。

要支援認定者が抱える利用上の制約

要支援1・2の認定を受けている方は、要介護者向けの訪問介護とは異なる「介護予防訪問介護」の対象となります。この制度には、要介護者向けサービスとは異なる制約が存在します。

 

要支援者向けサービスは「自分自身でできることはなるべく自分で行い、自立した生活を目指す」という予防重視の考え方に基づいています。そのため、サービス内容や利用方法に制限が設けられています。

 

たとえば通院の付き添いについて、「本人がタクシーに自分で乗れる能力がある」と判断された場合、ヘルパーによる付き添いの必要性が認められにくくなります。保険者から付き添いの必要性について指摘が入る可能性もあり、要支援者は要介護者と比べてサービス利用の柔軟性が制限される傾向にあります。 

介護保険外サービスで日曜日の在宅介護を充実させる

介護保険だけでは対応しきれない日曜日の介護ニーズに対して、「介護保険外サービス(自費サービス)」は有効な解決策となります。全額自己負担となりますが、時間や内容の制約を受けずに必要なサポートを受けることが可能です。

ここでは、介護保険外サービスの仕組みや特徴、提供される柔軟なサポート内容、そして公的介護保険と上手に組み合わせることで得られるメリットについて解説していきます。

公的介護保険と保険外(自費)サービスの違い

公的介護保険と介護保険外サービスには、費用負担や利用条件に大きな違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、適切なサービス選択が可能となります。

項目

公的介護保険

介護保険外(自費)サービス

費用負担

1割~3割負担(所得に応じる)

10割負担(全額自己負担)

利用対象者

要支援・要介護認定を受けた方

誰でも利用可能

サービス内容

ケアプランに基づき、ルールが厳密

利用者のニーズに合わせ、柔軟に対応可能

利用時間

要介護度による上限あり

制限なし

公的介護保険は費用負担が軽い反面、利用には認定が必要で、サービス内容にも制約があります。一方、介護保険外サービスは全額自己負担となりますが、認定の有無に関わらず、必要な時に必要なサービスを自由に利用できる柔軟性があります。

介護保険外サービスが提供する柔軟なサポート

介護保険外サービスでは、公的保険のルールに縛られることなく、利用者一人ひとりのニーズに合わせた多様なサポートが可能です。

 

【介護保険では依頼しにくい、または不可能なサービス例】

  • 急な依頼や、土日・祝日、夜間の長時間対応

  • 趣味の外出(散歩、観劇、旅行など)の付き添い

  • 病院内での待ち時間を含めた、丸一日の通院サポート

  • 家族のための家事代行(食事の準備、大掃除など)

  • ペットの世話や庭の手入れ

これらのサービスは、利用者の「住み慣れた家で過ごしたい」という思いを実現し、生活の質(QOL)を維持・向上させることにつながります。介護保険では対応できない細やかなニーズにも応えることで、本人らしい生活を継続できるようサポートしています。

公的保険と自費サービスを組み合わせるメリット

介護保険と自費サービスは対立するものではなく、併用することでより充実した在宅介護が実現できます。両者の特徴を活かした使い分けが、効果的な介護体制の構築につながります。

 

たとえば、平日の基本的なケアは自己負担の少ない介護保険サービスを利用し、介護保険でカバーできない土日や急な依頼が必要な時だけ自費サービスを追加するという方法があります。実際に、平日は介護保険の訪問介護とデイサービスを利用し、土日は自費サービスを活用している事例も存在します。

 

このような組み合わせにより、家族の介護負担を軽減しながら、本人の「自宅で過ごしたい」という希望も叶えることができます。経済的な負担を抑えつつ、必要な時に必要なサポートを受けられる体制を整えることが可能となります。

土日祝・夜間も対応!24時間365日頼れる「イチロウ」

 介護保険では対応しきれない日曜日の介護ニーズに応える選択肢として、介護保険外サービス「イチロウ」があります。急な依頼や夜間対応など、利用者が困ったときに頼りになるサービスです。

 

イチロウの大きな特徴は「いつでも」「どなたでも」「すぐに」利用できることです。

  • 【いつでも】早朝・夜間を含む24時間365日利用可能

  • 【どなたでも】要介護認定の有無に関わらず、認知症の方も利用可能

  • 【すぐに】当日の急な依頼にも対応

あらゆる要望に対してヘルパー手配率96%(※集計期間2023年10月〜2024年5月)という高い実績があり、必要な時に確実にサポートを受けられます。

 

介護コースは日中基本料金が税込3,190円/時間から利用でき、自宅内の介護・家事、病院内の介護、通院・外出の付き添いなど幅広いサービスに対応しています。

 

>>イチロウについて詳しく見る

まとめ

日曜日のヘルパー利用は、在宅介護を継続するための重要な選択肢です。高齢化が進む現代において、家族だけでは対応困難な休日の介護ニーズが増加しています。介護保険制度の範囲内でも日曜利用は可能ですが、人員不足や制度の制約により十分なサービスを受けられない場合があります。

 

そのような状況では、保険外サービスとの併用が効果的な解決策となります。日曜日のヘルパーサービスを適切に活用することで、介護者の負担軽減と要介護者の生活の質向上を両立し、持続可能な在宅介護を実現することができるでしょう。

日曜日のヘルパー利用に関するよくある質問

日曜日の訪問介護サービス利用について、多くの方が同じような疑問を抱えています。ここでは、実際によく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。 急な依頼への対応可否、ヘルパーとの相性問題、介護認定前のサービス利用、家族向けサービスの可否など、日曜日のヘルパー利用を検討する際に知っておきたい重要なポイントについて、わかりやすく解説していきます。

急に日曜日だけヘルパーをお願いすることはできますか?

介護保険サービスの場合、事前にケアプランに位置づけられていない急な依頼は原則として対応が困難です。サービスの利用はケアプランに基づいて提供されるため、急な変更には対応できないことが多く、希望どおりの日時にサービスを受けられない場合があります。一方、介護保険外サービスであれば、事業者によっては当日の急な依頼にも対応可能です。 たとえば「イチロウ」のようなサービスでは、当日予約も受け付けており、緊急のニーズにも柔軟に対応しています。緊急時の対応については、事前にケアマネジャーや利用を検討している事業者に確認しておくことが重要です。どのような場合に対応可能か、料金体系はどうなっているかなど、あらかじめ把握しておくことで、いざという時に慌てずに済むでしょう。

担当のヘルパーさんと合わない場合、交代は可能ですか?

利用者とヘルパーの相性は介護サービスの質に大きく影響するため、担当ヘルパーの交代は可能です。利用者の意向に沿って対応してもらえます。 交代を希望する場合は、ケアマネジャーやサービス事業者の担当者に交代の理由を伝えることが大切です。ヘルパー側に問題があれば指導や改善が行われ、信頼関係を取り戻すための努力がなされます。事業者は利用者が安心してサービスを受けられるよう、適切な対応を心がけています。 また、ヘルパーを指名できる場合もありますが、事業者の人員配置や都合によっては希望に添えないこともあります。できるだけ利用者の希望に沿うよう努力はされますが、完全に希望どおりにならない可能性があることも理解しておく必要があります。

介護保険の認定を受けていなくてもサービスは利用できますか?

介護保険サービスは、市町村の窓口で要介護認定の申請を行い、要支援または要介護1〜5と認められた方のみが対象となります。認定を受けていない方は、介護保険サービスを利用することはできません。 しかし、介護保険外サービス(自費サービス)であれば、介護認定の有無に関わらず、誰でも必要な時に利用できます。要介護や要支援の認定を受ける前の方でも、サービスを受けることが可能です。 これにより、介護認定を申請中の方や、認定結果が非該当だった方でも、必要な介護サービスを受ける選択肢があります。介護が必要な状況にありながら認定を待っている期間や、認定基準に満たなかった場合でも、自費サービスを活用することで必要なサポートを受けることができます。

家族の分の食事も一緒に作ってもらうことはできますか?

介護保険の訪問介護(生活援助)では、原則として家族の分の調理はできません。ホームヘルプサービスは、あくまで介護を必要とする本人のために提供されるものであり、家族の介護負担を軽くすることを目的としていますが、家族への直接的なサービス提供は対象外となっています。 一方、介護保険外サービスであれば、利用者本人の介護と合わせて、家族の分の食事作りなどの家事代行も依頼できます。このような柔軟な対応により、家族全体の生活を支援することが可能です。 どのようなサービスが保険の対象になるかについては、厚生労働省のウェブサイトなどで詳細を確認できます。保険適用の範囲を正しく理解することで、必要に応じて自費サービスを併用する判断ができるでしょう。

監修者情報

作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として事業所運営や職員のマネジメントに従事。「現場スタッフが働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場を統括。

現在は、医療・介護ライターとして、医療介護従事者や一般の方向けに実践的で役立つ情報を精力的に発信している。

平岡泰志
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