介護にまつわるお役立ちコラム

介護旅行の付き添いサービスとは?料金やヘルパー依頼のコツを解説

2025年09月27日

高齢の方や介護が必要なご家族との旅行は、「移動中のサポートが不安」「宿泊先での介助はどうすればいいの?」といった心配がつきものです。そんなときに役立つのが、専門スタッフが同行してサポートしてくれる「介護旅行の付き添いサービス」です。旅行中の移動や食事、入浴などを安心して任せられることで、家族全員がリラックスして旅行を楽しむことができます。

本記事では、介護旅行に付き添いサービスがなぜ重要なのかを解説するとともに、利用できるサービスの種類や特徴、料金の目安や依頼時のポイントを詳しく紹介します。さらに、公的介護保険ではカバーされないニーズに対応できる介護保険外サービスの活用方法も取り上げます。介護旅行を安心して計画したい方は、ぜひ参考にしてください。

介護旅行における付き添いサービスの重要性

介護が必要な方との旅行は、移動時の身体介助や食事の補助、急な体調変化への対応など、通常の旅行とは異なる多くの困難が伴います。専門の付き添いサービスを利用することで、要介護者の安心と安全を確保でき、同時に付き添う家族の精神的・肉体的な負担を大幅に軽減できるでしょう。

不慣れな環境で家族だけで介護を行いながら旅行を楽しむのは現実的ではありません。プロの介護技術と旅行知識を備えた専門家のサポートがあれば、家族全員が心から旅行を楽しめる環境が整い、素敵な思い出作りが可能になります。

介護旅行で利用できる付き添いサービスの種類と特徴

介護が必要な方の旅行を実現するためには、専門的なサポートが不可欠です。現在、介護を要する方とその家族が安心して旅行を楽しめるよう、さまざまなサービスが提供されています。

主なものとして、介護技術と旅行知識を併せ持つトラベルヘルパー、移動をサポートする介護タクシーや福祉タクシー、そして旅行プラン全体をコーディネートする介護旅行サービスがあります。それぞれの特徴や利用方法を理解することで、ご家族の状況に最も適したサービスを選択できるでしょう。

外出・旅行の介助専門家「トラベルヘルパー」

トラベルヘルパーは、介護が必要な方の外出をサポートする専門家で、旅行に関する知識だけでなく、介護技術も備えています。介護職員初任者研修や看護師などの資格と、旅程管理主任者などの資格を併せ持ち、日本トラベルヘルパー協会が検定試験を実施している信頼性の高い専門職です。

旅行だけに限らず、結婚式や同窓会への出席、日帰り温泉などの外出にも対応してくれます。利用を検討する際は、ケアマネジャーや地域包括支援センターへの問い合わせが必要となります。

移動を支える「介護タクシー・福祉タクシー」

介護タクシーと福祉タクシーは、どちらも要介護者の移動をサポートするサービスですが、利用条件や特徴が異なります。

項目

介護タクシー

福祉タクシー

介護保険の適用

適用あり

適用なし

利用対象者

要介護者(要支援者は対象外)

制限なし

同乗者

原則不可

可能

特徴

ケアプランに基づく利用

車椅子ごと乗車可能

旅行先での移動手段として、これらのタクシーを状況に応じて活用すれば、介護中の家族も気軽に旅行を楽しめるようになるでしょう。

プラン作成から依頼できる「介護旅行サービス」

介護旅行サービスは、旅行会社が提供している要介護者のための旅行プランです。「パッケージ型」と「オーダーメイド型」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

種類

メリット

デメリット

パッケージ型

手軽に計画できる

自由度は低い

オーダーメイド型

希望通りの旅行を実現できる

費用は高くなる傾向がある

このサービスでは、バリアフリーの宿泊施設を選定し、介護タクシーの手配も行います。また、夜間の見守りや必要な介助を受けられるため、安心して旅行を楽しめるでしょう。看護師による医療管理が含まれているプランもあります。

介護旅行の付き添い料金|内訳と費用の目安

介護旅行の付き添いサービスを利用する際の料金は、基本料金やオプション料、利用者や家族の旅費などで構成されており、サービスを提供する会社によって異なります。費用の内訳を正しく理解し、適切な予算計画を立てることが重要です。実際に介護旅行サービスを利用する際は、事前に複数の事業者から見積もりを取って、予算に合わせたプランを検討しましょう。

参考:厚生労働省|介護保険制度の概要

費用の構成要素(介助料・旅費・その他)

介護旅行にかかる費用は、以下の要素から構成されています。

【介護旅行にかかる費用の内訳】

  • 基本料金(介助料金)

  • オプション料金(入浴介助、夜間介護など)

  • 付き添いスタッフの旅費(交通費、宿泊費など)

  • 利用者本人および同行家族の旅費(実費)

  • その他(旅程作成費用、保険料など)

基本料金の相場は1日8時間の同行で2万〜4万円程度が目安となります。ただし、看護師による看護サービスを希望する場合は料金が高額になり、要介護度が重くなるほど費用は割高になる傾向があるでしょう。

オプション料金には、規定時間の超過、入浴介助、同室宿泊、夜間介護、スタッフの性別指名、旅程作成代行などが含まれます。

料金を左右するポイントと見積もりの重要性

介護旅行の費用を適切に把握するためには、複数の事業者から見積もりを取り、旅行プランの相場を把握することが重要です。見積もりを比較する際は、料金の安さだけで判断せず、サービス内容や事業者の対応の質も総合的に検討しなければなりません。

安さだけで選ぶとサービスの質に影響が出て、満足のいく旅にならない可能性があります。満足のいく介護旅行を実現するためにも、事前に複数の見積もりを取って、予算と希望のバランスを取りながら、納得のいく事業者に依頼することが大切でしょう。

介護旅行を成功させるための準備とポイント

介護旅行を安心して楽しむためには、事前の準備と適切な事業者選びが重要です。以下のポイントを押さえることで、より満足度の高い旅行が実現できるでしょう。

事前準備のチェックリスト

介護旅行の成功は、綿密な事前準備にかかっています。特に重要なのが、要介護者の身体状況と医療面の準備です。

【身体状況・医療面の準備】

  • 要介護者の現在の身体状況の整理

  • 必要な医療機器・薬剤のリスト作成

  • かかりつけ医への旅行相談

  • 旅行先の医療機関情報の確認

  • 保険証・お薬手帳・診察券の準備

【サービス利用の準備】

  • 複数の事業者への見積もり依頼

  • スタッフとの事前面談の実施

  • 緊急連絡先の整理

  • 旅行保険への加入検討

上記のポイントを押さえておくと、安心して旅行へ出かけられるでしょう。

介護旅行を成功させるポイントは「事業所選び」

介護旅行の成功は、信頼できる事業者選びにかかっていると言っても過言ではありません。価格だけで判断せず、総合的な観点からの選定が重要です。事業所選びの判断材料は、以下のとおりです。

  • スタッフの資格確認:介護職員初任者研修、看護師資格等の保有状況

  • 実績と評判:過去の利用者の口コミや実績件数

  • 緊急時対応:24時間対応可能か、医療機関との連携体制

  • 料金の透明性:見積もりが詳細で追加料金の説明が明確

  • 事前面談の実施:利用前にスタッフとの顔合わせが可能か

介護旅行では、付き添いするスタッフと過ごす時間が多くなってきます。これらの項目を確認し、本当に信頼できる事業所を選ぶようにしましょう。

旅行の付き添いも依頼可能!イチロウの介護保険外サービス

イチロウ」は、介護保険では対応できない介護・生活支援を一流の介護士がサポートする介護保険外の訪問介護・看護サービスです。24時間365日対応可能で、ヘルパー手配率96%という高い実績を誇り、急な依頼にも柔軟に対応できます。明確な料金体系で、日中基本料金は1時間あたり2,900円(税抜)から利用できるでしょう。介護コースでは以下のような外出・旅行の付き添いサービスを提供しています。

  • 通院の行き帰りの介助

  • お散歩

  • 診察内容の聞き取り

  • イベントへの出席

  • 薬の受け取り

  • 買い物

最低利用時間は2時間からで、指名料は330円/時間(定期利用の方は無料)、往復交通費は別途600円が必要になります。

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まとめ

介護旅行の付き添いサービスは、要介護者とその家族が安心して旅行を楽しむための重要な選択肢となります。移動や体調管理など通常の旅行では想定しない困難が伴う介護旅行において、専門知識を持つトラベルヘルパーや適切な移動手段、包括的なサービスを活用することで、安全で快適な旅行が実現できます。

料金体系を理解し、複数の事業者から見積もりを取ることで、予算に合わせた最適なプランを選択することが可能です。介護旅行サービスを利用することで、介護する家族の負担を軽減しながら、要介護者も家族も心から旅行を楽しみ、かけがえのない思い出を作ることができるでしょう。

介護旅行の付き添いに関するよくある質問

介護旅行の付き添いサービスを検討する際、多くの方が料金や利用条件について疑問を抱かれます。特に介護保険の適用可否や利用対象者、急な依頼への対応など、実際のサービス利用前に知っておきたい重要なポイントがあるでしょう。 ここでは、介護旅行の付き添いサービスに関してよくお寄せいただく質問について、Q&A形式で回答いたします。

Q.介護保険は使えますか?

介護旅行の付き添いサービスは、介護保険制度の適用外となるため、全額自己負担でのご利用となります。介護保険のサービス範囲を超えた自由度の高いサポートが可能な反面、費用面での負担は大きくなるでしょう。 ただし、介護保険で利用している既存のサービスと併用することは可能です。普段のケアプランと組み合わせながら、旅行時の特別なサポートとして活用できます。

Q.どのような人が利用できますか?

介護旅行の付き添いサービスは、介護度に関わらず原則としてどなたでもご利用いただけます。要介護や要支援の認定を受ける前の方でも利用可能で、身体的なサポートが必要な場合に幅広く対応しています。 認知症の症状がある方についても、症状の度合いに関わらず対応が可能です。医療行為が必要な方の場合は看護師の手配も行えるため、専門的なケアが必要な状況でも安心してご利用いただけるでしょう。

Q.当日の急な依頼も可能ですか?

当日の急な依頼についても受け付けており、緊急時や計画変更にも柔軟に対応しています。ただし、担当ヘルパーのスケジュールによっては、ご希望に沿えない場合もあるため注意が必要です。 より確実にサービスをご利用いただくためには、前日や数日前など、できるだけ事前にご依頼いただくことをおすすめします。早めの予約により、ご希望に合った専門スタッフの手配がスムーズに行えるでしょう。

監修者情報

作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として事業所運営や職員のマネジメントに従事。「現場スタッフが働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場を統括。

現在は、医療・介護ライターとして、医療介護従事者や一般の方向けに実践的で役立つ情報を精力的に発信している。

平岡泰志
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