
通院の家族代行サービスとは?料金や選び方のポイントを解説
介護にまつわるお役立ちコラム
高齢の家族や持病のある方を支えるために、「看護師と個人で直接契約できないか」と考える人は少なくありません。しかし、医療行為には必ず医師の指示が必要であり、個人契約だけでは対応できない部分が多いのが現実です。では、どのようにすれば安心して看護師のサポートを受けられるのでしょうか。
この記事では、看護師の個人契約の可否や依頼できる業務内容、費用相場から訪問看護ステーションの選び方、注意点までを解説します。信頼できる看護サービスを探している方は、ぜひ参考にしてください。
看護師に個人的にケアを依頼したいとお考えの方にとって、最も気になるのが医療行為の実施可否でしょう。結論として、個人と看護師の直接契約では医療行為はできません。これには法的な仕組みが関係しており、解決方法も存在します。
具体的な原則、課題、そして適切な対応策について詳しく見ていきましょう。
看護師が喀痰吸引や経管栄養などの医療行為を行うためには、医師法および保健師助産師看護師法に基づき、必ず医師からの具体的な「指示」が不可欠です。看護師が医師の指示を受けて医療行為をするためには、医療の指示を受けられる事業所に雇われている必要があります。
看護師は開業権がないため、法的に個人としてそれを受けることができません。これは、患者の安全を守るための絶対的なルールです。
「個人(依頼者)」は法人格を持つ医療機関ではないため、医師からの「指示」を法的に受け取る主体になれません。結果として、個人に直接雇用された看護師は、医師の指示に基づかない単独での医療行為と見なされるリスクがあり、法律上実施することができません。
個人のお客様に雇用されている形では、ご家族が行う与薬、吸引や経管栄養、インスリン注射などの医療行為を代わってすることはできないのです。「家族の代行」としてではなく、あくまで「看護師」という専門職として業務を行う以上、この法律は厳格に適用されます。
前述の課題を解決する方法が、「訪問看護ステーション」という法人格を介することです。法的な流れは以下のようになります。
1.依頼者は、訪問看護ステーションと「自費サービス利用契約」を結ぶ
2.医師は、訪問看護ステーションに対して「指示書」を発行する
3.訪問看護ステーションは、その指示書に基づき、所属する看護師に業務を指示する
4.看護師は、ステーションからの合法的な指示として、依頼者宅で医療行為を安全に実施できる
つまり、形式上「訪問看護ステーションのサービスを利用する」という形を取ることで、実質的に希望の看護師に、希望のタイミングで来てもらうことが可能になります。
参照:厚生労働省「訪問看護」
法的ルールを踏まえると、看護師に依頼できる業務は明確に2つに分かれます。まず、訪問看護ステーションを介することで可能になる医療行為として、医師の指示に基づく吸引や経管栄養、インスリン注射、点滴管理、褥瘡処置、在宅酸素療法の指導などがあります。これらは専門的な医療知識と技術が必要な業務です。
一方、直接の個人契約でも依頼可能な業務には、入浴介助や健康チェック、点眼、外用薬塗布、おむつ交換といった療養上の世話のほか、家事、通院同行、介護旅行同伴などの生活支援が含まれます。ただし、個人契約では医療行為は一切実施できないため、必要に応じて適切な方法を選択することが重要でしょう。
訪問看護ステーションには、大きく分けて2つのタイプが存在します。地域に根ざした従来型の事業所と、利用者のニーズに応じて柔軟にマッチングを行う新しい形態のサービスです。
それぞれに特徴とメリット・デメリットがあるため、ご家族の状況や希望に合わせて選択することが重要でしょう。
自宅近くの事業所を探し、そこに所属する看護師に担当してもらう従来からの一般的な形態です。メリットとして、地域の医療機関との連携がスムーズな場合が多く、物理的な距離が近いことで緊急時にも迅速に対応してもらえる安心感があります。
一方で、事業所の規模によっては所属する看護師の数が少なく、選択肢が限られてしまう点がデメリットとなります。また、担当者を選べない場合があり、相性が合わなくても変更が難しいケースも考えられるでしょう。
専門のコーディネーターが介在し、利用者の要望を詳細にヒアリングした上で、多くの登録看護師の中から最適な人材をマッチングしてくれる新しい形態のサービスです。
メリットとして、スキルや経験、人柄といった相性まで含めて自分に合った看護師を選びやすく、自費サービスならではの柔軟なプランを設計しやすい点があります。ただし、比較的新しいサービス形態のため、従来型に比べて事業所数がまだ少ないことがデメリットといえるでしょう。
前の章で解説した通り、医療行為を安全に依頼するためには、訪問看護ステーションの「自費サービス」を利用するのが基本です。
自費サービスは公的な医療保険・介護保険が適用されない全額自己負担のサービスとなります。一般的な費用相場は1時間あたり8,000円から12,000円程度が目安で、事業所によっては3,500円程度から利用できる場合もあります。
料金に幅がある理由として、依頼内容の専門性、早朝・夜間などの時間帯による割増料金、看護師の経験、事業所の所在地などが挙げられるでしょう。比較対象として、保険適用の訪問看護は1割〜3割負担で安価ですが、利用回数やサービス内容に制限があるため、自由度の高さを求める方に自費サービスが選ばれています。
適切な訪問看護ステーションを選ぶためには、サービス内容や料金だけでなく、さまざまな観点から慎重に検討することが必要です。特に自費サービスでは事業所による差が大きく、選択次第でサービスの質や満足度に大きな違いが生まれます。
在宅療養では容態の急変など予測できない事態が起こりうるため、緊急時対応の確認は不可欠です。事業者を検討する際に必ず確認すべき点として、24時間対応の緊急連絡先があるか、夜間や休日に緊急訪問が必要になった場合にどのような流れで誰がどれくらいの時間で来てくれるのか、緊急時の対応について明確なマニュアルやプロトコルが整備されているかを挙げられます。
特に自宅で看取りを行う場合には、24時間体制でサポートしてくれる事業所を選ぶことで安心につながるでしょう。
「看護師」と一括りにせず、それぞれの専門分野や得意なケアがあることを理解しておきましょう。在籍している看護師の経験・スキルによって、精神疾患の方に特化している、認知症の方の対応が得意、がんや難病などの医療的ケアの対応経験が豊富など、その専門性はさまざまです。
ご家族が必要としているケアに対応できる経験豊富な看護師が在籍しているか、事前に確認することが重要になります。事業所全体の研修体制や資格取得支援など、スタッフの質を維持・向上させるための取り組みについても質問してみることをおすすめします。
訪問看護は自宅というプライベートな空間に看護師を迎え入れる、非常にくらしに密着したサービスです。そのため、スキルや経験だけでなく、担当看護師との人柄やコミュニケーションの相性が、サービスの満足度を大きく左右します。言葉づかいに気遣いや配慮がみられるか、利用者自身を知ろうとする質問を通じて安心できる環境作りをしてくれるかが重要な決め手となるでしょう。
契約前に実際に担当となる可能性のある看護師と面談できるか、万が一相性が合わなかった場合に担当者を変更できる制度があるかといった点を確認すべきです。
万が一の医療事故や物損事故に備えて、事業者が損害賠償責任保険に加入しているかを確認する必要があります。個人でも加入できる看護師賠償責任保険は対応範囲が決まっていたり、意外とカバーされない部分があるため、事業所としてしっかりとした保険に加入していることが重要です。
保険加入の有無に加えて、事故を未然に防ぐためのリスク管理体制が事業所内で整備されているかも、信頼性を測る上で重要な指標になります。安心してサービスを利用するために、必ず確認しておきましょう。
提示された見積もりの中に何が含まれていて、何が含まれていないのかを明確に確認することが重要です。料金体系が明確で、サービス内容について丁寧に説明してくれることが基本となります。
特に以下の点については必ず書面で確認するよう心がけてください。
交通費の扱いはどうなっているか(実費請求か、料金に含まれるか)
時間外(早朝・夜間・休日)の割増料金の詳細
特定のケアや物品に対する追加料金は発生するか
これらの点を事前に把握しておくことで、後々のトラブルを防げるでしょう。
これまで解説してきた看護師の個人契約における課題や不安を解決できるサービスとして、「イチロウ」をご紹介します。
「イチロウ」では、厳しい審査を通過した経験豊富な看護師・介護士が多数在籍しており、独自の適性検査や資格証確認、過去の経験チェックなど徹底した人材管理を行っています。専門のケアコンシェルジュがお客様一人ひとりに付き、ご状況のヒアリングから最適な人材のマッチング、契約までを丁寧にサポートします。
また、最高1億円の損害保険への加入や専属担当者による迅速な対応など、安心してご利用いただける体制を整えているでしょう。まずは無料相談から、あなたの悩みを相談してみてはいかがでしょうか。
看護師による個人的なケアサポートを実現するためには、正しい法的知識と適切なサービス選択が不可欠です。個人対個人の直接契約では医療行為に制約があるため、訪問看護ステーションを介することで安全で質の高いケアを受けることができます。
地域密着型とオーダーメイド型の特徴を理解し、緊急時対応や看護師の専門性、料金体系の透明性などを基準に事業所を選ぶことで、ご家族の状況に最適なサービスを見つけられるでしょう。適切な訪問看護サービスを利用することで、住み慣れた自宅で安心してケアを受け、ご家族の負担軽減と生活の質向上を両立させることが可能になります。
看護師の個人契約を検討されている方から寄せられる代表的な疑問にお答えします。医療行為の実施可否から費用面、サービス選択まで、多くの方が抱える不安や疑問を解消し、適切なサービス利用につなげていただけるよう、専門的な観点から解説いたします。
個人契約では医療行為は一切実施できません。医師の指示が必要な吸引や経管栄養、注射などは法的に禁止されています。ただし、訪問看護ステーションを介することで、医師の指示書に基づいた安全な医療行為の実施が可能になります。
一般的な費用相場は1時間あたり8,000円から12,000円程度で、事業所によっては3,500円程度から利用可能です。料金は依頼内容の専門性、時間帯、看護師の経験、地域によって変動します。全額自己負担となりますが、保険適用サービスにはない自由度が魅力です。
緊急時の24時間対応体制と在籍看護師の専門性が最重要です。容態急変時の迅速な対応や、ご家族の症状に適した経験豊富な看護師の有無を確認しましょう。また、担当者との相性や損害賠償保険への加入状況も重要な判断基準になります。