介護にまつわるお役立ちコラム

通院の家族代行サービスとは?料金や選び方のポイントを解説

2025年09月27日

高齢の親の通院に付き添いたくても、仕事や家庭の事情で時間を確保できず悩む方は多いものです。また、高齢者本人にとっても一人での受診は不安が伴います。そこで注目されているのが「通院 家族代行」サービスです。

 

本記事ではその具体的なサポート内容や料金の目安、失敗しない選び方のポイントを解説します。家族の負担を軽減しつつ、安心して受診できる方法を探している方に役立つ内容です。

なぜ今「通院の家族代行」が必要とされているのか

高齢の親が病院へ通院する際、家族が付き添いたくても難しいケースが増えています。遠方に住んでいるため物理的に通院に付き添えない、仕事が忙しく時間を確保できない、小さな子どもの世話で手が離せないなど、現代の家族が抱える事情はさまざまです。

 

毎日のように病院に付き添うことは、家族にとって身体的・精神的な負担となることもあります。高齢者の通院には、移動の介助だけでなく、院内での手続きや医師とのやり取りなど、多くのサポートが必要となるため、家族だけで対応し続けることには限界があるでしょう。

 

このような状況において、通院の家族代行サービスは、家族の代わりに高齢者の通院を支援する重要な役割を果たしています。家族だけで抱え込まず、専門的な知識と経験を持つサービスを活用することで、高齢者の安全な通院を確保しながら、家族の負担を軽減することが可能になるのです。

高齢化で増える家族の通院付き添いの実情

高齢の親を持つ家族にとって、通院の付き添いは避けて通れない課題となっています。しかし、現実にはさまざまな理由から、付き添いが困難になるケースが増加しているのが実情です。

 

親の通院付き添いが困難になる具体的な理由として、以下のような事情が挙げられます。

 

【親の通院付き添いが困難になる具体的な理由】

  • 遠方に住んでいるため、すぐに駆けつけられない

  • 仕事が忙しく、平日の通院に時間を割けない

  • 小さな子どもがおり、長時間の外出が難しい

  • 頻繁な付き添いによる心身の負担

これらは単なる物理的な制約だけではありません。毎回の付き添いで仕事を休むことへの職場での気兼ねや、自分の生活とのバランスを取ることの難しさなど、精神的な負担も大きくなっています。特に頻繁な通院が必要な場合、家族の疲労は蓄積し、介護疲れにつながることもあるでしょう。

 

このような状況は、家族関係にも影響を及ぼしかねない深刻な問題となっているのです。

家族だけでは困難な高齢者の通院における課題

高齢者が一人で通院する際には、家族の付き添いがないことで多くの困難に直面します。身体的な機能の低下により、通院そのものが大きな負担となっているケースが少なくありません。

高齢者本人が通院する際に直面する困難には、次のようなものがあります。

 

【高齢者本人が通院する際に直面する困難】

  • バスやタクシーの乗り降り、院内での転倒リスク

  • 複雑な受付や支払い、薬の受け取り手続き

  • 医師からの専門用語を含む病状説明の理解

これらの課題により、高齢者にとって一人での通院は心身ともに大きな負担となります。転倒への不安や手続きの煩雑さから、必要な受診をためらうケースも見られるでしょう。また、医師からの説明を正確に理解できないことで、適切な治療を受けられない可能性もあります。

付き添いの有無は、治療の質や本人の安心感に大きく影響し、健康状態の維持・改善に直結する重要な要素となっているのです。 

通院付き添い代行サービスの具体的なサポート内容

通院付き添い代行サービスは、病院への同行にとどまらず、高齢者の通院に関わるあらゆる場面でトータルなサポートを提供します。かかりつけの病院への定期的な通院から緊急時の対応まで、幅広いニーズに対応可能です。

 

サービスの範囲は、自宅から病院までの移動手段の確保、院内での各種手続き、診察室での医師とのやり取りの支援、診療費の立替まで多岐にわたります。これにより、高齢者は安心して必要な医療を受けることができ、家族も仕事や育児と両立しながら親の健康管理をサポートできるでしょう。

移動の介助から院内での一連の手続きまで

通院付き添い代行サービスは、自宅での診察券の準備や着替えなどの外出準備から始まります。スタッフが自宅まで迎えに行き、利用者の身体状況に合わせてタクシーや介護タクシーの手配を行い、安全な移動をサポートするのです。

 

病院到着後は、診察券の提出など受診手続きの補助から、各診療科までの移動介助まで一連の流れをサポートします。徒歩や車いすでの移動介助はもちろん、移動中の体調確認も欠かしません。院内でのお手洗いのサポートなど、きめ細やかな対応により、利用者が安心して受診できる環境を整えています。

 

診察終了後の会計の支払いや薬の受け取りにおける介助も重要なサービスの一つです。高齢者にとって煩雑に感じられる手続きを代行することで、スムーズな通院が可能となります。最後は自宅まで安全に送り届け、一連のサポートが完了します。

診察室への同席と医師からの説明の共有

介護保険サービスでは対応できない診察室への同席が、多くの通院付き添い代行サービスでは可能となっています。これにより、受診時の医師の説明を一緒に聞いてもらうことができ、診断内容や治療方針を正確に把握できるのです。

 

サービススタッフは、通院先の医師とどのようなやり取りがあったかを記録し、必要に応じて家族へ報告します。服薬に関する注意点や次回の受診日など、重要な情報を漏れなく共有することで、家族も安心して高齢者の健康管理に関われるでしょう。

 

特に看護師の資格を持ったスタッフが同席する場合、医療用語をわかりやすく説明してくれるという付加価値があります。高齢者にとって難しく感じる医師からの病状説明も、専門知識を持つスタッフのサポートにより、理解しやすくなるのです。

入退院時やワクチン接種時の特別な付き添い

通院付き添い代行サービスは、定期的な通院だけでなく、入退院やワクチン接種といった特別な場面でも利用できます。ワクチン接種時の病院や接種会場への付き添いも依頼可能で、接種会場への送迎も安全にサポートしてもらえるのです。

 

入院時には準備や荷物の移動を手伝い、退院時には身の回りの片付けや荷造りなどをサポートします。これらの作業は家族にとって大きな負担となることが多いため、代行サービスの利用により、家族の負担を大幅に軽減できるでしょう。

 

さらに、入院中の介助や見守りはもちろん、話し相手になるなど精神面でのサポートも提供しています。入院中は誰しも不安を感じるものですが、スタッフが寄り添うことで、高齢者の心理的な負担を和らげることができるのです。

通院付き添い代行サービスの選び方と比較ポイント

通院付き添い代行サービスを選ぶ際は、介護保険サービスと自費サービスの違いを理解し、自分の状況に合ったサービスを選択することが重要です。介護保険の適用範囲内となる通院介助にはサービス内容に制限があるため、必要なサポート内容を明確にしておく必要があります。

 

また、事業者によって料金体系やサービス内容はさまざまです。利用前にサービス内容や料金をよく確認し、スタッフの資格や経験も含めて総合的に判断することで、質の高いサービスを選ぶことができるでしょう。

介護保険サービスと自費サービスの違いを理解する

介護保険制度は、高齢者の自立支援を目的とし、65歳以上や特定疾病を持つ40~64歳の人が要介護・要支援認定を受けた場合に利用できる仕組みです。介護保険サービスは原則1~3割の自己負担で利用できますが、対象は日常生活の支援や施設・在宅介護に限られ、通院介助は送迎のみなど制約があります。

 

一方、自費サービスは保険適用外ですが、病院内での手続きや診察同席まで柔軟に依頼でき、利用者や[i]家族のニーズに合わせた対応が可能です。通院のついでに店や銀行など他所に寄りたい場合や、診察室の中まで入り医師の説明を聞いてもらいたい場合は、介護保険外の自費サービスを依頼する必要があります。自宅以外の場所を発着地にする場合も同様です。

 

利用者のニーズに応じて、適切なサービスを選択することが大切です。介護保険サービスと自費サービスの違いを以下の表で確認しましょう。

 

【介護保険サービスと自費サービスの比較表】

項目

介護保険サービス(通院等乗降介助)

自費サービス

自宅以外からの送迎

対象外

可能(事業者による)

ヘルパーの自家用車での送迎

対象外

可能(事業者による)

院内での付き添い・移動介助

可能

可能

診察室への同席・医師の説明の傾聴

原則対象外

可能

薬の受け取りの介助

可能

可能

通院途中の買い物や銀行などへの立ち寄り

対象外

可能

参考:厚生労働省|介護保険制度の概要

事業者ごとの料金体系とサービス内容を確認する

介護保険外の病院付き添いサービスの料金は、事業者によってさまざまです。利用を検討する際は、事前にサービス内容や料金をよく確認し、複数の事業者から見積もりを取ることが重要となります。

 

料金体系は時間単位での課金が一般的ですが、基本料金に含まれるサービス範囲や、交通費などの追加料金が発生するケースについても確認が必要です。たとえば、移動手段の手配や診療費の立替などが基本料金に含まれているか、別途料金が必要かを事前に把握しておきましょう。

 

費用を抑えたい場合は、通院付き添いなど外出の手伝いをボランティアの協力で提供している市区町村のサービスもあります。お住まいの市区町村で調べてみることで、より経済的な選択肢が見つかる可能性があるでしょう。

スタッフの資格や経験でサービスの質を見極める

安心して任せられる事業者を選ぶためには、スタッフの専門性を確認することが重要です。介護福祉士や看護師の資格を持ったスタッフがいる場合、医療用語をわかりやすく説明してくれるという安心感があります。

 

特に高齢者にとって、医師からの病状説明など医療用語を含んだ話は難しく感じるものです。専門知識を持つスタッフの存在は、診察内容の正確な理解や、適切な治療の継続において大きな安心材料となるでしょう。認知症の症状がある場合も、専門的な対応ができるスタッフがいることで、より質の高いサポートが期待できます。

 

事業者を選ぶ際は、スタッフの資格だけでなく、研修制度の充実度や実際の対応経験についても確認することが大切です。これらの情報を総合的に判断することで、信頼できるサービスを見つけることができるでしょう。 

東京で高品質な病院付き添いサービスなら「イチロウ」

イチロウは、東京都を含む首都圏で通院付き添いサービスを提供しており、利用者から「イチロウさんには心があった」という言葉をいただくなど、心に寄り添うサービスが高く評価されています。

 

特筆すべきは、通院だけでなく利用者の生活全体をサポートする柔軟性です。通院の帰り道に馴染みのパン屋さんやスーパーでの買い物を組み合わせたり、有料老人ホームに入所して通えなくなった馴染みの病院への付き添いを実現したりと、一人ひとりのニーズに応じた対応を行っています。実際に「もう二度と馴染みの先生に診てもらうことができないと思っていた」という利用者を、希望の病院へ通院できるようサポートし、大変満足いただいているのです。

 

さらに、移動手段の確保から診療費の立替、診察室への同席、医師とのやり取りの記録と家族への報告まで、トータルでサポート。利用から6ヶ月で杖を使わずに歩けるようになるまで回復した事例もあり、継続的な支援により利用者の健康改善にも貢献しています。初期費用や登録料は不要で、必要な時に必要なサポートを受けられる点も大きな魅力でしょう。

 

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まとめ

通院の家族代行サービスは、高齢化が進む現代社会において、家族と高齢者双方を支える重要な選択肢となっています。遠方居住や仕事、育児などで付き添いが困難な家族にとって、専門的なサービスの活用は、親の健康維持と家族の生活の両立を可能にします。

 

サービスを選ぶ際は、介護保険の適用範囲を理解した上で、必要に応じて自費サービスを組み合わせることが大切です。移動介助から診察室での同席、医師の説明の共有まで、トータルなサポートを受けることで、高齢者は安心して適切な医療を受けられ、家族も正確な健康状態を把握できるようになります。

 

事業者選びでは、料金体系やサービス内容の確認はもちろん、スタッフの資格や経験も重要な判断基準となります。質の高いサービスを選択することで、高齢者の通院における身体的・精神的負担を軽減し、必要な受診の継続につながるでしょう。家族だけで抱え込まず、専門サービスを上手に活用することが、高齢者の健康維持と家族の負担軽減を両立させる鍵となります。

よくある質問

通院の家族代行サービスについて、多くの方が疑問に思う点があるでしょう。ここでは、サービスの利用を検討する際によく寄せられる質問について、具体的にお答えします。料金相場やどのような方が利用しているか、介護保険サービスとの違いなど、サービス選択に必要な情報を整理してお伝えすることで、より理解を深めていただけるはずです。

Q. 病院付き添い代行の料金相場はどのくらいですか?

自費サービスを利用した場合、料金は事業者によってさまざまですが、一般的には時間単価での課金となります。たとえば、東京都では1時間あたり3,190円(税込)、愛知県では3,080円(税込)といった料金設定の事業者があり、これに交通費500円~600円程度が加算されるケースが多く見られます。月2回、各2時間利用した場合、月額12,000円~14,000円程度が目安となるでしょう。 一方、介護保険サービスを利用した場合、20分未満の身体介護で167単位(1,670円)となり、自己負担額は所得に応じて1~3割です。ただし、介護保険はサービス内容に制限があるため、必要なサポート内容によっては自費サービスの方が適している場合もあります。最終的な料金はサービス内容や時間によって変動するため、必ず事前に見積もりを取ることが大切です。

Q. どのような人がサービスを利用していますか?

通院付き添い代行サービスは、さまざまな状況の方に利用されています。主な利用者層として、遠方に住んでいるため親の通院に付き添えない子ども世代、仕事が忙しく平日の通院に時間を割けない共働き世帯、小さな子どもがいて長時間の外出が難しい家族などが挙げられます。 また、有料老人ホームに入所している高齢者が、施設スタッフでは対応できない長時間の外出や、馴染みの病院への通院に利用するケースも増えています。高齢者本人だけでなく、身体に障がいがある方が利用できる場合もあり、幅広い層に活用されているのです。 近年では、独居の高齢者が家族に気兼ねすることなく、自分の判断でサービスを利用するケースも増加しています。必要な時に必要なサポートを受けることで、自立した生活を維持しながら安心して通院を続けることができるでしょう。

Q. 介護保険の通院介助と何が違いますか?

介護保険の通院介助と自費の付き添いサービスの最も大きな違いは、サービスの範囲と柔軟性にあります。介護保険の適用範囲内となる通院介助は、サービス内容に制限があるため、利用者のニーズすべてに対応できるわけではありません。 具体的には、診察室の中まで入り医師の説明を聞くことや、通院のついでに店や銀行など他所に寄ることは、介護保険では対応できません。また、自宅以外の場所を発着地にすることや、ヘルパーの自家用車での送迎も介護保険の対象外です。これらのサービスが必要な場合は、自費サービスを利用することになります。 どちらのサービスが適しているかは、利用者の要介護度や必要なサポート内容、経済状況などによって異なります。適切なサービスを選択するために、ケアマネジャーなどの専門家に相談することも有効な選択肢となるでしょう。

監修者情報

作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として事業所運営や職員のマネジメントに従事。「現場スタッフが働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場を統括。

現在は、医療・介護ライターとして、医療介護従事者や一般の方向けに実践的で役立つ情報を精力的に発信している。

平岡泰志
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