介護にまつわるお役立ちコラム

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームの違いは?

公開日:2021年12月24日
更新日:2026年09月16日

現代は核家族化が進んでおり、高齢者夫婦で暮らす世帯や高齢者の一人暮らし世帯は少なくありません。このような高齢者世帯やその家族の中には、高齢者だけで今後の生活を続けることが難しいと感じている方もいるでしょう。

当記事では、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と有料老人ホームの違いを、住まいの契約、施設内で受けられる介護、本人の状態変化、家族が担える範囲という視点から解説します。施設ごとにサービス内容や介護・看護の体制、退去条件は異なるため、入居前に確認したいポイントも紹介します。

サ高住・有料老人ホームとは?

高齢者向けの住まいにはさまざまな種類がありますが、代表的な選択肢として「サ高住」と「有料老人ホーム」があります。ここでは、それぞれの特徴と違いを説明します。

サ高住について

サービス付き高齢者向け住宅とは、高齢者住まい法に基づく、バリアフリー設計の高齢者向け住宅です。事業者には安否確認と生活相談の提供が義務付けられています。介護が必要になった場合の対応は住宅ごとに異なり、外部の訪問介護や訪問看護を利用する住宅もあります。

有料老人ホームについて

有料老人ホームは、高齢者が入居し、食事、介護(入浴・排せつ・食事の介助)、洗濯・掃除などの家事、健康管理のうち、少なくとも一つを提供する住まいです。介護付き有料老人ホーム、住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームの3種類があり、介護の提供体制や、介護が必要になった後に住み続けられるかは、類型や施設ごとに異なります。サ高住と有料老人ホームの違いを考える際は、各類型の特徴に加え、施設ごとのサービス内容や退去条件も確認しましょう。

有料老人ホームの3つのタイプ

ここからは、有料老人ホームの3つのタイプ「介護付き」「住宅型」「健康型」について、それぞれの概要を確認しましょう。

介護付き有料老人ホーム

介護保険制度における「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた高齢者施設です。食事や入浴などの介助、機能訓練、レクリエーションといった介護サービスを受けられます。

住宅型有料老人ホーム

食事提供や洗濯・掃除などの生活支援サービスを受けられる高齢者施設です。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを利用することができます。

健康型有料老人ホーム

食事や家事の支援が提供される高齢者施設です。自立した状態の高齢者が対象であり、健康な状態を可能な限りキープすることを目的としています。

有料老人ホームの3タイプのうち、サ高住と比較されやすいタイプは「介護付き」「住宅型」です。施設選びの際には、それぞれの特徴を具体的に理解した上で検討を重ねましょう。

サ高住と有料老人ホームの違いを比較

サ高住と有料老人ホームは、具体的にどのような点が異なるのでしょうか。サ高住と有料老人ホームは、契約方式、施設内で受けられる介護、生活支援、人員体制に違いがあります。サービス内容や外部サービスの利用可否は施設ごとに異なるため、見学時に確認しましょう。 

■サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの比較表

サービス付き高齢者向け住宅

介護付き有料老人ホーム

住宅型有料老人ホーム

健康型有料老人ホーム

入居対象者

自立から介護重度者まで幅広い高齢者

介護が必要な高齢者

主に介護・医療の必要度が低い高齢者

介護・医療が必要となる可能性が低い、身体状況が健康な高齢者

契約方式

賃貸借契約+サービス利用契約

利用権方式

利用権方式

利用権方式

介護サービス

なし(外部事業者と提携)

介護保険制度における介護サービス

なし(外部事業者と提携)

なし(生活支援のみ)

生活支援

あり

あり

あり

あり

生活スタイル

自由度の高い生活を維持できる

食事や入浴の時間が決まっているなど、多少の制限がある

自由度の高い生活を維持できる

自由度の高い生活を維持できる

スタッフ

運営者のほか、生活相談や安否確認を行う施設スタッフが在籍

常駐の介護士や看護師など、介護保険法に基づく人員配置基準がある

施設職員に関する明確な人員配置基準はない

施設職員に関する明確な人員配置基準はない

ここからは、サ高住や各タイプの有料老人ホームについて、項目ごとに違いを詳しく解説します。

入居対象者

サ高住では、自立している高齢者から介護度の重い高齢者まで、幅広い人が入居対象者となります。住宅型有料老人ホームの入居対象者は、ある程度身辺の自立が維持されている高齢者が基本です。サ高住と住宅型のどちらも外部の介護サービスと提携している施設が多いため、介護が必要になった場合でも入居を続けながらケアを受けることができます。
次に、介護付き有料老人ホームは、「要介護」「要支援」など介護が必要な65歳以上の高齢者であることが入居の条件です。健康型有料老人ホームは、健康状況が良好で介護を必要としない高齢者を対象としています。そのため、介護が必要となった場合は退去・転居する必要があります。

契約方式

有料老人ホームの契約形態は、「施設に住み設備を利用する権利」「介護や生活支援などのサービスを受ける権利」を含む「利用権方式(利用権契約)」です。
一方、サ高住は 賃貸住宅の一種として位置づけられるため、一般的な賃貸物件と同様に住宅事業者と賃貸借契約を締結する必要があります。生活支援や訪問介護、訪問看護などを利用する際は、サービスの提供体制や契約先を確認しましょう。サービス付き高齢者向け住宅では、住宅事業者が提供する生活支援サービスのほか、外部の介護事業所や訪問看護事業所と契約する場合があります。居住費とは別に費用を負担することに注意しましょう。

介護サービス

介護付き有料老人ホームでは、介護保険法に基づく介護サービスを受けられます。一方、健康型有料老人ホームは自立した高齢者を対象としているため、介護サービスは提供されていません。
サ高住や住宅型有料老人ホームでは、施設で介護サービスは提供されていないことが一般的です。介護が必要な場合は、外部の介護サービスで対応しましょう。見学時には、介護が必要になった後も住み続けられるか、夜間の対応、看護体制、外部の介護サービスを利用できるか、費用や退去条件を確認しましょう。

生活支援

生活支援とは、食事の用意や買い物代行など、高齢者が安定した日常生活を送るために必要なサポートのことです。生活支援サービスは、サ高住でも有料老人ホームでも受けられます。なお、サ高住では、安否確認や生活相談といったサービスを受けることも可能です。

生活スタイル

介護付き有料老人ホームの場合、リハビリや食事介助、栄養管理、入浴介助などの介護サービスを幅広く受けられますが、基本的にはタイムスケジュールが決まっています。そのため、生活に多少の制限がかかることに注意しておきましょう。

住宅型有料老人ホームや健康型有料老人ホームの場合は、介護サービスによる時間の制限がないため、比較的自由度の高い生活ができます。サ高住では家族や友人などの訪問・入居者自身の外出も自由にできるため、入居前と同じような居住生活をキープしやすいでしょう。

施設での暮らし方は、事業者や施設の運営方針、契約内容によって異なります。見学時には、食事・入浴・リハビリの時間、夜間の対応、外出や面会のルール、介護が必要になった後も住み続けられるかを確認しましょう。

スタッフ

介護付き有料老人ホームの場合、介護保険法によって人員配置基準が定められています。常勤するのは、次のような職業のスタッフです。

 

■介護付き有料老人ホームの常勤スタッフ

・施設の管理者
・介護職員
・看護職員
・生活相談員
・機能訓練指導員
・ケアマネジャー

 

一方、サ高住や住宅型有料老人ホーム、健康型有料老人ホームは、法律で明確な基準があるわけではなく、必要な人数を適宜配置しています。

サ高住と有料老人ホームはこんな方におすすめ

サ高住と有料老人ホームは、住まいの契約、介護の提供体制、介護が必要になった後も住み続けられるかを確認して選びます。サービス内容や入居条件は施設ごとに異なります。

 

■サ高住・住宅型有料老人ホームに適した方

・将来的に施設での在宅介護を希望している方
・自由度の高い生活を送りたい方

 

■介護付き有料老人ホームに適した方

・要介護・要支援の介護認定を受けた方
・幅広く質の高い介護を受けたい方

 

■健康型有料老人ホームに適した方

・健康で介護の必要がない方
・健康を維持する運動を適宜行えるなど、自由度の高い生活を確保したい方

 

サ高住や有料老人ホームは、施設のタイプや運営方針によって、入居後のライフスタイルや提供サービスなどが異なります。老後のライフプランをよく考えた上で、入居者本人や家族が安心して暮らせる施設を検討しましょう。

まとめ

高齢者が安定した日常生活を送るために入居できる施設には、「サ高住」や「有料老人ホーム」があります。有料老人ホームは「介護付き」「住宅型」「健康型」の種類に分けることができ、それぞれ入居対象や提供サービスなどは異なります。

サ高住や有料老人ホームを選ぶ際は、本人が望む暮らし、必要な生活支援・介護の程度、家族が担える範囲を整理します。サ高住と有料老人ホームでは契約方式や介護の提供体制が異なり、サービス内容、人員配置、外部サービスを利用できるかどうかも施設ごとに異なります。見学時には、介護が必要になった後も住み続けられるか、夜間・看護対応、通院や外出の付き添い、費用、退去条件を確認したうえで、自分や家族に合う施設を選びましょう。

監修者情報
株式会社Social Code CDO

2009年大学卒業後回復期リハビリテーション病院に就職後、急性期病院にて専門外来の企画開設に従事。
2016年在宅の支援を行う医療法人に転職後、数年間赤字経営のホームの立て直し、リブランディングを行い、事業統括・社内制度等処遇の改善に携わる。
現在はケアに係るデータを取り扱うベンチャー企業にて事業企画・運営を行う。
著書:医療機関・介護施設のリハビリ部門管理者のための実践テキスト 部門管理に必要な7つの手法(第2版)・他

廣瀬哲司(作業療法士)
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