介護にまつわるお役立ちコラム

訪問介護の報酬はどれくらい?サービス内容と注意点は?

公開日:2021年12月09日
更新日:2026年09月16日

加齢や病気で日常生活に支援が必要になると、家族だけで介護を続けることが難しい場合があります。訪問介護を検討する際は、事業者に支払われる介護報酬と、利用者が支払う自己負担額を分けて確認することが大切です。

この記事では、訪問介護で受けられるサービス、利用者負担の考え方、利用時の注意点を説明します。必要な支援内容や利用条件を整理し、利用する事業所を選ぶ際の判断材料としてお役立てください。

訪問介護とは?

高齢化により、自分一人だけで生活するのが難しくなった要介護者は、俗にいう「ヘルパーさん」に手助けをしてもらうことがあります。介護保険では、ヘルパーさんのことを「訪問介護員」と呼び、訪問介護員による介護を「訪問介護」と呼びます。要介護者とは、介護保険で要介護1~5と診断された人のことです。年齢は原則65歳以上となります。訪問介護員は、介護に関する指定の研修を修了した人であり、次のような人を含みます。

  • 介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者

  • 生活援助従事者研修修了者

  • 居宅介護又は重度訪問介護を提供している者

  • 旧訪問介護員1級又は旧2級課程修了者

訪問介護で提供できるサービスの範囲は、介護保険制度で定められています。家政婦・家事代行とは提供範囲が異なり、訪問介護員は医療行為を行えません。訪問介護にかかる費用は、介護保険法により決まっていますが、利用者は所得に応じて全費用の1~3割を自己負担し、残りの7~9割は介護保険から支払われます。訪問介護を利用する際は、ケアマネジャーが作成するケアプランに基づき、利用者が契約した訪問介護事業所が支援を提供します。利用者の心身の状態や生活状況に応じて、支援内容はケアマネジャーや事業所と相談して調整します。

出典:「訪問介護の概要 – 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000608309.pdf)」

訪問介護のサービス内容

訪問介護で利用できるのは、介護保険の対象となり、ケアプランに位置付けられた支援です。利用する前に、介護支援専門員(ケアマネジャー)と訪問介護事業所が、本人の心身の状態や生活状況を踏まえてサービス内容を決めます。訪問介護の主なサービスは、身体介護、生活援助、通院等乗降介助の3種類です。

身体介護サービス

身体介護は、加齢や病気などで日常生活の動作が難しくなった人を支える介護サービスです。排泄、食事、入浴、移動など、生活に必要な動作を本人の状態に合わせて介助します。主な支援内容は次のとおりです。

  • 生きていくうえで不可欠な排泄や食事の介助

  • 身体を清潔にするための清拭・入浴あるいは身体整容

  • 自分で動くのが困難となった人のために体位変換、移動・移乗介助

  • 病院等に通院するときの外出介助

  • 寝起きするのも困難な場合、起床及び就寝介助

  • 自分だけでちゃんと薬がのめない人には服薬介助

生活援助サービス

生活援助サービスは、掃除、洗濯、調理、買い物など、日常生活の家事を支援するサービスです。身体介護に加えて、身の回りの家事で一人では難しいことがある場合に利用できます。主な支援内容は次のとおりです。

  • 居室内やトイレ、卓上等の清掃、ゴミ出し等の掃除

  • 洗濯機または手洗いによる洗濯、物干し、洗濯物の取り入れと収納、アイロンがけ

  • 利用者不在のベッドでのシーツ交換、布団カバーの交換等のベッドメイク

  • 夏・冬物等の入れ替え等の衣類の整理

  • ボタン付け、破れの補修等被服の補修

  • 一般的な調理、配下膳

  • 日常品等の買い物

  • 薬の受け取り

通院等乗降介助サービス

通院等乗降介助は、利用者が病院等へ通院する際に、訪問介護員が自ら運転する車両への乗車・降車を介助するサービスです。乗車前・降車後の移動介助や、受診等の手続き、移動等の介助も受けられます。

出典:「訪問介護の概要 – 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000608309.pdf)」

訪問介護で受けられないサービス

介護保険の訪問介護では、生活援助として提供できる内容に基準があります。生活援助の対象外となる行為は、原則として介護保険の訪問介護サービスでは受けられません。対象外の支援が必要な場合は、自費サービスを含む選択肢を確認してください。

 

1.「直接本人の援助」に該当しない行為

家族の利便に供する行為または家族が行うことが適当であると判断される行為が含まれます。下記に例を示します。

  • 利用者の家族のものに係る洗濯、調理、買い物、布団干し

  • 主として利用者が使用する居室等以外の掃除

  • 来客に対するお茶、食事の手配

  • 自家用車の洗車・清掃

2.「日常生活の援助」に該当しない行為

訪問介護員が行わなくても日常生活を営むのに支障が生じないと判断される行為のことであり、次のような項目が含まれます。

  • 草むしり

  • 花木の水やり

  • 犬の散歩等ペットの世話等

日常的に行われる家事の範囲を超える行為も含まれます。

  • 家具・電気器具等の移動、修繕、模様替え

  • 大掃除、窓のガラス磨き、床のワックスがけ

  • 室内外家屋の修理、ペンキ塗り

  • 植木の剪定等の園芸

  • 正月、節句等のために特別な手間をかけて行う調理(おせち料理等)

出典:「平成12年11月16日老振第76号(http://www.city.hirosaki.aomori.jp/kurashi/todoke/shinsei/seikatuenjyo_ryuuijikou.pdf)」

 

3.「医療行為」とみなされる行為

医療行為とみなされる行為も禁止されています。

  • 爪に異常がある人の爪切り

  • 耳垢塞栓の除去

  • 重度の歯周病がある場合の口腔ケア

  • 薬の管理

  • 注射や点滴

  • 摘便や自己導尿などの処置等

訪問介護の報酬はどれくらい?

訪問介護の介護報酬は、事業者に支払われる公定のサービス費用です。厚生労働大臣が定める基準で算定され、原則として7割から9割を介護保険が負担し、利用者は所得に応じて1割から3割を自己負担します。

訪問介護の報酬は?

訪問介護の自己負担割合は、利用者本人の所得や世帯状況に応じて1~3割となります。

  • 年金収入280万円未満の場合:1割

  • 年金収入280万円以上340万円未満の場合:2割

  • 年金収入340万円以上の場合:3割

訪問介護の自己負担額は、自己負担割合に加え、利用時間、サービス内容、地域区分、各種加算などで変わります。利用前に、ケアマネジャーまたは訪問介護事業所へ見積もりを確認しましょう。

>介護サービス概算料金の試算

  • 1回利用時の費用:3,170円

  • 自己負担率1割、要介護度1、月に10回利用の場合:3,360円

  • 自己負担率2割、要介護度3、月に15回利用の場合:9,510円

  • 自己負担率3割、要介護度5、月に30回利用の場合:30,240円

出典:「厚生労働省介護サービス情報公表システム(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/?action_kouhyou_simulation_index=true)」

訪問介護サービスの対象者と注意点

訪問介護は、原則として要介護1〜5の認定を受けた方が、ケアマネジャーと作成するケアプランにもとづいて利用します。事業所は利用者が選べるため、対応できる支援内容、利用できる曜日・時間帯、緊急時の連絡体制、スタッフの専門性などを確認しましょう。要支援1・2の方は、自治体の介護予防・日常生活支援総合事業の対象となる場合があるため、地域包括支援センターまたはケアマネジャーに相談してください。

訪問介護サービスの対象者

訪問介護は、介護保険で要介護1〜5の認定を受けた方が利用できます。要介護認定の対象は、65歳以上の方、または特定疾病により要支援・要介護状態となった40〜64歳の医療保険加入者です。要支援1・2の方は訪問介護ではなく、自治体の介護予防・日常生活支援総合事業による訪問型サービスの対象となります。

適切なサービスが実行されているか

ケアプランに沿ったサービスが提供されているかを確認しましょう。確認する項目は、予定した調理や掃除が時間内に行われているか、支援内容が本人の状態や希望に合っているか、スタッフの言葉遣いや態度に不安がないかです。不満や気になる点がある場合は、介護支援専門員(ケアマネジャー)に具体的な状況を伝え、支援内容の見直しや事業所の変更を相談できます。

サービスの内容と報酬について説明があるか

訪問介護サービスを開始する前に、サービスの内容や費用について説明を受けます。身体介護や生活援助で受けられる支援の範囲に加え、介護保険を利用した場合の自己負担額、必要に応じて発生する費用、月額の見込みを確認しましょう。その際に、どのくらい丁寧に説明してくれるか、希望や質問にちゃんと答えてくれるかが大きなポイントです。この点をちゃんと説明してからサービスを開始する事業所なら、安心して訪問介護サービス提供を任せることができます。

まとめ

訪問介護を利用する前に、利用できる支援と利用できない支援を確認しましょう。支援内容、利用時間、費用の説明を受け、希望する生活を支えられるかをケアマネジャーや事業所に相談することが大切です。家事支援と身体介護を同じ時間に頼みたい場合、通院付き添いの前後に介助が必要な場合、夜間や長時間の支援が必要な場合は、介護保険の訪問介護に加えて自由介護などの自費サービスを組み合わせる選択肢もあります。

監修者情報
株式会社Social Code CDO

2009年大学卒業後回復期リハビリテーション病院に就職後、急性期病院にて専門外来の企画開設に従事。
2016年在宅の支援を行う医療法人に転職後、数年間赤字経営のホームの立て直し、リブランディングを行い、事業統括・社内制度等処遇の改善に携わる。
現在はケアに係るデータを取り扱うベンチャー企業にて事業企画・運営を行う。
著書:医療機関・介護施設のリハビリ部門管理者のための実践テキスト 部門管理に必要な7つの手法(第2版)・他

廣瀬哲司(作業療法士)
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