介護にまつわるお役立ちコラム
地域包括支援センターとは?高齢者をサポートする役割や活用方法を解説!
高齢者と暮らす方や周囲に高齢者がいる方、またはご自身が高齢者だという方は介護について考えることは多いのではないでしょうか。
「今後介護が必要になったら…」「体がいつまで動くか不安…」など、このような悩みを解決に導くのが「地域包括支援センター」という施設です。
今回は高齢者をサポートする地域包括支援センターについてその役割や活用方法など幅広く解説していきます。
介護や高齢者の生活に不安を抱える方はぜひ参考にしてみてください。
地域包括支援センターとは市町村が主体となって地域住民の健康や生活の安定に必要な援助を行う機関です。
その地域に住む人々の保険医療の向上・福祉の増進を包括的に支援することを目的としています。
つまり、「住まい」「介護」「医療」「予防」「生活支援」といった暮らしに必要なサービスを地域が一体となって提供することが可能です。
そのため地域包括支援センターが機能している市町村では、1人の力だけでは生活していくのが困難な高齢者が住み慣れた地域を離れなくても介護や生活支援を受けながら暮らしていくことができます。
地域包括支援センターの設置数は厚生労働省の資料によると、令和2年4月末時点で全国5,221か所です。
出典:厚生労働省「地域包括支援センターについて(https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001236442.pdf)」
すべての市町村に設置されているのでお住いの地域ではどこに設置しているのか一度チェックしておくと安心です。
高齢者を中心に地域住民の暮らしをサポートする地域包括支援センターでは、以下4つの業務が行われています。
- 総合相談/支援
- 包括的/継続的ケアマネジメント支援
- 介護予防ケアマネジメント
- 高齢者の権利擁護
この章では、各業務の役割と内容についてくわしく解説していきます。
地域包括支援センターの利用を考えている方はぜひ参考にしてみてください。
地域包括支援センターは高齢者を中心とした地域住民の各種相談を幅広く受け付ける「相談窓口」の役割を担っています。
日々寄せられる相談内容は医療や福祉、高齢者への適切なサービス案内などです。
高齢者が抱える日常生活の困りごと全般を相談することができるので何かあったら気軽に相談しましょう。
また、相談は高齢者に限らず家族の方も可能です。
例えば「在宅介護」については高齢者本人のみならず家族も悩むことが多いですが、地域包括支援センターへ相談すれば一緒に解決策を考えてくれます。
また、相談料は無料・緊急電話は24時間対応としているセンターも多いです。
もしも窓口へ直接出向くのが難しいという方は訪問を希望することもできます。
はじめて介護に取り組む方、勝手がわからず苦しんでいる方は1人で抱え込まずに地域包括支援センターを介護の相談窓口として利用してみてください。
ケアマネージャーは介護支援専門員ともよばれる介護保険サービスに精通しており、ケアプランの作成や介護サービス事業者との調整を行う専門家です。
地域包括支援センターではそのケアマネージャーを包括的/継続的に支援していくという重要な役割を担っています。
この業務の内容は高齢者が住み慣れた地域で快適に暮らしていけるよう手助けを行うケアマネージャーをサポートすることです。
一例としてケアマネージャー同士のネットワークづくりや研修会を開催するなどが挙げられます。
医療機関や介護サービス以外にも地域のボランティア・民生委員と連携して高齢者支援を進めていくこともあります。
また、ケアマネージャー1人では対応が難しい要介護者の支援に当たる際には地域包括支援センターに属する専門家がアドバイスを行う・サポートに当たるなどしています。
「介護予防」とは要支援・要介護状態になることを防ぐ、または要介護状態をそれ以上悪化させないように予防することを指します。
具体的には介護予防が必要と判断された高齢者や「要支援1・2」と認定された方への介護予防ケアプランの作成などを実施しています。
プランの作成時には高齢者本人や家族と話し合いながら介護予防に役立ちそうな介護サービスを紹介してくれるので安心です。
また、介護予防には高齢者が生き生きと楽しく生活を送れるようサポートしていくことも目的としており、そのために地域で利用できるサービスの案内もしています。
例えば趣味を楽しみたい方には地域で活動しているカルチャースクールを紹介したり、旅行好きの方にはこれからも楽しめるよう足腰を鍛える運動を教えたりすることもあります。
超高齢社会において大切な「高齢者の権利擁護」も地域包括支援センターの役割です。
高齢者が認知症や失語症により判断能力が低下しても、他者から人権や財産を侵害されずに自分らしく生きることをサポートします。
具体的には以下のような活動が挙げられます。
- 高齢者への詐欺や悪徳商法への対応
- 高齢者への虐待を発見/防止
- 成年後見制度の手続き支援/促進
成年後見制度とは認知症・知的障害・精神障害などにより判断が困難な方へ後見人や保佐人・補助人をつけることのできる制度です。
申請は家庭裁判所にて行いますが、地域包括支援センターへ相談すれば手続きを支援してもらえます。
また高齢者への虐待については被害者本人や家族だけでなく、近所の人やボランティアなど気づいた人が情報提供するも可能です。
何か気になることがあればいつでも頼りましょう。
ここまで読んでいただいた方のなかには「地域包括支援センターの役割は分かったけど、自分は利用できるの?」と疑問に思った方もいますよね。
たしかに高齢者を支援するための組織はほかにいくつもあるため、地域包括支援センターが悩みや相談内容に合った機関か知っておくのは重要なことです。
そこでこの章では地域包括支援センターを活用するための条件や目的を解説していきます。ぜひチェックしてみてください。
地域包括支援センターは高齢者にまつわるすべての相談を引き受ける機関で、対象となる地域に住む65歳以上の高齢者本人が利用できます。
また、その家族や地域住民など高齢者を支援する活動にかかわるすべての人も対象者です。
ただし地域包括支援センターはあくまでも市町村が管理する地域の機関となります。
相談したい高齢者本人と相談者がほかの地域に居住している場合は、高齢者本人が住む地域の地域包括支援センターへ相談する必要があるので注意しましょう。
地域包括支援センターは現状すべての市町村に設置が確認されていますが、お住いの地域の管轄のセンターがどこにあるか分からないという方もいるかと思います。
その場合は役所に問い合わせるか、厚生労働省のWebページ「全国の地域包括支援センターの一覧」から探してみてください。
出典:「全国の地域包括支援センターの一覧(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/)」
介護の悩みとひとくちにいってもその内容は医療に関すること、権利に関すること、家族に関することなどさまざまです。
そこで地域包括支援センターを活用するなら「介護に関する相談をまとめてする」ことがおすすめです。
なぜなら通常別々の機関に相談すべき事項もワンストップで対応してくれます。
例えば介護が必要な高齢者に対して利用できるサービスを案内したり、手続きを支援したりさまざまな活動を行っています。
また、従来は独立していた事業である医療と介護を連携しているため一体的なサポートが可能です。
このことは遠方の病院への入院を余儀なくされ、住み慣れた地域を離れざるを得ない高齢者の不安解消にもつながります。
地域包括支援センターでは福祉制度の専門家「社会福祉士」、医療・保健の専門家「保健師」、介護の専門家「主任ケアマネージャー」がチームとなって対応に当たります。
それぞれの専門家は利用者の相談内容に応じて適切なサービスの案内やアドバイスを行うため、問題を抱えた高齢者への一体的なサポートが可能です。
まず、社会福祉士は高齢者の権利擁護や総合的な相談に対応します。
続く保健師は医療機関と連携して健康面に不安のある高齢者のサポートを行ったり、介護事業者とのパイプ役であるケアマネージャーと一緒に介護予防に関するプランを決定することもあります。
今回は高齢者をサポートする地域包括支援センターについてその役割や活用方法などを解説しました。
地域包括支援センターは「住まい」「介護」「医療」「予防」「生活支援」といった暮らしに必要なサービスを地域住民へ提供したりサポートしたりする機関で、高齢者に関するすべての相談をすることができます。
65歳以上の高齢者本人やその家族、近所の人などで悩みや困りごとがあれば気軽に相談してみてください。
どんな相談も権利・医療・介護の専門家である社会福祉士・保健師・ケアマネージャーが解決へ導いてくれます。