介護にまつわるお役立ちコラム

要介護3と4の違い|認定基準・必要な介護・介護保険支給額

2021年09月15日

毎日続く介護によって家族の日常生活に支障が出る状況は、望ましいとはいえません。両親の認知機能・身体機能の低下が気になるときには要介護認定を申請し、必要な支援を受けることが大切です。しかし、「要介護3から要介護4に上がると何か変わるの?」「要介護3と要介護4では本人の身体状態に大きな違いはないのでは?」と思っている人もいるでしょう。

この記事では、介護初心者向けに、要介護3と要介護4の違いを解説します。「要介護認定の仕組みがよく分からない」という人にも丁寧に解説するため、介護保険制度の基礎知識を知るためのヒントとしてぜひ活用してください。

1要介護3と4の違い|要介護認定の基準

介護保険制度では、寝たきりや認知症などによって常時介護が必要になった場合・家事などの日常生活で支援が必要になった場合に、介護保険サービスを利用することができます。介護保険サービスの利用開始にあたり、「どの程度能力の低下が見られるか」「望ましい介助方法は何か」などを専門家に判定してもらうステップが「要介護認定」です。

要介護認定では、認定調査員による状況調査・介護認定審査会による審査判定を経て、介護認定を受けようとする人を、自立・要支援1~2・要介護1~5のいずれかに分類します。8段階の分類うち、要介護3と要介護4の認定基準の違いは、以下の表の通りです。

要介護3要介護4
要介護認定等基準時間 (介護の手間を表すものさしとしての時間)70分以上90分未満相当 90分以上110分未満相当
平均的な状態区分 (介護認定を受けようとする人が介護を必要とする程度)・身だしなみを整えたり部屋を掃除したりすることが自力でできない
・立ち上がる、片足で立つなどの複雑な動作を自力でできない
・歩いたり、両足で立った状態を維持したりすることができない場合がある
・自力で排泄ができない
・問題行為や理解の低下が見られる場合もある
・身の回りのことがほぼできない
・立ち上がりなどの複雑な動作がほぼできな
・歩いたり、両足で立った状態を維持したりすることが自力でできない
・排泄がほぼできない
・問題行為や理解の低下が多く見られる場合もある
(出典:厚生労働省老人保健課「要介護認定の仕組みと手順」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/0000126240.pdf

このように、要介護3では誰かの助けがあればできる日常生活動作が、要介護4になると難しくなる傾向にあります。

2要介護3と4の違い|必要な介護サービス

介護保険制度では、要介護認定の区分に応じて、利用できる介護保険サービス(居宅サービス・施設サービス・地域密着型サービス)が異なります。とはいえ、介護老人福祉施設を利用できるなど、要介護3と要介護4で利用できる介護保険サービスに大きな違いはありません。車いす・特殊寝台・マットレスなどを利用者負担1割〜3割でレンタルできる福祉用具貸与のほか、介護環境を整えるための住宅改修費用の補助を受けることも可能です。

しかし、要介護3と要介護4では心身状態が異なるため、必要となる介護保険サービスは異なることが通常です。また、介護保険制度では利用者一人ひとりに対してケアプランを作成し、介護保険サービスの内容を決定します。そのため、要介護認定の区分が同じでも、サービス内容がまったく同一になるとは限りません。

以下では、要介護3と要介護4の人は一般的にどのような介護保険サービスを利用しているのか解説します。

要介護3の場合

要介護3の認定を受けると、昼夜を問わず介護が必要になるケースが多く、高齢者向け施設の利用を考える家族が増えます。在宅介護を続ける場合、要介護3では訪問介護(身体介護、生活援助、通院などの乗降介助)・通所介護(デイサービス)・訪問看護・短期入所生活介護(ショートステイ)を利用する人が多い傾向です。施設サービスでは、介護老人福祉施設・介護老人保健施設に入所する人の割合が高くなっています。

(出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告」/https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m21/2103.html

訪問介護は週5回〜8回程度・訪問看護は医師が認めた回数・通所介護は週2回〜3回程度が利用頻度の目安です。ただし、各サービスの望ましい利用頻度は状況によって変化します。

要介護4の場合

要介護4の認定を受けると、ケアマネージャーから高齢者向け施設への入居をすすめられることが増えます。要介護4の人が入居することの多い施設は、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養)です。2021年3月には、要介護4の認定者約85万人のうち約22万人が介護老人福祉施設を利用しました。居宅サービスでは、居宅療養管理指導や訪問介護、通所介護(デイサービス)の利用が多い傾向にあります。

(出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告」/https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/osirase/jigyo/m21/2103.html

そのため、「要介護4の人の在宅介護は不可能」というわけではありません。要介護3のとき以上に居宅サービスの利用頻度を増やし、対応することもできます。

3要介護3と4の違い|介護保険の支給限度額

要介護3と要介護4では、介護保険の区分支給限度基準額が異なります。区分支給限度基準額とは、毎月いくらまでなら費用負担を受けられるかの上限を定めたものです。

要介護3と要介護4の区分支給限度基準額および自己負担額の上限は、以下のとおりとなっています。なお、金額は1単位10円で算出しています。

要介護3 要介護4
区分支給限度基準額 270,480円 309,380円
1割負担 27,048円 30,938円
2割負担 54,096円 61,876円
3割負担 81,144円 92,814円
(出典:厚生労働省「2019年度介護報酬改定について」/https://www.mhlw.go.jp/content/12601000/000478355.pdf

介護保険の自己負担割合は、世帯構成や本人の所得金額によって、年1回見直されます。自己負担割合は、要介護認定を受けた後に郵送される「介護保険負担割合証」で確認することが可能です。年金収入の増加などの理由で自己負担割合が変更される際には、新しい介護保険負担割合証が発行されます。

障害者控除は受けられる?

障害者控除とは、障害者や特別障害者本人の所得金額を計算するとき、一定額を差し引いてくれる制度です。要介護3や要介護4の人は、市町村長や福祉事務所から「障害者」もしくは「特別障害者」に認定されると、障害者控除を受けられます。障害者や特別障害者の認定を受けた場合の所得控除額は、以下の表の通りです。

障害者特別障害者
所得控除額27万円40万円
(出典:国税庁「障害者控除」/https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1160.htm

また、要介護4の人は特別障害者手当を支給できる可能性があります。特別障害者手当とは、心身に著しい障害があって常時介護を必要とする状態にある20歳以上の人に毎月27,350円を支給する制度です。

(出典:厚生労働省「特別障害者手当について」/https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/tokubetsu.html
なお、障害者控除の認定基準や特別障害者手当の支給対象は、介護認定の区分だけを基準に決めるわけではありません。つまり、要介護認定を受けたからといって、障害者控除の対象になるとは限りません。詳細を知りたい人は、市町村の担当窓口に問い合わせましょう。

4利用サービス選びに迷ったときは「イチロウ」へ

要介護3や要介護4の認定を受けると、施設サービスの利用が検討されます。しかし、施設サービスの利用にはまとまった費用を要し、安全に生活できる施設を選ぶ必要があります。在宅介護するにしても、専門知識を持たない家族が一連のサポートを提供することは大変です。介護保険自体は非常に複雑な制度であるため、「どの介護保険サービスを利用できるか」「いくらまで補助を受けられるか」を把握することにも労力がかかります。

オーダーメイドの介護サービス「イチロウ」であれば、本当に必要な支援のみを受けることが可能です。イチロウでは、ご利用者様とヘルパーが信頼関係を築けるよう、可能な限り1人のヘルパーがサービスを提供しています。ご利用者様が「ヘルパーと気が合わない」と感じた場合は、担当ヘルパーの変更を受け付けているため、介護によって不快な思いをする心配はありません。介護保険制度のルールに縛られることなく、本当に必要な支援のみを予算の範囲で受けたい人は、ぜひ「イチロウ」までお問い合わせください。

5まとめ

要介護認定の基準や必要な介護保険サービスなどの観点から、要介護3と要介護4の違いを解説しました。要介護4に認定される人は要介護3の人よりも自力でできないことが多く、さまざまな介護保険サービスの必要性が高いといえます。
ただし、必要な介護保険サービスは一人ひとりの状態に応じて異なることから、要介護認定の区分以外にも多くの要素を加味し、判断しなければなりません。介護保険制度のルールに縛られることなく希望に応じたサポートを受けたい人は、オーダーメイドの介護サービス「イチロウ」の利用をご検討ください。

監修者情報
天晴れ介護サービス総合教育研究所株式会社 代表取締役

京都大学経済学部卒業後、特別養護老人ホームに介護職として勤務。社会福祉法人、医療法人にて、生活相談員、グループホーム、居宅ケアマネジャー、有料老人ホーム、小規模多機能等の管理者、新規開設、法人本部の仕事に携わる。15年間の現場経験を経て、平成27年4月「介護現場をよくする研究・活動」を目的として独立。介護福祉士、介護支援専門員 執筆、研修講師、コンサルティング活動を行う。著書、雑誌連載多数(日総研出版、中央法規出版、ナツメ社など)。年間講演、コンサルティングは300回を超える。ブログ、facebookはほぼ毎日更新中。オンラインセミナー、YouTubeでの配信も行っている。 天晴れ介護サービス総合教育研究所オフィシャルサイト https://www.appare-kaigo.com/ 「天晴れ介護」で検索

榊原宏昌(さかきばらひろまさ)
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