
フレイル予防の「3つの柱」とは?食事やストレッチで何歳からでも健康に戻れる理由
介護にまつわるお役立ちコラム

介護老人保健施設(老健)は、病院退院後の高齢者が在宅復帰を目指して、リハビリテーションや介護を受ける施設です。特別養護老人ホーム(特養)は、常時介護が必要な高齢者の生活の場として利用されます。施設ごとに目的、入所条件、提供するサービスが異なるため、本人の状態や退所後の生活、家族の介護負担を踏まえて選ぶ必要があります。
この記事では、介護老人保健施設の特徴や活用方法に加え、特別養護老人ホームとの違いと、利用を検討する際のポイントを解説します。
介護老人保健施設(老健)は、介護を必要とする高齢者の自立や在宅復帰を目指し、各種ケアサービスを提供する施設です。
介護老人保健施設の多くは、医療法人や社会福祉法人などの民間法人が運営しています。
【介護老人保健施設で受けられる主なサービス内容】
リハビリテーション | 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による機能訓練 |
医療ケア | 喀痰吸引・経管栄養管理など |
日常生活の介助 | 入浴介助・食事介助・オムツ交換など |
利用者の在宅復帰を目指す施設であるため、入居期間は3〜6ヶ月程度が目安でありとなり、3ヶ月ごとに在宅復帰が可能かどうかが検討されます。
※ただし入居期間は一概には言えず、あくまで「見直す」という点に注意してください。
介護老人保健施設は、要介護1以上の方が入所できます。
また介護老人保健施設は、他の施設に比べて在宅復帰率が高いことから、入所までの待機期間が発生した場合もそこまで長期間とならないことが特徴です。施設数が多い都市部などでは、待機者が発生していないことも多くあります。
介護老人保健施設(老健)は、一般に入居一時金などの初期費用がかかりません。月額費用は、介護サービス費、居住費、食費、日用品費などで構成され、居室タイプ、要介護度、所得、施設の料金設定によって変わります。
【介護老人保健施設の月額費用内訳】
介護サービス費 | 施設入所者が介護・看護サービスを受けるための費用です。食事介助・排せつ介助・医療ケアなどが該当し、介護度が高いほど、料金も高額になります。 |
居住費 | 一つの部屋を複数人で利用する「多床室」が一番安く、個室と共同生活室が合体した「ユニット型個室」が一番高くなる傾向です。また居室タイプにより、介護サービス費の金額設定も異なります。 |
食費 | 施設で提供される食費に関しては、介護保険の対象外となります。 |
雑費 | 日用品代・洗濯代・理美容代など |
また上記のほかにも、提供サービスの内容によっては「介護サービス加算」の費用が必要となる場合もあります。
介護老人保健施設と同じく介護保険法で定められた施設の一つに「介護老人福祉施設」があります。介護老人福祉施設は、いわゆる「特別養護老人ホーム(特養)」と呼ばれる施設です。
介護老人保健施設は在宅復帰を目指す施設で、介護老人福祉施設は常時介護が必要な方の生活の場です。主な違いは以下の表で確認してください。
介護老人保健施設 | 介護老人福祉施設 | |
施設の概要 | 在宅復帰を目指した専門的なリハビリテーションを行う | 常時介護が必要な方へ身体介護や生活支援を行う |
入所条件 | 要介護1〜5 | 要介護3〜5 |
提供サービス | リハビリテーション・医療ケアが中心 | 身体介護が中心 |
入所期間 | 原則3~6ヶ月程度が目安 | 終身利用が可能 |
入所難易度 | 比較的入居しやすい | 数ヶ月以上の待機もあり得る |
費用 | 入居金 なし | 入居金 なし |
※地域によって単価は異なります
介護老人保健施設は、リハビリ設備を整えていることもあり、介護老人福祉施設よりも費用がやや高額となるケースが多い傾向です。ただし利用施設によって実際の費用は異なるため、あくまで参考程度としてください。
介護老人保健施設では、入所によるケアに加え、短期入所療養介護(ショートステイ)や通所リハビリテーションを提供している施設もあります。本人の状態、在宅復帰や在宅生活の継続という目的、家族の支援状況に合わせて、利用できるサービスを施設へ確認したうえで検討しましょう。
以下では、介護老人保健施設を活用する方法を4つ紹介します。
介護老人保健施設の入所利用は、以下の場合におすすめです。
・長期入院により著しい体力低下が見込まれる場合 |
介護老人保健施設の一部では、軽度の認知症の方を対象に「認知症短期集中リハビリテーション」を提供しています。このリハビリテーションでは、中核症状やBPSD(認知症の行動・心理症状)の改善を目指します。
(出典:公益社団法人 全国老人保健施設協会「認知症短期集中リハビリテーション」/https://www.roken.or.jp/about_roken/ninch)
介護老人保健施設は、短期間のみ入所となる「ショートステイ」も可能であり、以下の場合におすすめです。
・急な用事などで、介護を行えない期間が発生した場合 |
介護は基本的に長期間続くものであり、無理をすると介護者の体調不良を招いたり、介護うつに繋がったりする恐れがあります。そのため、介護者の状況や予定に合わせショートステイを上手く取り入れるとよいでしょう。
連続利用期間は最長30日間とされ、介護認定期間内での利用日数は「介護認定期間の半数」という条件があります。ただし必要があれば、これ以上の利用も可能です。その際は、市町村に届出を出すことが一般的となります。
介護老人保健施設では、リハビリ特化型の日帰り通所サービスである「デイケア」も行っており、以下の場合におすすめです。
・1対1で行う個別機能訓練が行いたい場合
・在宅生活をよりよく継続するためのリハビリテーションを行いたい場合
※機能訓練…利用者の社会的孤立感の解消や、心身の機能の維持、利用者家族の身体的・精神的負担の軽減を図るもの
※リハビリテーション…医師の指示のもと、理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士などが、利用者の心身の機能の維持回復を図るもの
(出典:厚生労働省「(3)リハビリテーションと機能訓練の機能分化と
その在り方に関する調査研究」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000116470.pdf)
通所リハビリテーションでは、医師の指示のもと、理学療法士・作業療法士・言語聴覚療法士などがリハビリテーションを行います。設備や実施する訓練内容は施設によって異なるため、見学や問い合わせの際に、本人の目標に合う訓練を受けられるか確認しましょう。活動や訓練を通じて、ほかの利用者やスタッフと交流する機会を持てる場合もあります。
他の施設への入所待ちの間に、介護老人保健施設へ入所することも可能です。例えば、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)の入所を待つ間に、介護老人保健施設を一時的な滞在先として検討する方法があります。入所の可否や待機状況は地域や施設によって異なります。
また、バリアフリー化・手すりの設置など、住宅改修が必要な期間のみ介護老人保健施設を活用する方も少なくありません。
介護老人保健施設の利用を考えている方は、以下で紹介する「介護老人保健施設のメリットと注意点」を理解しておきましょう。
【介護老人保健施設を利用するメリット】
・機能訓練が充実している |
介護老人保健施設には医師、看護職員、リハビリスタッフが配置され、医療とリハビリテーションを受けながら在宅復帰を目指せます。体調が急変した場合の対応や入院の必要性は施設によって異なるため、事前に確認しましょう。
【介護老人保健施設を利用する際の注意点】
・内服薬が制限される可能性がある |
内服薬がある場合は、入所前に薬の内容を施設へ伝え、継続できるか確認しましょう。施設での薬の取り扱いや処方は、薬の種類、治療の必要性、施設の対応方針によって異なるため、自己判断で服用を中止しないことが大切です。
介護老人保健施設は、病状が安定した要介護者が在宅復帰を目指し、リハビリテーションや医療ケアを受ける施設です。入所、短期入所療養介護(ショートステイ)、通所リハビリテーション(デイケア)などがあり、利用条件や提供内容はサービスによって異なります。
老健では入所時の一時金は原則不要ですが、利用者負担に加えて居住費や食費などがかかります。費用や利用期間は要介護度、居室、所得、施設の方針で異なるため、入所前に施設やケアマネジャーへ確認しましょう。入所目的と退所後の生活を事前に整理すると、必要な支援を検討しやすくなります。
本人の状態、在宅復帰の見通し、家族が担える支援を整理したうえで、老健への入所、在宅サービス、ほかの介護施設を検討しましょう。