介護にまつわるお役立ちコラム

要支援・要介護とは|違い・認定を受けるための流れ・サービス一覧も

2021年05月14日

身近な方や家族が要介護者となり、これから介護を行わなければならない方は、介護保険サービスを利用するために要支援・要介護の認定を受ける必要があります。

今回は、要支援・要介護の概要や、要支援・要介護認定を受けるための流れ、要支援・要介護認定者が利用できるサービスの一覧を解説します。また、介護保険サービスではカバーできない場合におすすめの介護保険外サービスも紹介するため、ぜひ参考にして下さい。

1要支援・要介護の違いとは?

介護保険サービスを利用するための要介護認定は、要支援1~2・要介護1~5の合計7つの区分に分けられており、大別すると要支援・要介護に分けられています。

要支援・要介護の概要は、厚生労働省により次のように定義されています。

要支援
「要支援状態」の定義(法第7条第2項)
身体上若しくは精神上の障害があるために入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部若しくは一部について厚生労働省令で定める期間にわたり継続して常時介護を要する状態の軽減若しくは悪化の防止に特に資する支援を要すると見込まれ、又は身体上若しくは精神上の障害があるために厚生労働省令で定める期間にわたり継続して日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって、支援の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要支援状態区分)のいずれかに該当するものをいう。
※厚生労働省令で定める期間:原則6ヵ月
「要支援者」の定義(法第7条第4項)
(1)要支援状態にある65歳以上の者
(2)要支援状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要支援状態の原因である身体上又は精神上の障害が特定疾病によって生じたもの
※政令で定めるもの(特定疾病):施行令第2条
(引用:厚生労働省「要介護認定に係る法令」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html

 

端的に説明すると、要支援とは日常生活は基本的に自分で行うことができるものの、日常生活において多少の支援を必要とする状態です。

要介護
「要介護状態」の定義(法第7条第1項)
身体上又は精神上の障害があるために、入浴、排せつ、食事等の日常生活における基本的な動作の全部又は一部について、厚生労働省令で定める期間にわたり継続して、常時介護を要すると見込まれる状態であって、その介護の必要の程度に応じて厚生労働省令で定める区分(要介護状態区分)のいずれかに該当するもの(要支援状態に該当するものを除く。)をいう。
※厚生労働省令で定める期間:原則6ヵ月
「要介護者」の定義(法第7条第3項)
(1)要介護状態にある65歳以上の者
(2)要介護状態にある40歳以上65歳未満の者であって、その要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病であって政令で定めるもの(特定疾病)によって生じたもの
※政令で定めるもの(特定疾病):施行令第2条
(引用:厚生労働省「要介護認定に係る法令」/https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/nintei/gaiyo4.html

端的に説明すると、要介護とは日常生活全般の動作を自力で行うことが難しく、他者の介護や支援が必要な状態です。

要支援と要介護は、心身の状態だけでなく、利用可能なサービスやサービスの利用開始方法にも違いが見られます。要支援と要介護の相違点は、下記のとおりです。

要支援要介護
状態基本的には自力で生活できるが、部分的な介助・支援が必要身体機能低下や理解力・思考力の低下が見られるため、状態に応じた介助が必要
要介護度区分要支援1~2要介護1~5
利用可能なサービス介護予防サービス介護サービス
認定窓口市区町村の窓口市区町村の窓口
サービス利用開始方法地域包括センターにて介護予防ケアプランを作成居宅介護支援事業所にてケアプランを作成
要支援の度合

要支援の各段階に見られる介護の必要度合と、介護保険の支給限度基準額は、下記のとおりです。

要介護度介護の必要度合(要介護認定時の目安)支給限度基準額
(1ヶ月あたり)
要支援1日常生活上の動作のほとんどを自分で行うことができるが、一部の動作について支援が必要な状態。50,320円
要支援2要支援1よりも自分でできる動作が少なく、一部の動作についての支援と同時に一部介護が必要となる状態。105,310円
要介護の度合

要介護の各段階に見られる介護の必要度合と、介護保険の支給限度基準額は、下記のとおりです。

要介護度介護の必要度合(要介護認定時の目安)支給限度基準額
(1ヶ月あたり)
要介護1立ち上がりや歩行といった日常生活動作が不安定であり、日常生活を送るにあたって部分的に介護を必要とする状態。167,650円
要介護2立ち上がりや歩行といった基本的な動作が自分でできない場面が多く、日常生活全般に渡って部分的介助を必要とする状態。197,050円
要介護3立ち上がりや歩行をはじめとした日常生活動作が自分でできないため、生活全般に渡って全介助が必要である状態。または、認知症の症状が見られるため、日常生活に影響がある状態。270,480円
要介護4多くの日常生活動作が自分ではほとんどできず、介護が無ければ日常生活ができない状態。理解力や判断力の低下もあり、コミュニケーションや意志疎通も難しい状態。309,380円
要介護5ほぼ寝たきりで日常生活全般に渡って重度の介助が必要な状態。理解力や判断力の低下も進んでおり、意思疎通も困難な状態。362,170円
2要支援・要介護認定を受けるための流れ

ここでは、これから介護保険サービスを利用する方に向けて、要支援・要介護認定を受けるための一連の流れとポイントを紹介します。

1.市町村窓口に相談する
身近な方や家族の様子がおかしく、介護が必要であると思われる場合は、まずは市町村窓口に相談します。市町村の役場には高齢者福祉課や介護保険課などの窓口が設けられており、介護全般の相談を行っています。
2.市町村窓口で要介護認定の申請を行う
介護保険サービスの利用を決定した場合は、利用者本人が住む自治体の市町村窓口で要介護認定の申請を行います。 要介護認定の申請にあたっては、印鑑・介護保険被保険者証のほかに申請書が必要となります。役所のホームページからダウンロードするか、窓口で直接受け取って記入しておきましょう。
3.訪問調査を受ける
要介護認定の申請書を提出したら、利用者本人の普段の生活の様子や心身の状態を調べるために、認定調査員が訪問調査に訪れます。
訪問調査後は、1次判定・2次判定を経て、介護認定審査会が認定基準と主治医の意見書を基に要介護認定区分の判定が行われます。
4.認定結果の通知を受け取る
申請日から30日以内に要介護認定の申請結果が郵送で通知されるため、認定通知書と被保険者証を確認します。
要支援・要介護の区分は認定通知書に記載されており、区分に応じて利用できる介護保険サービスや利用限度額が決まります。
5.認定区分に応じて地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所へ連絡する
介護保険サービスを利用するためには、要介護認定の区分に応じて地域包括支援センターまたは居宅介護支援事業所へ連絡する必要があります。
要支援1~2の方は前者へ、要介護1~5の方は後者へ連絡します。
6.ケアプランを作成する
介護保険サービスは、ケアマネジャーが作成する介護予防ケアプランまたはケアプランに従って利用します。
そのため、まずは居宅介護支援事業所に所属するケアマネジャーと相談し、介護予防ケアプランまたはケアプランを作成します。
7.介護保険サービス提供事業者と契約する
介護予防ケアプランまたはケアプランの内容に利用者本人が同意すれば、介護保険サービス提供事業者との契約に進みます。
利用者本人を交えて希望する介護保険サービスを検討し、検討後はケアマネジャーに介護保険サービスを依頼します。
3要支援・要介護認定者が利用できる「介護サービス」の一覧

介護保険で提供される介護サービスは種類が多く、要支援・要介護で利用できるサービスも異なるため、サービス利用の可否の把握が難しい方もいるでしょう。

ここでは、厚生労働省が公表している、要支援・要介護認定者が利用できる介護サービスの利用可否を一覧で紹介します。

要支援要介護
介護相談・ケアプラン作成居宅介護支援
自宅訪問サービス訪問介護
訪問入浴
訪問看護
訪問リハビリ
夜間対応型訪問看護(地域密着型)×
定期巡回・随時対応型訪問介護看護(地域密着型)×
通所サービス通所介護×
通所リハビリ
地域密着型通所介護(地域密着型)×
療養型通所介護(地域密着型)
認知症対応型通所介護(地域密着型)
訪問・通所・宿泊組み合わせサービス小規模多機能型居宅介護(地域密着型)
看護小規模多機能型居宅介護(地域密着型)×
短期宿泊サービス短期入所生活介護
短期入所療養介護
施設入居型サービス介護老人福祉施設×
(要介護3~)
介護老人保健施設×
介護療養型医療施設×
介護医療院×
特定施設入居者生活介護
(有料老人ホーム・軽費老人ホームなど)
地域密着型サービス認知症対応型共同生活介護
(要支援2~)
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護×
地域密着型特定施設入居者生活介護×
福祉用具の利用 福祉用具貸与
(介護度による)

(介護度による)
特定福祉用具販売
(出典:厚生労働省「公表されている介護サービスについて」/https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/)

要介護の方はほぼ全てのサービスを利用することができますが、要支援の方や要介護度が低い方は、一部利用できないサービスがあるため注意が必要です。

サービス利用を検討する場合は、要介護度に合わせて利用の可否を事前に調べておきましょう。

4状況に合わせて「介護保険外サービス」の併用もおすすめ

介護保険サービスは介護保険法に定められた制限を受けるため、利用者や家族の状況によっては使い難い場合や希望通りのサービスを受けられない場合があります。

そこでおすすめとなる方法が、「介護保険サービスと介護保険外サービスを併用する」ことです。介護保険外サービスは、全額自己負担となりますが、介護保険法の制限を受けずに高品質で自由度の高いサービスを提供できるため、近年注目されています。

介護保険外サービスでは、介護サービスに加えて介護保険ではできない下記のようなサービスを受けることができます。

・移送・送迎サービス
・訪問介護対象外の家事支援・家事代行サービス
・外出付き添いサービス
・理美容師訪問サービス
・認知症の方の見守りサービス

介護保険外サービスの利用を検討する場合は、サービス品質と利便性を徹底追及するオーダーメイド介護サービス「イチロウ」がおすすめです。利用者の希望に応じて多種多様な介護メニューを選択可能であり、プロ意識の高い経験豊かな介護スタッフがサービス提供を行うため、利用者も家族も高い満足を得ることができます。

介護保険外サービスを利用して在宅介護の満足度を高めたい方は、ぜひ「イチロウ」へご相談下さい。

5まとめ

介護保険サービスは、要介護区分に応じて利用できるサービスや利用限度額が決定されるため、介護保険サービスを利用したい場合は、まず要介護認定を受ける必要があります。介護保険サービスを利用する場合は、早めに申請しましょう。

要支援・要介護認定者は、区分に応じてさまざまな介護保険サービスを安価に利用することができます。利用者本人や家族の負担を減らして快適に暮らすためにも、どのようなサービスを利用できるか把握しておきましょう。

利用者や家族の状況によっては、希望通りの介護サービスを受けられない場合があります。希望する介護サービスがある場合は、オーダーメイドで依頼できる「イチロウ」をぜひご検討下さい。

監修者情報
天晴れ介護サービス総合教育研究所株式会社 代表取締役

京都大学経済学部卒業後、特別養護老人ホームに介護職として勤務。社会福祉法人、医療法人にて、生活相談員、グループホーム、居宅ケアマネジャー、有料老人ホーム、小規模多機能等の管理者、新規開設、法人本部の仕事に携わる。15年間の現場経験を経て、平成27年4月「介護現場をよくする研究・活動」を目的として独立。介護福祉士、介護支援専門員 執筆、研修講師、コンサルティング活動を行う。著書、雑誌連載多数(日総研出版、中央法規出版、ナツメ社など)。年間講演、コンサルティングは300回を超える。ブログ、facebookはほぼ毎日更新中。オンラインセミナー、YouTubeでの配信も行っている。 天晴れ介護サービス総合教育研究所オフィシャルサイト https://www.appare-kaigo.com/ 「天晴れ介護」で検索

 

榊原宏昌(さかきばらひろまさ)
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