介護にまつわるお役立ちコラム
介護保険制度とは|加入対象者・サービス・申請方法
要介護者を家族に持っている方や、家族が要介護者になり始めた方で、国が実施する介護保険制度について、詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。
介護保険制度とは、介護保険の受給や介護保険サービスを受けることができる制度のことで、介護の負担や経済的負担を軽減することができます。
今回は、介護保険制度の概要から、介護保険で受けることができるサービス、介護保険サービスを受けるための要介護認定の申請方法までを解説します。介護保険に関する情報が一通り分かる内容となるため、利用を検討している方はぜひ参考にして下さい。
介護保険制度とは、1997年に制定されて2000年に施行された「介護保険法」に基づき、介護を必要している方が適切なサービスを受けられることを目的とした制度です。
同制度は、介護を必要とする方が尊厳を保ちつつ自立した生活を送れるように、「自立支援」「利用者本意」「社会保険方式」という3つの考え方から構成されています。介護保険制度が創設された背景には、日本国内の少子高齢化や核家族化といった社会の変化に伴い、家族内で介護者を支えることが難しくなったことが挙げられます。
このような背景を鑑みて、「介護者ならびに家族が安心して暮らせる社会を目指し、社会全体で支えあおう」ということが介護保険制度の基本的な理念です。
介護保険制度は、国民全員が収めた介護保険料と国や自治体の税金を半分ずつ合わせた費用を、介護保険料として給付する仕組みとなっています。利用者の自己負担額が1割未満となるように設計されているため、介護の必要度が高いほど給付額も多く、さまざまサービスを受けることができることが特徴です。
介護保険の被保険者(加入者)は、年齢により第1号被保険者と第2号被保険者に分けられます。ここでは、厚生労働省の資料を参考に、それぞれの被保険者の違いを解説します。
被保険者区分 | 第1号被保険者 | 第2号被保険者 |
対象者 | 65歳以上の方 | 40~64歳までの医療保険加入者 |
人数 | 約3,440万人 | 約4,200万人 |
受給要件 | 要支援・要介護状態 | 要支援・要介護状態 (加齢に起因する疾病である場合に限定) |
被保険者に占める 受給認定者の割合 | 約619万人(18.0%) | 約13万人(0.3%) |
保険料負担 | 市町村が徴収 | 医療保険者が医療保険料と同時に徴収 |
第1号被保険者と第2号被保険者の大きな違いは、前者は65歳以上の要支援・要介護状態の高齢者であれば、原因を問わず介護保険サービスを受けることができる点です。
後者の場合は加齢が原因の病気で要支援・要介護状態となった場合でなければ、介護保険サービスを受けることはできません。
介護保険制度の利用を検討している方は、介護保険の平均受給額がどのくらいであるか知っておきたいのではないでしょうか。ここでは、介護予防サービス及び介護サービスの1人あたりの受給額について解説します。
介護保険の平均受給額(令和2年4月審査分) | |
受給者1人あたり費用額 | 172,600円 |
介護予防サービスの費用額 | 28,100円 |
介護サービスの費用額 | 198,400円 |
介護保険の平均受給額は172,600円という調査結果が出ており、内訳の多くは介護サービスが占めていることが分かります。介護サービスの利用にあたっては、充分な金額が支給されていると言えるでしょう。
また、介護保険の平均受給額は都道府県によっても差が見られます。上位の都道府県では、介護予防サービスは佐賀県が37,100円、介護サービスは鳥取県が215,700円と、平均をやや上回っています。
介護保険で受けられるサービスには、大きく分けて介護給付を行うサービスと予防給付を行うサービスがあります。どちらのサービスにおいても、都道府県・政令市・中核市が指定・監督を行うサービスと、市町村が指定・監督を行うサービスに分かれます。
ここでは、「介護給付を行うサービス」と「予防給付を行うサービス」について、実際にどのようなサービスが提供されているかを解説します。
介護給付サービスとは、要支援・要介護の状態に応じて提供される介護サービスのことです。介護給付サービスで提供される代表的なサービスは、以下の通りです。
居宅介護サービス |
居宅介護サービスとは、自宅にいながら受けることができる介護サービスのことです。居宅介護サービスには、自宅に訪問してもらう訪問サービス・施設に通う通所サービス・短期間のみ入居する短期入所サービスがあります。
利用者の状態に応じて柔軟に組み合わせられることが特徴です。 |
施設サービス |
施設サービスとは、利用者が介護保険施設に入所して受ける介護サービスのことです。介護保険施設には介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設・介護医療院の4つの種類があります。
自由に選択できるのではなく、利用者の要介護状態に応じて入所できる施設は異なります。 |
地域密着型介護サービス |
地域密着型介護サービスとは、自治体により指定された業者によって提供される、対象地域の住民を対象とした介護サービスです。利用者の要介護度が進行しても、住み慣れた地域で暮らせることを目的に創設されたサービスとなります。 |
居宅介護支援 |
居宅介護支援とは、介護給付を行うサービスの利用希望者が、各種介護サービスを適切に受けられるようにサポートすることです。利用者の依頼を受けたケアマネジャーが、ケアプランの作成や介護事業者との調整を行います。 |
予防給付サービスとは、要支援1~2の方を対象とした、要介護度の進行を防ぐためのサービスです。実際にどのようなサービスが行われているかを以下に解説します。
介護予防サービス |
介護予防サービスとは、要介護状態に陥ることなく自立した日常生活を送れるように、心身機能の維持向上や改善を目的としたサービスです。多種多様なサービスが用意されており、利用者の状態に応じて必要なサービスを選択できることが特徴です。
介護予防サービスでは、自宅への訪問・通所・短期入居により、リハビリテーションや介護を受けることができます。 |
地域密着型介護予防サービス |
地域密着型介護予防サービスとは、居住する地域を離れることなく、居住地域の特性に応じて提供される介護予防サービスのことです。
同サービスには、「介護予防認知症対応型通所介護」「介護予防小規模多機能型居宅介護」「介護予防認知症対応型共同生活介護」の3つのサービスがあります。 |
介護予防支援 |
介護予防支援とは、介護予防サービスの利用を希望する方が、適切なサービスを選択して
利用できるように、ケアプランの作成や事業所との調整などを行うことを指します。
介護予防支援は、地域包括支援センター(介護予防支援事業所)のケアマネジャーによって行われます。 |
介護保険サービスは要介護認定を受けた方を対象としたサービスであるため、利用を希望する場合は要介護認定を申請して、介護保険資格者証の交付を受ける必要があります。
要介護認定とは、「どのような介護が」「どの程度必要であるか」を判定する制度のことで、要支援1~2・要介護1~5の合計7つの区分に分かれていることが特徴です。要介護度の段階によって、介護保険支給限度額や受けることができる介護保険サービスが異なります。
ここでは、要介護認定の申請方法と手順について解説します。
1.要介護認定の申請 |
介護保険サービスを希望する方は、まずは市区町村の窓口にて、要介護認定の申請を行います。申請にあたっては、介護保険被保険者証・健康保険証・申請書が必要となるため用意しておきましょう。
また、要介護認定は本人の事情で申請が難しい場合は、家族が代わりに申請することも可能です。 |
2.要介護認定の認定調査 |
申請後は、介護サービスの必要性と要介護度を判定するために、要介護認定の認定調査が行われます。
現在置かれている状況や環境から、本人の心身の状態について訪問調査が行われ、それを基に市町村から依頼を受けた主治医意見書が作成されます。その後、調査結果と意見書の情報を用いて、コンピュータを用いた一次判定が行われます。 二次判定では判定結果・認定調査・意見書を基に、介護認定審査会にて専門家が最終的な審査を行います。 |
3.要介護認定結果通知 |
介護認定審査会の審査結果により要介護度が認定されれば、申請から約30日程度で審査結果が通知されます。
審査結果の通知と同時に、介護保険被保険者証の代わりに介護保険サービスを受けるための介護保険資格者証が発行されます。 |
介護保険サービスは多くの便利なサービスが揃っていますが、介護保険制度の枠内という厳格な制限があるため、希望通りのサービスを受けられない場合もあります。そこでおすすめとなる方法が、「介護保険外サービス」です。
介護保険外サービスは、医療で言う自費診療のような位置付けとなっており、全額自己負担(全額利用者負担)で提供されるサービスとなります。しかし、その反面介護保険制度の制限を受けないため、高品質で自由度の高いサービスを受けられることが大きなメリットです。
東京都・愛知県エリアで介護保険外サービスに関心のある方は、オーダーメイド介護サービスを提供する「イチロウ」がおすすめです。高品質・利便性・安全性にこだわった介護サービス提供を行っていることが特徴で、高い満足度を得ることができます。
利用者数も着実に増えており、エリアも拡大中の好評なサービスであるため、気になった方は一度「イチロウ」に問い合わせてみてはいかがでしょうか。
人は年齢を重ねると、いつ介護が必要となるか分かりません。要介護・要支援状態の方を家族が介護を行うことは難しく、介護保険制度が高齢化社会を迎えている日本にとって重要と言えます。
介護保険制度を適切に活用するためには、制度の概念や仕組みを理解しておくことが必須です。場合によっては介護保険外サービスの利用も視野に入れて、介護を必要とする方が適切なサポートを受けられる状況・環境を実現して下さい。