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片麻痺とは?脳梗塞による左半身や右半身のしびれの原因・症状・リハビリ方法

2025年08月04日

脳梗塞や脳出血により突然発症する片麻痺は、患者とその家族にとって大きな衝撃となります。身体の左右どちらか一方に現れる麻痺症状は、日常生活のあらゆる場面に影響を与え、これまで当たり前にできていた動作が困難になることで、患者の生活は一変してしまいます。

 

本記事では、片麻痺の発症メカニズムから具体的な症状、左右の違いによる特徴、そして効果的なリハビリ方法まで、包括的に解説します。適切な知識を身につけることで、症状への理解を深め、患者に寄り添った在宅ケアを実践していただけるよう、実用的な情報をお伝えしていきます。

1半身麻痺を引き起こす病気と発症メカニズム

半身麻痺とは、身体の左右どちらか一方に麻痺の症状が現れる状態のことを言います。片麻痺と半身麻痺は基本的に同じ症状を指しており、医学的には片麻痺という用語が一般的に使用されています。この症状の主要な原因となるのは脳卒中であり、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害により脳の神経細胞が損傷を受けることで発症します。

 

人間の脳は左右の半球に分かれており、それぞれが身体の反対側をコントロールしているという特徴があります。この神経の交叉により、右脳に損傷が生じると左半身に麻痺が現れ、左脳の損傷では右半身の麻痺が生じるのです。麻痺の程度は軽度から重度まで幅広く、損傷を受けた脳の部位や範囲によって症状の現れ方が異なります。

 

参考:厚生労働省|実はそれ循環器病なんです

脳血管障害による片麻痺の発生過程

脳血管障害による片麻痺は、脳の血管が詰まる脳梗塞または血管が破れる脳出血によって脳細胞が酸素と栄養の供給を断たれ、損傷を受けることで発生します。血管の閉塞や破綻により、該当する脳領域の神経細胞が死滅すると、その部位が担っていた運動機能や感覚機能に障害が現れるのです。

 

脳出血の好発部位により症状の特徴が異なり、被殻出血では重度の片麻痺が現れやすく、視床出血では感覚障害が強く現れる傾向があります。小脳出血では運動失調が主症状となり、橋出血では意識障害を伴うことが多いとされています。

出血部位発生頻度主な症状片麻痺の特徴
被殻最も多い重度の運動麻痺、感覚障害対側の重篤な片麻痺
視床次に多い感覚障害、視野欠損軽度から中等度の片麻痺
小脳比較的少ない運動失調、めまい片麻痺は軽微
比較的少ない意識障害、複視四肢麻痺の可能性
皮質下やや少ない軽度の運動麻痺軽度の片麻痺

運動機能の中枢となる皮質脊髄路は大脳皮質の運動野から脊髄へと延びる重要な神経経路であり、この経路の損傷が片麻痺の直接的な原因となります。また、中大脳動脈は運動皮質を広範囲に栄養供給しているため、この動脈の閉塞は重篤な片麻痺を引き起こす主要因となっています。

脳梗塞・脳出血が半身麻痺を起こす理由

生活習慣病は脳血管に長期的なダメージを与えることで脳梗塞や脳出血のリスクを高めます。高血圧は血管壁に持続的な圧力をかけて動脈硬化を進行させ、糖尿病は血管内皮を傷害して血栓形成を促進します。高コレステロール血症は血管内にプラークというコレステロールの塊を蓄積させ、血管の狭窄や閉塞を引き起こす原因となるのです。

 

心房細動などの不整脈により心臓内で形成された血栓が剥がれ落ち、血流に乗って脳血管に到達することで血管を詰まらせる心原性脳梗塞も重要な発症機序の一つです。心臓弁膜症などの心疾患も同様に血栓形成のリスクを高め、脳梗塞の原因となります。

 

脳血管障害のリスク要因として以下が挙げられます。

  • 喫煙:血管収縮と血液粘度の増加を引き起こす
  • 運動不足:血流の悪化と血栓形成リスクの増大
  • 肥満:動脈硬化の進行と血圧上昇の原因
  • 過剰なストレス:血圧上昇と血管収縮を促進

左脳損傷による右半身麻痺のメカニズム

左脳は論理的思考や言語処理を司る優位半球として機能しており、同時に右半身の運動制御も担っています。左脳の運動野から発する神経線維は脳の下部にある延髄で交叉し、脊髄を下行して右半身の筋肉を支配するため、左脳の損傷により右半身に麻痺が生じるのです。

 

左脳の運動野やその周辺領域が脳梗塞や脳出血により損傷を受けると、右半身への運動指令を伝達する皮質脊髄路が遮断されます。この神経伝達経路の断絶により、意識的な運動制御が困難となり、右上肢や右下肢の随意運動に障害が現れることになります。

 

特に言語中枢の損傷を伴う場合は失語症も併発することが多いとされています。右片麻痺の予後については損傷部位と範囲により大きく異なりますが、早期のリハビリテーション開始により機能回復が期待できるケースも少なくありません。

右脳損傷による左半身麻痺のメカニズム

右脳は空間認識能力や感情の制御機能を担う非優位半球として機能し、左半身の運動制御を司っています。右脳の運動野から左半身へと向かう神経経路は延髄で交叉するため、右脳の損傷により左半身に麻痺症状が現れるのです。

 

右脳の運動関連領域が脳血管障害により損傷を受けると、左半身への運動指令を伝える神経回路が機能不全に陥ります。特に被殻や内包といった運動神経が集中する部位の損傷では、左上肢や左下肢の重篤な麻痺が生じることが多く、日常生活動作に大きな支障をきたします。

 

右脳損傷による左片麻痺では、運動麻痺に加えて半側空間無視や失認といった高次脳機能障害を合併しやすく、リハビリテーションにおいて包括的なアプローチが必要となります。

2片麻痺の具体的な症状と日常生活への影響

片麻痺は運動機能の低下だけでなく、感覚機能や認知機能にも広範囲な影響を及ぼす複合的な症状です。麻痺の程度には完全麻痺と不全麻痺があり、完全麻痺では随意運動が全く不可能となる一方、不全麻痺では一部の運動機能が残存しているため、症状の現れ方や日常生活への影響度合いが大きく異なります。

 

また、片麻痺は身体的な制限にとどまらず、患者の心理面にも深刻な影響を与えることが知られています。突然の身体機能の変化や生活の制約により、多くの患者がうつ病や不安障害を発症するリスクが高まるのです。これらの心理的な変化は身体症状と相互に影響し合い、回復過程を複雑化させる要因となっています。理解と適切な対応により、症状の軽減と生活の質の向上を図ることが重要となります。

 

参考:公益財団法人 長寿科学振興財団|健康長寿ネット(脳卒中の運動療法とは

運動麻痺による身体機能の低下

片麻痺による筋力低下は、日常生活における基本的な動作に深刻な障害をもたらします。手足の運動機能が制限されることで生じる具体的な困難として以下が挙げられます。

  • 物を持つ動作:手に持った物を落としてしまう
  • 歩行動作:足がもつれて歩きづらくなる
  • 立ち上がり動作:椅子やベッドからの立ち上がりが困難

巧緻運動障害により、手指の細かな動きを必要とする日常動作が著しく困難になります。ボタンをかける、ペンを持って字を書く、箸を使って食事をするといった動作は、手指の協調運動が必要なため、片麻痺患者にとって大きな挑戦となるのです。

 

顔面に麻痺が生じると、片側からよだれが出る、食べ物をこぼしてしまうなどの症状が現れます。表情筋の麻痺により顔の表情が乏しくなることもあり、コミュニケーションに支障をきたす場合もあります。食事や発話にも影響が及び、嚥下障害(飲み込む能力が障害された状態)や構音障害(言葉を発する能力が障害された状態)といった合併症を引き起こすこともあるのです。

感覚障害と痛み・しびれの特徴

麻痺した側の皮膚感覚が鈍くなることで、触覚、温度覚、痛覚の低下が生じます。この感覚の鈍化により、怪我をしても気づかないケースや、熱さ・冷たさを感じにくくなるケースが多く見られ、やけどや凍傷などの二次的な損傷を受けるリスクが高まります。

 

麻痺側の手足にはしびれやピリピリとした痛みが持続的に現れることがあります。この感覚異常は脳損傷による神経の誤作動が原因であり、長時間同じ姿勢でいると症状が悪化しやすいという特徴があります。痛みやしびれは慢性的に続くことが多く、患者の睡眠や日常活動に大きな影響を与えるのです。

 

感覚障害は生活の質を大幅に低下させる要因となります。たとえば、手の感覚が鈍いために物の材質や重さを正確に判断できず、適切な力加減で物を握ることができなくなります。また、足の感覚が低下すると歩行時の安定性が損なわれ、転倒のリスクが増大することになります。これらの感覚機能の低下は、患者の自立性を著しく制限し、介護負担の増加にもつながるのです。

半身麻痺が日常生活で引き起こす困難

歩行時には麻痺の影響で足を外側に振り回して歩く分回し歩行が特徴的に見られ、この歩容の変化によりバランスを崩しやすくなります。麻痺側の足に過剰な力が加わったり、筋肉への疲労が増大したりする歩き方となるため、つまずきや転倒のリスクが大幅に増加し、外出や移動に対する不安が高まることが多いのです。

 

日常生活動作における具体的な困難は多岐にわたり、それぞれに適切な介助や工夫が必要となります。

ADL項目具体的な困難必要な介助・工夫
入浴浴槽への出入り、身体の洗浄介助者による支援、滑り止めマット
着替えボタンかけ、袖通しマジックテープ付き衣類、介助
トイレ立ち座り、衣類の着脱手すりの設置、介助者の支援
食事箸の使用、食べこぼしスプーン・フォークの使用、エプロン
移動歩行の不安定さ歩行補助具、車椅子の使用
整容歯磨き、洗顔電動歯ブラシ、片手用洗面用具

影響を受けていない健側の手足には過度な負担がかかり、使いすぎによる疲労や関節痛といった二次的な問題が生じることがあります。片手だけで作業を続けることで肩や腕に過度なストレスがかかり、健側の機能低下を招く恐れもあるため、適切な負荷分散と休息が重要となります。

3左片麻痺と右片麻痺の違いと特徴的な症状

左右の脳はそれぞれ異なる機能を担っているため、損傷部位により現れる症状にも明確な違いがあります。右脳は空間認識や感情制御を司り、左脳は言語機能や論理的思考を担当しているという機能分化が、片麻痺の症状に直接反映されるのです。

 

左片麻痺では失認や性格変容が特徴的に現れ、右片麻痺では失行や失語症が主要な症状となります。これらの違いを理解することで、患者の状態をより的確に把握し、適切なケアやリハビリテーションの計画を立てることが可能になります。

比較項目左片麻痺(右脳損傷)右片麻痺(左脳損傷)
損傷部位右大脳半球左大脳半球
脳の主な機能空間認識、感情制御言語機能、論理的思考
特徴的な症状失認、性格変容、半側空間無視失行、失語症、構音障害
日常生活への影響左側認識困難、感情の不安定化コミュニケーション障害、意図的動作困難

麻痺側による予後や回復過程には一定の傾向があり、一般的に上肢の機能回復は下肢に比べて困難とされています。また、左片麻痺では空間認識の問題により安全面での配慮が特に必要となり、右片麻痺では言語機能の回復に長期間を要することが多いのです。

左半身麻痺に伴う失認・性格変容

左半身の筋力低下により、日常生活における基本的な動作に重大な支障が生じます。具体的な動作困難として以下が挙げられます。

  • 物を持つ動作:左手で物をつかめない、支えることができない
  • 歩行動作:左足を外側に振り回す分回し歩行となる
  • 立ち上がり動作:左側に体重をかけられず不安定になる

巧緻運動障害により、両手を協調させる動作が著しく困難になります。ボタンをかける際には右手のみでの操作となり時間がかかり、箸を使った食事では左手で茶碗を支えることができないため食べこぼしが増加します。字を書く動作でも、左手で紙を押さえることができないため、文字が不安定になりがちです。

 

顔面の左側に麻痺が生じると、表情の左右非対称が顕著に現れます。左側の口角が下がることで片側からよだれが出やすくなり、食事の際には左側から食べ物がこぼれやすくなります。また、左半身麻痺では右脳の損傷により失認症状が現れ、自分の症状を理解できない病態失認や、左側の空間を認識できない半側空間無視が生じることがあります。性格変容により、温厚だった人が怒りっぽくなったり、感情のコントロールが困難になったりする場合もあるのです。

右半身麻痺に伴う失行・失語症状

失行は意識していない時は自然に動けるものの、指示された通りに手足を動かそうとする際に適切な動作ができなくなる症状です。特に歩き始めの最初の一歩がうまく出せずに足がすくむ現象が特徴的であり、歩こうとする意識が強いほど正しく体を動かすことができなくなります。

 

失語症では聞く、話す、読む、書くの能力が低下し、言葉をうまく使うことが困難になります。聞いたことは理解できても話すことができない運動性失語や、流暢に話せるものの内容が理解しにくい感覚性失語など、症状の現れ方には個人差があります。言うべき言葉や物の名前が出てこず、回りくどい説明になってしまうことも多く見られる特徴です。

 

構音障害により正しい発音ができなくなり、呂律が回らなくなることでコミュニケーションに大きな支障をきたします。家族や介護者との意思疎通が困難になることで、患者の社会的な孤立感が深まり、精神的なストレスが増大する傾向があります。これらの症状は患者の自尊心にも影響を与え、リハビリテーションへの意欲に関わる重要な要素となるのです。

嚥下障害や半側空間無視などの観察項目

嚥下障害の評価には水飲みテストやフードテストが用いられ、飲み込みの際のむせや咳の有無、喉頭挙上の程度を観察します。食事中の咀嚼動作の左右差や、口腔内への食物の残留、食後の湿性嗄声などが誤嚥リスクの重要な指標となります。

 

半側空間無視の検査では線分二等分検査が代表的で、水平線の中央を示すよう求めた際に健側に偏った位置を指すかどうかを確認します。抹消検査では紙面に散在する図形や文字を見つけて消去する課題を行い、麻痺側の図形を見落とす程度により無視の重症度を評価するのです。

 

医療者が観察すべき片麻痺の重要な症状と記録方法として以下が挙げられます。

  • 筋力の程度:MMT(徒手筋力テスト)による5段階評価
  • 感覚機能:触覚、痛覚、温度覚の検査結果
  • 反射の異常:腱反射の亢進や病的反射の有無
  • 関節可動域:各関節の可動域制限の程度
  • バランス機能:Berg Balance Scaleによる評価
  • 認知機能:MMSE(Mini-Mental State Examination)の実施

これらの観察項目を継続的に記録することで、症状の変化を客観的に把握し、適切な治療方針の決定に役立てることができます。

4脳梗塞による片麻痺の効果的なリハビリ方法

リハビリテーションの主要な目的は、脳の可塑性(経験や学習、損傷に応じてその構造や機能を変化させる能力)を最大限に活用して失われた機能の回復を促進することです。脳の神経ネットワークは損傷を受けても他の部位が代償的に機能を担うことができるため、適切な刺激と訓練により機能改善が期待できます。

 

発症から48時間以内の早期リハビリ開始が機能回復に決定的な影響を与えるため、急性期治療と並行してリハビリテーションを開始することが重要となります。理学療法士による運動機能訓練、作業療法士による日常生活動作指導、言語聴覚士による言語機能訓練など、多職種が連携したチームアプローチにより、患者の状態に応じた包括的なリハビリテーションプログラムを提供することで、より効果的な機能回復を実現できるのです。

 

参考:国立研究開発法人 国立循環器病研究センター|脳卒中

急性期・回復期・生活期のリハビリ段階

急性期リハビリテーションは発症直後から約2~3週間に実施され、廃用症候群の予防が主要な目的となります。安静状態が続くことで生じる関節の硬直、筋力低下、床ずれなどの二次的症状を防ぐため、ベッドサイドでの手足の関節を動かすストレッチや起き上がり訓練を中心として早期離床を目指します。

 

回復期リハビリテーションは発症後3~6ヶ月までの期間に行われ、脳の神経ネットワークの再構築が活発に進む重要な時期です。座位訓練や立ち上がり訓練、歩行訓練などの機能訓練を実施しながら、食事や着替え、トイレでの排泄といった実際の生活動作を通じたADL訓練を組み合わせることで、在宅復帰と社会復帰を目標とした包括的なアプローチを行います。

 

生活期リハビリテーションは発症後6ヶ月以降に実施される維持期の訓練であり、急性期と回復期で改善した機能やADL能力を長期的に維持することを目的とします。これまでの訓練内容を自宅でも継続し、動作のコツを反復練習することで脳への定着を図りながら、趣味活動や社会参加など目的を持った活動により、さらなる機能改善を目指すのです。

上肢と下肢の機能回復の違い

上肢の機能回復は下肢に比べて困難とされており、その理由は脳の運動野から上肢への神経経路が複雑で、脳卒中による損傷の影響を受けやすいことにあります。また、麻痺していない側の上肢を使うことで日常生活の動作を代償できるため、麻痺側の上肢を使う機会が減少し「学習された非使用」という現象が機能回復を妨げる要因となります。

 

下肢のリハビリテーションでは歩行機能と移動能力の回復が優先され、具体的な訓練方法として歩行訓練とバランス訓練が中心となります。歩行訓練では平行棒を使用した立位保持から始まり、段階的に歩行器、杖を使用した歩行へと進めていきます。バランス訓練では重心移動や片足立ち、段差昇降などの動作を通じて転倒予防と歩行安定性の向上を図るのです。

 

上肢機能回復のためには制約誘導運動療法(CIMT)などの集中的なアプローチが効果的とされています。健側の上肢の使用を制限しながら麻痺側の積極的な使用を促すことで、脳の神経可塑性を促進し、機能的な改善を目指します。電気刺激療法や機器を使用したリハビリテーションも上肢機能の回復に有効な手段となっています。

自宅でできる半身麻痺の体操とトレーニング

腕の上げ下げ運動は椅子に座った状態で、膝の上で指を絡ませて両手を組むか、健側の手で麻痺側の手首をつかんで行います。腕を伸ばした状態でゆっくりと頭上まで持ち上げ、そのまま下ろす動作を5~10回程度繰り返しますが、肩に痛みが出ない範囲で実施することが重要です。

 

体幹の動きを改善する運動として、上体の曲げ伸ばしでは椅子に座りみぞおちあたりに片手を当て、息を吐きながら背骨を丸めるように上体を前屈させます。上体ひねりでは同じ姿勢でみぞおちに両手を当て、上体を左右にゆっくりとひねる動作を10回程度繰り返すことで、体幹機能の改善を図ります。

 

家族が補助する際の安全な訓練方法として、患者の体調を十分に観察し、疲労や痛みが現れた場合は即座に中断することが大切です。継続のコツとしては無理のない範囲で毎日少しずつでも実施することであり、目標設定を明確にして達成感を得られるよう工夫することで、長期的な継続が可能になります。家族の励ましと適切なサポートが患者のモチベーション維持に重要な役割を果たすのです。

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6まとめ

片麻痺は脳梗塞や脳出血による脳血管障害が主な原因となり、脳の左右どちらかの損傷により身体の反対側に麻痺が生じる症状です。右脳損傷による左片麻痺では失認や性格変容が特徴的であり、左脳損傷による右片麻痺では失行や失語症が主要な症状として現れます。

 

運動機能の低下だけでなく、感覚障害や認知機能への影響も大きく、日常生活動作に広範囲な困難をもたらします。しかし、急性期から生活期まで段階的なリハビリテーションを継続することで、脳の可塑性を活用した機能回復が期待できます。

 

特に発症から48時間以内の早期リハビリ開始が重要であり、多職種連携による包括的なアプローチが効果的です。自宅でできる体操やトレーニングの継続により、機能維持と生活の質向上を図ることができ、適切な在宅ケアと専門的なサポートにより、患者とその家族がより良い生活を送ることが可能になります。

7よくある質問

片麻痺は、患者さまやご家族にとって多くの疑問や不安を伴うものです。ここでは、片麻痺に関してよくいただくご質問にお答えします。

Q1. 片麻痺と半身麻痺は同じ症状ですか?

はい、片麻痺と半身麻痺は基本的に同じ症状を指しており、医学的には片麻痺という用語が一般的に使用されています。身体の左右どちらか一方に麻痺の症状が現れる状態のことで、脳の左右の半球がそれぞれ身体の反対側をコントロールしているため、右脳の損傷では左半身に、左脳の損傷では右半身に麻痺が生じます。

Q2. 左片麻痺と右片麻痺では症状に違いがありますか?

大きな違いがあります。左片麻痺(右脳損傷)では失認や性格変容、半側空間無視が特徴的に現れ、右片麻痺(左脳損傷)では失行や失語症、構音障害が主要な症状となります。これは左右の脳がそれぞれ異なる機能を担っているためで、右脳は空間認識や感情制御を、左脳は言語機能や論理的思考を司っています。

Q3. 片麻痺のリハビリはいつから始めるべきですか?

発症から48時間以内の早期リハビリ開始が機能回復に決定的な影響を与えるため、急性期治療と並行してできるだけ早くリハビリテーションを開始することが重要です。急性期(発症2-3週間)、回復期(3-6ヶ月)、生活期(6ヶ月以降)の各段階に応じたリハビリプログラムにより、脳の可塑性を最大限に活用した機能回復を目指します。

Q4. 自宅でできる片麻痺のリハビリ方法はありますか?

腕の上げ下げ運動や体幹の曲げ伸ばし、ひねり運動など、安全に実施できる自宅トレーニングがあります。椅子に座った状態で両手を組んで頭上まで持ち上げる運動や、上体を前後左右に動かす体幹運動を5~10回程度繰り返します。ただし、肩に痛みが出ない範囲で実施し、家族の見守りのもとで安全に行うことが大切です。

Q5. 片麻痺の在宅介護で困った時はどこに相談すればよいですか?

ケアマネージャーや医療機関の相談員にまず相談することをおすすめします。また、介護保険外サービスを活用することで、24時間体制での専門的なケアを受けることも可能です。移動介助や排泄介助といった身体介護から生活支援まで包括的にサポートしてくれるサービスもあるため、患者の状態や家族のニーズに応じて適切なサービスを選択しましょう。

監修者情報

作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として事業所運営や職員のマネジメントに従事。「現場スタッフが働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場を統括。

現在は、医療・介護ライターとして、医療介護従事者や一般の方向けに実践的で役立つ情報を精力的に発信している。

平岡泰志
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