介護にまつわるお役立ちコラム
高齢者の脱水症状とは?原因やリスク・予兆・予防法を解説

高齢者にとって脱水症状は、命に関わる深刻な健康リスクの一つです。体内水分量の減少や感覚機能の低下により、本人も周囲も気づかないまま脱水状態に陥る「かくれ脱水」が問題となっています。脱水症状は軽度から重度まで段階的に進行し、血栓形成による脳梗塞・心筋梗塞や認知症の悪化を引き起こす可能性があります。
本記事では、高齢者の脱水症状の特徴的なサインと原因、適切な対処法から日常的な予防策まで、家族や介護者が知っておくべき重要な知識を詳しく解説します。早期発見と適切なケアで、大切な方の健康を守りましょう。
1高齢者の脱水症状で現れる特徴的なサインとチェック方法

高齢者の脱水症状は、軽度・中度・重度の3段階に分類され、それぞれ異なる症状が現れます。軽度では皮膚の乾燥や行動の変化が見られ、中度になると頭痛や吐き気などの身体症状が現れ、重度では意識障害や痙攣といった生命に関わる症状が発生します。
高齢者は感覚機能の低下により、のどの渇きに気づきにくく、本人が脱水状態を自覚することが困難です。そのため、家族や介護者など周囲の人が日常的に観察し、早期発見することが極めて重要となります。脱水症状をチェックする際は、皮膚の状態・行動の変化・身体症状の3つの観点から総合的に判断する必要があります。
軽度の脱水症状で見られる初期サイン
軽度の脱水症状では、皮膚の乾燥が最も分かりやすいサインとして現れます。唇がカサカサしている状態や口の中が乾燥している場合は、脱水症状を疑う必要があります。通常であれば汗で湿っているはずの脇の下が乾いた状態になっているときも要注意です。
手の甲の皮膚をつまんだ後にすぐ戻らない場合や、爪を押してから色がすぐに戻らないときも、体内の水分が不足しているサインといえます。行動面では、ぼーっとしたり、うとうとしている傾眠傾向が頻繁に見られるようになります。また、めまいやふらつきなどの症状が出ている場合もあります。手足の末端が冷たくなっているときは血流が悪くなっている証拠であり、注意深い観察が必要です。
中度から重度へ進行した際の危険な症状
中度の脱水症状に進行すると、頭痛や吐き気といった症状が現れ、さらに嘔吐や下痢などの明らかな体調異常が見られることがあります。血圧が下がったり、体から水分が抜けたことによって体重が減少したりする場合もあります。体の水分量が不足することで、汗や排尿の量が減るため、トイレの回数をチェックすることが重要です。
尿の色が濃くなっていないかなどの観察も欠かせません。重度の脱水症状になると、話しかけても反応がなくなり、意識がもうろうとした状態になる場合があります。ひどいときは意識を失ったり、体の痙攣が起こったりすることもあり、これらの症状は生命に関わる危険な状態であるため、すみやかに病院で医師の診断を受ける緊急対応が必要です。
高齢者特有の脱水症状の見分け方とチェックポイント
高齢者特有の脱水症状を見分けるために、「ハンカチーフサイン」と呼ばれる手の甲の皮膚つまみテストが有効です。手の甲の皮膚をつまみ上げて離したとき、正常な状態ならすぐに戻りますが、脱水症状を起こしているとハンカチをつまみ上げて離したようにしばらく戻りません。
脇の下に手をあてて湿り気をチェックすることも大切で、脇の下は湿っているのが普通ですが、脱水症状になるとその湿り気がなくなります。水分の摂取が極端に少なくなると痰が絡みやすくなるため、痰が絡んだ咳を繰り返している場合は注意が必要です。
生活環境では室内の設定温度が28度を超えている、室内の風通しが悪い、直射日光のあたる部屋にいるといった条件をチェックし、生活態度では一日中長袖で厚着をしている、水分摂取量が少ない、急速な食欲の低下などを総合的に観察することが重要です。
2なぜ高齢者は脱水症状になりやすい?加齢による身体変化と原因

高齢者が脱水症状になりやすい理由は、加齢による複合的な身体変化にあります。まず、体内の水分量そのものが減少することが大きな要因です。子どもの頃の体内水分量は約70%ですが、成人になると60%程度に減少し、高齢になるとさらに50%まで減少します。
感覚機能の低下により、のどの渇きを感じにくくなることも重要な原因の一つです。認知症がある場合は、水分を摂取したこと自体を忘れてしまったり、飲み物という概念を忘れてしまったりする可能性もあります。さらに、腎臓などの内臓機能低下、降圧薬などの薬の影響、糖尿病や排泄障害といった持病など、さまざまな要因が複合的に作用して脱水リスクを高めています。
体内水分量の減少と筋肉量低下のメカニズム
加齢に伴う食欲の減退や嚥下機能に障害が生じることで、水分摂取量が大幅に減少します。食べ物を飲み込む能力が低下すると、水分を含む食事や飲み物の摂取が困難になり、体内への水分補給が不十分になってしまいます。また、筋力の低下も深刻な問題となります。
筋肉は体液を多く蓄積する重要な組織であり、筋肉量が減少することで体内の水分貯蔵能力が著しく低下します。人間の体重に占める水分割合は、子どもの頃は約70%と高い水準を保っていますが、成人になると10%減少して60%程度となり、さらに高齢になると50%まで減少してしまいます。この段階的な水分量の減少が、高齢者の脱水症状リスクを高める根本的な原因となっています。
腎臓機能の低下が脱水リスクを高める理由
腎臓は体内の水分量と塩分濃度をコントロールする極めて重要な役割を担っている臓器です。正常な腎臓機能により、体液のバランスが適切に維持され、必要な水分と電解質が体内に保たれています。しかし、加齢とともに腎臓の機能が徐々に低下すると、体内に必要な水分や電解質を留める力が弱まってしまいます。
この機能低下により、本来であれば体内に保持されるべき水分や塩分が過度に排出されてしまう状況が発生します。腎臓機能の低下は塩分濃度の適正な調節を困難にし、体液のバランスが崩れやすくなることで脱水症状に陥るリスクが大幅に高まります。特に高齢者では、この腎臓機能の低下が脱水症状の主要な原因の一つとして位置づけられています。
服薬や持病が脱水症状を引き起こすケース
高齢者に多く処方される降圧薬の中には、利尿作用を含んでいるものがあります。これらの薬剤は血圧を下げるために尿の排出を促進し、塩分を体外に出す働きがありますが、同時に必要な水分も失われてしまい、脱水症状の一因となります。
糖尿病を患っている患者の場合、血中の糖濃度が高くなると、増えすぎた糖を体外に排出しようとして大量の尿が作られます。この過程で体内の水分が大量に失われ、脱水状態に陥りやすくなります。また、頻尿などの排泄障害がある高齢者では、通常よりも多くの尿が排出されるため、体内に必要な水分まで体外に排出されてしまいます。これらの持病や薬の影響により、高齢者は健康な成人と比較して格段に脱水症状になりやすい状況に置かれています。
3高齢者の脱水症状がもたらす深刻なリスクと影響

脱水症により体液が不足すると、呼吸によって取り込んだ酸素や食物などから得た栄養素を体中に届ける機能が正常に働かなくなります。この状態が続くと、血管や内臓、脳などを正常に動かすために必要な酸素や栄養素が行き渡らず、思わぬ病気につながるおそれがあります。
軽度の脱水を放置しておくと、血液の濃度が高くなって固まりやすくなり、血栓ができるリスクが高まります。この血栓形成により脳梗塞や心筋梗塞の発症につながり、命にかかわる危険性が生じます。また、脱水症は糖尿病や排尿障害などの病気の予兆である可能性もあるため、症状が進行しないうちに気づくことが重要です。
脱水による血栓形成と脳梗塞・心筋梗塞の危険性
脱水症によって体液が不足すると、血液の濃度が高くなって固まりやすくなるメカニズムが働きます。体内の水分が減少することで血液がドロドロの状態になり、血管内で血液が流れにくくなってしまいます。この状態が続くと血栓ができるリスクが大幅に高まり、血管を詰まらせる危険性が増加します。
血栓が脳の血管に詰まると脳梗塞を引き起こし、心臓の血管に詰まると心筋梗塞を発症する可能性があります。これらの疾患は命を落とす危険性が極めて高く、一命を取り留めても重篤な後遺症が残ることがあります。そのため、脱水症状の早期発見と適切な対処が生命を守るために不可欠であり、日頃からの観察と予防が重要な意味を持っています。
認知症の悪化や意識障害につながるメカニズム
脱水により体液が不足すると、脳への酸素や栄養素の供給が十分に行われなくなり、認知機能に深刻な影響を与えます。脳は体内で最も多くの酸素と栄養を必要とする臓器であり、これらの供給が阻害されることで思考能力や判断力の低下が生じます。
認知症の症状が出ている高齢者の場合、のどの渇きに気づかないことに加え、水分を摂取したこと自体を忘れてしまったり、飲み物という概念そのものを忘れてしまったりする可能性があります。このような状況により脱水が進行すると、さらに認知症の症状が悪化する悪循環に陥ってしまいます。重度の脱水症状では、話しかけても反応がなくなり、意識がもうろうとした状態になり、ひどい場合は意識を失うこともあります。これらの意識障害は生命に直結する危険な症状です。
熱中症との関連性と死亡リスクの実態
体の1~2%の水分量が失われることで起こる軽度の脱水状態は「かくれ脱水」と呼ばれ、この段階からさらに脱水が進行すると熱中症を引き起こす危険性があります。熱中症になってから脱水が原因だと判明することも少なくありません。厚生労働省の人口動態統計によると、熱中症による死亡者の約80%以上が65歳以上の高齢者となっており、その実態は深刻です。
熱中症による死亡数の年次推移
2023年 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | |
総数 | 1,651 | 1,477 | 755 | 1,528 |
65歳以上 | 1,375 | 1,274 | 641 | 1,316 |
割合(%) | 83.3 | 86.3 | 84.9 | 86.1 |
参考:厚生労働省|年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和5年)
高齢者は温度に対する感覚が鈍っていることや、体液の減少によって体温調節がしにくいため、若年層と比べて屋外よりも自宅の室内で熱中症を発症しやすいという特徴があります。夏の暑い日でもクーラーを使用せずに過ごして熱中症になるケースが多く見られます。
4高齢者の脱水症状に対する適切な対処法と治療

脱水症状の対処法は、軽度・中度・重度の重症度に応じて異なるアプローチが必要です。軽度から中度の脱水症状では、十分な水分補給とともに、体の機能調節に必要不可欠なミネラル「電解質」を補うことが重要になります。単純な水分補給だけでは不十分であり、塩分などの電解質もバランス良く摂取する必要があります。
重度の脱水症状では、意識障害や体の痙攣が見られる場合があり、口からの水分摂取では間に合わない可能性があります。このような状況では自己判断で対応を行うと命の危険もあるため、点滴などの医療処置を受けるためにすみやかに病院で医師の診断を仰ぐことが不可欠です。
軽度脱水時の経口補水液による水分補給方法
軽度の脱水症状を起こしている人には、水分と電解質の両方を効率的に摂取できる「経口補水液」を飲むことが最も効果的です。経口補水液とは、水に食塩とブドウ糖を溶かしたもので、水分と電解質の吸収を助けてくれる優れた補給方法といえます。市販品がない場合でも、自宅で簡単に作ることが可能です。水1リットルに対して食塩3グラム、砂糖20~40グラムを溶かせば完成し、少量のレモン果汁を入れると飲みやすくなります。
脱水症状が現れてから4時間以内に、経口補水液を体重1キログラムあたり30~50ミリリットル飲ませるようにしましょう。ただし、医師から塩分摂取についての指示がある場合は、飲ませる前に必ず相談してください。経口補水液ではなく普通の水で対応するなら、1日に約2リットルの水分を目安に摂取します。
中度から重度の脱水症状への医療的対応
中度の脱水症状では、症状が現れてから4時間以内に経口補水液を体重1キログラムあたり100ミリリットル飲ませる必要があります。下痢がある場合は、1回排泄するごとに体重1キログラムあたり10ミリリットルを追加で摂取させましょう。嘔吐が見られる場合は、1回嘔吐するごとに吐いた量と同じ程度の経口補水液を飲ませる必要があります。
症状が落ち着いてきたら、軽度のときと同じように対処していきます。重度の脱水症状に進行すると、意識障害や体の痙攣が見られるケースがあり、口からの水分摂取だけでは対処できない可能性が高くなります。このような状況では点滴などの処置が必要になるため、病院を受診することが重要です。意識がない状態や痙攣を起こしている場合は命の危険もあるため、速やかに医師の処置を受けなければなりません。
回復期における観察項目と注意点
脱水症状の改善が見られた後も、継続的な水分摂取と電解質バランスの維持が重要な課題となります。回復期には再発を防ぐための継続的なケアが必要であり、十分な量の水分補給を心がけることが大切です。観察すべき項目として、尿量の変化やトイレに行く回数、尿の色が濃くなっていないかなどをチェックしましょう。
皮膚の乾燥状態や手の甲の皮膚つまみテストによる回復具合の確認も欠かせません。意識レベルの変化や行動面での改善状況についても注意深く観察する必要があります。症状の再発を防ぐためには、脱水症状の原因となった環境や生活習慣の改善が不可欠です。室内の温度や湿度管理を適切に行い、定期的な水分補給の習慣を身につけることで、同様の症状の発生を予防できます。
5高齢者の脱水予防に効果的な日常の水分補給と環境づくり

高齢者本人だけでなく、周囲の人が水分補給を促すサポート体制を構築することが脱水予防には欠かせません。高齢者は感覚機能の低下によりのどの渇きに気づきにくく、自発的な水分補給が困難になるためです。効果的な脱水予防には、適切な水分摂取・食事の工夫・環境調整の3つのアプローチを組み合わせることが重要になります。
筋力が衰えてトイレまでの移動が億劫になったり、失禁の経験があったりすると、トイレに行く回数を減らそうと自身で水分摂取を控えてしまう高齢者もいます。このような心理的な要因も理解した上で、適切な配慮と対策を講じることが必要です。
1日に必要な水分摂取量の目安と補給タイミング
一般的に高齢者の1日に必要な水分摂取量は、体重1キログラムあたり30~40ミリリットルといわれています。体重50キログラムの人の場合は約2リットル、体重60キログラムの場合は約2.5リットルの水分が必要になります。この数値には食事の際に食べ物から摂取する水分量も含まれており、食事から約1リットルの水分が摂取できるため、食事以外に約1~1.5リットルの水分を補給するのが目安です。
起床時・食事前・入浴後・運動後・飲酒後などは、特に水分補給が必要なタイミングとなります。あまり間をあけ過ぎないよう注意しながら、定期的な水分補給を心がけることが大切です。本人にのどが渇いている自覚がない場合もあるため、時間を決めて水分を摂取する習慣をつけると忘れる心配がありません。
食事や飲み物での工夫による水分補給の促進
高齢者が自発的に水分を摂取したくなるような工夫を施すことが重要です。本人の好きな飲み物を把握して準備しておくなど、「はい、飲んで」と水のペットボトルを渡すだけでは飲みたくない場合への配慮が必要になります。水分を補給できるのは飲み物だけではありません。水分を多く含むフルーツ、ゼリーや水ようかんなどの水分を凝固させたものからも水分を摂取することが可能です。
「水を飲まなきゃ」と高齢者本人が意識しなくてもおいしく食べられるため、自然と水分を摂取しやすくなります。水分が多い食事メニューにしたり、デザートにみずみずしいフルーツを出したりすることで、意識せずに水分補給ができます。すぐに手が届く場所にいつも飲み物のペットボトルを準備しておくことも効果的な方法です。
室内環境の調整と周囲のサポート体制
室内環境を整えることで、体の水分量を適切に保つことができます。乾燥している場合は、加湿器を使ったり、濡れタオルを干したりして室内の湿度を上げることが重要です。夏場は多量に汗をかいて体の水分量が減ってしまうことがあります。高齢者の中には「電気代がもったいないから」と節電をする人がいますが、無理に節電せず、室内の温度を適温に保つよう心がけてください。
夜寝ている間に脱水症状になる可能性もあるため、就寝中の室温管理も欠かせません。家族や介護職員の人は積極的に気遣い、定期的な声かけをすることが大切です。なかなか自発的に水分補給をしない場合は、本人が進んで水分を摂取したくなるような工夫を継続的に行う必要があります。
- イチロウの訪問介護による脱水予防サポート

イチロウの訪問介護サービスでは、日中から夜間まで24時間対応で高齢者の水分摂取をサポートすることができます。介護の資格や経験を持った専門職の介護士が、定期的な水分補給の促しと健康状態の観察を行い、脱水症状の早期発見と予防に努めます。担当ケアコンシェルジュが一人ひとりに付き、ご家庭の介護環境を一緒に作り上げることで、継続的な脱水予防が可能になります。
また家族の仕事やプライベートを犠牲にさせることなく、高齢者の安全な生活を支援できるため、介護負担の軽減にもつながります。日中基本料金2,900円/時間(税抜)から利用可能で、認知症の方や介護度に関わらず原則どなたでもご利用いただけます。
6まとめ
高齢者の脱水症状は、加齢による身体変化で誰にでも起こりうる深刻な健康リスクです。体内水分量の減少や感覚機能の低下により、本人が気づかないうちに脱水状態に陥り、血栓形成や意識障害といった生命に関わる危険を招く可能性があります。
軽度の段階では皮膚の乾燥や行動の変化として現れるため、周囲の人による日常的な観察が早期発見の鍵となります。症状に応じた適切な対処法を理解し、経口補水液による水分補給や必要に応じた医療機関での治療を行うことが重要です。何より大切なのは予防であり、定期的な水分補給、食事の工夫、室内環境の調整を通じて脱水を未然に防ぐことです。高齢者の健康と安全を守るために、家族や介護者が一体となったサポート体制を整えましょう。
7よくある質問
高齢者の脱水症状に関して、よくあるご質問とその回答をまとめました。日頃の疑問や不安解消にお役立てください。
Q1.高齢者の脱水症状を見分けるための簡単なチェック方法はありますか?
「ハンカチーフサイン」と呼ばれる手の甲の皮膚つまみテストが有効です。手の甲の皮膚をつまみ上げて離したとき、すぐに戻らずしばらく跡が残る場合は脱水の可能性があります。また、脇の下の湿り気がない、唇がカサカサしている、ぼーっとしている状態が続くなども初期サインです。
Q2.高齢者は1日にどのくらいの水分を摂取すればよいですか?
高齢者の1日に必要な水分摂取量は、体重1キログラムあたり30~40ミリリットルが目安です。体重50キログラムの方なら約2リットルですが、食事から約1リットルの水分が摂取できるため、飲み物として約1~1.5リットルを補給するのが適切です。
Q3.脱水症状になったときの応急処置はどうすればよいですか?
軽度の場合は経口補水液を飲ませましょう。市販品がない場合は、水1リットルに食塩3グラム、砂糖20~40グラムを溶かして自作できます。体重1キログラムあたり30~50ミリリットルを4時間以内に摂取させてください。重度で意識障害や痙攣がある場合は、すぐに病院を受診することが重要です。
Q4.なぜ高齢者は脱水症状になりやすいのですか?
主な理由は4つあります。加齢により体内水分量が50%まで減少すること、のどの渇きを感じにくくなること、腎臓機能の低下で水分調節がうまくいかないこと、降圧薬などの薬の影響で水分が失われやすくなることです。これらの要因が複合的に作用して脱水リスクを高めています。
Q5.脱水症状を予防するための日常的な工夫を教えてください。
起床時・食事前・入浴後など決まった時間に水分補給する習慣をつけ、水分を多く含むフルーツやゼリーを活用し、手の届く場所に飲み物を常備しましょう。室内は加湿器や濡れタオルで湿度を保ち、夏場は28度以下に冷房で調整することが大切です。家族による定期的な声かけも効果的です。