介護にまつわるお役立ちコラム

訪問介護の生活援助とは?受けられるサービス内容の範囲や利用者の条件を解説

2024年10月30日

高齢化社会が進む中、在宅での生活を支援する訪問介護サービスの需要が高まっています。特に生活援助サービスは、日常生活の困難を軽減し、より安心して自宅で過ごせるようサポートするため、その役割は重要です。

 

この記事では、訪問介護の生活援助とは何か、具体的にどのようなサービスが受けられるのか、またその利用条件や費用について詳しく解説します。訪問介護を検討している方やそのご家族はぜひ本記事を参考にしてみてください。

1訪問介護の生活援助とは

訪問介護の生活援助とは、介護保険サービスの1つで、利用者が自宅で自立した生活を送るために必要な家事など、身の回りのサポートを行うものです。 訪問介護員が利用者の自宅を訪問し、個々の状況に応じた支援を提供します。

 

サービスの内容は利用者ごとに異なり、ケアマネジャーが作成したケアプランに基づいて提供されます。ただし、ケアプランの範囲を超える援助はできないため、利用者のニーズとケアプランの内容が一致していることが重要です。

訪問介護の生活援助でできること・できないこと

訪問介護の生活援助では、以下のサービスを受けられます。

  • 掃除
  • 洗濯
  • 料理
  • ベッドメイク
  • 外出支援

これらのサービスは、利用者の日常生活をサポートし、自立した生活の維持を目的としています。

 

しかし、生活援助はあくまでも自立した生活を維持するための支援であるため、以下のような内容はサービスの対象外です。

  • 援助を受けなくても日常生活に支障がない作業
  • 利用者以外に関すること
  • 医療行為

援助を受けなくても日常生活に支障がない作業は、日常生活に直接的な影響を与えないものの、生活の質を向上させる活動です。具体的には以下のような例が挙げられます。

  • 空き部屋の掃除
  • 花の水やり
  • 衣服の仕立て直し
  • 趣味の活動(絵画、読書、園芸など)
  • ペットの世話
  • 窓拭きや玄関掃除などの定期的な大掃除
  • 季節の衣替え
  • 写真や思い出の品の整理
  • 家具の配置替え

これらの作業は、生活に必須ではありませんが、行うことで生活環境の向上や精神的な満足感を得ることができます。ただし、介護サービスではこれらの作業は原則として対象外となります。

 

以下の表は、訪問介護の生活援助でできることとできないことの一覧です。

できることできないこと
掃除利用者が主として使用する部屋の掃除利用者以外の部屋の掃除
トイレ、風呂、洗面所の掃除大掃除や特別な清掃(換気扇、エアコンフィルターの掃除など)
ゴミ出し
洗濯洗濯利用者以外の衣類の洗濯
洗濯物の収納布団やじゅうたんのクリーニング
アイロンがけ(必要に応じて)
買い物日用品や食材の購入遠方のスーパーでの買い物
薬の受け取り贅沢品や嗜好品の購入
料理一般的な調理来客用の料理
食事の用意複雑な調理や大量調理
食後の片付け
ベッドメイクシーツ交換利用者以外のベッドメイク
布団の上げ下ろし
外出支援通院の付き添い娯楽目的の外出支援
公共サービスの申請の同行
その他衣類の補修(ボタン付けなど)銭管理
薬の受け取りペットの世話

なお、これらはあくまでも一例であり、自治体によって多少内容が異なる可能性があります。詳細については、お住まいの自治体やケアマネジャーにご確認ください。

訪問介護の生活援助を利用できる人の条件

訪問介護の生活援助を利用できる人の条件は要介護認定を受けている人(要介護1〜5) です。

 

要支援の人は対象外となりますが、要支援1・2の認定を受けた方は、各自治体が実施する総合事業のサービスを利用することができます。

  • 同居家族がいる場合は利用できない?

原則として、同居の家族がいる場合は、訪問介護の生活援助を利用することはできません。これは、同居家族が家事を行うことができると考えられるためです。

 

ただし、以下のようなやむを得ない場合には特例が認められることがあります。

 

・同居家族が重い障害や病気を持ち、家事を行うことが困難な場合

・同居家族が仕事や学校のために長時間不在で、事実上独居状態にある場合

・同居家族が高齢で、体力的に家事を行うことが難しい場合

 

一方で、同居家族が単に家事が苦手である、家族間の仲が悪いといった理由では、特例は認められません。

特例が認められるかどうかの判断は個別のケースによって異なります。詳しくは、担当のケアマネジャーや市区町村の介護保険窓口に相談しましょう。

 

なお、訪問介護の身体介護については、世帯や家族の状況に関わらず利用することができます。

訪問介護の生活援助の利用料金

訪問介護の利用料金は、サービス提供の時間に応じて単位数が決まっています。 例えば、掃除をお願いする場合は、通常45分以内に提供できるため、183単位分の利用料金を支払うことになります。

 

訪問介護の利用料金は、サービス提供の時間に応じて単位数が決まっています。具体的な単位数は以下の表の通りです。

サービス提供時間身体介護中心生活援助中心
20分未満167単位-
20分以上30分未満250単位-
30分以上1時間未満396単位225単位
1時間以上1時間30分未満579単位225単位
以降30分を増すごとに+84単位+90単位

参照:介護事業所・生活関連情報検索

注:

・身体介護中心の場合、20分未満の短時間サービス費は、頻回の訪問を行うことが必要な利用者に対して提供される場合に算定されます。

・生活援助中心の場合、20分未満および20分以上30分未満のサービスは原則として提供されません。

 

この表を見ることで、「45分未満の場合は何単位だろうか?」「45分を超えたら何単位になるだろうか?」といった疑問に対する答えを明確に理解することができます。例えば、身体介護中心のサービスで45分の場合は396単位、50分の場合も同じく396単位となります。

 

また、これらの単位数に地域区分ごとの単価を乗じることで、実際の利用料金が算出されます。利用者の負担割合(1割、2割、または3割)に応じて、この金額の一部を負担することになります。

 

単位の目安として、1割負担の場合は、単位数がそのまま料金の目安となります。つまり、183単位のサービスを受けた場合、約183円の自己負担となります。

 

訪問介護は介護保険が適用されるため、利用者の負担額は1〜3割です。自己負担割合は所得によって決まります。

  • 1割負担:年間所得280万円未満
  • 2割負担:年間所得280万円以上340万円未満
  • 3割負担:年間所得340万円以上
訪問介護の生活援助の利用可能回数

訪問介護の生活援助の1ヶ月の利用回数は、下記の表のように要介護のレベルに応じて上限が決まっています。

要介護認定区分1ヶ月あたりの利用可能回数
要介護127回
要介護234回
要介護343回
要介護438回
要介護531回

参照:「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」の公布について

 

1日の利用回数に決まりはなく、1日に複数回サービスを受けることも可能です。ただし、1人の利用者に対して、1度訪問してから2時間以内に再度訪問すると、同一サービスとしてカウントされます。

2訪問介護の生活援助利用の流れ

訪問介護の生活援助を利用するまでには、いくつかのステップがあります。以下に、その流れを示します。

 

【訪問介護の生活援助利用の流れ】

  • 1.要介護認定の申請
  • 2.ケアプランの作成
  • 3.訪問介護事業者の選択と契約
  • 4.サービスの利用開始

それでは、各ステップについて詳しく見ていきましょう。

 

【1.要介護認定の申請】

まず、市区町村の介護保険窓口で要介護認定の申請を行います。申請には介護保険被保険者証が必要です。申請後、認定調査員による訪問調査と主治医意見書の作成が行われ、その結果に基づいて要介護度が判定されます。

 

【2.ケアプランの作成】

要介護認定を受けた後、ケアマネジャーが本人や家族と相談しながらケアプランを作成します。 ケアプランには、利用者の状態や希望に基づいて、どのようなサービスをどの程度利用するかが記載されます。

 

【3.訪問介護事業者の選択と契約】

ケアプランに基づいて、訪問介護事業者を選択します。事業者の特徴や評判などを考慮し、自分に合った事業者を選びましょう。選択後は、その事業者と契約を結びます。

 

【4.サービスの利用開始】

契約後、ケアプランに沿って訪問介護の生活援助サービスの利用が開始されます。

 

要介護認定の申請から実際の利用までにかかる期間の目安は、約1〜2ヶ月程度です。要介護認定には通常約30日かかり、その後ケアプランの作成や事業者との契約にも時間を要するためです。

3介護保険外の生活援助サービス

介護保険における訪問介護の生活援助サービスだけでは要望を十分に満たせない場合や、対応していない作業を依頼したい場合があります。そのような時は、介護保険外の生活援助サービスの利用も検討してみましょう。介護保険サービスと組み合わせて利用することでさまざまな課題を解決することができます。

 

介護保険外のサービスは、介護保険サービスとは異なり、要介護認定を受けていない方や要支援の方でも利用できるものもあります。ただし、これらのサービスは全額自己負担となるため、利用料金については事前にしっかりと確認してください。

自治体による生活援助サービス

自治体による生活援助サービスは、地域の高齢者や障害者の生活を支援するために提供されるサービスです。これらのサービスは、各自治体の独自の施策として実施されているため、サービスの内容や利用条件は自治体によって異なる可能性があります。

 

【自治体による生活援助サービスの一例】

  • 配食サービス:栄養バランスの取れた食事を定期的に届けるサービス
  • 移送サービス:通院や買い物などの外出を支援するサービス
  • 布団丸洗い・乾燥・消毒サービス:寝具の衛生管理を支援するサービス
  • 緊急通報サービス:緊急時に素早く対応できるよう、通報システムを提供するサービス

これらのサービスは、介護保険サービスでは対応できない部分を補い、高齢者や障害者の生活をより広い範囲でサポートします。

社会福祉協議会による生活援助サービス

係者等の参加・協力のもと、地域の福祉課題の解決に取り組んでいます。

 

社会福祉協議会による生活援助サービスの特徴は、地域のニーズに応じた細やかなサービス提供と、比較的安価な料金設定にあります。

 

【社会福祉協議会による生活援助サービスの一例】

  • 家事全般の支援:掃除、洗濯、料理など日常的な家事の援助
  • 福祉サービスの申し込み支援:各種福祉サービスの申請手続きの補助
  • 日常的な金銭管理の支援:公共料金の支払いや生活費の管理などの援助
  • 外出の付き添い:買い物や通院などの外出時の同行支援
シルバー人材センターによる生活援助サービス

シルバー人材センターは、高齢者の就業機会の確保や生きがいの充実、地域社会の活性化を目的とした公益法人です。働く意欲のある高齢者が会員となり、その経験や能力を活かしてさまざまなサービスを提供しています。

 

シルバー人材センターによる生活援助サービスの特徴は、経験豊富な高齢者が提供する質の高いサービスと、比較的安価な料金設定にあります。

 

【シルバー人材センターによる生活援助サービスの一例】

  • 庭の手入れ、草むしり:庭木の剪定や除草作業
  • 家事支援:掃除、洗濯、料理などの日常的な家事
  • 粗大ごみの搬出:大型の不用品の処分や運搬
  • 簡単な家の修繕:網戸の張り替えや障子の貼り替えなど

これらのサービスは、介護保険サービスでは対応が難しい専門的な作業や、一時的に必要となる作業にも柔軟に対応できる点が特徴です。

民間企業の生活支援サービス

民間企業による生活支援サービスは、多様なニーズに応えるため、幅広いサービスメニューを提供しています。これらのサービスの特徴は、専門的なスキルを持つスタッフによる高品質なサービス提供と、利用者のニーズに合わせた柔軟な対応にあります。

 

【民間企業による生活援助サービスの一例】

  • 家事代行サービス:掃除、洗濯、料理などの総合的な家事支援
  • 見守りサービス:定期的な訪問や電話による安否確認
  • 外出支援サービス:通院や買い物、旅行などの付き添い支援

民間企業のサービスは、介護保険サービスでは対応できない範囲や、より高品質なサービスを求める利用者のニーズに応えることができます。ただし、料金は他の保険外サービスに比べて高めになる傾向があるため、サービス内容と料金のバランスを考慮して選択することが重要です。

4イチロウの訪問介護サービスでできること

イチロウの訪問介護サービスは、介護保険では対応できない幅広いニーズに応えるオーダーメイドのサービスが特徴です。排泄介護、食事介助、歯磨き、ペットの散歩、買い物代行、お墓参り代行、通院付き添い、薬の整理 など、あらゆる介護や生活支援を、好きな時に好きな時間だけサポートしてくれます。

 

イチロウを利用するメリットは、以下の3点が挙げられます。

  • 当日から利用可能なスピーディーなサービス提供
  • 一人ひとりに合わせたオーダーメイドのサービス
  • 担当ヘルパーの指名が可能

イチロウのサービスは、「今すぐ助けてほしい」というニーズに応えるスピーディーなサービス提供と、「やってほしい」を叶えるオーダーメイドの対応力が魅力です。介護保険のサービスと併用しながら、制度では対応できない幅広いニーズに応えられるのが、イチロウの大きな強みといえるでしょう。

5まとめ

訪問介護の生活援助は、高齢者や障害者が自立した生活を送るための重要なサポートです。適切なサービスを利用することで、本人の生活の質を向上や、家族の負担の軽減が期待できます。 介護保険サービスだけでなく、自治体や社会福祉協議会、民間企業などが提供するさまざまな生活援助サービスを活用することで、一人ひとりのニーズに合わせたきめ細かな支援を受けることが可能です。サービスの内容や利用条件を正しく理解し、適切な支援を選択することで、より安心で快適な在宅生活を実現できます。

監修者情報

保健師歴15年介護職歴5年のフリーランスWebライター。ケアマネージャー経験あり。現在は、遠距離介護を続けつつ、当事者および支援者の立場から、介護や福祉に関する記事を執筆中。

古賀優美子(保健師、介護支援専門員)
コラム一覧に戻る
icon_arrow_gotop