
通院の家族代行サービスとは?料金や選び方のポイントを解説
介護にまつわるお役立ちコラム
日本では高齢化が進み、認知症の患者数は年々増加しています。そのため「ボケ防止」は、誰にとっても無視できない大切なテーマです。食事・運動・人との交流といった日常の習慣は、脳の健康を守るカギとなり、年代ごとに意識すべきポイントも異なります。
本記事では、40代から始めたい生活習慣の見直しや、60代以降に効果的な社会参加の工夫、自宅で楽しめる脳トレやデュアルタスク、さらにサポートが難しい時の外部サービス活用まで、実践的なボケ防止策をわかりやすく紹介します。
超高齢社会を迎えた日本では、認知症が深刻な社会問題となっています。厚生労働省の最新データによると、2050年には高齢者の約15.1%、586.6万人が認知症を発症すると推計されています。さらに、認知症の一歩手前であるMCI(軽度認知障害)も含めると、現在すでに高齢者の約28%が何らかの認知機能の問題を抱えている状況です。
認知症になると活動量が減少し、転倒やケガのリスクが高まるだけでなく、介護する家族にも精神的・経済的な大きな負担がのしかかります。現在、認知症を完治させる薬は存在せず、誰もが認知症になり得るという現実を踏まえ、発症を防ぐ「ボケ防止」への取り組みがとても重要となっているのです。
参考:厚生労働省|認知症および軽度認知障害(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計
WHO(世界保健機関)が2019年に公表したガイドラインでは、認知症は加齢による避けられない結果ではなく、日々の生活習慣によって予防できる可能性があると明確に示されています。
特に重要なのが「食事」「運動」「社会との交流」の3つの習慣です。バランスの取れた食事は脳に必要な栄養を供給し、定期的な運動は脳の血流を改善して認知機能を活性化させます。また、人や社会との関わりは脳に刺激を与え、認知機能の維持に役立ちます。
これらの習慣は、薬や特別な治療に頼るのではなく、毎日の生活の中で自然に実践できるものばかりです。大切なのは、無理をせず楽しみながら続けること。今日から始められる小さな一歩が、将来の大きなボケ防止につながるのです。
参考:厚生労働省老人保健健康増進等事業|WHOガイドライン認知機能低下および認知症のリスク低減
ボケ防止には、脳に良い栄養素を含む食品を積極的に摂り、脳の健康を損なう食品を控えることが大切です。またここで言う「摂取を控えたい食品」とは、生活習慣病を助長させ認知症リスクを高めるという意味合いであり、摂取したからといって認知症を発症するわけではありません。
積極的に摂取したい食品 | 摂取を控えたい食品 |
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また、自分で料理をすることは、必要な食材の準備や段取りを考え、手先を使うため、頭の回転と運動機能の両方を必要とする効果的な脳トレになります。
さらに、よく噛んで食べることも重要です。噛むことで歯根膜が血管を圧縮し、脳に血液が送られるため、脳が活性化されボケ防止につながります。
運動は脳を刺激して認知機能を向上させることが、多くの研究で明らかになっています。無理なく続けられる運動を選ぶことが大切で、体力に応じて以下のような運動を組み合わせましょう。
【中強度の運動】
ウォーキング
庭仕事
水中エアロビクス
自転車漕ぎ
【高強度の運動】
ランニング
水泳
サイクリング
ハイキング
運動習慣をつけるのが難しい方は、日常生活の中で工夫することから始めてみてください。たとえば、エレベーターを使わずに階段を使う、一駅手前で降りて歩くなど、小さな積み重ねが大きな効果を生みます。継続することで脳の血流が改善され、認知機能の維持・向上につながるのです。
他者との会話は、脳と口を動かす素晴らしいトレーニングになります。近所の人との挨拶やスーパーの店員さんとの簡単なやり取りでも、立派な「会話」として脳を刺激する効果があります。
一方で、社会的孤立は深刻な健康リスクをもたらします。WHOの報告によると、孤独の健康への悪影響は1日15本の喫煙に相当し、認知症だけでなくうつ病のリスクも高めることが明らかになっています。
社会との接点を保つために、趣味のサークルへの参加や地域のボランティア活動への参加がおすすめです。新しい人との関わりから刺激を受けることで、認知症予防につながります。無理をする必要はありません。自分のペースで、楽しみながら人との交流を続けることが大切なのです。
参考:ForbesJAPAN|孤独は「1日15本の喫煙」に相当する健康への脅威
認知症予防は「早すぎる」ということはありません。実は脳の老化は40代後半から始まるとされ、アルツハイマー型認知症の原因物質は発症の約20年前から蓄積し始めます。また、厚生労働省が示す「若年性認知症支援ガイドブック」によると、65歳未満で発症する若年性認知症は、平均発症年齢が51.3歳で、約3割は50歳未満で発症することが分かっています。つまり、ボケ防止は高齢者だけの問題ではないのです。
ただし、年代によって特に注意すべきポイントは異なります。40代・50代は生活習慣病の予防が最優先課題となり、60代以降は心身の活性化と社会参加が重要になってきます。それぞれのライフステージに応じた対策を理解し、自分の年代に合った予防法を実践することで、より効果的なボケ防止につながるでしょう。
40代・50代は、高血圧や肥満、糖尿病といった生活習慣病が認知症の大きなリスク要因となる重要な時期です。これらの病気は脳血管にダメージを与え、将来の認知症発症につながる可能性があります。
まず、食事面では塩分やカロリーの摂り過ぎに注意しましょう。過度な飲酒や喫煙も認知症リスクを高めるため、禁煙を心がけ、お酒は適量に留めることが大切です。
また、定期的な健康診断を受けることで、血圧やBMI値、血糖値などを把握できます。生活習慣病を早期に発見し適切な治療を受けることは、そのまま認知症予防につながります。
この年代での健康管理が、将来の認知機能を守る重要な投資となるのです。
定年退職などで生活環境が大きく変わる60代以降は、家に閉じこもりがちになりやすい時期です。しかし、この時期こそ意識的に心身を活性化させることが認知症予防には重要となります。新しい趣味への挑戦や地域活動への参加は、知的好奇心を刺激し、脳を活性化させます。外気に触れたり他者と関わったりすることで、良い刺激を受け、認知機能の維持につながるのです。
また、「テレビの音が聞こえづらい」といった聴力の低下を放置してはいけません。聴力低下により脳に入る情報が少なくなると、神経細胞の活動が衰える可能性があります。補聴器を利用することで、会話を楽しみ、脳への情報量を維持できます。積極的に社会と関わり続けることが、健やかな老後への鍵となるでしょう。
自宅で手軽にできる脳トレ(脳のトレーニング)は、楽しみながら認知機能を維持・向上させる効果的な方法です。囲碁や将棋のように相手の手を読み数手先を考えるゲーム、楽器演奏のように楽譜を読みながら指を動かす活動、塗り絵や折り紙、パズルといった手先を使う作業は、思考力や判断力を高め、脳を活性化させます。
特に注目したいのが「デュアルタスク」と呼ばれる方法です。これは2つのことを同時に行うトレーニング(ながら運動)で、たとえば洗濯物をたたみながら歌を歌う、ウォーキングしながらしりとりをするなど、日常生活に簡単に取り入れられます。複数の動作を同時に行うことで脳のさまざまな部分が刺激され、高い認知症予防効果が期待できるのです。無理なく楽しく続けることが、効果的なボケ防止への近道となります。
ボケ防止には本人のやる気と社会とのつながりが欠かせませんが、家族だけでサポートし続けることは負担が大きく、時には第三者の支援が効果的な場合があります。
「イチロウ」の訪問介護サービスは、介護保険では対応しきれない柔軟な要望に応えることができます。散歩の付き添いや話し相手、買い物への同行、趣味活動のサポートなど、本人が楽しみながら活動できる機会を提供します。
認知症の方への対応も、症状の度合いに関わらず可能です。専門的な知識を持つ介護士が寄り添うことで、家族の介護負担を軽減しながら、本人のQOL(生活の質)向上に貢献できます。24時間対応可能で、ヘルパー手配率96%という高い実績があるため、必要な時に確実にサポートを受けられる安心感も魅力です。
ボケ防止は、将来にわたって自分らしく生きるために欠かせない取り組みです。高齢化社会が進む現代において、認知機能の維持は個人の生活の質だけでなく、家族や社会全体にも大きな影響を与えます。
食事の見直し、適度な運動、社会との関わりといった日常の小さな変化から始めることで、年齢に関係なく脳の健康を保つことが可能です。ボケ防止に取り組むことで、充実した人生を長く楽しみ、大切な人との時間をより豊かに過ごすことができるでしょう。
ボケ防止や認知症予防を始めるにあたって、多くの方が抱える疑問があります。「いつから始めればいいのか」「本当に効果的な方法はあるのか」といった質問は、誰もが一度は考えることでしょう。 ここでは、そうした代表的な疑問について、現在の研究でわかっていることと実践的なアドバイスをQ&A形式でお答えします。正しい知識を持つことで、より効果的なボケ防止に取り組めるようになるはずです。
ボケ防止を始めるのに「早すぎる」ということはありません。脳の老化は40代後半から始まるとされており、気づいた時から始めることが理想的です。 実際、アルツハイマー型認知症の原因となる物質は、発症のおよそ20年前から蓄積し始めることが分かっています。たとえば70歳で発症した場合、50歳から原因物質が蓄積し始めている計算になります。 ただし、「もう遅い」と諦める必要はありません。60代、70代から運動を始めたり禁煙したりしても、決して遅くはないのです。年齢に関わらず、今から始めることで認知機能の維持・改善が期待できます。 大切なのは、自分の年齢を言い訳にせず、今できることから始めること。何歳であっても、その日が残りの人生で一番若い日なのです。
残念ながら、現時点では認知症を100%予防できる決定的な方法は確立されていません。研究対象の少なさや調査期間の短さなどの課題から、効果があるとされている予防法も万全とは言い切れないのが現状です。 しかし、まったく効果がないわけではありません。本記事で紹介した食事、運動、社会交流といった生活習慣の改善が、認知症の発症リスクを低減させることは多くの研究で示されています。 重要なのは、「これをしなければならない」と義務的に考えないことです。ストレスがたまると、かえって認知症リスクを高めてしまい本末転倒になります。 楽しく取り組めるものを積極的に試し、無理なく続けられることを見つけることが、最も効果的なボケ防止への近道となるでしょう。