
フレイル予防の「3つの柱」とは?食事やストレッチで何歳からでも健康に戻れる理由
介護にまつわるお役立ちコラム

この記事では、寝たきり高齢者を在宅で介護する際のポイントと、利用できるサービスを解説します。介護の方法やサービスの選択肢を知ることで、家族は介護の負担を軽くしながら在宅介護を続けやすくなります。

寝たきりとは、病気やけがなどにより自力で起き上がったり寝返りを打ったりすることが難しく、日常生活の大半をベッド上で過ごし、介助を必要とする状態です。寝たきりの状態が長期間続くと、身体機能の低下や様々な合併症を引き起こすリスクが高まります。寝たきりの原因や影響、予防策について理解を深めておくことは、本人や介護者にとって非常に重要です。
寝たきりの状態に陥る原因は様々ですが、主に以下の4つが挙げられます。
筋力の低下
認知症
脳の病気
骨粗しょう症
まず1つ目は、加齢や長期間の不活発な生活による筋力の低下です。人は加齢とともに筋肉量が減少し、筋力が低下していきます。また、病気やケガで長期間安静にしていると、筋力はさらに低下し、自力で体を動かすのが難しくなり、寝たきりの状態に陥りやすくなります。
2つ目は、認知症による身体機能の低下です。認知症が進行すると、身の回りのことが自分でできなくなったり、体を動かす意欲が減退したりします。その結果、寝たきりの状態に陥る可能性が高まります。
3つ目は、脳卒中や脳梗塞などの脳の病気です。脳の病気によって手足が麻痺したり、意識障害が起きたりすると、自力で体を動かすのが難しくなります。リハビリテーションを行っても、後遺症が残ってしまう場合があります。
4つ目は、骨粗しょう症を背景とした骨折です。骨粗しょう症では骨がもろくなり、転倒などをきっかけに骨折しやすくなります。骨折後に動く機会が減ると、筋力や体力が低下して寝たきりにつながることがあります。特に高齢者は骨粗しょう症になりやすく、注意が欠かせません。
寝たきりの状態が長期間続くと、身体に様々な影響が出てきます。
まず、床ずれ(褥瘡)ができやすくなります。床ずれは、同じ姿勢で長時間過ごすことで体重がかかる部分への圧迫が続き、血流が悪くなって皮膚やその下の組織が傷つく状態です。床ずれが悪化すると、感染症を引き起こしたり、治療に時間がかかったりします。
また、寝たきりの状態が続くと、筋力の低下や関節拘縮(関節が固まって動かしにくくなること)を引き起こすことがあります。
さらに、寝たきりの状態が続くと、廃用症候群を引き起こすリスクが高まります。廃用症候群とは、安静や活動量の低下が続くことで、筋力や心肺機能などの身体機能が低下する状態です。具体的には、心肺機能の低下、尿路感染症、便秘、うつ状態などの症状が現れます。廃用症候群が進行すると、寝たきりの状態から回復するのが難しくなってしまいます。
寝たきりの状態を予防するためには、日頃から体を動かすのが大切です。また、寝たきりの状態になってしまった場合は、できるだけ早期にリハビリテーションを始め、残された機能を最大限に活用するのが重要です。ベッドの上で関節を動かしたり、座位をとったりするだけでも、廃用症候群の予防につながります。
寝たきりの予防や回復に向けたケアは、医療職や介護職と相談し、本人の状態に合わせて進めることが大切です。

寝たきりの方の介護では、床ずれ(褥瘡)の予防、食事中の誤嚥防止、排泄介助、清潔の維持が重要です。介護を続ける家族は、休息の確保や仕事との両立、急に介護できないときの備えも考える必要があります。ここでは、本人のケアと家族の負担を軽くするための注意点を解説します。
寝たきりの方を介護する際は、床ずれ(褥瘡)の予防と早期発見に特に注意が必要です。床ずれは、同じ部位への圧迫が続いて血流が妨げられ、皮膚やその下の組織が傷つく状態です。
床ずれの主な原因は、体重による圧迫、皮膚の摩擦、ずれ、湿潤で、以下の部位に好発します。
仙骨部
尾骨部
大転子部
踵部 など
床ずれができると、皮膚が赤くなったり、水ぶくれができたりします。さらに悪化すると、皮膚が壊死し、深い傷ができてしまいます。床ずれは、痛みを伴うだけでなく、感染症を引き起こすリスクもあるため、早期発見と適切な処置が欠かせません。
床ずれを予防するためには、以下のようなポイントに注意しましょう。
体位交換を定期的に実施する
床ずれ防止マットレスを使う
執筆時に適宜追加してください
まず、定期的な体位交換が重要です。体位交換の間隔は、本人の状態や使用するマットレスに応じて、医師や看護師などの専門職に確認しましょう。体位交換の際は、ゆっくりと行い、皮膚に過度な摩擦やずれが生じないよう注意しましょう。
また、床ずれ防止マットレスを使用するのも効果的です。エアマットレスやウレタンフォームマットレスなどを用いると、体圧を分散し、床ずれのリスクを軽減できます。
皮膚を清潔に保つのも大切です。汗をかいたら、こまめに拭き取り、乾燥させます。また、皮膚の状態を観察し、発赤や水ぶくれなどの異常がないか確認しましょう。
さらに、栄養管理にも気を配ります。十分なタンパク質やビタミン、ミネラルを摂取するので、皮膚や粘膜の健康維持ができます。
床ずれは、一度できてしまうと治療に時間がかかるため、予防に力を入れるのが何より大切です。
寝たきりの方は、飲み込む力が衰えている場合が多く、食事中の誤嚥に注意が必要です。誤嚥とは、食べ物や飲み物が食道ではなく、気管に入ってしまうのを指します。誤嚥が起こると、肺炎を引き起こすリスクが高まります。
誤嚥を防ぐには、食事中の姿勢が重要で、食事の際は、上半身を30~60度程度起こし、首を軽く前に傾けた姿勢をとるようにします。この姿勢を保持するために、ベッドの背もたれを調節したり、枕やクッションを使って体を支えましょう。
また、食事の形態にも配慮が必要です。固い食べ物や大きな食べ物は避け、やわらかく、小さく切ったものを提供し、必要に応じてとろみをつけたり、ミキサー食にしたりするのも検討しましょう。
食事のペースも大切です。ゆっくりと、一口ごとに飲み込んだのを確認してから次の一口を口に運びます。むせこんだときは、速やかに食事を中断し、落ち着くまで様子をみるようにしましょう。
食事中にむせる、咳き込む、呼吸が荒くなるなどの症状が見られたら、食事を中断します。呼吸が苦しそうな場合や症状が続く場合は、医療機関や担当の医療・介護職へ連絡してください。
排泄は、人間の基本的な欲求の一つであり、プライバシーに関わる行為でもあります。寝たきりの方の排泄介助を行う際は、本人の気持ちを尊重し、プライバシーを守るのが何より大切です。
排泄介助の方法は、本人の状態や意向、介護者の負担などを考慮して決めていきます。できるだけ自分で排泄できるよう、ベッドの横にポータブルトイレを設置するのも一つの方法です。ポータブルトイレを使用することで、自力での排泄を促し、残存機能の維持につながる場合があります。
寝たきりの状態が進み自力での排泄が難しくなった場合は、おむつの使用を検討します。オムツ交換の際は、プライバシーに配慮し、カーテンを閉めるなどの工夫をします。また、皮膚の状態を観察し、こまめにオムツを交換することで、皮膚トラブルを予防しましょう。
特に、床ずれが臀部にある場合は、排泄物による感染に注意が必要です。オムツ交換の際は、清潔な手袋を使用し、皮膚を清潔に保つようにします。感染が疑われる場合は、速やかに看護師や医師に相談してください。
排泄介助は、本人にとって精神的な負担になりかねません。介助の際は、本人の気持ちに寄り添い、尊厳を守るのを心がけましょう。
寝たきりの状態が続くと、汗や排泄物による汚れが皮膚に残りやすく、皮膚トラブルが起きることがあります。身体の清潔を保つことは、寝たきりの方の健康維持に欠かせません。
入浴は、身体の清潔を保つ上で重要ですが、寝たきりの方にとっては負担が大きい行為です。全身状態が安定している場合は、週に1~2回程度、シャワー浴や清拭(身体を拭く)で対応します。
清拭の際は、肌に優しいタオルを使用し、温かいお湯で身体を拭きます。陰部や臀部など、皮膚の弱い部分は、特に丁寧に拭くようにしましょう。また、拭き残しがないよう、体の隅々までの確認が大切です。
入浴が難しい場合は、部分浴も効果的です。手浴や足浴、洗髪などを行うことで、血行の促進やリラックスにつながります。仰向けに寝たまま洗面器を使って洗髪するのも可能です。
また、寝具の清潔も大切で、シーツやタオルケット、枕カバーなどは、こまめに交換しましょう。清潔な寝具を使うことは、皮膚トラブルや感染症の予防につながります。
介護保険サービスの中には、訪問入浴サービスもあります。専門のスタッフが自宅を訪問し、特殊な入浴装置を使って入浴介助を行います。自宅の浴室では対応が難しい場合でも、安全に入浴できるため、利用を検討してみるとよいでしょう。
寝たきりの方の介護は、肉体的にも精神的にも大変な労力を要します。特に家族が介護を担う場合は、休む間もなく介護に追われ、心身ともに疲れ果ててしまうことがあります。介護者の負担軽減は、寝たきりの方の介護を続けていく上で欠かせません。
介護者の負担を軽減するためには、まず、周囲の理解と協力を得るのが大切です。家族や親戚、友人などに協力を呼びかけ、介護の分担を検討しましょう。また、地域の介護サービスを上手な活用も重要です。
例えば、訪問介護や訪問入浴、デイサービスなどを利用することで、介護者は休息時間を確保できます。ショートステイを利用して、一時的に施設で介護を受けるのも可能です。
また、介護者自身の健康管理も大事です。介護に追われるあまり、自分の健康を後回しにしてしまいがちですが、介護者が倒れてしまっては元も子もありません。定期的に健康診断を受け、体調管理に気を配りましょう。
介護に関する悩みを抱え込まないのも大切です。介護サービスを利用している場合は、ケアマネジャーに相談してみましょう。また、地域の介護者支援団体や家族会などで、同じ悩みを抱える人と交流することで、ストレスを発散できます。
介護者の負担軽減は、寝たきりの方の介護の質を維持する上でも欠かせません。介護サービスを上手に活用し、周囲の協力を得ながら、無理のない範囲で介護を続けていきましょう。

寝たきりの方の在宅介護では、介護保険の範囲内で利用できるサービスと、自費で利用するサービスがあります。ここでは、在宅介護で利用できる代表的な4つのサービスを紹介します。
訪問介護は、ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行うサービスです。食事介助や排泄介助、衣服の着脱介助などの身体介護から、掃除や洗濯、調理などの生活援助まで、幅広いサポートが受けられます。
夜間対応型訪問介護は夜間の定期的な訪問や随時対応を行い、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は日中・夜間を通じて定期巡回と随時対応を行うサービスです。急な排泄介助や体調変化時の相談など、夜間を含む支援が必要な場合は、地域で利用できるサービスの内容を確認しましょう。
訪問入浴は、専門のスタッフが自宅を訪問し、移動式の浴槽を使って入浴介助を行うサービスです。寝たきりなどで自宅の浴室での入浴が難しい方でも、安全に入浴ができます。
入浴の際は、看護師や介護職員が同行し、バイタルチェックや入浴前後の処置なども行います。体調管理の面でも安心できるサービスといえます。
デイサービスは、日中に介護施設に通い、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを受けられる通所型のサービスです。寝たきりの方がデイサービスを利用できるか、送迎車両で対応できるかは、施設の受け入れ体制や本人の医療的ケアの必要性によって異なります。
施設内では、機能訓練やレクリエーションに参加することで、心身の機能維持や向上を図れます。また、他の利用者との交流を通じて、気分転換にもなるでしょう。介護者にとっては、日中の自由な時間を確保できるメリットがあります。
ショートステイは、介護施設に短期間宿泊しながら、日常的な介護サービスを受けられます。介護者が病気やけが、冠婚葬祭などで一時的に介護ができない時に利用します。
ショートステイでは、施設に宿泊し、食事、入浴、排泄などの日常生活の介助を受けられます。必要な支援やリハビリテーションの有無は、本人の状態や施設によって異なります。家族が病気や冠婚葬祭で介護できない時のほか、休息を取ったり仕事と介護を両立したりするためにも利用できます。
上記4つのサービスは、介護保険を利用することで、1割から3割の自己負担で利用できます。
一方で、介護保険の対象外となる支援もあります。たとえば、宅食、訪問理容、移送・送迎、介護保険の対象外となる家事支援・代行は、原則として全額自己負担です。訪問診療・訪問看護、福祉用具購入、住宅改修は、利用条件によって医療保険または介護保険の対象となる場合があるため、ケアマネジャーや各事業者に確認しましょう。
介護保険の枠にとらわれず、生活支援、身体介護、看護を組み合わせたい場合は、「イチロウ」という選択肢があります。食事・排泄介助、通院付き添い、見守り、家事・生活支援などを、本人の状態や家族の事情に合わせて組み合わせられます。24時間365日利用でき、急な通院や退院など、時間的な余裕がない場合にも最短2時間でスタッフを手配できます。
介護保険の支給限度額を超える場合や、家事・生活支援、身体介護、見守り、通院付き添いなどを必要に応じて組み合わせたい場合は、介護保険サービスとイチロウを併用する方法もあります。

寝たきりの状態では、本人の生活だけでなく、介護する家族の負担や利用できる支援についても不安が生じやすくなります。ここでは、在宅介護で利用できる経済的な支援制度、寝たきりの前兆、寝たきりの方が楽しめるレクリエーションなど、よくある疑問を解説します。
寝たきりの方を在宅で介護すると、経済的な負担が大きくなることが予想されます。おむつや介護用品の購入費、医療費など、さまざまな出費が発生するためです。しかし、在宅介護を支援するための経済的な助成制度を設けている自治体もあります。
例えば、愛知県豊明市では、「寝たきり高齢者等見舞金支給事業」を実施しています。在宅で常時寝たきりの状態にある高齢者や、重度の認知症高齢者を介護している家族に対し、年額6万円の見舞金を支給しています。
また、大阪府枚方市では、「在宅重度要介護者紙おむつ給付事業」を行っています。在宅で常時寝たきりの状態にある要介護3以上の方を対象に、月額6,000円分の紙おむつを給付しています。
寝たきりの方を在宅で介護する家族向けの経済的支援は、自治体によって対象者、支援内容、支給額が異なります。制度の内容は変更されることがあるため、自治体の福祉課や高齢者支援課に現在の対象要件と申請方法を確認しましょう。相談時には、本人の要介護度、在宅での生活状況、必要な介護用品を伝えると、利用できる制度を確認しやすくなります。
介護用品の購入費を助成する制度もあります。たとえば、埼玉県上尾市では、「日常生活用具給付等事業」を実施しています。上尾市に住民登録があり、要介護4以上の在宅の方を対象に、特殊寝台や車いす、入浴補助用具などの購入費用を助成しています。
寝たきりは、突然なるわけではありません。徐々に心身の機能が低下し、徐々に動けなくなっていくのです。寝たきりになる前には、いくつかの前兆が現れることがあります。
まず、外出や社会参加の機会が減り、家に閉じこもりがちになります。買い物や趣味の活動など、今まで楽しんでいたことから遠ざかる傾向が見られたら注意が必要です。家の中で過ごす時間が長くなると、運動不足から筋力が低下し、転倒のリスクが高まります。
また、食事の量が減ったり、食べこぼしが増えたりするのも寝たきりの前兆と言えます。口腔機能の衰えから、噛む力や飲み込む力が低下し、十分な栄養が取れなくなってしまうのです。
認知機能の低下も、寝たきりの前兆の一つです。物忘れが多くなったり、言葉数が減ったりするなどの変化が現れます。認知機能が低下すると、生活リズムが乱れたり、身の回りのことが自分でできなくなったりします。
このような前兆が見られたら、できるだけ早く対策を講じるのが大切です。運動習慣を身につけ、栄養バランスの取れた食事を心がけることで、寝たきりへの移行を遅らせられる場合があります。また、口腔ケアや認知症予防のための活動への取り組みも効果的です。
寝たきりになると、今まで楽しんでいた趣味や娯楽から遠ざかってしまいがちです。しかし、寝たきりでも楽しめるレクリエーションはたくさんあります。レクリエーションを通じて、心身のリフレッシュを図ることができるのです。
まず、映画鑑賞なら、ベッドの上でDVDやインターネット動画を見ることができます。好みのジャンルの映画を選び、大画面で鑑賞すれば、映画館にいるような臨場感を味わえるでしょう。読み聞かせも寝たきりの方に喜ばれます。
また、ネイルアートを楽しむのもおすすめです。ベッドの上でも、ネイルアートを施すことができます。色とりどりのマニキュアを使って、指先を華やかに飾ってみましょう。介護者と一緒にデザインを考えるのも楽しい時間になるはずです。
音楽を聴くのも、寝たきりの方に適したレクリエーションです。好みのアーティストの曲を流したり、懐かしい曲を一緒に口ずさんだりすることで、心が癒やされるでしょう。音楽に合わせて手や足を動かすのも良い刺激になります。
他にも、編み物や書道、絵画など、寝たきりの方が楽しめる趣味があります。合うレクリエーションは、本人の好みや興味に加え、体調や手を動かしやすいかどうかによっても異なります。本人の意向を尊重し、無理のない方法や道具を選びながら試してみましょう。
寝たきり高齢者の在宅介護では、褥瘡予防、誤嚥防止、排泄介助などに配慮が必要です。介護者が休息を取り、仕事や生活と介護を両立できるよう、訪問介護、訪問入浴、デイサービスなどの介護保険サービスを活用しましょう。急な不在時の支援、長時間の見守り、通院付き添いと身体介護を同時に必要とする場合は、自費サービスも含めて、必要な支援を組み合わせて検討します。利用できる経済的支援制度も確認し、寝たきりの前兆に気づいた場合は早めに医療・介護の専門職へ相談しましょう。