介護にまつわるお役立ちコラム
要介護3の在宅介護は無理?限界を迎える前に検討したいサービスを紹介
在宅介護をできる限り続けたいと考えているけれど、家族が要介護3と認定されたり、介護の負担が大きくなったりと限界を感じることもあるかもしれません。しかし、様々な介護サービスを上手く活用することで、在宅介護を続けることは可能です。そこで今回は、在宅介護の現実と、その負担を軽減するために活用できるサービスについて詳しく解説します。公的機関や介護保険を最大限に利用し、家族や専門家と連携することで、無理なく在宅介護を続ける方法を見つけましょう。
要介護3の在宅介護は不可能ではありませんが、介護者の負担が大きくなることは事実です。要介護3の方は、立ち上がりや歩行が不安定で、排泄や入浴、衣服の着脱などにも全面的な介助が必要になります。食事も一部介助が必要な場合が多いでしょう。こうした日常生活全般にわたる介護が必要となり、24時間のサポートが求められるため、介護者の身体的・精神的な負担は大きくなります。
要介護3の在宅介護は、多くの家族にとって大きな挑戦です。要介護3は、介護度の中でも中程度に位置し、日常生活の多くの場面で支援が必要です。身体的な介助に加え、精神的なサポートも欠かせません。しかし、適切な支援体制が整えば、在宅での介護は可能です。
要介護3の在宅介護を無理なく続けるには、介護保険サービスなどを活用して、家族の負担を減らしていく介護方法が一般的です。家族だけで無理をして介護を進めたとしても、家族の疲労は蓄積し、体力的にも精神的にも限界を迎えることがあります。さらに、介護者自身の健康状態が悪化すると、結果的に介護そのものが続けられなくなる危険性もあります。
以下に、要介護3の在宅介護を無理なく続けるコツを紹介します。
- 公的機関・公的サービスを最大限活用する
- 家族にも手伝ってもらう
- 主治医・ケアマネジャーに相談する
- 介護保険外サービスを利用する
公的機関・公的サービスを最大限活用することは、要介護3の在宅介護を無理なく続けるための重要なポイントです。特に介護保険サービスを利用することで、介護の負担を軽減することができます。ケアマネジャーと相談しながら、必要なサービスを組み合わせて利用しましょう。公的サービスを利用することで、介護にかかる費用を抑えることもできます。
家族に手伝ってもらうのも、要介護3の在宅介護を無理なく続けるコツになります。
在宅介護は家族全員の協力が必要です。介護は一人で抱え込まず、家族にも協力してもらいましょう。家族で介護の役割分担をすることで、介護者の負担を軽減することができます。また、家族で介護について話し合う機会を設けることで、お互いの思いを共有し、介護に対する理解を深めることもできるでしょう。
在宅介護で悩んだときは、主治医やケアマネジャーに相談するのも一つの方法です。医療面では主治医が、介護サービスの利用についてはケアマネジャーがアドバイスをしてくれます。専門家のアドバイスを参考に介護方針を決めましょう。
介護保険サービスだけでは補えないサポートについては、介護保険外サービスを利用するのも一つの方法です。介護保険サービスと組み合わせて併用することで、費用を抑えながらも柔軟で幅広いサポートを受けることができます。
介護保険外サービスとは、介護保険の対象とならない介護や生活支援サービスのことです。要介護認定が必要なく、使いたいと思ったタイミングで必要な分だけ利用することができます。
専門的な介護はもちろんのこと、食事の宅配や掃除、買い物代行などの生活支援サービスなど、介護保険外のサービスを利用することで、介護者の負担を軽減できます。
介護保険サービスには要介護度に応じた支給限度額が設定されています。要介護3の場合、1ヶ月あたりの支給限度額は26万7500円です。利用者負担は原則1割ですが、所得に応じて2割または3割になる場合もあります。支給限度額を超えてサービスを利用する場合は、超過分が自己負担になります。計画的な利用が重要です。
要介護3の方が在宅介護で受けられる主な介護保険サービスは以下の通りです。
- 訪問サービス
- 通所サービス
- 短期入所サービス
- 地域密着型サービス
- 介護用具・住宅改修に対するサービス
訪問サービスは、要介護者が自宅で受けられる基本的な支援です。訪問介護員が自宅を訪れ、身体介護や生活援助を行います。これにより、日常生活のサポートが受けられ、家族の負担を軽減することができます。
サービス名 | 概要 |
訪問介護 | ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行う |
訪問入浴介護 | 自力での入浴が困難な場合、専用の浴槽を自宅に運び入れて入浴の介助を行う |
訪問看護 | 看護師等が自宅を訪問し、医師の指示に基づき医療的ケアや医療行為を行う |
訪問リハビリテーション | 主治医が必要と判断した場合に、理学療法士等が自宅を訪問し、各種機能訓練やリハビリを行う |
居宅療養管理指導 | 医師、歯科医師、薬剤師等が自宅を訪問し、療養上の指導を行う |
通所サービス(デイサービス)は、要介護者が日中に通うことで、食事や入浴、リハビリテーションなどが提供されるため、要介護者の生活の質を高めると同時に、介護者の負担軽減や休息の時間を作ることにもつながります。
サービス名 | 概要 |
通所介護 | 要介護者が日中に通うことで、食事や入浴、リハビリテーションなどが提供されます。 |
通所リハビリテーション | 介護老人保健施設等で理学療法士等による生活機能向上のためのリハビリテーションや食事・入浴などの生活支援を受けることができます。 |
短期入所サービス(ショートステイ)は、要介護者が一定期間施設に入所することで、家族が一時的に介護から解放されるサービスです。ショートステイを利用することで、家族が休息を取ることができ、介護疲れを防ぐことができます。
サービス名 | 概要 |
短期入所生活介護 | 介護老人福祉施設等に短期間入所し、日常生活上の介護を受ける |
短期入所療養介護 | 介護老人保健施設等に短期間入所し、医療的ケアを受ける |
地域密着型サービスは、住み慣れた地域で安心して生活を続けるために創設されたサービスです。主に運営は市町村によって指定された事業者が行い、その地域に住んでいる方がサービスを受けることができます。
小規模多機能型居宅介護や、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)などが含まれ、地域の特性を生かした支援が受けられます。中には利用に際して特別な条件があるものもあります。
サービス | 概要 |
夜間対応型訪問介護 | 夜間の定期的な巡回や通報により、利用者の在宅生活を支える |
認知症対応型通所介護 | 認知症の方を対象としたデイサービスで少人数の定員のため手厚いサービスを行っており。通常の通所介護とは違い、認知症専門スタッフによるケアが受けられる。 |
小規模多機能型居住介護 | 同一の介護事業者が、利用者や家族の状況に合わせて通い、泊まり、訪問を組み合わせ、家庭的な環境の中でサービスを提供 |
認知症対応型共同生活介護 | 認知症の方が少人数で共同生活をしながら、食事や入浴等の介護や機能訓練を受ける |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | 定員29人以下の介護専用の有料老人ホーム等で身体介護や生活支援、機能訓練、療養上のケアなどの介護サービスを受ける |
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 | 定員29人以下の特別養護老人ホームで介護サービスを受ける |
福祉用具(介護用具)や住宅改修に対するサービスは、要介護者が安全に自宅で生活するために必要な設備を整えるためのものです。手すりの設置や段差の解消、車椅子の購入など、日常生活を支えるための改修が行えます。
サービス名 | 概要 |
福祉用具貸与 | 車いすやベッド等の福祉用具をレンタルするための費用を介護保険の負担額に応じて軽減する制度。自己負担は1~3割。 |
特定福祉用具販売 | 入浴や排泄に使う福祉用具を購入する費用を介護保険の負担額に応じて返金される制度。一年の支給限度額は10万円。自己負担1割の場合は9割の金額が返金される。 |
住宅改修費用 | 手すりの取り付けや段差の解消等、住宅を要介護者の状態に合わせて改修したり、介護者が介護しやすいように改修するための費用の一部を支給する制度。限度額は20万円まで。 |
在宅介護に限界を感じた場合、無理をせず専門機関に相談することが大切です。介護施設への入所や、専門のケアを受けることで、要介護者も家族も安心して生活を続けることができます。また、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、適切な対応を検討しましょう。地域包括支援センターとは高齢者を介護・医療・保健・福祉などの面から支える、総合相談窓口です。
サービス名 | 概要 | 介護保険 適用 |
介護老人福祉施設 | 介護認定を受けた常時介護が必要な方に、日常生活上の介護や機能訓練、健康管理を行う施設。 | 〇 |
介護老人保健施設 | 要介護認定を受けた高齢者が自宅復帰を目指して看護、医学的管理下の介護や機能訓練等を行う施設。入居期間は3~6か月限定。 | 〇 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 高齢者が快適に生活できるバリアフリー設備を整え、見守りサービスや施設によっては食事の提供や入浴介護などの生活支援サービスを受けることができる施設。 | |
介護付き有料老人ホーム | 24時間、介護スタッフが常駐し、食事・入浴等の介助サービスや、身の回りの生活支援を受けることができる施設。施設により入居費用・入居条件は異なる。 |
※介護保険の適用については施設やサービス内容により異なる場合があります。詳細は各施設に問い合わせのうえ、ケアマネジャー等とよく相談して決めましょう。
要介護3の在宅介護は大変ですが、介護保険サービスや介護保険外サービスを上手に活用することで、家族の負担を軽減しながら続けていくことは可能です。ケアマネジャーや主治医と相談しながら、利用者や家族の状況に合ったサービスを選ぶことが大切です。在宅介護の継続が難しいと感じたら、施設サービスの利用も視野に入れて検討しましょう。もしもどうしても自宅での在宅介護を続けたいという強い希望がある場合は、自費での訪問介護サービスを利用することも併せて検討してみてください。この記事を参考に、無理のない在宅介護を実現してください。