介護にまつわるお役立ちコラム

親の介護と自分の生活の両立は可能?考えられる問題点と対処法

親の介護と自分の生活の両立は可能?考えられる問題点と対処法
公開日:2024年07月05日
更新日:2026年05月28日

親の介護が始まったら、自分の時間はなくなるの?

そんな不安で胸がいっぱいになっていませんか。

介護は突然やってくることも多く、つい「自分が頑張らなきゃ」と一人で抱え込んでしまいがちです。

ですが、あなたの人生を犠牲にする必要はありません。

この記事では、介護と自分の生活を上手にやりくりするために、よくあるお悩みや「知っておくだけで心が軽くなる解決策」をまとめました。

将来が少しでも明るく、安心できるものになるよう、一緒に考えていきましょう。

親の介護と生活を両立させる考え方

親の介護は子どもが全部背負わなくても良い

2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、親の介護に直面する人が急増しています。

そんな中、「自分が面倒を見なければ」とプレッシャーを感じている方も多いはず。

しかし、親の介護をすべて子どもが背負う必要はありません。

本来、介護とは「親の自立を促すためのサポート」です。

24時間365日つきっきりで身の回りのお世話をする「介助」とは、本質的に意味が異なります。

まずはこの違いを知ることから、両立への一歩が始まります。

介護は「子どもの義務」ではない

世間では「親の介護は子どもがして当たり前」と思われがちですが、決してそうではありません。

本来の介護とは、親が自分らしく生活できるよう自立を支えることであり、家族がプライベートを犠牲にして身を粉にすることではないのです。

確かに民法では「扶養の義務」が定められていますが、これは主に「経済的な支援」を指します。

つまり、子どもには親の生活費を工面するなどの公的な責任はあっても、すべてのケアを自分の手で行う義務まではないのです。

介護保険制度やプロのサービスを賢く使い、親の自立をチームで支えること。

それが、今の時代における子どもの役割と言えます。

義務ではないものの「放置」はNG

一方で気をつけたいのが、介護が必要な親を「放置」してしまうことです。

子どもに直接的な介護の義務はないといっても、必要な助けを与えずに放ったらかしにするのは許されません。

万が一、介護が必要な状況を無視して親の命や健康を危険にさらした場合、法律(保護責任者遺棄罪など)に問われる可能性もあります。

「義務がない=何もしなくていい」という意味ではなく、虐待や放置は絶対に避けなければなりません。

親の介護が必要になったら、まずは行政の窓口や「地域包括支援センター」に相談しましょう。

介護の主役はあくまで親本人であり、子どもは「適切なサポートの環境を整える立場」だと理解しておくことが、共倒れを防ぐ最大のポイントです。

親の介護で直面する4つの課題

親の介護で想定される問題点

親の介護が始まると、これまでの生活サイクルは一変します。

ときには「自分の人生が失われていく」ような感覚に陥ることもあるかもしれません。

ここでは、親の介護で想定される主な4つの問題点を見ていきます。

1|金銭的な負担

介護には、想像以上に多額の費用がかかります。

在宅介護でも月数万円の費用が発生し、訪問ケアやデイサービスをフル活用すれば、月20万円を超えることもあります。

施設入居となれば、さらに高額な費用が必要です。

【費用の相場(月額)】

  • 在宅介護: 約5万円〜20万円

  • 民間施設(有料老人ホーム等): 約15万円〜30万円

  • 公的施設(特別養護老人ホーム等): 約10万円〜15万円

親の年金や貯蓄が尽きると、子が費用を負担せざるを得ません。

自分たちの生活資金を切り崩すことになり、家計が「共倒れ」になる恐れがあります。

経済的な余裕がなくなることは、精神的な余裕を失うことにも直結するため、非常に深刻な課題です。

2|仕事との両立

働き盛りの世代にとって、仕事と介護の両立は大きな壁です。

親の要介護度が上がれば、食事や入浴の介助だけでなく、夜間の対応や通院の付き添いなど、介護に割かれる時間は際限なく増えていきます。

課題

影響とリスク

時間の制約

突発的な欠勤や早退が増え、責任ある仕事を任されにくくなる

心理的障壁

職場への気兼ねから、介護休業などの制度利用をためらう

離職の代償

収入が途絶えるだけでなく、再就職やキャリア復帰が困難になる

自分が辞めれば解決する」と考える方も多いですが、介護による離職は将来的な経済不安を招きます。

一度キャリアを断絶すると、元の待遇で復帰するのは容易ではありません。

自分の生活基盤を壊さないためにも、制度を賢く使い、仕事を辞めない選択をすることが不可欠です。

3|家族・親族間のトラブル

親の介護をめぐり、家族の関係が悪化するケースは少なくありません。

特に兄弟姉妹がいる場合、介護の役割分担をめぐる対立が表面化しやすくなります。

【対立が生じやすい3つのポイント】

  • 役割と費用の分担: 「誰が面倒を見て、誰が費用を出すか」で意見が割れる

  • 負担の偏り: 長男・長女やその配偶者など、特定の一人に負担が集中する

  • 介護方針の相違: 「在宅か施設か」「リハビリか看取りか」で方針が食い違う

自分ばかりが苦労している」という不公平感は、一度こじれると修復が困難です。

家族だけで解決しようとせず、ケアマネジャーなどの第三者を交えて話し合うことが、関係悪化を防ぐ鍵となります。

4|精神的なストレスと罪悪感

親の介護は肉体的な疲労以上に、精神的な消耗が激しいものです。

特に突然の介護では、準備もないまま一人で多くの問題を抱え込み、強い不安に襲われることも少なくありません。

【注意すべき心のサイン】

  • 介護うつのリスク: 睡眠不足やイライラが続き、徐々に疲れが蓄積する

  • 孤独感: 介護の方法が分からず、誰にも相談できないと感じる

  • 罪悪感: 施設入居の際、「自分は冷たいのではないか」と自分を責める

「もっと頑張れたはず」という自分への厳しさは、心を蝕む原因になります。

プロの力を借りることは「親を捨てること」ではなく、「親子の笑顔を守るための選択」だと捉え直すことが大切です。

親の介護に備えて今からできること

親の介護が必要になったら何をするべき?

親の介護は、ある日突然始まることも珍しくありません。

仕事や自分の生活を守りながら両立させるためには、親が元気なうちからの「事前の準備」が何よりの鍵となります。

ここでは、親の介護と自分の生活を両立させるために、今からできることを見ていきましょう。

親が元気なうちに「意向」を確認する

「まだ早い」と思わずに、親子で将来について率直に話し合う機会を持ちましょう。

いざ介護が必要になった際、本人の希望が分からないと、家族は判断に迷い、それがトラブルの火種になります。

【確認しておくべき3つのポイント】

  • 場所の希望: 最期まで自宅で過ごしたいか、施設も検討できるか

  • お金のこと: 介護費用に充てられる貯蓄や保険、年金額はいくらか

  • 延命治療: 万が一の際、どのような医療処置を望むか

話し合いには、兄弟姉妹も交えるのが理想的です。

合意した内容はメモや録音で残しておきましょう。

家族間で認識を共有しておくことが、将来の「押し付け合い」や「方針のズレ」を防ぐ最大の防御策になります。

介護の基礎知識と「社内制度」を確認する

介護の技術や知識は、直面してから学ぼうとすると精神的な余裕がなく、パニックに陥りやすいものです。

今のうちから少しずつ情報を仕入れておきましょう。

特に「排泄介助」などは心理的ハードルが高いものですが、オムツの選び方や車椅子の扱い方を事前に知るだけで、いざという時の戸惑いは大幅に軽減されます。

また、技術と同じくらい重要なのが、勤務先の「介護休業」や「介護休暇」制度の確認です。

  • 介護休業: まとまった休みを取り、ケアの体制を整えるための制度

  • 介護休暇: 通院の付き添いなど、単発の用事に対応するための制度

こうした制度の有無や申請方法を把握しておくことは、離職を防ぎ、仕事を続けるための強力な武器になります。

自治体の講座や社内の就業規則を覗いてみるだけでも、立派な備えの一歩です。

さまざまなサービスを活用する

親の介護を一人で背負い込む必要はありません。

介護保険サービスは心強い味方ですが、「同居家族がいる場合の家事」や「長時間の外出付き添い」など、公的制度だけでは手が届かない場面も出てきます。

こうした「制度の隙間」を埋め、共倒れを防ぐために検討したいのが保険外(自費)サービスの活用です。

  • 生活の質を守る: 趣味の外出や夜間の見守りなど、公的制度外の希望を叶える

  • 介護者の休息: 家族が仕事や休息に専念できるよう、柔軟な時間枠でプロに頼る

たとえば、24時間対応の「イチロウ」のようなオーダーメイド型のサービスを知っておくだけでも、いざという時の安心感が違います。

こうした選択肢をセーフティーネットとして持っておくことが、仕事を辞めずに自分らしく生きるコツです。

まずは「ここだけはプロに頼りたい」というポイントを整理してみることから始めましょう。

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要介護認定の申請を検討する

親の様子を見て「以前より衰えたかな」と感じたら、まずは要介護認定の申請手続きを検討しましょう。

介護サービスを利用するには、自治体から「どの程度の介護が必要か」の判定を受ける必要があります。

【要介護認定のポイント】

  • 7段階の判定: 心身の状態に応じ「要支援1〜2」「要介護1〜5」に分類される

  • サービスの基準: この判定結果をもとに、利用できるサービスや支給限度額が決まる

判定結果が出たら、それをもとに具体的な介護方針を立てていきます。

ただし、公的保険には「支給限度額」や「利用ルールの制限」があるため、状況に応じて保険外サービスを組み合わせるなど、柔軟に視野を広げておくことが大切です。

不安があれば地域包括支援センターへ

介護の進め方に迷ったときは、ためらわずに「地域包括支援センター」を頼りましょう。

ここは、高齢者の生活を支えるための公的な相談窓口です。

【相談できるプロの専門家】

  • ケアマネジャー: 本人に最適な介護プランの作成や、各サービス事業者との連絡・調整

  • 社会福祉士: 暮らし全般の悩みから福祉制度の利用、お金に関する困りごとへの相談対応

  • 保健師: 医療や健康、認知症予防など、心身のすこやかな生活を維持するための専門指導

こんな些細なことを聞いてもいいのかな」と遠慮する必要はありません。

専門家の知恵を借りることで、一人では気づかなかった解決策が見つかることもあります。

不安を一人で抱え込まず、早い段階で「地域の味方」を作っておくことが、共倒れを防ぐ第一歩です。

まとめ

親の介護は誰にでも起こりうる問題ですが、それによって自分の生活を犠牲にする必要はありません。

介護の知識を身につけ、周囲の支援を上手に活用しながら、仕事や生活との両立を目指しましょう。

介護は困難な場面も多いですが、家族で支え合い、社会のサポートを活用することで乗り越えていけます。

親が住み慣れた場所で安心して過ごせるよう、また介護者自身も充実した生活を送れるよう、一緒に考えていきましょう。

監修者情報

フリーランス介護士
2013年にデイサービス兼有料老人ホームに就職。
2015年に生活相談員兼現場統括・財務管理に従事。
2017年に有料老人ホームに転職後、介護福祉士を取得。
2019年にグループホームに転職後、認知症実践者研修を修了。
2022年に訪問介護事業所の管理者に就任
2023年に居宅介護・重度訪問介護の指定取得。
2025年にフリーランス介護士として活動を開始し、現在に至る。

沼原義和
よん|Webライター|介護福祉士フリーランス
更新者

介護士として、特別養護老人ホームや有料老人ホームで5年以上の実務経験あり。

身体介助から看取りまで、現場の最前線で培った「対応力」を活かし、現在は多くの施設や介護に携わる人々の課題をサポートする役割を担う。

介護現場で感じていた「介護の難しさと尊さ」を言葉にするため、介護現場のリアルを届けるライターとしても活動中。

現場を知るからこそ書ける、読者にとって理解しやすい表現を意識し、実務に役立つ情報発信を大切にしている。

遠藤晴香(介護福祉士)
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