介護にまつわるお役立ちコラム

健康型有料老人ホームとは?メリットやデメリット、注意点を解説!

2022年02月09日

高齢者向けの施設にはさまざまな種類があるため、「違いがよくわからない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。地域のケアマネージャーに施設を紹介してもらうことも可能ですが、利用者本人や家族が施設の特性を理解したうえで判断することが重要です。

この記事では健康型有料老人ホームの特徴やメリット・デメリット、利用時の注意点などについて解説します。自分に合った施設選びを始めたい方、健康型有料老人ホームの利用を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

1健康型有料老人ホームとは?

「健康型有料老人ホーム」とは、生活に必要なサポートを受けながら自立した暮らしを続けられる高齢者向け施設です。本格的に利用することを検討している方は、具体的な特徴を理解したうえで入居後の生活をイメージしてみましょう。ここからは、健康型有料老人ホームがどのような施設なのかを以下の項目別に解説します。

  • 入居基準
  • サービス
  • 設備
  • 特徴
入居基準

健康型有料老人ホームは、集中的な介護が必要ない人向けの施設です。細かい入居条件は施設ごとに異なりますが、年齢が「60歳以上」で、おもに「自立もしくは要支援」までの人が利用できます。要介護の認定を受けていても度合いが軽度である方、排泄や入浴などの介護が必要なく自立した生活を送れる方については入居できる可能性もあります。

介護サービスを外部の業者に依頼できる施設もありますが、認知症を患っている方や介護が必要な方は受け入れを断られる可能性が高いでしょう。利用できるのは自立した生活を送れる状態の間だけなので、入居後に介護が必要な状態に変化したり、認知症の症状が出てしまったりすると退去を求められる可能性があります。

サービス

健康型有料老人ホームでは、おもに以下のサービスを受けられます。

  • 食事の手配
  • 部屋の清掃
  • 衣類やシーツ類などの洗濯
  • 見守り
  • 緊急時の対応
  • 生活相談
  • イベントの開催など

健康型有料老人ホームの特徴は、自立した生活を送れる人向けの環境である点です。入浴や排泄などの介護サービスは受けられず、おもに食事の手配や清掃など生活支援に関するサービスを受けられます。そのため、1人で生活は送れるけど年齢とともに家事が負担になってきた、誰かのサポートを受けながら余裕のある暮らしをしたいと考えている方におすすめです。また、健康型有料老人ホームでは基本的に個室内でそれぞれの時間を過ごしますが、共有スペースで開催されるイベントに参加することも可能です。イベントの内容は施設によって異なりますが、アウトドアでのイベントを開催する施設もあります。

設備

健康型有料老人ホームで就寝やトイレ、お風呂などの日常生活を送る場所は利用者専用の個室です。個室内にキッチンが設置されている施設もあり、なるべく自分で料理をしたい方や好きなときに趣味のお菓子作りなどをしたい方に向いています。入居者が共有で利用できるスペースが充実しているのも、健康型有料老人ホームの特徴です。たとえば食堂やキッチン、売店、リビング、図書室、フィットネスルーム、美容室などです。なかにはカラオケやガーデニングをするスペースが設けられている施設もあります。
また、リハビリを受けられる機能訓練室、自分で洗濯したい人向けのランドリースペースなども設置されています。設備の内容は施設によって異なり、充実度が高ければ料金も高い傾向にあります。自分に最低限必要な設備、あったら嬉しい設備などをピックアップして、理想の施設を探してみましょう。

特徴

健康型有料老人ホーム最大の特徴は、プライバシーを守りながらも他人とコミュニケーションを取りやすい環境が整っている点です。普段の生活は個室で送りながら、食事の手配や清掃など必要なサービスを受けられます。個室内にトイレや浴室があるため、水回りを他人と共有したくないと考えている方にも向いています。施設側でイベントが開催される機会も多く、入居者同士で気軽にコミュニケーションを取ることも可能です。介護サービスは受けられないものの安否確認や状況確認程度の見守りはしてもらえるため、普段は1人暮らしの方でも安心です。医療機関と連携できている施設がほとんどで、急に体調が悪くなった場合でもスムーズに対応してもらえます。毎月の料金は施設ごとに異なり、サービス内容や設備が充実している施設では料金が高額になるケースもあります。

2健康型有料老人ホームのメリット

つぎに、健康型有料老人ホームを利用することによって得られる2つのメリットについて解説します。将来的な不安を抱えている高齢者やその周りの家族にとって、施設を利用したあとの生活を具体的にイメージすることが重要です。入居することによって現在の不安が軽減されるのか、豊かな生活を送れるのかを知るためにも、まずは利用後のメリットについて把握しておきましょう。

不安を解消できる

健康型有料老人ホームを利用するメリット1つ目は、不安を解消できる点です。たとえば以下のような不安を解消しやすい環境といえるでしょう。

  • 年齢を重ねるごとに1人で家事をこなすのが負担になってきた
  • 外出する機会が減って他人との関わりが減ってきた
  • 1人でいるときに突然体調が悪くなってしまわないか不安

健康型有料老人ホームは食事の手配や清掃など基本的な生活支援を受けられるため、家事の負担を減らして身体的にも精神的にも余裕のある暮らしを送りたい方におすすめです。また、入居者同士で食事をしたりイベントに参加したりする機会も多いため、他人との関わりが減って寂しい気持ちを抱えている方にも向いています。健康型有料老人ホームは医療的なサポートはないものの、医療機関と連携をおこなうことによって緊急時でもスムーズに対応できる環境が整っています。特に1人暮らしで緊急時のサポートがなくて不安な高齢者にとっては、「いざという時は助けてもらえる」という安心感を得られるでしょう。

家族が安心できる

健康型有料老人ホームを利用するメリット2つ目は、家族が安心できる点です。高齢者の家族を持つ人にとって、以下のような不安はつきものです。

  • 栄養のある食事を摂れているのか、1人で買い物に行けているのか心配
  • 自宅で孤独な生活を送っていないか心配
  • 運動する機会が減って身体的な衰えが進行していかないか不安
  • 遠方に住んでいて緊急時にすぐ駆けつけられないことが不安

健康型有料老人ホームは栄養のある食事を手配してもらえますし、部屋も清潔に保ってもらえます。そのため買い物に行けず食事に困ったり、無理に家事をしてケガをしたりするリスクを減らせるメリットがあります。さらにスタッフの声かけや入居者同士で参加できるイベントも充実しているため、孤独な時間を過ごしていないか不安に感じている家族でも安心できるでしょう。なかにはレクリエーションとして体を動かすことを習慣化している施設もあるので、健康維持につながる環境を希望している方は施設内のイベントをしっかりチェックしておきましょう。

3健康型有料老人ホームのデメリット

つぎに、健康型有料老人ホームを利用することによって懸念されるデメリットについて見ていきましょう。まず1つ目に、介護が必要な状態になると退去しなければならない点です。健康型有料老人ホームは、自立もしくは要支援程度の人が安心できる生活を送るための施設です。要介護の度合いが軽く比較的自立した生活ができる方であれば受け入れられるケースもありますが、基本的には介護が必要になった時点で退去を求められます。身体的な衰えが進行すれば新たな施設を探す手間がかかる点を把握しておきましょう。

2つ目に、施設によっては高額な費用が必要な点です。健康型有料老人ホームを利用するには入居時の初期費用、月額料金が必要です。特に初期費用はサービス内容や設備の充実度によって変わり、なかには数千万円以上かかる施設もあります。月額料金も施設ごとに異なるため、なるべくコストを抑えたい方はいくつかの健康型有料老人ホームを比較して検討することが大切です。

要介護状態になった場合が問題

健康型有料老人ホームに入居すると、要介護状態になった場合にさまざまな問題が生じます。基本的には自立した生活を送れる人向けの施設であるため、介護サービスは受けられません。介護サービスが必要な場合は外部の業者に依頼しなければならず、健康型有料老人ホームの月額費用にプラスのコストがかかります。施設によっては要介護の状態になった時点で退去を求められます。なぜなら、介護サービスを提供する外部の業者がいない間に介護が必要になった場合、常駐しているスタッフでは対応ができないからです。要介護の状態になった場合は再度自分に合った施設を探す必要があります。高い初期費用を支払ったのにもかかわらず短期間で退去してしまっては意味がないため、数年後のこともふまえて慎重に検討する必要があります。

4健康型有料老人ホームに入る際の注意点

最後に、健康型有料老人ホームに入る際の注意点について見ていきましょう。まず、入居に必要なコストがほかの種類の高齢者施設に比べて高額になりやすい点に注意が必要です。また、毎月かかる料金についても把握せずに契約してしまうと、入居後に予算が不足してしまう可能性もあります。特に初期費用は数千万円以上かかるケースもあるため、利用者本人にとってどの程度のサービスや設備が必要なのかを慎重に見極めながら比較しましょう。

また、施設の作りによっては生活しにくい可能性がある点に注意が必要です。基本的なバリアフリーは導入されているものの、介護が必要な高齢者向けの作りにはなっていない施設がほとんどです。可能であれば事前に見学をして、トイレや浴室などが十分に動ける作りになっているかどうかを確認することをおすすめします。

健康型有料老人ホームは入居者同士で参加できるイベントが充実しているメリットもありますが、人によっては人間関係のストレスを抱えてしまう可能性があります。1人で過ごす時間を大切にしたい方は他人と交流する機会が多すぎないか、共有スペースでも静かに過ごせるかなどを確認しておきましょう。

5まとめ

この記事では健康型有料老人ホームの特徴やメリット・デメリット、利用時の注意点などについて解説しました。健康型有料老人ホームでは、自立した生活を大切にしながら必要なサポートを受けられます。ただし費用が高額になりやすい点、介護が必要になった場合は住み続けられない点などに注意が必要です。まずは利用者本人がどのように生活したいのか、将来的な不安は何なのかを明確にしたうえで、いくつかの健康型有料老人ホームを比較してみましょう。

監修者情報
株式会社Social Code CDO
廣瀬哲司(作業療法士)
コラム一覧に戻る
icon_arrow_gotop