介護にまつわるお役立ちコラム
老老介護の親が限界を迎える前に!離れて暮らす子どもができることを解説

親の老老介護が始まると、離れて暮らす子どもは何ができるのか悩みがちです。この記事では、離れた場所から親の介護を効果的にサポートする具体的な方法と、老老介護の限界を防ぐための対策を詳しく解説します。遠方に住んでいても親の自立を尊重しながら、適切なタイミングで効果的な支援をしたい方に役立つ情報をお届けします。
1老老介護とは何か

「老老介護」とは、65歳以上の高齢者が同じく高齢の配偶者や親族を介護する状況を指します。日本の高齢化が急速に進む中で、老老介護は珍しい状況ではなくなっています。
内閣府の「高齢社会白書(令和6年)」によると、65歳以上の高齢者のいる世帯のうち、「単独世帯」と「夫婦のみ世帯」を合わせると63.9%に達しています。このデータからも、多くの高齢者世帯が老老介護の状況に直面する可能性があることがわかります。
さらに、同白書の「第1章 高齢化の状況(第2節 2)」によると、要介護者等から見た主な介護者の続柄では、配偶者が22.9%を占めており、同居している主な介護者の年齢については、男性では75.0%、女性では76.5%が60歳以上となっています。このことから、いわゆる「老老介護」のケースが相当数存在していることが明らかになっています。
老老介護の背景には、核家族化の進行や子世代の就労形態の変化、地方から都市部への人口移動など、さまざまな社会的要因があります。配偶者が要介護状態になった場合、同居する高齢の配偶者が介護を担うことが多く、これが「老老介護」の典型的なパターンとなっています。
介護する側・される側双方の身体的・精神的負担
高齢者が高齢者を介護する老老介護では、介護する側もされる側もさまざまな負担を抱えることになります。
介護する高齢者にとって、自身の体力的な限界がある中での介護は大きな負担となります。特に移動介助や入浴介助など力が必要な動作では、腰痛や関節痛が生じやすくなります。高齢による筋力低下や持病がある状態での介護は、さらに身体への負担を増大させます。
また、介護による睡眠不足やストレスは、精神的な負担として大きく影響します。十分な睡眠が取れない状態が続くと、集中力や判断力が低下し、介護の質も低下する悪循環に陥りがちです。また、先の見えない介護生活への不安や孤立感から「介護うつ」に発展するケースも少なくありません。
介護うつは、長期間にわたる介護ストレスによって引き起こされ、意欲の低下、不眠、食欲不振、不安感の増大などの症状が現れます。これらの症状は徐々に進行することが多く、自覚しにくいという特徴があります。介護に時間を取られることで外部との接点が減少し、「閉じこもり」状態になりがちです。趣味の時間が削られ、友人との交流が減るなど、生活の質が低下することも精神的負担を増大させる要因となります。
老老介護夫婦が陥りやすい「共倒れ」のリスク
老老介護の最大のリスクは「共倒れ」です。介護する側も高齢であるという状況は、常に共倒れの危険性をはらんでいます。
介護者が無理をして介護を続けることで自身の健康状態が悪化し、やがて要介護状態になってしまうパターンが多く見られます。特に、持病の管理や健康診断の受診を怠りがちになることで、疾病の早期発見・治療の機会を逃してしまい、状態の急激な悪化を招くことがあります。
また、日々の介護に追われることで心身の疲労が蓄積し、免疫力の低下や身体機能の低下を招きかねません。これにより、風邪などの軽微な疾病でも重症化しやすくなったり、転倒リスクが高まったりする傾向があります。
精神面でも、閉じこもりや趣味の減少により精神的健康が損なわれ、うつ状態に陥りやすくなります。うつ状態は身体機能の回復も妨げるため、さらに状態を悪化させる要因となります。
共倒れを防ぐためには、早期からの介入が不可欠です。介護者自身が「無理をしない」「助けを求める」という意識を持ち、自分の体調管理を優先することが重要です。そして、子世代や周囲のサポートを受け入れることで、負担の分散を図ることが共倒れ防止の鍵となります。
2離れて暮らす子どもだからこそできる老親介護のサポート

遠方に住む子どもでも、老老介護の親に対して効果的なサポートができます。むしろ、距離があるからこそ客観的な視点で状況を把握し、必要な支援を見極められる利点もあります。
離れていても実践できる支援の基本は、親の自立と尊厳を尊重しながら、必要なサポートを提供することです。「いつまでも住み慣れた地域、住み慣れた家で暮らしたい」という親の希望を理解し、それを可能にするための環境整備を考えることが大切です。
直接的な身体介護はできなくても、情報収集や制度利用のサポート、専門家との連携、経済的支援など、遠方だからこそできる役割は少なくありません。また、定期的な連絡や訪問を通じて精神的な支えとなることも、非常に重要な役割です。
親の自立を支援しつつ、必要なサポートを見極めるバランス感覚が肝心です。過剰な干渉は親の自尊心を傷つけることもあれば、サポート不足は共倒れリスクを高めることにもなります。親の状況変化に応じて柔軟に支援内容を調整していくことが求められます。
定期的なコミュニケーションと実態把握の方法
離れて暮らしていても、電話やビデオ通話を活用した定期的なコミュニケーションによって、親の状況を把握することができます。特に最近ではスマートフォンやタブレットの普及により、ビデオ通話で表情や部屋の様子まで確認できるようになりました。
【効果的なコミュニケーション方法】
- 決まった曜日や時間に電話やビデオ通話をする習慣をつける
- 一方的に質問するのではなく、日常の出来事を共有する双方向の会話を心がける
- 健康状態を直接聞くのではなく、日常生活の話から間接的に把握する
親の様子を確認するポイントとしては、電話での声の元気さや話の内容の一貫性、日常の活動範囲などが挙げられます。「最近何を食べているか」「どこに出かけたか」といった質問から食事内容や活動量を推測することもできます。
ただし、親は子どもに心配をかけまいと本当の状況を隠す傾向があります。「大丈夫」と言いながらも、実は困っているケースも少なくありません。そのため、会話の中でさりげなく生活の困りごとを聞き出す技術が必要です。親の語調や会話内容から心配な兆候を見抜くためのチェックポイントとしては、以下のような点に注意するとよいでしょう。
- 同じ話を繰り返すことが増えた
- 以前は話題にしていた活動(趣味や友人との交流)について話さなくなった
- 電話の応答が遅くなった、または時間帯によって極端に声の調子が違う
- 会話中に息切れがする、または疲れた様子が見られる
- 食事内容が極端に単調になった(同じものばかり食べている)
このような兆候がある場合は、心配かけまいと本音を隠しているかもしれません。いつもより注意深くコミュニケーションをとるようにしましょう。
「数日間の同居」で見えてくる老親の日常生活
帰省時に数日間同居することで、電話やビデオ通話では見えてこない親の生活実態を把握できます。イベント的な短時間の訪問と異なり、数日間の滞在では普段の生活リズムや家事の状況、身体機能の変化などを観察することが可能です。
観察するためには最低2、3日(できれば1週間程度)の滞在が理想的です。滞在中は以下のような点に注目するとよいでしょう。
【観察するポイント】
- 親の日常生活のスケジュール(起床・就寝時間、食事の時間など)
- 食事内容や調理の様子(栄養バランス、調理の手間を省いていないか)
- 家事の状況(掃除や洗濯が適切に行われているか)
- 服薬管理の状況(薬の飲み忘れがないか、正しく管理できているか)
- 身体機能の状態(歩行の安定性、階段の上り下り、入浴の様子など)
気になる点があれば、ケアマネジャーに相談して対応方法を検討することが重要です。親が要介護認定を受けていない場合は、地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。地域包括支援センターは、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活を続けるために市役所などに設置された相談窓口です。
なお、子どもが帰省した際に親が背伸びをして普段と違う生活をする傾向があることも念頭に置く必要があります。「子どもの前では弱みを見せたくない」という心理から、無理をして普段できていない家事をしたり、体調不良を隠したりすることもあります。このような場合は、負担にならない程度に手伝いながら、さりげなく観察することが大切です。
親の住む地域でのサポートネットワークの構築
親が住む地域での人的ネットワークを構築することで、離れていても見守り体制を強化できます。
高齢者の総合相談窓口として設置されている地域包括支援センターを活用し、必要な支援につなげましょう。民生委員や自治会の世話役とのつながりも重要です。帰省時に挨拶し、親の状況や連絡先を伝えておくと緊急時に連絡がもらえます。
また、親が交流している近所の方とも関係を作り、日常的な見守りをお願いするとよいでしょう。「何かあったらご連絡ください」と自分の連絡先を渡し、急な変化があった際の対応を具体的に伝えておくことが大切です。
3実家の親の介護負担を軽減する具体的な対策

親の介護負担を軽減するためには、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせることで、切れ目のないサポート体制を構築することが重要です。親の介護状況に応じて適切なサービスを選択し、組み合わせることで、効果的に負担軽減につなげることができます。
介護サービスを導入する際のポイントは、単に「手伝ってもらう」という発想ではなく、親の自立した生活を支えるための支援という視点を持つことです。また、介護サービスは要介護者のためだけではなく、介護者の負担軽減という側面も重要です。特に老老介護の場合は、介護者自身の健康維持のためにもサービスの活用が欠かせません。
介護保険のみでは対応できない「電球交換や庭の手入れなど、自分ではできないけれど人には頼みにくい」困りごとも、民間サービスや地域の支援団体を利用することで解決できることがあります。
介護サービスを上手に活用することで、親が望む「住み慣れた家での生活」を続けながらも、介護する側・される側双方の負担を軽減し、生活の質を維持することが可能です。
介護保険サービスの適切な活用とケアマネジャーの選び方
介護保険で利用できる各種サービスは、在宅生活を支えるための重要な資源です。サービスの種類と特徴を理解し、親の状況に合わせて適切に活用することが重要です。
サービス名 | 内容 | 特徴 |
訪問介護(ホームヘルプ) | 自宅を訪問して身体介護や生活援助を行う | 食事・排泄・入浴などの介助や掃除・洗濯などの生活支援を受けられる |
訪問入浴介護 | 自宅に浴槽を持ち込んで入浴介助を行う | 自力での入浴が困難な方でも安全に入浴できる |
訪問看護 | 看護師が自宅を訪問して医療的ケアを行う | 医療処置や健康管理、療養上の相談に対応 |
デイサービス(通所介護) | 施設に通い、入浴や食事、レクリエーションなどのサービスを受ける | 日中の介護負担軽減と社会交流の機会を提供 |
ショートステイ(短期入所生活介護) | 施設に短期間入所して介護サービスを受ける | 介護者の休息や外出時の宿泊を伴う介護に対応 |
小規模多機能型居宅介護 | 「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせたサービス | 馴染みの職員による柔軟な対応が可能 |
福祉用具貸与・購入 | 介護用ベッドや車椅子などの貸与・購入費の支給 | 日常生活の自立をサポートする用具を利用できる |
住宅改修 | 手すりの設置や段差解消などの住宅改修費の支給 | 住環境の安全性向上と自立支援に役立つ |
特にデイサービスやショートステイは、介護者(高齢の親)にとってリフレッシュの機会を提供し、介護の継続に必要な休息をもたらします。定期的にこれらのサービスを利用することで、介護者の心身の疲労回復につながります。
また、良質な介護サービスを受けるためには、信頼できるケアマネジャーの存在が重要です。ケアマネジャー選びの際には、以下のようなポイントに注目するとよいでしょう。
- 親の話をしっかり聞き、希望を尊重してくれるか
- 専門知識が豊富で、適切なサービスを提案してくれるか
- 緊急時や休日でも連絡が取れる体制があるか
- 定期的に状況確認の訪問をしてくれるか
- 家族の意見も聞き入れ、バランスの取れたケアプランを作成してくれるか
ケアマネジャーとの関係構築においては、一方的に要望を伝えるだけでなく、親の生活歴や価値観、好みなどの情報も共有し、より適切なサービス選定につなげることが大切です。また、遠方に住む子どもとしては、定期的に連絡を取り合い、親の状況や気になる点について気軽に相談できる関係を築くことが重要です。
介護保険外サービスを組み合わせた生活支援の提案
介護保険では対応できない生活上の「困りごと」に対しては、介護保険外のサービスを活用することで解決できることが多くあります。
【介護保険でカバーできない主な「困りごと」】
- 電球交換などの高所作業
- 庭の手入れや草むしり
- 雪かきや台風対策などの季節的な作業
- 大掃除や窓拭きなどの大がかりな掃除
- 買い物同行や外出支援
- 日常的な話し相手や見守り
- ペットの世話
- 病院への付き添いなど
これらの困りごとに対応するサービスとしては、以下のようなものがあります。
サービス | 概要 |
民間の有料サービス | 民間の訪問介護事業所が提供する自費サービスや家事代行サービスがあります。介護保険サービスと同じ事業所で自費サービスも利用できれば、連携がスムーズで安心です。 |
シルバー人材センター | 高齢者が提供する比較的安価な生活支援サービスで、庭の手入れや家事支援などを依頼できます。地域の高齢者が担い手となるため、親との年齢が近く話が合うというメリットもあります。 |
地域のボランティア団体 | 地域によっては、ボランティア団体が高齢者の生活支援を行っている場合があります。地域包括支援センターで情報を得ることができます。 |
イチロウのような介護保険外の専門サービス | 柔軟な対応が可能な介護保険外の専門サービスを利用することで、介護保険のルールに縛られず、必要な支援を受けることができます。 |
サービスの組み合わせ方としては、定期的・継続的なサービス(定期訪問、日常的な家事支援など)と臨時的・突発的なサービス(急な通院、季節的な作業など)を上手に組み合わせることがポイントです。また、介護保険サービスの利用日と重ならないようにスケジュールを調整することで、週に複数回の見守りや支援を受けられる体制を構築することができます。
段階的なサービス利用の考え方としては、まずは親が受け入れやすい簡単な家事支援(掃除や調理など)から始め、徐々に身体介護や見守りなどのサービスに拡大していくとよいでしょう。特に老老介護の場合は、介護者の健康状態の変化に応じて柔軟にサービス内容を見直していくことが重要です。
- イチロウの訪問介護サービスで24時間安心をサポート

介護保険外の訪問介護サービス「イチロウ」は、24時間対応可能で、高いヘルパー手配率96%を誇るサービスです。介護保険ではカバーできない柔軟なサービス内容と、専門的な知識を持つヘルパーによる質の高いサポートが特徴です。
イチロウでは介護コースと看護コースの2種類のサービスを提供しています。介護コースでは、自宅内の介護(移動介助、排泄介助、食事介助、着替えのお手伝い、入浴・清拭介助、服薬の管理など)から自宅内の家事(掃除、洗濯、調理、ペットの世話、庭の手入れなど)、病院・施設内の介護、通院・外出の付き添いまで幅広くカバーしています。
看護コースでは、介護コースのサービス内容に加えて、バイタル測定・健康状態の管理、医療処置(たん吸引や経管栄養)、お薬の管理・相談、療養生活の相談・支援、終末期ケア・緩和ケア、医療機関との連携などの医療行為にも対応しています。医療的なケアが必要な方に適したサービスです。
サービス料金 | 介護コース | 看護コース |
日中基本料金(9:00〜18:00) | 3,190円(税込) | 5,500円(税込) |
夜間基本料金(18:00〜翌9:00) | 3,828円(税込) | 6,600円(税込) |
最低利用時間 | 2時間から | 2時間から |
指名料 | 330円/時間(定期利用は無料) | 330円/時間(定期利用は無料) |
往復交通費 | 別途600円 | 別途600円 |
夜間帯もすべてのサービスに対応しており、急な体調変化にも柔軟に対応できます。イチロウは現在、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府の8都市で展開中です。看護コースは現在東京23区のみの提供ですが、順次拡大予定とのことです。遠方に住む子どもにとって、親の急な通院や夜間のケアなど、自分では対応できない場面での強い味方となるでしょう。
4老老介護の限界を見極めるタイミングと次の一手

老老介護には身体的・精神的な限界があります。その限界を適切に見極め、早めの対策を講じることが、親の健康と安全を守るために重要です。
老老介護の限界を示すサインとしては、以下のようなものが挙げられます。
身体的サイン | 精神的サイン |
● 介護者の体調不良が頻繁に起こるようになった
● 要介護者の状態が悪化し、身体介助の負担が増加している ● 介護者自身が持病の管理ができなくなっている ● 介護疲れからの不眠や食欲不振が見られる ● 転倒や怪我のリスクが高まっている | ● 介護者に強い不安やイライラが増加している
● 疲労感が持続し、回復する時間がない ● 社会からの孤立感や閉じこもり傾向が強まっている ● 将来への悲観的な考えが増えている ● 介護ミスや物忘れが増加している |
このようなサインが見られたら、「限界に近づいている」と考えるべきです。早め早めの対応が重要で、状態が急変するリスクも念頭に置く必要があります。例えば、「半月前は歩けていたのに急に歩けなくなる」といった急激な変化は高齢者には珍しくありません。
限界に近づいたと感じたときは、以下の段階的な行動計画を検討しましょう。
- 地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに相談する
- 介護保険サービスの利用量を増やす、または新たなサービスを導入する
- 介護保険外サービスなどの追加支援を検討する
- 子どもが一時的に同居する、または近隣に引っ越すことを検討する
- 施設入居を含めた代替案を検討する
介護に対する不安や迷いが生じたときこそ、専門家に相談することが重要です。一人で抱え込まず、周囲のサポートを積極的に活用することで、適切な対応策を見つけることができます。
施設入居を検討すべき状況とその見極め方
在宅介護から施設介護への移行を検討すべき状況には、以下のようなケースがあります。
- 介護者自身の健康状態が悪化し、介護の継続が困難になった
- 要介護者の認知症症状が進行し、在宅での見守りや介護が困難になった
- 医療的ケアの必要性が高まり、専門的な対応が常時必要になった
- 転倒や徘徊などの事故リスクが高まり、安全確保が難しくなった
- 老老介護の両者が共に要介護状態となった
これらの状況が見られた場合は、施設入居を検討する時期と言えるでしょう。
施設の種類 | 特徴 |
特別養護老人ホーム(特養) | 要介護3以上が対象、介護度が高い方向け、費用は比較的安価だが待機期間が長い |
介護老人保健施設(老健) | リハビリに重点、在宅復帰を目指す方向け、3〜6ヶ月の入所が一般的 |
介護医療院 | 医療ケアと介護を同時に受けられる、長期療養向け、医療依存度の高い方に適している |
介護付き有料老人ホーム | 介護スタッフが常駐、さまざまなサービスが充実、費用は比較的高め |
住宅型有料老人ホーム | 生活支援サービスはあるが介護は外部サービスを利用、自立度の高い方向け |
グループホーム | 認知症の方が対象、家庭的な環境で少人数での共同生活 |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 安否確認・生活相談サービスあり、自立度の高い方向け |
施設選びでは、待機期間や費用面も重要なポイントです。特に特養は数年の待機期間が必要なことが多いため、早めの申し込みが必要です。施設見学の際は、スタッフの対応や入居者の様子、衛生状態、食事内容、緊急時の対応などをチェックしましょう。
高齢者の状態は急変することもあります。半月前まで歩けていたのに急に歩行困難になるなど、状況が一気に変わることも珍しくありません。そのため、在宅介護を続けながらも施設入居の準備を並行して進めておくことが賢明です。
親の希望を尊重した介護プランの立て方
親の希望や価値観を尊重した介護プランを立てることは、QOL(生活の質)を維持するために非常に重要です。まずは親の意思を引き出すための会話を重ね、どのような生活を望んでいるのかを理解することから始めましょう。
自宅で最期まで過ごしたいという希望がある場合は、訪問介護や訪問看護、24時間対応のサービスなどを組み合わせた在宅介護体制を構築します。一方、施設入居を視野に入れている場合は、早期から複数の施設を見学し、入居予約や申し込みの手続きを進めておくことが大切です。
将来の認知症リスクも考慮し、元気なうちに親の意思を確認しておくことも重要です。特に医療や介護に関する事前指示(希望する治療方針や終末期医療の考え方など)を話し合い、書面に残しておくことで、親の意思に沿った対応ができます。
介護プランは定期的に見直しが必要です。親の状態変化や新たなサービスの利用可能性に応じて、柔軟に修正していきましょう。また、親が望んでいない対応策(呼び寄せや同居など)は、たとえ子どもが良かれと思っても、うまくいかないことが多いため、親の意向を尊重することが大切です。
5老老介護を前向きに乗り越えるための家族の心構え

老老介護は家族全体で取り組むべき課題です。離れて暮らす子どもも含め、家族それぞれができることを考え、協力していくことが重要です。
まず基本的な心構えとして、老老介護は高齢の親だけで抱え込むものではなく、家族全体で支えるものだという認識を持ちましょう。遠方に住む子世代は「何もできない」と思いがちですが、できることとできないことを明確にし、できる範囲で積極的に支援することが大切です。
また、「介護=家族がするもの」という固定観念から脱却し、社会資源を積極的に活用する視点も重要です。介護保険サービスや民間サービスなど、外部の力を借りることで、家族全体の負担を軽減できます。
介護には負担やストレスばかりではなく、家族の絆が深まるというポジティブな側面もあります。共に親の老後を支えることで、家族の結束が強まったり、新たな家族の姿を再発見したりする機会にもなります。何より大切なのは、介護の負担と責任を一人で抱え込まないことです。家族間でのコミュニケーションを密にし、互いに支え合う体制を作りましょう。
介護者(親)自身の休息とリフレッシュの確保方法
介護する親自身の休息確保は、共倒れを防ぐために極めて重要です。介護の継続には、介護者自身の心身の健康維持が不可欠だということを理解してもらいましょう。
介護者の休息時間を確保するために、デイサービスやショートステイを定期的に利用することをおすすめします。例えば、週に2〜3回のデイサービス利用で日中の時間を確保したり、月に1回程度のショートステイで連続した休息時間を作ったりすることで、介護者がリフレッシュする機会を設けることができます。また、介護者が自分の趣味や楽しみを続けられる環境づくりも大切です。
介護からいったん離れる時間を作ることは、心理的な効果も大きいです。「夜ぐっすり眠れる日があるだけで、気持ちが全然違う」と語る介護者は少なくありません。安心して休める時間があることで、介護へのモチベーションも維持できます。
「自分の時間」を確保することへの罪の意識を感じる介護者も多いものです。しかし、自分を犠牲にした介護は長続きせず、結果的に両者の生活の質を下げることになります。介護者の休息は「贅沢」ではなく「必要なケア」であることを家族全体で認識し、遠慮なく休息が取れる雰囲気づくりを心がけましょう。
家族全体で取り組む介護の在り方と役割分担
家族全体で介護を支えるためには、それぞれの状況に応じた適切な役割分担が重要です。家族の距離、時間的余裕、スキル、経済力などに合わせて、できることを分担しましょう。
遠方に住む家族でもできるサポートとしては、情報収集(介護サービスや制度の調査)、書類手続き(介護保険の申請補助など)、経済的支援(サービス利用料の負担など)、専門家との連絡調整(ケアマネジャーとの定期連絡など)などがあります。また、定期的な電話やオンライン通話で親の話し相手になることも大切な役割です。
定期的な家族会議を開催し、親の状況や課題を共有することも効果的です。オンラインツールを活用すれば、遠方の家族も参加できます。話し合いでは現状の確認だけでなく、今後起こりうる変化や対応策についても検討しておくとよいでしょう。
6まとめ
老老介護は、高齢者が高齢者を介護するという特有の難しさがありますが、適切なサポート体制を構築することで、親の自立と尊厳を守りながら安心できる生活環境を整えることができます。遠方に住む子どもだからこそできるサポートもあり、定期的なコミュニケーションや帰省時の観察、地域のサポートネットワーク構築などが重要です。
介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせることで、親の介護負担を軽減できます。特にイチロウのような24時間対応の介護保険外サービスは、レスパイトケア(介護者の休息)の重要なソリューションとなります。これにより、介護者の休息時間を確保し、心身の健康を維持することができます。
老老介護の限界のサインを見逃さず、早めの対策を講じることが共倒れを防ぐ鍵です。家族全体で介護に取り組み、それぞれができる役割を果たすことで、持続可能な介護環境を作りましょう。親が望む生活を尊重しながら、必要に応じた支援を提供することで、親も子も安心できる老後の生活を実現することができます。
7よくある質問
老老介護の親を支えたい気持ちはあるものの、遠方に住んでいることで「何もできない」と感じている方や、親が支援を拒否して困っている方から多くのご相談をいただきます。また、介護サービスの費用負担や、いつまで在宅介護を続けられるのかといった将来への不安についても、具体的なアドバイスを求める声が寄せられています。
以下では、老老介護に関してよく寄せられる質問について、実践的な解決策をお答えします。
Q1. 遠方に住んでいても本当に親の役に立てるのでしょうか?
はい、効果的にサポートできます。定期的な電話やビデオ通話での安否確認、帰省時の生活実態観察、地域包括支援センターやケアマネジャーとの連携、介護サービスの情報収集や手続き支援が可能です。地域での見守りネットワーク構築や経済的支援も重要な役割です。
Q2. 親が介護サービスの利用を嫌がる場合はどうすればよいですか?
まず親の気持ちを理解し、段階的なアプローチを心がけましょう。「お試し」として短時間利用から始めたり、「配偶者の負担軽減のため」という理由で提案すると受け入れやすくなります。同性ヘルパーの希望や相性の良いスタッフ選び、地域包括支援センターからの専門的説明も効果的です。
Q3. 介護サービスの費用はどのくらいかかり、誰が負担するべきでしょうか?
介護保険サービスは原則1割負担で、要介護1なら月額約1.6万円程度です。介護保険外サービスは全額自己負担となります。まず親の年金や貯蓄で賄えるか確認し、不足分を子世代で分担するのがよくある例です。きょうだいがいる場合は経済力や距離に応じて役割分担し、定期的に見直しましょう。
Q4. 老老介護の限界はどのように見極めればよいですか?
介護者の体調不良頻発、持病管理困難、転倒リスク増加などの身体的サインと、強い不安やイライラ、疲労感持続、孤立感、介護ミス増加などの精神的サインがあります。複数のサインが見られた場合は限界のサインです。地域包括支援センターやケアマネジャーに相談し、段階的対応策を検討しましょう。