介護にまつわるお役立ちコラム

通所介護(デイサービス)とは?目的やサービス内容・利用対象者・特徴を解説

2025年06月10日

高齢者が住み慣れた地域や自宅で自立した生活を続けるために、重要な役割を果たしているのが「通所介護(デイサービス)」です。日帰りで介護施設に通い、食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどの支援を受けられるこのサービスは、利用者の心身機能の維持・向上だけでなく、介護を担う家族の負担軽減にもつながります。また、認知症対応型やリハビリ特化型など、目的に応じた多様な形態が用意されているのも特徴です。

 

本記事では、通所介護の基本的な内容から、対象者や利用条件、サービス内容、費用、他の介護サービスとの違いまでをわかりやすく解説します。これからデイサービスの利用を検討している方やご家族の方は、ぜひ参考にしてください。

1通所介護(デイサービス)とは

通所介護(デイサービス)は、要介護状態となった高齢者が日帰りで介護施設に通い、日常生活上の支援や機能訓練などを受けるサービスです。自宅で暮らしながら必要な介護サービスを受けられる在宅介護サービスの一つとして、多くの高齢者とその家族に利用されています。

 

ここでは「デイサービス」と「通所介護」の呼称の関係や、厚生労働省が定める基本理念について説明します。

「デイサービス」と「通所介護」の関係性

「通所介護」は介護保険制度における正式名称であり、「デイサービス」はその一般的な通称です。「デイサービス」という呼称は英語の「day service(日帰りサービス)」に由来しています。

 

介護の現場では両方の呼称が広く使われており、公的文書やケアプランでは「通所介護」、日常会話では「デイサービス」と呼ばれることが多いですが、両者は同じサービスを指しています。制度上の違いはなく、利用できるサービス内容や対象者も同一です。

厚生労働省による通所介護の定義と理念

厚生労働省は通所介護の基本方針について次のように定義しています。

 

「通所介護の事業は、要介護状態となった場合においても、その利用者が可能な限りその居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう生活機能の維持又は向上を目指し、必要な日常生活上の世話及び機能訓練を行うことにより、利用者の社会的孤立感の解消及び心身の機能の維持並びに利用者の家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るものでなければならない」

 

この定義が示すように、通所介護は単なる介護サービスにとどまらず、利用者の「自立支援」と「家族の負担軽減」の両立を目指す在宅介護サービスであることが強調されています。

 

とくに、高齢者の社会的孤立感の解消や、定期的な集団活動による精神的充足の機会が意図されており、身体的なケアと同時に「心のケア」にも重点を置いた制度設計がなされています。

 

参考:厚生労働省|通所介護及び療養通所介護(参考資料)

2通所介護(デイサービス)が果たす役割と機能

通所介護(デイサービス)は、要介護状態にある高齢者の在宅生活を支える重要なサービスです。単なる日中の居場所提供にとどまらず、利用者の自立支援から家族の負担軽減、さらには地域福祉の向上まで多面的な役割を担っています。

 

ここでは、通所介護サービスが果たす主要な機能と社会的役割について解説します。

高齢者の自立支援と生活機能の維持

通所介護の最も重要な機能は、高齢者の自立した生活継続を支援することです。個別機能訓練では、日常生活動作の維持・向上を目的として、座る・立つ・歩くなどの基本動作から、トイレや入浴といった生活行為まで、自分でできる範囲を広げることを目指します。

 

たとえば、「立ち上がりが不安定な方に対して椅子からの立ち上がり訓練を行う」「嚥下体操で誤嚥を予防する」など、個別性を重視した支援が一例です。

 

平成27年度の調査によると、約6割の利用者が通所介護利用後も介護度を維持しており、重度化防止に効果を発揮しています。また、定期的な外出機会の提供は生活リズムの維持に役立ち、自宅に引きこもることなく活動的な生活を送ることで、寝たきり状態への移行を予防する役割も果たしているのです。

社会的孤立感の解消と介護者負担の軽減

通所介護は利用者の社会的孤立感の解消に貢献しています。レクリエーションや食事を通じた他の利用者やスタッフとの交流は、高齢者の精神面にポジティブな効果をもたらします。

 

調査では約70%の利用者が「以前より気分が晴れるようになった」と回答しています。同時に家族介護者の負担軽減も重要な役割です。要介護度が重いほど「介護負担が軽減された」という回答率が高く、要介護5では約85%に達しています。特に仕事と介護の両立においては、7時間以上のサービス利用で約73%が「両立しやすくなった」と回答しており、家族の生活の質向上に大きく寄与しているのです。

 

参考:厚生労働省|通所介護及び療養通所介護(参考資料)

通所介護が地域福祉に与える影響

通所介護は地域福祉の向上にも貢献しています。平成28年から創設された地域密着型通所介護では、運営推進会議の設置が義務付けられ、利用者や家族、地域住民、行政関係者などが参加して事業所の活動を評価・検討する仕組みが整備されました。

 

また、生活相談員の専従要件緩和により、地域連携の拠点としての機能が強化されています。通所介護事業所数は平成19年度比で約2.1倍に増加し、特に地域密着型サービスへの移行が進んだ小規模事業所の増加が顕著です。このように通所介護は、地域における介護の受け皿として、また在宅生活継続の支援拠点として機能しています。

 

参考:厚生労働省|通所介護及び療養通所介護(参考資料)

3通所介護(デイサービス)の利用対象者と条件

通所介護(デイサービス)は、主に65歳以上の方が対象となりますが、40歳以上65歳未満でも特定の疾病に該当する場合は利用が可能です。

 

ここでは、通所介護を利用するための条件や対象者について説明します。

年齢区分認定区分利用可否受けられるサービス条件・備考
65歳以上要介護1〜5通所介護ケアプランへの記載が必要
要支援1〜2介護予防通所介護地域支援事業として実施
自立(非該当)×なし市町村の独自サービスを利用可能な場合あり
40〜64歳要介護1〜5通所介護特定疾病に該当し、医療保険加入者であること
要支援1〜2介護予防通所介護特定疾病に該当し、医療保険加入者であること
自立(非該当)×なし市町村の独自サービスを利用可能な場合あり
40歳未満区分なし×なし障害福祉サービスなど別制度の利用を検討

要介護認定を受けた方の利用条件

通所介護(デイサービス)を利用するためには、要介護1〜5の認定を受けていることが基本条件です。要介護度によってサービスの利用限度額は異なりますが、サービス内容自体に大きな違いはありません。利用者の状態や希望に応じて3時間から9時間程度の時間区分から選択できます。

 

統計データによると、要介護1・2の方が全体の約7割を占め、ています。サービス利用までの流れは、まず市区町村の窓口で要介護認定を申請し、認定結果を受けた後にケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成します。このケアプランに通所介護を組み込むことで、正式に利用が可能となります。

40歳以上65歳未満の特定疾病該当者の場合

40歳以上65歳未満の方でも、特定疾病に該当する場合は介護保険サービスとしての通所介護を利用できます。特定疾病とは、介護が必要となる可能性が高い疾病として厚生労働省が定めたもので、脳血管疾患、がん末期、関節リウマチなどの16種類の疾病が指定されています。

 

利用条件としては、これらの特定疾病に罹患していることに加え、医療保険加入者であることが必要です。利用手続きは65歳以上の方と基本的に同じですが、特定疾病に該当することを証明する医師の意見書が重要となります。市区町村の窓口で要介護認定を申請し、認定結果に基づいてケアプランを作成します。特定疾病による要介護者の通所介護利用は全体の約1割程度となっています。

要支援認定者向けの介護予防通所介護

要支援1・2と認定された方は、介護予防通所介護サービスを利用することができます。このサービスは、要介護状態への進行を防ぐことを主な目的としています。サービス内容は通常の通所介護と似ていますが、より予防的な要素が強く、筋力向上や栄養改善、口腔機能向上などのプログラムが重視されます。

 

介護予防通所介護の特徴として、利用回数によらず月額定額制となっており令和3年度の介護報酬改定では要支援1が月額1,672単位、要支援2が月額3,428単位と設定されています。

 

これは要支援1の場合月4回程度、要支援2の場合月8回程度の利用を想定した金額です。サービス利用の窓口は地域包括支援センターとなり、介護予防ケアプランの作成を依頼することから手続きが始まります。

4通所介護(デイサービス)の規模と種類

通所介護(デイサービス)は、利用者数の規模や提供するケアの専門性によっていくつかの種類に分けられています。規模の違いは利用者にとっての雰囲気や料金に影響するほか、利用者のニーズに合わせた専門的なケアを提供する施設も増えています。

 

ここでは、通所介護の規模による分類と専門的なケアのタイプ、さらにはお泊りサービスについて解説します。

利用者数による4つの規模分類

通所介護は月間の平均利用延べ人員数や利用定員に基づいて、4つの規模に分類されています。規模が小さいほど一人あたりの管理的経費が高いため、基本報酬単価も高く設定されています。

種類規模
地域密着型月間利用者数300名以下(定員18名以下)
通常規模型月間利用者数301名~750名以下
大規模型(I)月間利用者数751名~900名以下
大規模型(II)月間利用者数901名以上

小規模な地域密着型は家庭的な雰囲気で個別対応に優れる一方、大規模型はにぎやかで多様なプログラムが楽しめる傾向があります。利用者の性格や好みに合わせた施設選びが重要で、内向的な方は少人数の施設が、社交的な方は大規模な施設が向いていることもあるでしょう。

専門的ケアに対応した多様なタイプ

通所介護には一般的なデイサービスに加え、利用者の状態や必要なケアに応じた専門的なタイプが存在します。一般型デイサービスは健康チェックや食事、入浴、レクリエーションなどの基本サービスを提供する最も一般的な形態です。

 

これに対し、認知症の方向けの「認知症対応型」、身体機能の回復を目指す「リハビリ特化型」、医療的ケアが必要な方向けの「療養型」などの専門型サービスがあります。

 

以下では、それぞれの専門型デイサービスの特徴について解説します。

  • 認知症対応型デイサービス

認知症対応型デイサービスは、認知症と診断された方や認知症の疑いのある方を対象とした専門的なケアを提供するサービスです。利用条件としては、要介護1以上と認定され、認知症の診断を受けていることが基本となります。

 

一般型との大きな違いは、認知症の方への対応に特化した専門知識を持つスタッフの配置や、認知症の特性に合わせたプログラム内容です。事業所タイプとしては、単独で運営する「単独型」、病院や特別養護老人ホームなどに併設される「併設型」、グループホームの共用スペースを利用する「共用型」の3種類があります。

 

特に共用型は少人数での落ち着いた環境で過ごせるため、環境の変化に敏感な認知症の方に適しています。認知症の進行を遅らせるための回想法や脳トレーニングなど、認知機能の維持に重点を置いたケアが行われているのが特徴です。

  • リハビリ特化型デイサービス

リハビリ特化型デイサービスは、身体機能の維持・回復を目的とした専門的なリハビリテーションを受けたい方向けのサービスです。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職が常駐し、一人ひとりの身体状況に合わせた個別プログラムを提供します。

 

一般型デイサービスと異なる大きな特徴は、サービス提供時間が短く設定されている点です。多くの場合、午前・午後各2~3時間程度のサービス提供となり、利用者が入れ替わる形で運営されています。このタイプのデイサービスは、病院を退院した後のリハビリテーションの継続や、「介護予防」に取り組みたい比較的軽度の要介護者に適しています。

 

食事や入浴などの生活支援サービスよりも、機能訓練に特化したプログラムが中心となるため、日常生活の基本動作の改善を目指す方に向いています。

  • 療養型デイサービス

療養型デイサービスは、医療的ケアを必要とする重度の要介護者やがん末期の方を対象としたサービスです。対象者は、難病や認知症、脳血管疾患後遺症などを有する重度者またはがん末期の方で、サービス提供にあたり常時看護師による観察が必要な方に限定されています。

 

定員は18名以下と少人数で、看護職員または介護職員の配置も利用者1.5人に対して1人以上と手厚くなっています。常勤の看護師が必ず配置され、医療機関との密接な連携体制が整えられているのが特徴です。提供されるサービスとしては、医療的管理下での入浴や排泄、食事などの日常生活上の世話と機能訓練が中心です。

 

利用者の終了者の転帰を見ると、死亡や入院の割合が高く、医療依存度の高い方の在宅生活を支える重要な役割を果たしています。

お泊りデイサービスの特色と利用方法

お泊りデイサービスは、通常のデイサービスを利用した後に、そのまま施設に宿泊できるサービスです。通いなれた環境での宿泊となるため、利用者にとって精神的な負担が少ないのが大きな特徴です。

 

日中のデイサービスは介護保険が適用されますが、宿泊サービス部分は全額自己負担となります。料金は施設によって異なりますが、一般的に1泊3,000円~5,000円程度と、介護保険施設やショートステイと比較してリーズナブルな設定になっていることが多いです。

 

家族の冠婚葬祭や急な外出、介護疲れからの休息が必要な場合など短期的な利用に適しています。利用の際は事前に施設に予約が必要で、利用者の体調や持病について伝えておくことが重要です。ただし、夜間の人員体制には注意が必要で、緊急時の対応について確認しておくことをおすすめします。

5通所介護(デイサービス)で提供される主なサービス内容

通所介護(デイサービス)では、利用者の自立支援と生活機能の維持・向上を目指して、さまざまなサービスが提供されています。日常生活に必要な食事や入浴介助といった基本的なケアから、身体機能を維持するための機能訓練、生活に楽しみをもたらすレクリエーションまで、利用者の心身両面をサポートするサービスが用意されています。

 

ここでは、通所介護で提供される主なサービス内容について解説します。

食事サービスと栄養管理のサポート

通所介護では、利用者の健康維持に欠かせない食事サービスが提供されています。一般的に昼食とおやつが提供され、栄養バランスを考慮したメニュー構成となっています。

 

高齢者の体調や持病に合わせた対応も充実しており、減塩食や糖尿病食などの特別食、また咀嚼や嚥下機能に応じたきざみ食やミキサー食など、利用者の状態に合わせた食事形態も用意されています。自宅での食事では栄養面での偏りが生じやすい高齢者にとって、デイサービスでの食事は栄養バランスを整える重要な機会となります。

 

食事中はスタッフが常に見守り、必要に応じて食事介助も行うため、安心して食事を楽しむことができる環境が整えられています。

入浴介助と身体ケアの実施方法

通所介護の重要なサービスの一つが入浴介助です。自宅での入浴が困難な高齢者にとって、専門のスタッフによるサポートのもとで安全に入浴できる環境は大きな魅力となっています。

 

入浴方法は利用者の身体状況に応じて3つのタイプから選択されます。

種類入浴方法対象者特徴
一般浴個人浴または大浴場での入浴自立歩行ができる方必要に応じてスタッフが介助しながら、利用者自身が身体を洗う
中間浴専用の入浴用車椅子を使用した入浴座位を保てるが自立歩行が難しい方車椅子からリフトなどを使って浴槽に移動し、座ったまま入浴が可能
特殊浴ストレッチャーなどの設備を使用した入浴寝たきりなど重度の要介護者横になったままの状態で入浴できるため、身体への負担が少ない

入浴時には利用者のプライバシーに十分配慮しながら、安全かつ快適に入浴できるよう介助が行われます。また、入浴を通じて皮膚の状態確認など身体状況の把握も行われ、健康管理の面でも重要な役割を担っています。安全で適切な入浴介助は、在宅での介護負担軽減にも大きく貢献しています。

機能訓練と日常生活動作の維持向上

通所介護では、利用者の日常生活機能の維持・向上を目的とした機能訓練が提供されています。一般的なデイサービスでの機能訓練は、医師の指示に基づくリハビリテーションとは異なり、日常生活を送るために必要な基本的な動作の維持を目指したものです。

 

主な訓練内容には、歩行訓練、関節の拘縮予防のための体操、食事の際の飲み込みをスムーズにするための嚥下体操、唇や舌の筋肉を鍛える口腔体操などがあります。

 

個別機能訓練加算を取得している施設では、機能訓練指導員(理学療法士、作業療法士、看護師など)が利用者一人ひとりの状態に合わせた訓練計画を作成し、座る・立つ・歩くといった基本動作の改善から、トイレや入浴などの生活行為の自立を目指した訓練まで、きめ細かい指導が行われています。利用者の能力に応じた適切な機能訓練は、在宅生活の継続に欠かせない支援となっています。

レクリエーションと社会交流の促進

通所介護では、利用者の心身機能の活性化と社会的交流を促進するためのレクリエーション活動が重視されています。これらの活動は、身体機能の維持だけでなく、他者との関わりを通じて社会的孤立を防ぎ、精神面での健康維持にも大きく寄与します。

 

一般的なレクリエーションとしては、ラジオ体操などの軽い運動、カルタやボール遊びなどのゲーム、折り紙や編み物といった創作活動、季節の行事を楽しむイベントなどが行われています。施設によっては、書道や園芸、音楽療法など専門性の高いプログラムを提供しているところもあります。

送迎サービスによる利便性の確保

通所介護の大きな特徴として、自宅と施設間の送迎サービスが挙げられます。この送迎サービスは通所介護の基本サービスの一部として位置づけられており、利用料に含まれているため追加料金は発生しません。専用の送迎車両によって、朝は自宅から施設へ、夕方は施設から自宅へと安全に送迎が行われます。

 

送迎時には、乗降の際の介助はもちろん、自宅内での移動の補助など必要に応じたサポートも提供されます。平成27年度の介護報酬改定では、送迎時に実施した居宅内介助等を通所介護の所要時間に含めることが認められ、よりきめ細かなサービス提供が可能となりました。

 

送迎サービスがあることで、家族が仕事などで不在の場合でも安心して通所介護を利用できるため、介護と仕事の両立を支援する重要な役割を担っています。一方で、送迎を行わない場合は片道47単位(約470円)が減算される仕組みとなっています。

6通所介護(デイサービス)の利用手続きと費用

通所介護(デイサービス)を利用するには、介護保険制度に基づいた所定の手続きが必要です。また、費用面では介護保険の適用部分と自己負担部分を理解しておくことが重要になります。

 

以下、利用開始までの流れや費用の仕組み、加算サービスの内容、さらには適切な施設選びのポイントまで、通所介護を利用する際に知っておきたい手続きと費用の情報を解説します。

介護保険制度における利用の流れ

通所介護の利用を始めるには、介護保険制度に基づいた以下の手順が必要です。

 

まずに、市区町村の介護保険窓口で要介護認定の申請を行います。申請に必要な書類は、介護保険要介護認定・要支援認定申請書、介護保険被保険者証または医療保険被保険者証、そして主治医意見書です。

 

申請後、調査員が自宅を訪問して心身の状態や日常生活の様子を調査し、この結果をもとに要介護度が判定されます。

 

次に、認定結果を受けてケアマネジャーと相談しながらケアプランを作成します。このケアプランには利用する介護サービスの種類や頻度、利用方法などが記載されます。

 

最後に、希望するデイサービスの施設を見学し、納得できれば申し込みを行います。

 

なお、申請からサービス開始までは1ヶ月程度かかることが一般的です。わからないことがあれば地域包括支援センターに相談すると親切に案内してもらえるでしょう。

費用の仕組みと自己負担額の目安

通所介護の費用は、大きく分けて「利用料」「サービス加算」「その他実費」の3つで構成されています。利用料は介護保険が適用される基本的な費用で、利用者の要介護度と滞在時間によって決まります。

 

たとえば、要介護1の方が7時間以上8時間未満の通常規模型デイサービスを利用した場合、1回あたり658単位(約6,580円)が基本報酬となり、そのうち原則1割の約658円が自己負担となります。ただし、65歳以上で一定以上の所得がある方は2割または3割負担になることがあります。

 

サービス提供地域によって単位の単価が異なるため、同じサービスでも地域によって費用に差が生じる場合があります。通所介護の利用者負担額は、加算サービスや食費などの実費を含めて1回あたり1,000円~2,000円程度が一般的です。

 

ただし、施設の規模や提供サービス、地域によっても異なるため、利用前に必ず確認しておくことが大切です。

加算サービスと追加料金

通所介護では、基本の利用料に加えて、利用者の状態や必要性に応じた加算サービスが提供されています。これらの加算も介護保険が適用され、原則として1割~3割の自己負担となります。

主な加算サービス内容料金目安
入浴介助加算入浴時の観察や介助、入浴中のサポートを行う40~55円/日
口腔機能向上加算口腔機能の改善のための個別指導や計画作成を実施150~160円/回
栄養改善加算栄養状態の改善のための個別相談や栄養ケア計画の作成150~200円/回

また、介護保険適用外の「その他実費」として、食費、おやつ代、日用品費などは全額自己負担となります。食費は施設によって異なりますが、一般的に昼食は500~1,500円程度です。おむつや歯ブラシなどの日用品は、施設が用意したものを使用した場合に料金が発生しますが、多くの施設では自宅からの持ち込みも可能です。

 

イベント参加費や材料費なども実費負担となるケースが多いため、利用前に各施設の料金体系を確認しておくことをおすすめします。月々の費用負担の目安を把握するためにも、加算サービスと実費についての詳細を事前に確認しておくと安心です。

施設選びのポイント

通所介護施設を選ぶ際には、事前の見学が非常に重要です。可能であれば利用者本人と一緒に訪問し、実際の雰囲気を確認しましょう。選ぶポイントとして、まず「利用目的」を明確にすることが大切です。リハビリ重視なのか、入浴や食事などの生活支援が目的なのかによって適した施設は異なります。

 

次に「利用者の性格」を考慮し、少人数で落ち着いた環境が合う方もいれば、多くの人と交流できる賑やかな環境が好ましい方もいます。「送迎時間」は生活リズムに合っているか、「衛生面」では施設全体の清潔さをチェックしましょう。

 

「職員の対応」が丁寧で親しみやすく、信頼できる人柄かどうかも重要なポイントです。「食事」については、利用者の健康状態に合わせた対応(食事形態の調整など)が可能かを確認し、「サービス内容」では入浴方法やレクリエーション、健康チェック、機能訓練の内容が利用者のニーズに合っているかをチェックします。

 

初めての見学では緊張することもありますが、他の利用者の様子や職員の対応をよく観察し、安心して通える施設を選ぶことが大切です。

7通所介護(デイサービス)と他のサービスとの比較

介護サービスを選ぶ際は、利用者の状態や目的に合わせて最適なサービスを選択することが重要です。通所介護(デイサービス)以外にも、デイケア(通所リハビリテーション)、小規模多機能型居宅介護、訪問介護など、さまざまな選択肢があります。また、介護保険外のサービスを活用することで、より柔軟な介護環境を整えることも可能です。

 

ここでは、通所介護と他のサービスとの違いや連携方法について解説します。

デイケア(通所リハビリテーション)との違い

通所介護(デイサービス)とデイケア(通所リハビリテーション)は一見似ていますが、目的や提供体制に大きな違いがあります。最大の相違点は利用目的にあり、通所介護が生活支援と家族の負担軽減を主な目的とするのに対し、デイケアは医療的な支援とリハビリを中心としています。

比較項目通所介護(デイサービス)デイケア(通所リハビリテーション)
利用目的生活支援と家族の介護負担軽減身体機能の維持・回復のためのリハビリテーション
対象者要介護1~5の方要介護1~5の方、要支援1~2の方
サービス内容入浴・食事など生活支援がメイン専門的なリハビリがメイン
人員体制介護職員が主、生活相談員が在籍医師や看護職員が常駐、リハビリ専門職が在籍
費用1回1,000~2,000円程度通常、デイサービスより高額

特に病院を退院した後のリハビリを継続したい場合や、専門職による治療的アプローチが必要な場合は、デイケアの利用が適しています。一方で、日常生活の支援が主な目的であれば通所介護が適しているでしょう。

小規模多機能型居宅介護との違い

小規模多機能型居宅介護は、「訪問」「通い」「泊まり」の3つのサービスを一体的に提供する総合的な介護サービスです。

 

通所介護との大きな違いは、サービスの柔軟性と利用方法にあります。

比較項目通所介護(デイサービス)小規模多機能型居宅介護(通いの場合)
サービス形態日帰りの通所のみ「訪問」「通い」「泊まり」の3サービスを組み合わせて利用可能
利用方法決められた日時・プログラムで利用必要に応じて柔軟に利用可能
柔軟性プログラムや時間が固定的必要なときに必要なサービスだけを受けられる
定員規模により異なる(地域密着型は18名以下)おおむね25名以下(通いは登録定員の1/2~2/3)
サービス内容レクリエーション、食事、入浴など全体プログラム必要なサービスのみを選択可能(食事のみ、入浴のみなど)

小規模多機能型居宅介護のメリットは、その柔軟性にあります。急な体調変化や介護者の都合に合わせて、スポットでの利用が可能です。

 

一方でデメリットとしては、月額定額制のため利用回数が少ない場合でも費用が変わらず、また利用者の空き状況によってはすぐに利用できない場合もあります。利用者の生活スタイルやニーズに合わせた選択が重要となります。

訪問介護との補完関係

通所介護と訪問介護は、提供場所や内容が大きく異なりますが、組み合わせて利用することで在宅生活の質を高めることができます。

 

両サービスの主な違いと補完関係を見ていきましょう。

 

【通所介護と訪問介護の比較と補完関係】

比較項目通所介護(デイサービス)訪問介護
サービス場所施設(利用者が通う)自宅(ヘルパーが訪問)
移動送迎サービスあり移動の必要なし
時間制限3~9時間の範囲で定められた時間短時間(30分程度)から利用可能
主なサービス食事、入浴、レクリエーション、機能訓練身体介護、生活援助
集団/個別集団でのサービス提供が基本個別対応
利用目的例日中の居場所確保、社会交流、家族のレスパイト朝夕の身体介助、家事援助

両サービスを組み合わせることのメリットは大きく、たとえば平日日中はデイサービスに通い、朝晩の食事準備や身体介助は訪問介護を利用するといった利用方法が考えられます。

 

デイサービスでの集団活動と社会交流、訪問介護での個別ケアという特性を活かした補完的な利用が、在宅生活を継続するために有効です。

 

利用者の生活リズムや家族の状況に合わせて、ケアマネジャーと相談しながら最適な組み合わせを見つけることが大切です。

24時間対応の訪問介護サービス「イチロウ」

「イチロウ」は、介護保険では対応できない介護・生活支援を24時間体制で提供する介護保険外の訪問介護・看護サービスです。介護福祉士などの資格を持つ専門スタッフが、利用者の自宅での生活をさまざまな角度からサポートします。介護保険サービスだけでは対応しきれないニーズに柔軟に対応できるのが特徴です。

 

【主なサービス内容】

  • 自宅内の介護(移動介助、排泄介助、食事介助、入浴介助など)
  • 自宅内の家事(掃除、洗濯、調理、ペットの世話など)
  • 通院・外出の付き添い(診察の聞き取り、買い物同行など)
  • 病院・施設内の介護(夜間の見守り、入浴サポートなど)

サービス利用者からは「あらゆる介護ニーズに96%の高い手配率で対応してもらえる」「仕事や家族の時間を犠牲にせずに介護ができる」という声が寄せられています。基本料金は時間帯によって異なり、日中(9:00~18:00)は時間あたり3,190円(税込)からとなっています。

 

介護をする家族の仕事やプライベートの時間を確保しながら、要介護者の生活の質を高めることができる点が大きな魅力です。通所介護などの介護保険サービスと組み合わせることで、24時間切れ目のない介護環境を整えることができます。

 

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8まとめ

通所介護(デイサービス)は、要介護者が住み慣れた自宅での生活を続けながら、日帰りで介護施設に通い、必要な介護サービスを受けられる在宅介護サービスです。食事や入浴介助、機能訓練、レクリエーションなどの多彩なサービスが提供され、利用者の自立支援と生活機能の維持向上を図るとともに、社会的孤立感の解消や介護者の負担軽減にも大きく貢献します。利用対象者は主に要介護1~5の認定を受けた方で、費用は介護度や利用時間、サービス内容により異なりますが、1回1,000~2,000円程度が一般的です。通所介護を選ぶ際は、利用目的や本人の性格、提供サービスなどを考慮し、実際に見学して雰囲気を確かめることが大切です。デイケアや訪問介護など他のサービスと組み合わせることで、より充実した在宅生活が可能となります。

9よくある質問

通所介護(デイサービス)の利用を検討される際、利用回数や送迎サービス、他のサービスとの違いなど、さまざまな疑問や不安をお持ちの方が多くいらっしゃいます。特に初めて介護保険サービスを利用される場合は、手続きの流れや費用について詳しく知りたいというご相談も寄せられます。

 

ここでは、通所介護サービスに関してよく寄せられる質問を厳選し、実際の利用に向けて知っておきたいポイントを分かりやすく解説いたします。

Q1. 通所介護は週に何回まで利用できますか?

通所介護の利用回数に法的な上限はありませんが、要介護度ごとに設定された区分支給限度基準額の範囲内での利用となります。一般的には週2〜3回程度の利用が多く、要介護度が高いほど利用回数を増やすことが可能です。具体的な利用回数は、ケアマネジャーがケアプランを作成する際に、利用者の状態や家族の状況を考慮して決定します。限度額を超えて利用することも可能ですが、超過分は全額自己負担となります。

Q2. 送迎サービスは利用料に含まれていますか?

はい、送迎サービスは通所介護の基本サービスに含まれており、追加料金は発生しません。専用の送迎車両で朝は自宅から施設へ、夕方は施設から自宅へと安全に送迎が行われます。乗降の際の介助や、必要に応じて自宅内での移動補助も提供されます。

Q3. デイサービスとデイケアの違いは何ですか?

デイサービス(通所介護)は生活支援と家族の介護負担軽減が主な目的で、入浴・食事・レクリエーションなどの生活支援がメインとなります。一方、デイケア(通所リハビリテーション)は身体機能の維持・回復を目的とした専門的なリハビリテーションが中心で、医師や看護職員が常駐し、リハビリ専門職が在籍しています。費用もデイケアの方が高額になることが一般的です。病院退院後のリハビリを継続したい場合はデイケア、日常生活の支援が目的であればデイサービスが適しています。

Q4. 要支援認定でも通所介護は利用できますか?

要支援1・2の方は「介護予防通所介護」として利用可能です。要介護状態への進行を防ぐことを目的とし、筋力向上や栄養改善、口腔機能向上などの予防的プログラムが重視されます。料金は月額定額制で、要支援1が月額1,672単位、要支援2が月額3,428単位となっており、通常の通所介護より安く設定されています。手続きは地域包括支援センターで介護予防ケアプランの作成を依頼することから始まります。

Q5. 通所介護を利用開始するまでどの程度時間がかかりますか?

要介護認定の申請からサービス開始まで、一般的に1ヶ月程度かかります。まず市区町村の窓口で要介護認定を申請し、調査員による訪問調査と医師の意見書をもとに要介護度が判定されます。認定結果を受けてからケアマネジャーとケアプランを作成し、希望する施設を見学・申し込みという流れになります。急ぎの場合は、認定申請と同時に暫定的にケアプランを作成し、認定結果を待たずにサービスを開始することも可能です。

監修者情報

作業療法士として二次救急指定病院で医療チームの連携を経験。その後、デイサービスの立ち上げに携わり、主任として事業所運営や職員のマネジメントに従事。「現場スタッフが働きやすく活躍できる環境づくり」をモットーに、現場を統括。

現在は、医療・介護ライターとして、医療介護従事者や一般の方向けに実践的で役立つ情報を精力的に発信している。

平岡泰志
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