介護にまつわるお役立ちコラム

介護療養型老人保健施設とは?入居費用やサービスを紹介!

2022年01月04日

ここ数年間、高齢者向けの施設制度が大きく変わり、新しい施設が増加しています。介護療養型老人保健施設も、その中の一つであり、どのような施設なのか知らない方も多いでしょう。介護療養型老人保健施設は、比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置と機能訓練を提供する施設です。この記事では、介護療養型老人保健施設の入居費用、サービス内容、メリット・デメリットについて説明します。

1介護療養型老人保健施設とは?

介護療養型老人保健施設は、比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置と機能訓練を提供する施設で、下記のような、従来の「介護老人保健施設の基準」を満たす必要があります。

  • 要介護者の心身機能の維持・回復を図ること
  • 在宅生活への復帰を目指すこと
  • 看護、医学的管理の下で、介護、機能訓練すること

それに加え、さらに医療処置の充実のために、下記の要件を満たすことが必要です。

  • 医療機関からの受け皿の確保

・算定日が属する月の前12カ月間の新規入所者のうち、

(医療機関から入所した者の割合) – (自宅等から入所した者の割合) ≧ 35%

ただし、特段の事情がある場合はこの限りではありません。

・半径4㎞以内に病床を有する医療機関がない場合

・病床数が19床以下場合

  • 医療の必要な入所者の受け入れ

・算定日が属する月の前3カ月間の入所者のうち、

(喀痰吸引、経管栄養が実施された者の割合) ≧ 15%

・または(認知症高齢者の日常生活自立度におけるランクM該当者の割合) ≧ 20%

出典:「介護老人保健施設 – 厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174012.pdf)」

「介護療養型老人保健施設の基準・報酬について(https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001uuqn-att/2r9852000001uutw.pdf

2介護療養型老人保健施設の入居費用とサービス

介護療養型老人保健施設は、高齢者向けの施設であり入居費が必要です。介護ならびに医療のサービスが受けられます。入居費用は利用者の介護度によって変わり、9万円~15万円です。サービス内容は、リハビリテーション、介護と喀痰吸引・ストーマの処置などの医療です。

入居費用

介護療養型老人保健施設入居のために要する費用は、利用者の介護度によって違い、また、個室か、多床室かによっても違います。基本料金、介護サービス費、居住費の1カ月当たり合計費用の例としては、下記のようになります。

要介護1要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
従来型個室 125,681円128,206円 131,643円 134,016円 136,267円
多床室 93,884円96,378円 99,907円102,189円 104,440円
ユニット個室 140,600円 143,125円 146,562円 148,874円 151,186円

また、その他に必要となる料金もあります。

電気料(1品目につき)1,650円/月(税込)
業者洗濯代(1ネット)523円/回(税込)
理美容代1,650円/回(税込)
文書作成料5,500円(税込)
診断書作成料 11,000円(税込)
診断書作成料22,000円(税込)
利用者が選定する特別な食事別紙申込書による

出典:入所利用の料金表 – 介護療養型老人保健施設 アルメリア(https://www.arumeria.jp/fee/)

サービス内容

介護療養型老人保健施設は、比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置と機能訓練を提供する施設です。具体的には、脳卒中・大腿骨頚部骨折等で入院していた方が、退院後に入所し、短期集中的にリハビリテーションを受ける場合が含まれます。また、認知症の症状が悪化し、在宅での対応が難しくなった場合も入所適応です。リハビリテーションの内容は下記の通りです。

  • 座る・立つ・歩く等の機能回復訓練
  • 食事・排泄・着替え・入浴等のADL向上への働きかけ
  • 掃除・洗濯・料理・外出等のIADL向上への働きかけ
  • 家庭内の役割作りの支援

また、介護療養型老人保健施設では、医療強化のために、下記のような医療サービスが提供される場合があります。

  • 夜間の日常的な医療処置

夜勤する看護職員を41:1以上確保

  • 急性増悪時の対応

常時頻回の喀痰吸引への対応

ストーマ・人工腎臓への対応

  • 看取りへの対応

医師・看護師による終末期の看取り体制
出典:「介護老人保健施設 – 厚生労働省資料(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174012.pdf

3介護療養型老人保健施設の入居基準

介護療養型医療施設の入所対象者は、医学的管理が必要な要介護1以上の高齢者(65歳以上)となっています。入居基準について詳しく説明します。

医学的管理が必要
脳卒中・大腿骨頚部骨折等があり、機能回復のためにリハビリテーションが必要な場合
認知症の症状が悪化して在宅での管理が難しくなった場合
常時頻回の喀痰吸引が必要な場合
ストーマ・人工腎臓への対応が必要な場合
要介護1以上
介護が必要ということで、要介護1~5の者が入所適応です。
高齢者(65歳以上)
介護保険法は65歳上を対象としているため、原則65歳以上を入所適応としています
ただし、法令で定められた特定疾病があれば、40歳以上から入所可
その他
感染症等の治療が必要ない
身元保証人がある
出典:「介護療養型老人保健施設の基準 – 厚生労働省資料(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000174013.pdf

4介護療養型老人保健施設を利用するメリット

介護療養型老人保健施設を利用する一番のメリットは、リハビリテーションが受けられることです。病院で治療を受けて退院後、まだ機能回復が不十分で、在宅に帰れない場合、介護療養型老人施設で機能訓練をして、在宅復帰を目指します。
また、認知症の症状が一時的に悪化し、在宅生活が難しくなった場合、介護療養型老人施設で治療、リハビリを受けて、認知症の症状回復を待ちます。さらに、リハビリテーションだけでなく、頻回の喀痰吸入、ストーマの処置などが必要でも、介護療養型老人施設なら対応できます。施設に医師ならびに看護師が常勤しているのも大切なメリットです。もちろん、常時ADLの介護を受けられるのは言うまでもありません。

5介護療養型老人保健施設を利用するデメリット

介護療養型老人保健施設は、リハビリテーション主体の施設ですから、レクリエーションはあまり充実していません。食事やおやつ、入浴、就寝の時間以外は、リハビリテーションをしている印象があります。また、在宅への復帰を目標にしていますから、終身施設で過ごすことはできません。
それから、医療行為が出来るといっても、全ての治療が出来るわけではないので、肺炎等で入院治療が必要になった場合は一旦退所となります。費用面では、一カ月の負担金が9万円~15万円です。また、入所までの待機期間が比較的長い傾向があります。

6介護療養型老人保健施設と特養・老健との違いは?

介護療養型老人保健施設はリハビリテーション主体の施設であるのに対し、特養は身体介護や生活支援を受けて居住する施設です。特養では、リハビリテーションは充実していませんし、医師や看護師は常勤ではなく、医療面でも介護療養型老人保健施設とくらべると手薄です。また、特養ではレクリエーションもあまり盛んではありません。しかし、特養は終の棲家として利用できるのが大きなメリットです。
費用面では、特養は入居一時金なし、月額費用8~13万円と比較的安価です。

介護療養型老人保健施設と介護老人保健施設(老健)の違いは、前者は後者にくらべ、医療の対応レベルが高いことです。介護療養型老人保健施設では、夜間の医療処置や急性増悪時の対応が可能です。

7まとめ

介護療養型老人保健施設は、比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置と機能訓練を提供する施設です。介護、リハビリ、医療処置が受けられるという特長があります。しかし、レクリエーションは充実しておらず、終の棲家としては利用できません。メリット・デメリットを知ったうえで入所の適否を検討しましょう。

監修者情報
株式会社Social Code CDO
廣瀬哲司(作業療法士)
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