介護にまつわるお役立ちコラム
ユニット型の特養とはどんな施設?入居基準やサービス内容を解説!
特養は従来型個室や多床室、ユニット型と部屋のタイプによってさまざまな種類に分かれており、それぞれ料金も異なります。部屋のタイプについて把握しておくことは入居後の過ごしやすさにも関わるため、しっかりリサーチをしておくことが大切です。この記事ではユニット型特養に絞り、その特徴や従来型個室との違い、入居条件、利用料、サービス内容などについて解説します。特養の申し込みを検討している方、居室タイプの違いで悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
はじめに、ユニット型特養がどんな環境なのか知ることから始めていきましょう。そもそもユニット型特養とは、利用者のプライバシーが比較的守られやすい居室タイプでサービスを受けられる施設のことです。1人部屋を出ると複数人で共有して使うスペースがあり、他人とコミュニケーションを取りやすいメリットも兼ね備えています。ここからは、ユニット型特養の特徴を以下2つのポイントに分けて解説します。
- 自宅での生活に近い環境
- 少ない人数のケアに特化
ユニット型特養は、自宅での生活に近い環境で過ごせる施設として人気があります。利用者1人ひとりの部屋が完全個室、もしくはパーテーションで区切られており、ほかの利用者の存在を気にせずに過ごしやすいメリットがあります。
多床室などほかの利用者と同じ部屋を共有して生活する場合、他人の物音や視線が気になってリラックスしにくいと感じる方も多いでしょう。
一方ユニット型特養は、他人から見られない状態で介護サービスを受けられます。そのため、介護サービスを受けているところを他人に見られたくない、常に他人と同じ部屋で過ごすのはストレスが大きいと感じる方におすすめです。
また、ユニット型特養は1つのユニットで過ごす人数が比較的少ない点も特徴的です。ユニットごとに食事やレクリエーションをおこなう特養もあるため、人数の少ないほうが顔見知りになりやすく環境に慣れやすいメリットがあります。
ユニット型特養は、少ない人数でのケアに特化している施設としても人気があります。ユニット型とは1人ひとりの空間が確保された部屋がいくつか集まり、そのグループごとに介護サービスを提供する特徴があります。少ないスタッフで大人数をケアする方法に比べて、利用者それぞれの状態に合わせたケアを提供することが可能です。少ないスタッフで大人数をケアする方法は利用者の状態を把握しづらく、毎回違う人にサービスを受けることにストレスを感じてしまう方もいます。人数が少なければスタッフ側も利用者の性格や状態を詳しく把握しやすいため、お互いにリラックスした状態でコミュニケーションを取れるメリットもあるでしょう。
また、部屋の外に出ればほかの利用者やスタッフと交流できる共有スペースが確保されていることから、他人とコミュニケーションを取る刺激も日々受けられます。
つぎに、ユニット型特養と従来型個室との違いを見ていきましょう。特養にはユニット型のほかに従来型個室と呼ばれる居室タイプがあり、どちらもプライバシー確保が可能な環境であることから違いが分かりにくいと悩んでしまう方も多いポイントです。居室タイプの違いを把握することは入居後の過ごしやすさを大きく左右するため、しっかりと情報を集めておきましょう。ここからは従来型個室の特徴、ユニット型特養との違いを掘り下げて解説します。
まずは従来型個室の特徴について見ていきましょう。従来型個室とは特養で採用される居室タイプのひとつで、1人ひとりの部屋が完全個室で仕切られている点が特徴的です。他人の物音や視線を気にせずに1人の時間を過ごしながら、必要なときに適切な介護サービスを受けられます。1つの部屋を大人数で共有するタイプの高齢者向け施設では他人に生活しているところや介護サービスを受けているところを見られやすく、プライバシーを確保しにくい環境です。
一方従来型個室はほかの空間と完全に仕切られた環境のため、サービスを受ける以外は1人でゆっくり過ごせます。また、利用者3名に対してサービスを提供するスタッフを1名配置する基準が設けられており、個々の性格や状態に合わせたケアを受けることも可能です。
従来型個室は部屋の外を出ると移動用の廊下があり、ほかの入居者と利用する共有スペースは設置されていません。レクリエーションをおこなうスペースは施設内のエントランス側など個室から離れた場所に確保されているケースが多いため、静かに過ごしたい人にも人気があります。
つぎに、従来型個室とユニット型特養の違いについて見ていきましょう。従来型個室とユニット型はどちらもプライバシーが確保されやすい特徴を持っていますが、ユニット型のなかでも「ユニット型準個室」と呼ばれるタイプは完全個室ではありません。1人ひとりの空間がパーテーションなどの簡易的なもので仕切られていることが多いため、他人の物音や存在を感じやすいデメリットがあります。
また、共有スペースの使い方にも大きな違いがあります。従来型個室は共有スペースが個室から離れた場所に設置されている一方、ユニット型の場合は個室を出た目の前に共有スペースが確保されている点が特徴的です。ユニット型は10名程度のグループで共有スペースを利用することによって、他人とも密に関わりやすい環境です。共有スペースを使って顔見知りのメンバーで食事をしたりイベントをおこなったりするため、大勢の人間関係においてストレスを感じることも少ないでしょう。
つぎに、ユニット型特養の入居条件や利用料について見ていきましょう。高齢者向けの施設はタイプによって入居条件や利用料が異なります。自分が条件に当てはまるかどうかを知ることによって、申し込みできる施設を絞ってリサーチすることができます。また、利用料をチェックしておくことも長く利用するうえで重要なポイントのひとつです。ここからは、ユニット型特養の入居基準と月額の利用料について詳しく解説します。
特養はユニット型や従来型などの居室タイプが違っても入居基準は変わりません。特養の基本的な入居基準は年齢が65歳以上であること、かつ要介護の度合いが比較的重く1人での生活が困難な人であることです。要介護の度合いは3以上の方が条件なので、排泄や歯磨き、着替え、入浴などに誰かのサポートが必要な人に適しています。入居する期間は終身で、要介護の度合いが3以上からさらに重くなってもそのまま利用し続けることが可能です。長期間利用できれば利用者本人さらに家族もスタッフと顔見知りになりやすく、慣れた環境で安心して過ごせるメリットがあります。
また、ほかの老人ホームなどでは要支援など自立した人も一緒に過ごせるタイプもあり、介護サービスを受けるには外部の業者に依頼しなければならないケースもあります。特養の場合は利用者全員が介護サービスを必要としている人なので、外部に依頼するなど複雑な手続きを必要としません。
特養で発生する費用は、基本的に月額料金のみです。ほかの高齢者向け施設では高額な初期費用を支払わなければならないケースもありますが、特養では入居する際の初期費用が必要ないケースがほとんどです。特養の月額料金には、おもに居住費や食事などの生活支援にあわせて介護サービス費がふくまれています。必要なサービスをオプションとして追加しなければならない施設に比べて出費を比較的抑えられるため、コスト面でも利用しやすい施設として人気があります。
具体的な月額料金は10~15万円程度で、要介護の度合いによって異なります。介護サービスについては介護保険が適用されるため、自分が何割負担かを確認したうえで具体的な料金をチェックしておきましょう。
最後に、ユニット型特養で受けられるサービス内容について見ていきましょう。ユニット型特養では、おもに以下のサービスを受けられます。
- 生活支援(食事の手配・部屋の掃除・衣服の洗濯など)
- 介護サービス(入浴・排泄・歯磨き・着替え・食事・歩行のサポートなど)
- リハビリ
- 医療ケア
特養では要介護の度合いが重い入居者が多いことから、1人ひとりの状態に合わせた食事が提供されます。栄養面が考慮されているだけではなく、口や喉周り、消化器官の機能が衰えている方向けにやわらかい形状に調理してもらうことも可能です。ユニット型特養は1人ひとりの生活空間が仕切られていますが、スタッフもしくは外部の業者によってキレイに清掃してもらえます。衣類も清潔に保ちやすいため、衛生面でのケアが気になっている方も安心して利用できるでしょう。
また、歩く、立つ、座る、つかむなどの基本的な動作が維持できるように定期的なリハビリも受けられます。週に1回程度医師の簡単な診察を受けることも可能で、体調面で不安なことがある場合は定期的に相談できます。なかには買い物を代行してくれたり、美容師が施設を訪ねてくれたりするなどのサービスを提供している施設もあります。具体的なサービス内容は施設ごとの情報をチェックしておきましょう。
この記事ではユニット型特養の特徴や従来型個室との違い、入居条件、利用料、サービス内容について解説しました。特養は部屋のタイプによって雰囲気が異なるため、利用者の性格や希望に合わせて選ぶことも大切です。ユニット型は比較的プライバシーを確保しやすく、他者とのコミュニケーションも取りやすい環境である点が特徴的です。24時間介護サポートを受けられる安心感もあるため、1人で生活するのが困難な方、家族が常にサポートできない方に人気があります。
料金の安さからも人気が高いため、入居したい方は早めに検討しましょう。