介護にまつわるお役立ちコラム

ケアハウスとグループホームの違いは?それぞれのメリットとデメリットを解説!

2021年12月27日

ケアハウスとグループホームには費用やサービス、人員体制などさまざまな違いがあります。どの高齢者向け施設を利用するのが合っているかはケアマネジャーに相談しながら決めることが可能ですが、自分の希望や考えをふまえて選ぶことも忘れてはいけません。そのためには、施設ごとの特徴や違いについて把握しておくことが大切です。

この記事では「ケアハウス」と「グループホーム」の違い、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。ケアハウスとグループホームどちらを選ぶか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

1ケアハウスとは?

はじめに、ケアハウスの特徴について紹介します。ケアハウスは、誰かのサポートがなければ自宅で通常の生活を送ることが難しい人が低価格で利用できる高齢者向け施設です。自治体が運営する公的なケアハウス以外に、民間企業が運営するケアハウスも存在します。最大の特徴は低価格で利用できる点で、別名「軽費老人ホームC型」とも呼ばれます。

また、ケアハウスは、さらに一般型と介護型に分かれます。一般型は食事の手配や身の回りの掃除、洗濯をサポートしてもらうことが可能で、排泄や入浴は利用者が自力でおこないます。生活に必要な内容をサポートしてもらうこと以外は自宅と同じように過ごせるため、排泄などの介護は必要ないけど日々の生活に不安を感じている人におすすめです。年齢は60歳以上の人が対象です。

一方介護型は食事や洗濯、掃除など生活に関するサポートのほかに、入浴や排泄の介護までしてもらえる施設が当てはまります。65歳以上かつ要介護の度合いが1以上の人が対象です。

2グループホーム(主として高齢者用)とは?

つぎに、グループホームの特徴について紹介します。グループホーム(高齢者用 *注釈)は、認知症を患っている要支援2以上もしくは要介護1以上の高齢者が、スタッフの支援を受けながら生活できる施設です。5~9名程度の複数人を1つのグループとし、認知症ケアや介護の専門的な知識を持つスタッフに支援してもらいながら同じタイムスケジュールで過ごします。
グループホームを利用するには、病院で認知症である旨の診断を受けていることが必要です。おもなサービス内容は食事や掃除など生活に必要なサポート以外に、排泄や入浴などの介護サポートです。

認知症の人を多く受け入れることから、認知症ケアとしてさまざまなリハビリやレクリエーションを受けることも可能です。さらにほかの利用者ともコミュニケーションを取りやすい環境なので、「自宅に1人で生活させると認知症が進みそうで不安だ」と感じている家族の方にも人気があります。ただし、あくまでも複数人と同じ流れで生活をともにするため、認知症の影響でほかの利用者に何かしらの被害を与えるなどのトラブルを起こしてしまう方は受け入れてもらえない可能性があります。

*注釈:グループホームには認知症を対象とした高齢者用と主として精神障害や知的障害などの方を対象とした障害福祉施設としてのグループホームがある

3ケアハウスとグループホームの比較一覧表

つぎに、ケアハウスとグループホームの違いを一覧表でチェックしていきましょう。

ケアハウスグループホーム
特徴誰かのサポートがなければ自宅で通常の生活を送ることが難しい人が低価格で利用できる高齢者向け施設認知症を患っている高齢者がスタッフの支援を受けながら複数人の利用者とともに生活できる施設
利用条件【一般型】
・年齢60歳以上
・1人で生活することが難しい、生活をサポートする家族がいない

【介護型】
・年齢65歳以上
・要介護の度合いが1以上
・年齢が65歳以上
・認知症の診断を受けている
・要支援の度合いが2以上もしくは要介護の度合いが1以上
・グループホームがある市区町村に住民票がある
・複数人と同じタイムスケジュールで行動することに問題がない
サービス内容【一般型】
・食事の提供、掃除、洗濯のサポートが基本
・季節的なイベントなどの開催
・緊急時の対応

【介護型】
・食事、掃除、洗濯のサポートや介助
・排泄や入浴介助
・リハビリやレクリエーションの実施
・緊急時の対応
・食事の提供、掃除、洗濯など生活に必要なサポート
・認知症ケア向けのリハビリ実施
・認知症ケア向けのレクリエーション実施
・必要な人には排泄や入浴介助
・緊急時の対応

介護度の低い人には必要最低限のケアで自立した生活をサポートする
4ケアハウスとグループホームの具体的な違い

つぎに、ケアハウスとグループホームの違いを以下3つの項目別に解説していきます。

  • 費用の違い
  • サービスの違い
  • 人員体制の違い

高齢者向けの施設を利用には、毎月の費用や初期費用などが必要です。介護保険を利用して安く抑えることも可能ですが、無理のない範囲で支払える施設を選ぶことも大切です。また、サービスや人員体制によって暮らしやすさも大きく変わるため、どちらが自分や家族にとって最適なのか事前にリサーチしておきましょう。

費用の違い

はじめに、ケアハウスとグループホームの費用面での違いについて解説します。ケアハウスでは、おもに初期費用と月額費用が発生します。
一般型と介護型に分けて費用相場を見ていきましょう。
【一般型】
初期費用:0~35万円程度
月額費用:6~17万円程度

【介護型】
初期費用:基本的に一般型と同じ程度だが、施設によっては100~1,000万円と高額な場合もあり
月額費用:一般型と同じ程度

グループホームでも、同じように初期費用と月額費用が発生します。
初期費用の相場は10~15万円程度、月額費用は10~20万円程度といわれています。ケアハウスとグループホームは、どちらも設備やサービスの充実度によって費用が大きく異なるため、内容をしっかり見極めながらコスト的に安心して生活し続けられる施設を選ぶことが大切です。

サービスの違い

つぎに、ケアハウスとグループホームのサービス面での違いについて解説します。まずケアハウスでは、一般型と介護型でサービス内容が異なります。
【一般型】
おもに食事の提供や洗濯、掃除など生活するうえで必要なサポートを受けられます。自宅で1人きりの生活を送る場合は家事をこなすのに無理をしてしまう可能性がありますが、ケアハウスではスタッフで必要なサポートしてもらいながら無理のない生活ができます。入浴や排泄などの介護はないため、なるべく自立した生活をイメージしている人に最適でしょう。ほかにも季節的なイベントが開催されたり、急病などの緊急時に対応してもらったりすることが可能です。

【介護型】
食事の提供や洗濯、掃除など生活するうえで必要なサポートのほかに、入浴や排泄など人ひとりにあわせた介護サービスを受けられます。要介護の度合いにあわせて、自分でできることは必要最低限のサポートにしてもらうなどの調整もしてもらえます。リハビリやレクリエーションが開催されたり、急病などの緊急時に対応してもらったりすることも可能です。

グループホームでもケアハウスと同じく食事の提供や掃除、洗濯など生活するうえで必要なサービスのほかに、排泄や入浴の介護を受けられます。ただし利用できるのは認知症の診断を受けている人のみなので、認知症ケアに効果的なリハビリ、レクリエーションが提供される施設も多いでしょう。認知症や要介護の度合いが軽い人に関しては本人や家族が必要とするサポートだけを受けることも可能です。そのため、まだ症状がそれほど進行しておらず、なるべく自立した生活を送りたいと考えている人にもおすすめです。ただし、すべてのサービスが月額費用のなかで実施してもらえるとは限らないため、加算サービスの内容についても調べておきましょう。

人員体制の違い

つぎに、ケアハウスとグループホームの人員体制に関する違いについて解説します。ケアハウスには、おもに施設の管理者、看護スタッフ、介護スタッフ、生活相談員、機能訓練指導員などが常駐します。
看護スタッフや介護スタッフは要支援の利用者が10名につき1名、要介護の利用者が3名につき1人と、利用者の人数に応じて配置する人数も決められています。
また、機能訓練指導員とは健康管理やリハビリなどを専門とするスタッフのことです。ほかにも利用者1人ひとりに合わせたサービス内容を考える担当者も、100名につき1人は配置する必要があります。

グループホームでは管理者や代表者のほかに、介護スタッフが利用者3名につき1名ずつ必要です。ケアハウスと同じく利用者1人ひとりに合わせたサービス内容を考える担当者も、共同生活を送る施設ごとに1名ずつ必要です。認知症ケアを実施してくれる作業療法士や理学療法士が配置されている施設であれば、日常的に効果的なケアを受けられます。

5ケアハウスとグループホームのメリットとデメリット

最後に、ケアハウスとグループホームそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

まずケアハウスのメリットは、低価格で生活をサポートしてもらいながら施設を利用できる点です。
介護型では入浴や排泄のサポートまでおこなってもらいますが、1人ひとりの状況やできることを見極めて最適な支援をおこなってくれます。また、特に一般型では生活の自由度が高いメリットもあります。
グループホームと比べて、ほかの利用者と同じタイムスケジュールで行動する必要がありません。そのため、自宅にいたときと変わらない生活を送りたい人、なるべく自立した生活を送りたい人におすすめです。一方、費用の安さから人気も高いため、入居できるまで待たなければならない可能性がある点に注意が必要です。さらに一般型と介護型それぞれに利用条件が決まっているおり、誰でも利用できるわけではない点もデメリットのひとつといえるでしょう。

グループホームのメリットは、複数人で共同生活を送ることによって他人とコミュニケーションが取れる点です。特に認知症のケアには、人と積極的に関わる刺激も重要だといわれています。認知症向けのレクリエーションやリハビリも実施されるため、生活のなかで認知症の進行を遅らせるケアをしてもらいたい方におすすめです。また、施設と同じ市区町村に住民票を持つ人々が集まるため、安心感のある生活を送りやすいメリットもあります。ただし、少人数のグループ制で行動する時間が多いことから人間関係のストレスを感じてしまう方もいるでしょう。ケアハウスと同様、利用条件が決まっている点やすぐに入居できるとは限らない点にも注意が必要です。

6まとめ

この記事ではケアハウスとグループホームの違い、それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説しました。ケアハウスは低価格でなるべく自立した生活を送りたい人、必要に応じて介護サービスも受けたい人に人気があります。一方、グループホームは、認知症患者で他人とコミュニケーションを取りながら刺激のある生活を送りたい人に人気があります。ただし、それぞれにデメリットもあるため、入居したあとに「自分には合わない」と気付いてしまうケースもあるでしょう。施設ごとの特徴をリサーチするとともに利用したい人の性格やライフスタイルを比較し、最適な施設を選びましょう。

監修者情報
株式会社Social Code CDO

2009年大学卒業後回復期リハビリテーション病院に就職後、急性期病院にて専門外来の企画開設に従事。
2016年在宅の支援を行う医療法人に転職後、数年間赤字経営のホームの立て直し、リブランディングを行い、事業統括・社内制度等処遇の改善に携わる。
現在はケアに係るデータを取り扱うベンチャー企業にて事業企画・運営を行う。
著書:医療機関・介護施設のリハビリ部門管理者のための実践テキスト 部門管理に必要な7つの手法(第2版)・他

廣瀬哲司(作業療法士)
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