介護にまつわるお役立ちコラム
介護保険の自己負担割合は?利用料金の目安を紹介!
「介護保険の自己負担割合はどのくらい?」
「利用料金の目安は?介護保険の負担額って軽減できるの?」
などと思っている方はいらっしゃいませんか?そこで本記事では
- 介護保険の自己負担割合
- 介護保険サービスの利用料金の目安
- 介護保険の負担額を軽減させる制度
について紹介していきます。介護保険を支払っている方や、これから支払う方にとって役立つ情報を紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
自己負担割合は、「合計所得金額」と「65歳以上の世帯人数」に応じて、1割・2割・3割に設定されます。要支援もしくは要介護の認定を受けていれば、基本的に自己負担割合は1割になります。ところが2015年から一定以上の所得がある方は、自己負担割合が2割に引き上げられました。さらに2018年には、65歳以上の方で本人の前年の合計所得金額が220万円以上などの所得がある方は、3割負担に変更されています。年金以外に収入がある方は、負担割合が高くなるケースがあるため、事前に負担割合を把握するようにしましょう。
介護が必要になったときに、「自宅で介護サービスを受けるか。もしくは施設で介護サービスを受けるか」の選択で悩む方は多いです。サービス内容や費用のことを考え込んでしまうと、決めるのが難しいですよね。
基本的に、「自宅で受けるサービス内容や施設の種類」と「介護度が要支援か要介護か」によって、金額は変わります。ここでは介護保険サービスの利用料金の目安や限度額について紹介しているので、あくまで目安として参考にしてください。また、福祉用具購入費・住宅改修費の購入限度額についても解説しています。
介護保険サービスを自宅で利用する場合、入浴、排泄、食事などの介助や家事援助のサービスを受けることができます。介護保険サービスを利用する場合、あらかじめ支給限度金額が要支援・要介護別に決められています。
<自宅サービスにおける自己負担額の目安(自己負担1割の場合)>
要介護度 | 利用限度額 | 自己負担額の目安 |
要支援 1 | 50,320円 | 約3,000円 |
要支援 2 | 105,310円 | 約4,000円 |
要介護 1 | 167,650円 | 約12,000円 |
要介護 2 | 197,050円 | 約16,000円 |
要介護 3 | 270,480円 | 約23,000円 |
要介護 4 | 309,380円 | 約29,000円 |
要介護 5 | 362,170円 | 約35,000円 |
また限度額を超えて、サービスを利用した場合、超えた分は全額自己負担となります。
出典:「介護報酬(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/housyu/index.html)」
施設の種類は以下の4つがあります。
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム):食事や排泄、入浴の介護を提供
- 介護老人保健施設:医療処置と食事や排泄の介護を提供
- 介護療養型医療施設:医療管理下におけるリハビリや食事、排泄の介護を提供
- 介護医療院:医療的ケアと介護を提供
また、サービス付き高齢者向け住宅やシニア向け分譲マンションなどは施設でなく住宅となります。施設の食費や居住費は施設や利用者の介護状態によって決まりますが、施設の平均的な費用を基準として金額が定められています。
<要介護者向けの施設費用の目安>
施設の種類 | 入所時の一時金 | 月額総費用(食費、居住費、日常生活費など) |
介護老人福祉施設 | なし | 約8万円〜16万円 |
介護老人保険施設 | なし | 約9万円〜17万円 |
介護療養型医療施設 | なし | 約9万円〜17万円 |
介護医療院 | なし | 約9万円〜17万円 |
介護サービスを利用して購入できる福祉用具商品の例は以下の通りです。
- 腰掛便座
- 特殊尿器
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
- 移動用リフトの吊り具の部分
上記の福祉用具商品は身体接触があるため、貸与ではなく購入するケースが多いです。福祉用具の購入限度額は、「毎年4月1日〜翌年3月末日までの1年間で10万円まで」と設定されています。次に、介護サービスを利用して住宅を改修できる箇所は以下の通りです。
- 手すりの後付け
- 段差の解消
- 床や路面の材料の変更(滑り防止、移動の円滑化のため)
- 引き戸等への扉の取り替え
- 洋式便器用等の取り替え
- その他、上記の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修
住宅改修の支給限度額は、「一人生涯20万円まで」と設定されています。ただし、要介護状態区分が重くなった場合または転居した場合は再度20万円の支給限度額が設定されます。
介護保険の負担を軽減させるには以下の制度を利用しましょう。
- 特定入所者介護サービス費
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算制度
- 医療費控除
以上の制度を利用して、介護サービス費を申請することで負担額を軽減させられます。
特定入所者介護サービス費とは、所得や資産が一定以下の方(以下の「利用者負担段階」の表に示す)に対して、食費や居住費の負担を軽減するための制度です。介護保険施設を利用する場合、介護サービス費用(1割〜3割)の他に、施設における食費や居住費、日常生活費が全額自己負担となります。
ところが、収入面や資産面で一定の要件を満たしている方にのみ、介護保険施設で発生する自己負担額を軽減することができます。(負担限度額認定を受ける必要有り)
<利用者の負担段階(令和3年8月以降)>
所得の状況 | 預金金額 | |
第1段階 | ・生活保護を受けている ・世帯全員が市区町村民税非課税で、老齢福祉年金を受けている | 単身:1,000万円以下 夫婦:2,000万円以下 |
第2段階 | 世帯全員が市区町村民税非課税で、公的年金収入額+その他の合計所得金額が80万円以下 | 単身:650万円以下 夫婦:1,650万円以下 |
第3段階① | 世帯全員が市区町村民税非課税で、公的年金収入額+その他の合計所得金額が80万円〜120万円以下 | 単身:550万円以下 夫婦:1,550万円以下 |
第3段階② | 世帯全員が市区町村民税非課税で、公的年金収入額+その他の合計所得金額が120万円以上 | 単身:500万円以下 夫婦:1,500万円以下 |
第4段階 | 市区町村民税課税世帯 |
出典:「費用負担の見直し(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000030659.pdf)」
高額介護サービス費とは、1ヶ月あたりの自己負担額の合計が一定の限度額を超えたときに、市区町村に申請することで超えた額が返金される制度です。しかし、以下のような負担額は高額介護サービス費の対象とならないので、注意しましょう。
- 福祉用具購入や住宅改修で発生する費用
- 施設における食費、居住費、日常生活費など
- 理美容代などの日常生活に要する実費
- 配食サービスにかかる負担
そして、一般的な所得の方の負担限度額は月額44,400円です。
<1ヶ月あたりの自己負担上限額(令和3年8月以降)>
区分 | 負担限度額 |
課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上) | 140,100円(世帯) |
課税所得380万円〜690万円未満(年収約770万円〜1,160万円未満) | 93,000円(世帯) |
市区町村民税世帯非課税〜課税所得380万円未満(年収約770万円未満) | 44,400円(世帯) |
世帯全員が市区町村民税非課税 | 24,600円(世帯) |
世帯全員が市区町村民税非課税かつ前年の公的年金等の金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方 | 24,000円(世帯) 15,000円(個人) |
生活保護を受給している方 | 15,000円(世帯) |
出典:「サービスにかかる利用料(厚生労働省)(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html)」
高額医療・高額介護合算制度とは、医療保険と介護保険の自己負担額が著しく高額になる場合に、その負担額を軽減する制度のことです。世帯ごとに1年間(8月〜翌年7月)の医療保険と介護保険の負担額を合算して、一定の限度額を超えた分が支払われます。基本的に年額56万円を限度額としており、医療保険の制度や所得、年齢ごとに細かく設定されています。
<利用者の自己負担限度額(1年間)>
年収区分(課税所得) | 自己負担限度額 (70〜74歳) | 自己負担限度額 (75歳以上) | 自己負担限度額 (70歳未満) |
約1,160万円以上 (690万円以上) | 212万円 | 212万円 | 212万円 |
約770万円〜約1,160万円(380万円〜690万円未満) | 141万円 | 141万円 | 141万円 |
約370万円〜約770万円(145万円〜380万円未満) | 67万円 | 67万円 | 67万円 |
約156万円〜約370万円以上(145万円以下) | 56万円 | 56万円 | 60万円 |
低所得者II(住民税非課税) | 31万円 | 31万円 | 34万円 |
低所得者Ⅰ(住民税非課税かつ年金収入80万円以下) | 19万円 | 19万円 | 34万円 |
出典:「サービスにかかる利用料(厚生労働省)(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html)」
医療費控除とは、確定申告をすることによって、納付した税金の一部が返金されます。年間で支払った医療費が10万円以上ある場合に、一定金額の所得控除を受け取ることが可能です。また、医療控除の対象となる介護保険サービスは以下の通りです。
- 控除対象となる介護サービス
- 訪問介護
- 訪問リハビリテーション
- 通所リハビリテーション
- 短期入所療養介護
- 居宅療養管理指導
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 施設入所費用
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 特別養護老人ホーム
- オムツ代
上記の介護保険サービスを10万円以上利用した場合は、確定申告の際に所得控除を受けることで、負担を軽減することができます。
本記事では、
- 介護保険の自己負担割合
- 介護保険サービスの利用料金の目安
- 介護保険の負担額を軽減させる制度
について紹介しました。介護保険を利用する際には、まず自身の自己負担割合について確認した後、それぞれのサービスの料金目安を調べておくことがおすすめです。介護保険について知っておくだけでも、お得にサービスが受けられるので、ぜひ今回紹介したことを確認しておきましょう。