介護にまつわるお役立ちコラム
訪問介護とは|サービス内容・費用目安・介護保険適用外のサービスも
身近な家族が要介護者となり、自宅での介護方法を検討している人もいるでしょう。老人ホームなどの介護施設ではなく、住み慣れた自宅で過ごしたいという高齢者は非常に多くいます。そのような人を対象とする介護保険適用の介護サービスが「訪問介護」です。
今回は、訪問介護の概要からサービス内容、利用料金、範囲外となるサービスまでを解説します。訪問介護の内容や料金相場を知ることで、要介護者に合わせた介護サービスの利用を検討できるでしょう。
訪問介護とは、ケアワーカーやホームヘルパーなどの介護職員が要介護者・要支援者の自宅を訪問し、自立した日常生活を送れるよう支援するサービスです。
介護保険が適用されることもあり、施設入居型と比較するとさまざまなサービスを安価に利用できます。住み慣れた自宅で過ごしたい要介護者・要支援者や家族にとっては、メリットの大きいサービスと言えるでしょう。
訪問介護とよく似たサービスには、訪問看護や居宅介護が挙げられます。どのサービスも職員が利用者の自宅を訪問する点では共通していますが、利用対象者と提供するサービス内容に明確な違いがあります。
訪問看護 |
訪問看護は、看護職員が自宅を訪問して点滴や服薬管理などの医療行為を提供するサービスです。訪問看護は病気や障がいを持つ人を対象としたサービスであるため、要介護者でなくても利用できます(この場合は医療保険適用になります)。訪問介護では医療行為を提供できないことから、訪問介護と訪問看護を組み合わせるケースが多く見られます。 |
居宅介護 |
居宅介護とは、障がい者を対象とした訪問系の障害福祉サービスです。障害者総合支援法に基づき、障害支援区分認定に応じた介護サービスを利用できます。同じ訪問系のサービスでも法的な区分や根拠が異なるため、利用条件やサービス内容も変わります。 |
訪問介護のサービスには「単位」が定められており、サービスの単位に応じて利用料金が決まります。訪問介護の単位の決め方は、以下のとおりです。
・利用したサービスの内容(身体介護・生活援助) ・サービスの利用時間(所要時間) ・その他の加算(初回加算・緊急時訪問介護加算など) |
例えば、訪問介護で身体介護を20分~29分利用した場合は、以下の利用料金となります。
単位 | 249 |
料金目安 | 2,490円 |
介護保険1割自己負担 | 249円 |
介護保険2割自己負担 | 498円 |
介護保険3割自己負担 | 747円 |
※地域によって単価は異なります
同じサービス内容を利用しても、提供に要した時間が増えるほど加算される単位も多くなります。そのため、要介護度が高くなると利用料金も高くなる傾向にあります。
訪問介護で提供される主なサービスは、下記が挙げられます。
・身体介護 食事・入浴・排泄などの身体に直接触れて行う介護サービス ・生活援助 利用者の生活に必要な家事などを援助するサービス ・通院時の乗車・降車介助 利用者が通院する際の乗車・移送・降車を介助するサービス |
ここからは、それぞれのサービスの概要・具体的なサービスと利用料金の例について詳しく解説します。
身体介護サービスとは、利用者の身体に直接触れる、訪問介護において中心的なサービスです。利用者の要介護度や身体の状態に応じて、さまざまなサービスを受けることができます。
食事介助 | 食事の支援・介助・見守り |
入浴介助 | 身体状態に応じた全身浴または部分浴の介助 |
清拭 | 入浴できない場合の清拭 |
排泄介助 | トイレ介助・おむつ交換などの排泄に関する介助 |
移乗介助 | 車椅子・ベッドへ移乗する際の介助 |
体位変換 | 床ずれ防止のために行う体位変換 |
更衣介助 | 衣類の着脱など着替えを行う際の介助 |
服薬介助 | 薬の確認や服薬の際の介助 |
見守り介助 | 自立支援のための見守り・声掛けなど |
身体介護サービスの利用料金の例は、以下のとおりです。
~19分以下/166円 20分~29分/249円 30分~59分/395円 1時間以上/577円(30分ごとに83円加算) |
※介護保険1割負担の場合
※地域によって単価は異なります
身体介護は基本的に安価な料金で利用できますが、利用時間に応じて金額が増えます。
生活援助サービスは、利用者及び家族が困難な日常生活の家事を、介護職員が利用者に代わって行うサービスです。生活援助で受けられる具体的なサービスには、以下が挙げられます。
掃除 | 利用者が使用している室内の掃除やゴミ出し |
洗濯 | 衣類の洗濯・干す・たたむ・収納 |
食事準備 | 食材の買い出し・調理・配膳・片付け |
移動介助 | 利用者の移動の際に身体状態に応じた介助 |
その他 | 医療行為に該当しない行為(血圧測定・爪切り・耳垢除去など) |
買物代行 | 生活必需品の買い物や薬の受け取りの代行 |
※ただし、利用者と介護職員が一緒に行う場合には「身体介護」として算定します。
生活援助サービスの利用料金の例は、以下のとおりです。
20分~44分/182円 45分以上/224円 |
※介護保険1割負担の場合
時間に応じて利用料金の額も増えますが、基本的には安価な料金で利用できます。
通院乗降介助サービスとは、介護職員初任者研修以上の有資格者が専用車両の運転や、乗車・降車介助などを提供するサービスです。「介護保険タクシー」とも呼ばれ、介護保険の範囲内で以下の用途に利用できます。
・通院 ・金融機関での預貯金の引き出し ・役所への申請・届出 ・本人でなければならない買い物(眼鏡・補聴器) |
通院乗降介助サービスで使用する車両は、利用者が車椅子やストレッチャーに乗ったまま乗車・降車できる仕組みが備わった専用車両です。単なる移動手段として利用することはできません。
通院乗降介助サービスの利用料金の例は、以下のとおりです。
片道:97円/回 往復:194円/回 |
※介護保険1割負担の場合
※地域によって単価は異なります
介助料に対しては介護保険が適用されるものの、車椅子などの介護用品のレンタル費用や運賃は実費で支払う必要があります。
介護保険が適用される訪問介護には、利用できるサービスと利用できないサービスがあります。下記に該当する行為は、原則として訪問介護のサービス対象外となります。
・訪問介護利用者本人以外のための行為 ・利用者の日常生活に支障がないとされる行為 ・利用者の日常生活に必要な家事の範囲を越える行為 |
訪問介護のサービス対象外となる具体的な行為は、以下が挙げられます。
・通所型介護施設への送迎 ・話し相手や趣味活動の相手 ・理容室・美容室などへの付き添い ・大掛かりな清掃・庭の手入れ・家具の移動・修繕 ・金銭管理 ・来客対応・留守番 ・他の専門職の職域となる行為(リハビリ・医療行為など) ・利用者以外の家族の家事 |
訪問介護の介護職員は、介護保険のサービスであり、家政婦ではないため、何でも依頼できるわけではありません。介護職員とトラブルにならないよう、訪問介護で利用できるサービスの範囲については事前に把握しておきましょう。
訪問介護は安価な料金設定である反面、介護保険法が定めるルールの範囲内での利用となります。より自由度の高い介護サービスを利用したい場合は、介護保険の制限を受けない介護保険外サービスを検討してみることもおすすめです。
オーダーメイドの訪問介護・在宅介護を提供する「イチロウ」では、利用者の使いやすさと介護品質を追求した、自由度の高い介護サービスを提供しています。家事代行サービスなど、幅広いラインナップの中からメニューを自由自在に組み合わせることが可能です。訪問介護の範囲外となるサービスを利用したい人、毎日の介護で困っていることがある人は、イチロウまでお気軽にご相談ください。
訪問介護は介護保険が適用されるため、安価な料金でさまざまなサービスを利用できることがメリットです。住み慣れた自宅で暮らしたいという要介護者と家族の希望を叶えてくれる、便利な介護サービスと言えるでしょう。
訪問介護を利用する場合は、サービスの種類・範囲・料金について把握しておくことがポイントです。介護保険適用外となるサービスも希望する場合は、自由度の高い介護サービスの利用も検討してみてください。