介護にまつわるお役立ちコラム
認知症とは? 初期症状チェックリスト&進行を遅らせる5つの習慣【専門家監修】

「家族が認知症かもしれない」そう感じた瞬間、誰しも不安になります。ですが、正しい知識を得ておくことで過度な心配を避け、前向きに行動することができます。本記事では認知症の基礎知識から初期症状チェックリスト、進行を遅らせる5つの習慣、家族が取るべき対応策までをまとめました。
1認知症とは?
認知症とは、脳細胞の変性や血流障害などにより認知機能が低下し、日常生活に支障が生じている状態の総称です。病名ではなく症候群(さまざまな症状の集合体)である点が特徴です。
認知症と老化による物忘れの違い
認知症 | 老化 | |
原因 | 認知機能の障害 | 加齢によるもの忘れ |
症状 | 体験そのものを忘れる | 体験したことの一部を忘れる |
自覚 | 症状の自覚が乏しい | 自覚がある |
進行 | 徐々に進行する | 進行は緩やか |
生活への影響 | 大きな支障が生じる | ほとんど支障なし |
認知症の主な種類
●アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでも最も多いタイプで、全体の50~60%を占めるといわれています。脳の神経細胞がアミロイドβタンパクなどにより死滅していくことが主な原因です。
●レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで多いタイプです。レビー小体というたんぱく質による脳神経細胞の障害が主な原因となっています。
●脳血管性認知症
脳血管性認知症は、脳血管の詰まりや壊死が主たる原因で、男性に多いことが特徴です。
2初期症状チェックリスト|要注意サイン10
早期発見は進行抑制の鍵です。以下の10項目は専門機関が推奨する初期サインを簡潔にまとめたものです。
- 同じ質問を繰り返す/最近の出来事を覚えていない
- 計算・家計管理・レシピ通りの料理が難しくなる
- 慣れた作業が最後まで完了できない(電子レンジ操作など)
- 日時・場所・季節がわからなくなる
- 段差でつまずく・鏡像を他人と勘違いする(視空間認知の低下)
- 言葉が出てこない/会話が噛み合わない
- 財布や鍵を置き忘れ「盗まれた」と思い込む
- 判断力の低下(不適切な服装・訪問販売で高額購入)
- 趣味や仕事、人づき合いから突然撤退する
- 気分・性格の変化(怒りっぽい、抑うつ、不安の増大)
ワンポイント:まだ日常生活は自立しているが軽い認知機能低下がある段階をMCI(軽度認知障害)と呼びます。MCIのうちに専門医に相談すれば、薬物療法や生活改善で進行を抑えられる可能性が高まります。
3認知症の代表的な症状
認知症の症状は大きく中核症状と**周辺症状(BPSD)**に分けられます。
中核症状
認知症における代表的な中核症状としてまず挙げられる症状は、記憶障害です。症状が進行するにつれ、見当識障害や実行機能障害などが見られます。
●記憶障害
記憶障害は、文字通り「記憶をすること」が困難となる障害です。認知症の初期では短期記憶に障害が生じやすく、「新しいことを覚えられない」「さっきしたことを忘れる」といった症状が生じます。
●見当識障害
見当識障害は、時間・場所・対人関係などを把握できなくなる障害です。例えば、「いま何時かわからない」「いまどこにいるのかわからない」などの症状が現れます。
●実行機能障害
実行機能障害は、物事を実行していく能力が低下する障害です。例えば、「段取りよく料理ができない」「計画が立てられない」などの症状が見られます。
周辺症状
周辺症状は、中核症状により生じる行動の異常や精神症状です。行動・心理症状あるいはBPSDとも呼ばれます。主な周辺症状は、下記のとおりです。
●被害妄想
被害妄想は、現実に起こっていないにもかかわらず「いじめられた」「理不尽に扱われた」と思い込んでしまう症状のことを指します。
●徘徊
徘徊は、見当識障害が進行するにつれ起こる症状です。周囲からは目的もなく、歩き回っているように見えます。ただし、本人には歩き回る目的や理由があるため、制止に困難が伴います。
●暴力・暴言
暴力や暴言は、認知症の方に見られる症状のひとつで、感情のコントロールが難しくなる、脳が疲れやすくなるなど複数の要因により生じる症状です。
4認知症の治療・ケア
認知症は根本治療が難しいものの、早期診断と適切な治療・ケアで進行を緩やかにし、生活の質を保つことが可能です。主な治療法は薬物療法と非薬物療法の2種類です。それぞれの治療内容は、以下のとおりです。
薬物療法
薬物療法の目的は、中核症状の進行を抑えることと、周辺症状を軽減することです。
中核症状には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のような、認知機能改善薬などが使用されます。また、周辺症状には睡眠薬や抗不安薬などの使用が一般的です。
非薬物療法
認知症の非薬物療法には、計算ドリルやゲームなどの認知機能のリハビリテーション、料理や洗濯といった生活リハビリテーションなどが採用されています。園芸療法や音楽療法なども、脳の活性化が期待される療法です。
進行を遅らせる5つの習慣
・有酸素運動(週150分を目安)
ウォーキングや軽いジョギングで脳血流を促進。
・地中海式・MIND食を意識した食事
魚・オリーブオイル・野菜・ナッツを積極的に、低糖質・低塩分を心掛ける。
・新しい学びや趣味で脳を刺激
語学・楽器・旅行・ボランティアなど “初めて” を日常に取り入れる。
・社会的つながりを保つ
家族・友人・地域コミュニティとの交流が抑うつ予防にも有効。
・生活習慣病のコントロール
高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療と禁煙。
5家族が知っておくべき認知症介護の5つの心得
家族が認知症と診断された場合、これからどうすればよいか不安を感じる方も多いのではないでしょうか。過度なストレスは本人にも家族にも悪影響です。つらいときは専門家やサービスを頼る勇気を持ちましょう。
- 他人と比べない
- 本音を隠さない
- 「永遠に続く」と考えない
- 頑張り過ぎない
- 一人で抱え込まない
認知症の進行や症状は、人によりさまざまです。他の人と比べる必要はありません。ただし、辛いとき・疲れているときには、素直に今の状況を他の誰かに伝えるようにしましょう。本音を隠したままでは、介護を継続することが難しくなります。
また、「永遠に続く」と悲観しないことも重要です。今のひとときと大切に向き合うことで、心理的な負担は少なからず軽くなります。頑張り過ぎないこと、一人で抱え込まないことも意識しましょう。
イチロウでは、多種多様な在宅介護サービスを提供しています。食事・排泄・入浴などの自宅での介護、掃除・調理・食材の買い物といった自宅での家事など、サービス内容はさまざまです。
その他、ペットの世話・病院への付き添い・外出準備など多くのサービスメニューのなかから、ご希望に合わせた選択をすることができます。在宅介護を最も近くで支える存在として、認知症介護でお悩みの方は、ぜひイチロウまでご相談ください。
6まとめ
認知症は早期発見と適切なケアが何より重要です。初期症状に気づいたら医療機関に相談し、生活習慣の見直しや社会的つながりを大切にしましょう。イチロウは専門家として、あなたとご家族に寄り添いながらサポートを提供します。