介護にまつわるお役立ちコラム
認知症とは?原因から症状・対処法・予防方法まで解説
家族が認知症と診断されたとき、あるいは家族が認知症ではないかと疑問を感じたとき、多くの方が不安を感じるのではないでしょうか。認知症について知ることは、過度な不安に陥ることなく、前向きに行動するための手助けとなります。
当記事では、認知症の原因や種類、代表的な症状や治療・予防方法など、認知症に関する基本的な情報を紹介します。認知症について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
認知症とは、脳細胞の活動低下など何かしらの原因により認知機能に障害が起こり、日常生活に支障が出ている状態のことを指します。すなわち、あくまで認知症は記憶の消失や理解力の低下といったさまざまな症状の集合体を意味しており、明確な病名を指すものではありません。
認知症では、記憶の消失といった記憶障害が見られます。認知症での記憶障害と老化によるもの忘れの違いは、下記のとおりです。
認知症 | 老化 | |
原因 | 認知機能における障害 | 加齢によるもの忘れ |
症状 | 体験したこと自体を忘れる | 体験したことの一部を忘れる |
症状の認識 | 症状の自覚がない | 症状を自覚している |
症状の進行 | 進行する | あまり進行しない |
日常生活への影響 | 支障が生じる | あまり支障はない |
認知症は脳の神経細胞の変性などで認知機能そのものに障害が起こるため、体験したこと自体を忘れ、日常生活に支障が出じるといった特徴があります。
認知症にはさまざまな種類があり、代表的な種類はアルツハイマー型認知症・レビー小体型認知症・脳血管性型認知症の3つです。
●アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、認知症のなかでも最も多いタイプで、全体の50~60%を占めるといわれています。脳の神経細胞がアミロイドβタンパクなどにより死滅していくことが主な原因です。
●レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、アルツハイマー型認知症に次いで多いタイプです。レビー小体というたんぱく質による脳神経細胞の障害が主な原因となっています。
●脳血管性認知症
脳血管性認知症は、脳血管の詰まりや壊死が主たる原因で、男性に多いことが特徴です。
認知症の症状には、「中核症状」と「周辺症状」があります。中核症状とは、脳の神経細胞における病変で引き起こされる症状です。中核症状が現れると、社会生活への対応・行動や個人の性格などにも影響があります。このような二次的に起こる症状が、周辺症状です。
ここでは、中核症状と周辺症状について詳しく解説します。
認知症における代表的な中核症状としてまず挙げられる症状は、記憶障害です。症状が進行するにつれ、見当識障害や実行機能障害などが見られます。
●記憶障害
記憶障害は、文字通り「記憶をすること」が困難となる障害です。認知症の初期では短期記憶に障害が生じやすく、「新しいことを覚えられない」「さっきしたことを忘れる」といった症状が生じます。
●見当識障害
見当識障害は、時間・場所・対人関係などを把握できなくなる障害です。例えば、「いま何時かわからない」「いまどこにいるのかわからない」などの症状が現れます。
●実行機能障害
実行機能障害は、物事を実行していく能力が低下する障害です。例えば、「段取りよく料理ができない」「計画が立てられない」などの症状が見られます。
周辺症状は、中核症状により生じる行動の異常や精神症状です。行動・心理症状あるいはBPSDとも呼ばれます。主な周辺症状は、下記のとおりです。
●被害妄想
被害妄想は、現実に起こっていないにもかかわらず「いじめられた」「理不尽に扱われた」と思い込んでしまう症状のことを指します。
●徘徊
徘徊は、見当識障害が進行するにつれ起こる症状です。周囲からは目的もなく、歩き回っているように見えます。ただし、本人には歩き回る目的や理由があるため、制止に困難が伴います。
●暴力・暴言
暴力や暴言は、認知症の方に見られる症状のひとつで、感情のコントロールが難しくなる、脳が疲れやすくなるなど複数の要因により生じる症状です。
認知症は、現代の医療では一部を除き完全に治療できるものではありません。しかし、早期発見することにより、進行を緩やかにする、生活の質を向上させることは可能です。
以下では、認知症における治療方法と、予防につながるポイントを紹介します。
認知症は、薬物療法と非薬物療法の2種類が主な治療法です。それぞれの治療内容は、以下のとおりです。
●薬物療法
薬物療法の目的は、中核症状の進行を抑えることと、周辺症状を軽減することです。
中核症状には、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬のような、認知機能改善薬などが使用されます。また、周辺症状には睡眠薬や抗不安薬などの使用が一般的です。
●非薬物療法
認知症の非薬物療法には、計算ドリルやゲームなどの認知機能のリハビリテーション、料理や洗濯といった生活リハビリテーションなどが採用されています。園芸療法や音楽療法なども、脳の活性化が期待される療法です。
認知症の予防には、生活習慣と生活環境の改善が重要となります。理由は、アルツハイマー型認知症や脳血管性認知症が、生活習慣病との関連が指摘されているためです。
したがって、運動の習慣を身に付ける、栄養バランスの取れた食習慣をするなどが大切となります。食習慣では、低糖質・低塩分を心がけることがおすすめです。適切な生活習慣は、認知症の予防につながります。
なお、人とのコミュニケーションや周囲からの刺激も、認知症予防効果が期待される要素です。多くの人と関わる、知らない街への散策するなど、生活環境への配慮も同時に行いましょう。
家族が認知症と診断された場合、これからどうすればよいか不安を感じる方も多いのではないでしょうか。過度な不安や悩みは、認知症の方と介護する家族の方の双方に悪い影響を与えます。
認知症介護をするときには、下記の5つを心がけてください。
(1)他の人と比べない (2)本音を隠さない (3)永遠に続くと考えない (4)頑張り過ぎない (5)一人で抱え込まない |
認知症の進行や症状は、人によりさまざまです。他の人と比べる必要はありません。ただし、辛いとき・疲れているときには、素直に今の状況を他の誰かに伝えるようにしましょう。本音を隠したままでは、介護を継続することが難しくなります。
また、「永遠に続く」と悲観しないことも重要です。今のひとときと大切に向き合うことで、心理的な負担は少なからず軽くなります。頑張り過ぎないこと、一人で抱え込まないことも意識しましょう。
イチロウでは、多種多様な在宅介護サービスを提供しています。食事・排泄・入浴などの自宅での介護、掃除・調理・食材の買い物といった自宅での家事など、サービス内容はさまざまです。
その他、ペットの世話・病院への付き添い・外出準備など多くのサービスメニューのなかから、ご希望に合わせた選択をすることができます。在宅介護を最も近くで支える存在として、認知症介護でお悩みの方は、ぜひイチロウまでご相談ください。
認知症は、脳の細胞の壊死・活動低下などにより障害が起こり、日常生活に支障をきたす状態を指します。アルツハイマー型認知症や、レビー小体型認知症が代表的な認知症です。
認知症は、記憶障害や見当識障害といった中核症状、被害妄想や徘徊といった周辺症状を有しています。
認知症の介護をするときには、一人で抱え込まず、頑張り過ぎないことが大切です。イチロウでは、オーダーメイドの訪問介護サービスを提供しているため、在宅での介護でお悩みの際はぜひご相談ください。