介護にまつわるお役立ちコラム

通院の送迎を行ってもらえる介護タクシーとは|利用時の流れと注意点

2021年03月30日

介護タクシーは、居宅から病院までの送迎や、送迎に関する介助を受けられる便利なサービスです。条件はありますが、介護保険を適用することができます。通院の送迎に負担を感じている家族や、通院の付き添いを必要とする要介護者にとって、頼りとなる存在です。

当記事では、介護タクシーの利用対象やサービスの種類、利用の流れや注意点を解説します。通院の送迎サービスを利用したい人や、介護タクシーに興味のある人は、ぜひ参考にしてください。

1単身での通院が難しい場合の対処法

病気による障害や、加齢による運動能力の低下がみられる高齢者の場合、単身での通院が困難なケースがあります。通院介護が必要な高齢者が定期的に通院する方法には、主に下記の2つが挙げられます。

・家族が付き添う
・自治体の介助サービスを利用する

同居、あるいは定期的に行き来している家族がいる場合は、家族に付き添ってもらう方法が最も多いケースです。バスや電車などの公共交通機関を利用したり、自家用車で病院まで送迎してもらったりすることができます。

また、自治体によっては、介助サービスを提供しているところもあります。

2通院の際に送迎をしてもらえる「介護タクシー」とは?

家族の付添や自治体の介助サービス以外には、「介護タクシー」を利用する方法があります。介護タクシーは「一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)」の通称です。介護保険サービスとして利用されるため、介護保険タクシーという名称で呼ばれることもあります。

介護タクシーは、訪問介護事業の一つです。車の乗り降りや病院内での介助など、要介護者が安心して外出できるサービスを提供しています。

利用できる人の条件

介護タクシーは、介護保険が適用されないケースもあります。介護タクシーにおける介護保険の対象者は、下記のとおりです。

・自宅、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、ケアハウスなどに居住している人
・要介護1~5の人

自宅に住んでいる人でも要支援の認定を受けている人は、介護タクシーを介護保険適用内で利用することはできません。

また、利用目的でも保険適用の条件があります。介護タクシーを保険適用内で利用できる利用目的は、下記のとおりです。

移動目的が「日常生活上または社会生活上必要な行為に伴う外出」である ※通院や買い物、公的機関や金融機関での手続き、選挙の投票所への行き来など

介護タクシーの利用に保険が適用されるケースは、生活に必要な場合のみです。仕事や趣味などで利用する場合には保険が適用されないため、注意してください。

受けられるサービスの種類

介護タクシーで提供されるサービスは「通院等乗降介助」です。また、介護タクシーは訪問介護サービスの一つであるため、外出準備介助などもサービスに含まれます。

下記は、通院の場合のサービス内容をシーンごとにまとめた表です。

シーンサービス内容の一例
出発・居宅までの迎車
・車両への移乗介助
・着替えなどの外出準備介助
通院移動中・介護タクシーの運転
現地到着・降車の介助
・移動のサポート
・病院スタッフとのやりとり
・支払い手続きや薬の受け取り
居宅移動中・介護タクシーの運転
帰宅・降車の介助
・着替えやおむつ交換なども必要に応じて介助する

介護タクシーは介助と移動を含んだ包括的なサービスです。乗用車の運転だけではなく、居宅や病院などでの介助を含むサービスであることは、介護タクシーの魅力といえます。

福祉タクシーとの違い

介護タクシーと似たサービスに「福祉タクシー」があり、混同されている人も多いのではないでしょうか。福祉タクシーの特徴は、下記のとおりです。

・利用対象や利用目的に制限がない
・運転手は介護の無資格でもサービスを提供できる
・乗降介助などに家族のサポートが必要となる
・訪問介護サービスではないため、介護保険が適用されない

介護タクシーと福祉タクシーの大きな違いは、介護タクシーが介護保険の適用内となる場合がある一方、福祉タクシーは基本的に保険適用外であることです。そのため、介助部分で家族のサポートが必要となる場合があります。

なお、介護タクシーであっても、保険適用を受けずに全額自己負担をすることで、さまざまな目的に利用することは可能です。ケースに合わせ、ケアマネジャーと相談しつつ利用しましょう。

3​介護タクシーの利用の流れや注意点

介護タクシーを利用する際は、まず担当のケアマネジャーへ相談しましょう。介護タクシーは介護保険を利用したサービスであり、ケアプランの作成が必要です。介護タクシーの必要性が認められれば、ケアプランのもと、介護タクシー事業者との契約がなされます。

介護タクシーの利用の流れは、下記のとおりです。

介護タクシーの利用の流れ
1担当のケアマネジャーへ、介護タクシーの利用を相談する
2相談する際に、利用目的や利用日時、必要な介助などを伝える
3要望をもとにケアマネジャーが必要性を判断し、ケアプランを作成する
4ケアマネジャーが介護タクシー事業者と契約を結び、スケジュール調整などを行う
5指定した日時に介護タクシーを利用する

介護タクシーの費用の内訳は、タクシーの移送料金と介護報酬です。タクシーの移送料金は介護タクシー事業者によって異なり、介護報酬は国による定めがあります。

介護タクシーの費用
タクシーの移送料金 + 介護報酬(地域単位×単価)

なお、介護タクシーを利用する際にはいくつかの注意点があります。主な注意点は下記のとおりです。

 

●原則として家族は同乗できない
介護保険が適用された介護タクシーには、家族は原則として同乗できません。家族が要介護者を介助した場合、運転手による介助が必要なくなるため、介護保険の適用外となります。

 

●基本的に病院内では運転手は介助できない
病院内での介助は、基本的に施設内のスタッフの領分となります。そのため、基本的に運転手は病院内介助を行いません。ただし例外もあり、自治体により解釈の異なるケースもあります。

4通院の付き添いは「イチロウ」におまかせ

仕事や家事と介護を両立しているなどで、通院の付き添いに負担を感じている人は少なくありません。また、これまで一人で通院できていた人でも、体力や足の筋力の衰えなどから、通院の付き添いが必要に感じてきている人もいるのではないでしょうか。

オーダーメイドの介護サービス「イチロウ」では、介護タクシーの手配はお客様で行なっていただく必要がございますが、定期的な通院から緊急時の通院まで、ヘルパーが付き添いサポートを行っています。

自宅への送り迎え、薬局での薬の受け取りや料金の立替まで、必要なサービスを網羅した内容です。イチロウでは必要な部分のみ依頼できるため、利用者にとって適切なサービスを受けることができます。

イチロウのサービス内容は、食事・排泄・入浴などの自宅での介護や掃除・洗濯・調理のほか、話し相手といった家事以外のサービスも提供しています。そのほか、入退院の準備や入院中の買い物代行なども承ります。

通院の付き添いを含め、在宅介護でお悩みの際は、ぜひ弊社までご相談ください。

5まとめ

単身での通院が難しい場合には、介護タクシーの利用が便利です。外出前の準備、病院への移動など、通院に関する介助を受けることができます。ただし、利用対象や利用目的には制限があり、家族が同乗できないといった注意点があるため、覚えておきましょう。

オーダーメイドの介護サービス「イチロウ」では、ヘルパーによる通院サポートを実施しています。また、ヘルパーのスキル向上のため、随時研修を行い、利用者の方の評価をサービスに反映するシステムを整備しています。

在宅介護に不安や悩みを持たれている人は、ぜひイチロウをご利用ください。

監修者情報
天晴れ介護サービス総合教育研究所株式会社 代表取締役

京都大学経済学部卒業後、特別養護老人ホームに介護職として勤務。社会福祉法人、医療法人にて、生活相談員、グループホーム、居宅ケアマネジャー、有料老人ホーム、小規模多機能等の管理者、新規開設、法人本部の仕事に携わる。15年間の現場経験を経て、平成27年4月「介護現場をよくする研究・活動」を目的として独立。介護福祉士、介護支援専門員 執筆、研修講師、コンサルティング活動を行う。著書、雑誌連載多数(日総研出版、中央法規出版、ナツメ社など)。年間講演、コンサルティングは300回を超える。ブログ、facebookはほぼ毎日更新中。オンラインセミナー、YouTubeでの配信も行っている。 天晴れ介護サービス総合教育研究所オフィシャルサイト https://www.appare-kaigo.com/ 「天晴れ介護」で検索

榊原宏昌(さかきばらひろまさ)
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