介護にまつわるお役立ちコラム

生活援助とは?身体介護の違い・回数制限などを詳しく解説

2021年03月29日

両親や配偶者など身近な人が要介護状態となり、介護サービスだけでなく利用者の身の回りの生活や家事について悩んでいる方もいるでしょう。「生活援助」は、このような場合に利用できる、要介護者の身の回りの生活をサポートする介護保険適用のサービスです。

今回は、生活援助の概要や利用対象者から、身体介護との違い、生活援助を利用する際の注意点までを解説します。また、生活援助でまかなえない場合におすすめのサービスも併せて紹介します。

要介護者に自宅で快適に過ごしてほしい方や、適切なサービスを選びたい方、介護負担を減らしたい方は、ぜひ参考にして下さい。

1生活援助とは?

生活援助とは、訪問看護スタッフが利用者宅を訪問して、家事などが困難な要介護状態の方に代わって日常生活に必要な援助を行うサービスのことです。訪問介護で提供されるサービスの一種であり、介護保険適用を受けて利用することができます。

生活援助では、下記のような援助が提供されます。

生活援助で提供されるサービス
掃除利用者宅の状況に合わせて、掃除や身の回りの物品の整理を行います。
ゴミ出し 利用者宅の地域事情に合わせて、本人に代わってゴミ出しを行います。
洗濯汚れた衣類の洗濯をから、干して畳むまでの一連の手順を行います。
食事の準備食材の買い出し・調理・配膳・下膳までの一連の食事援助を行います。
ベッドメイクシーツの交換・布団干しなど利用者が就寝する環境を整えることを行います。
衣類の整理や補修利用者の衣類の補修や衣替え時の衣類の入れ替え・整理を行います。
買物代行買い物が困難な利用者に代わって、生活に必要な日用品の買い物を行います。
薬の受け取り定期的に薬が必要な利用者に代わって、薬局や病院での受け取りを行います。

生活援助は、あくまでも利用者が困難な家事を支援するためのサービスであるため、本人以外の家族へのサービス提供を行うことはできません。利用者の生活状況から判断して、必要とされる援助が提供されます。

また、生活援助を利用する場合は、サービスの時間は60分以内であることが介護保険法で決められています。介護保険適用で安価で利用できるからと言って、どのような家事でも依頼できるわけではない点に留意しておきましょう。

生活援助と身体介護の違い

訪問介護で提供されるサービスには、上記で紹介した生活援助とは別に身体介護があります。訪問介護を利用する際には、両者の違いに注意して利用することが重要です。

ここでは、身体介護のサービスについて解説します。身体介護の代表的なサービスは、下記のとおりです。

身体介護で提供されるサービス
食事介助利用者が食事を行う際に適切な支援を行います。
入浴介助利用者の身体状況や体調に応じて、全身または部分の入浴介助を行います。
排泄介助トイレ介助やおむつ交換といった排泄に関する介助を行います。
更衣介助利用者の衣類の着脱の介助を行います。
体位変換床ずれを予防するための姿勢交換を行います。
移乗介助ベッドから車椅子またはその逆の介助を行います。

生活援助と身体介護の大きな違いは、「利用者の身体に直接触れるかどうか」という点です。例えば、生活援助で食事の支度を依頼する場合、食事のサポートも含めて依頼すると身体介護に該当します。

介護保険により提供されるサービス内容は、介護保険法に定められた範囲内となるため、適切な利用を心がけるようにしましょう。

2生活援助の利用対象者と利用できるケース

生活援助は、下記の条件に該当している方を利用対象者としており、要介護者であれば誰でも利用できるわけではありません。

生活援助の利用対象者
・利用者が一人暮らしの場合
・利用者の家族などが障害や疾病などの理由により、家事を行うことが困難な場合
・利用者の家族が障害や疾病などではないが、家事が困難である事情がある場合

要介護の利用者が一人暮らしである場合は、サービスの必要性が認められるため、問題なく生活援助を利用することができます。

同居家族がいる場合は、生活援助を利用できないと考えている方は多くいます。しかし、病気や疾病などの理由で要介護者の家事を行うことが困難であれば、多くの場合生活援助の利用が認められるため、必要に応じてサービスを利用することがおすすめです。

同居家族が上記以外の事情で家事を行うことが困難である場合は、生活援助サービスが家政婦化することを防ぐため、ケアマネにより生活援助の必要性を厳しく判断されます。

3生活援助を利用する際の注意点

生活援助は利便性の高いサービスですが、介護保険法に基づく「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」に定められたルールに則って提供されるサービスです。

そのため、生活援助を利用する場合には、ルールに抵触しないように注意して利用する必要があります。ここでは、生活援助を利用する際の注意点を解説します。

利用回数には上限がある

生活援助は、無制限に利用できるわけではありません。利用者の自立支援や要介護度の進行防止のために、利用回数の上限が定められている点に注意が必要です。

利用回数の基準回数は、1ヶ月単位で要介護度別に下記のように定められています。

要介護度要介護1要介護2要介護3要介護4要介護5
基準回数(1ヶ月)27回34回43回38回31回
(出典:厚生労働省「厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護」/https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82ab6417&dataType=0&pageNo=1

上限を超えた生活援助の利用は原則できないため、必要な時にサービスが受けられないことがないように、月内のサービス利用のペース配分については熟考する必要があります。

対象外となる家事もある

生活援助は、利用者本人が行うことができないさまざまな家事を代行してくれるサービスですが、どのような家事でも依頼できるわけではなく、対象外となる家事もあります。

生活援助の対象外となる家事には、下記が挙げられます。

・利用者の身体に直接触れる援助(身体介護に該当するため)
・本人以外の家族に対して行われる援助(本人以外の部屋の掃除やペットの世話など)
・日常生活の枠を超えた援助(大掃除・庭の手入れ・窓ふきなど)

生活援助は、あくまで生活に必要な家事が困難である場合に利用できるサービスです。知らずに不適切な依頼を行ったり、過剰な要求を行ったりしないように注意しましょう。

4生活援助でまかなえない分は「イチロウ」へ

生活援助は介護保険の適用であるため安価に利用することができますが、利用回数やサービスの範囲に制限があるため、思うように利用できず困っている方もいるでしょう。そのような場合は、介護保険法の制限を受けない介護保険外サービスを検討してみることもおすすめです。

「イチロウ」が提供する介護保険外の家事代行サポートであれば、掃除・洗濯・料理からペットの世話まで、利用者の希望に合わせて自由にリクエストができます。また、困った時には連絡をすればすぐに担当者が訪問してくれる心強さもあります。

介護関連の資格を持つ優秀なスタッフが多数在籍しており、スタッフを指名することもできるため、快適なサポートを受けることができるでしょう。

介護保険適用の生活援助に不自由さを感じている方は、ぜひ「イチロウ」の家事代行サポートを検討して下さい。

5まとめ

要介護状態となった方は、身体介護が必要となるだけでなく、生活に必要な家事のサポートも必要となります。生活援助は、安価でさまざまな生活サポートを受けることができるため、要介護者や家族にとっては重宝するサービスと言えるでしょう。

しかし、生活援助は介護保険法の制限の範囲内での利用となるため、利用者や家族の状況次第では使い難いこともあります。このような場合は、自由度の高い介護保険外の家事代行サービスを検討することもおすすめです。

要介護状態となった方の生活の質を向上するためには、家事や身の回りのサポートが重要です。ぜひ、今回の情報も参考に利用者本人が喜ぶ、最適なサービスを選んで下さい。

監修者情報
天晴れ介護サービス総合教育研究所株式会社 代表取締役

京都大学経済学部卒業後、特別養護老人ホームに介護職として勤務。社会福祉法人、医療法人にて、生活相談員、グループホーム、居宅ケアマネジャー、有料老人ホーム、小規模多機能等の管理者、新規開設、法人本部の仕事に携わる。15年間の現場経験を経て、平成27年4月「介護現場をよくする研究・活動」を目的として独立。介護福祉士、介護支援専門員 執筆、研修講師、コンサルティング活動を行う。著書、雑誌連載多数(日総研出版、中央法規出版、ナツメ社など)。年間講演、コンサルティングは300回を超える。ブログ、facebookはほぼ毎日更新中。オンラインセミナー、YouTubeでの配信も行っている。 天晴れ介護サービス総合教育研究所オフィシャルサイト https://www.appare-kaigo.com/ 「天晴れ介護」で検索

榊原宏昌(さかきばらひろまさ)
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