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2021年2月9日

介護予防とは?目的や背景からサービスの種類まで徹底解説

高齢者人口の増加が問題となっている日本では、健康寿命を延ばして介護が必要となる状態を予防し、自立した日常生活を続けられるよう「介護予防」が実施されています。

介護予防で受けられるサービスは、介護事業所による訪問介護や通所介護だけでなく、地域住民が主体となった多様なサービスがあります。

今回は、介護予防の目的や、地域主体での介護予防の実施が推進されるようになった背景、多様なサービスの種類について詳しく解説します。介護予防のサービス利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

介護予防とは|概要・目的を詳しく解説

介護予防とは、高齢者ができるだけ自立した生活を送ることができるように、要介護状態の予防と、今以上の状態悪化を防ぐための取り組みです。

支援が必要な人への生活支援や、住民主体の社会活動への参加を通して、生活機能の維持・向上を図るとともに、高齢者がいきいきと生活することを目指して実施されています。

介護予防が必要とされている背景

2020年9月時点における、日本の65歳以上の高齢者人口は、2019年に比べて約30万人増加しており、過去最多となりました。総人口における高齢者人口の割合も28.7%で、同様に過去最高となっています。

高齢者人口の割合は1950年から増加の一途を辿り、今後も増加し続ける見込みです。2040年には、35.3%になると推測されています。
(出典:総務省統計局「1.高齢者の人口」/http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1261.html

さらに、高齢化に伴って、全国の認知症高齢者も今後2060年まで増加する見込みであることもわかりました。
(出典:厚生労働省「認知症施策の総合的な推進について(参考資料)」/https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000519620.pdf

また、介護保険が始まった2000年~2016年にかけて要介護(要支援)認定者数は階段状に増加しています。今後も高齢者人口の増加に伴って、要介護(要支援)認定者数も増えると見込まれ、介護予防が重要視されている背景があります。
(出典:WAM NET(ワムネット)「要介護(要支援)認定者数 年度別推移(全国)」/https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/toukeidata/statistics05_01.html

従来の介護予防事業は、低下した心身機能を訓練で回復することに特化され、回復した機能を生活で維持するための仕組みが不十分でした。

そのため、「地域でのボランティアや通い場への参加を通して役割や趣味を持ち、充実した生活を送ることが介護予防になる」という考え方に基づく事業へと再編されました。

再編された介護予防事業が、2014年の介護保険法改正時に地域の実情に応じた地域住民主体の介護予防体制が整えられた「介護予防・日常生活支援総合事業」です。

介護予防・日常生活支援総合事業は、2017年から全国の市区町村でサービスの提供が始まっています。

介護予防サービスの種類は大きく分けて2つ

介護予防・日常生活支援総合事業は、「介護予防・生活支援サービス事業」と「一般介護予防事業」の2つに分けられます。

〇介護予防・生活支援サービス事業

介護予防・生活支援サービス事業は、要支援の認定を受けた人と基本チェックリストで生活機能低下が認められた基本チェックリスト該当者(事業対象者)が利用できます。

支援が必要な高齢者の日常生活の自立を目的とし、介護事業所だけでなく、地域住民主体の生活援助や移動支援などのサービスが提供されます。

基本チェックリストは、生活機能・運動機能・栄養状態・口腔機能・閉じこもり傾向・認知症・うつ傾向をチェックできる、25の質問で構成されたチェックリストです。厚生労働省が作成しており、公式サイトで確認することができます。

(出典:厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業のガイドライン」/https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000052670.pdf

基本チェックリストは要介護・要支援認定を受けなくても必要な介護予防が利用できるよう、高齢者の状況確認として用いられます。高齢者自身が生活機能低下を把握する、生活機能チェックのためのツールとしても用いることができます。

〇一般介護予防事業一般介護予防事業の対象者は、65歳以上のすべての方です。日常生活が自立している高齢者が、介護予防を目的として運動や趣味活動、茶話会などを実施される市区町村や民間企業、住民主体の通いの場です。

介護予防・生活支援サービス事業の内容

介護予防・生活支援サービス事業は、要支援者のニーズに合った適切なサービスを受けられるように、介護予防ケアマネジメントを経て必要なサービスが提供されます。

ここからは、介護予防・生活支援サービス事業の内容となる訪問型サービス・通所型サービス・その他の生活支援サービスについて、詳しく解説します。

訪問型サービス

訪問サービスは、介護員が利用者の自宅へ訪問して、掃除や洗濯などの日常生活の支援を行います。

サービスの種類サービス提供者とサービス内容
訪問介護介護保険給付の予防給付と同様の介護事業所による訪問介護・生活援助
訪問型サービスA
(緩和した基準によるサービス)
市の定めた基準を満たす訪問介護員などによる生活援助
訪問型サービスB
(住民主体による支援)
全国シルバー人材センターなどの住民主体の生活援助
訪問型サービスC
(短期集中予防サービス)
3ヵ月~6ヵ月間の保健・医療専門職による訪問相談指導や訪問リハビリテーション
訪問型サービスD地域ボランティアによる移動支援

通所型サービス

通所型サービスでは、機能訓練や通いの場など、利用者の日常生活における支援が実施されます。

サービスの種類サービス提供者とサービス内容
通所介護介護保険給付の予防給付と同様の、介護事業所による通所介護
通所型サービスA
(緩和した基準によるサービス)
介護事業所などによる運動やレクリエーションなどを実施するミニデイサービス
通所型サービスB
(住民主体による支援)
地域ボランティアなどの住民主体の体操教室・通いの場など
通所型サービスC
(短期集中予防サービス)
3ヵ月~6ヵ月間の保健・医療専門職による栄養改善プログラムや運動プログラムの実施など

その他の生活支援サービス

栄養改善や配食、高齢者の見守りなどを実施します。

  • 栄養バランスのとれた食事や治療食の提供、配食サービス
  • 地域住民による単独高齢者世帯の見守り訪問
  • そのほか、地域で自立した日常生活を送るための訪問型サービス・通所型サービスに準じる生活支援として市区町村が定めたもの

一般介護予防事業の内容

一般介護予防事業は、要介護状態の予防・悪化の予防を目的として、機能回復訓練のみでなく、高齢者が地域社会に参加・活動できる地域づくりを通して介護予防を図る事業です。

リハビリテーション専門職による自立支援や、地域住民が主体となって集える場を充実・拡大させ、介護予防を実施する取り組みが推進されています。

一般介護予防事業には5つの事業があり、市区町村が地域の実情に応じて、必要な事業を組み合わせながら実施中です。ここからは、一般介護予防事業の5つの事業を詳しく解説します。

介護予防把握事業

介護予防把握事業では、要支援認定や訪問活動、特定健康診査を実施している市の担当部署や・療機関・地域包括支援センター・家族や本人などと連携を取り、情報を収集します。
閉じこもりや栄養状態の不良などの、何らかの支援が必要な高齢者を早期発見し、地域住民が主体となって実施している介護予防活動の利用につなげます。

介護予防普及啓発事業

介護予防普及啓発事業では、65歳以上のすべての高齢者に向けて、介護の予防や現在の症状の悪化・軽減防止を目的とした取り組みが行われます。
パンフレットの作成・配布や講演会・相談会・介護予防教室・健康教室の開催、介護予防事業を実施するにあたって、記録などを管理する媒体の配布などを行います。

地域介護予防活動支援事業

地域介護予防活動支援事業では、市区町村が介護予防の目的に値すると判断した地域住民が主体となって活動する高齢者向けの通い場や、ボランティアなどの活動支援・育成を行います。
運動機能や口腔機能向上のための体操、低栄養予防のための会食、認知機能低下予防のレクリエーション、社会参加を促すための茶話会、趣味活動などの活動支援を行います。

一般介護予防事業評価事業

一般介護予防事業評価事業では、介護保険事業計画で定めた目標値の達成状況を振り返り、介護保険協議会や地域包括支援センター運営協議会などでの議論を通して、総合的な一般介護予防事業の評価を行います。
地域づくりの観点から効率的で効果的な事業が進められているかを検証・評価し、一般介護予防事業を含めた介護予防・日常生活支援総合事業全体の改善を目的とします。

地域リハビリテーション活動支援事業

地域リハビリテーション活動支援事業では、リハビリテーション専門職が通所事業所や自宅、さらに住民運営の通いの場などに訪れ、自立支援に向けた助言・指導などを行います。
リハビリテーション専門職が定期的に要介護者・高齢者に関与することで、自立支援の継続や、予防のためのケアマネジメントの向上につながります。

まとめ

心身の機能低下の回復を機能訓練で促して終了する介護予防ではなく、「高齢者自身が地域活動に参加し、元気な生活を維持しよう」という地域ぐるみの介護予防が必要とされています。

市区町村ごとに、地域の実情に応じた地域住民主体の介護予防の取り組みが実施されており、高齢者の社会活動への参加が、介護リスクを低下させるという報告も実際にあります。

効果的で効率的な介護予防は、市区町村と医療・介護、住まい、生活支援・福祉が一体となった地域包括ケアシステムの構築とともに、今後も展開が望まれるでしょう。

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