介護にまつわるお役立ちコラム

ホームヘルパー(訪問介護サービス)を頼むには|対象者や利用条件など

2024年10月30日

高齢の家族の介護に直面し、ホームヘルパーの利用を考えている方も多いのではないでしょうか。介護の負担に不安を感じたり、仕事との両立に悩んだりする方の気持ちはよくわかります。

 

この記事では、サービスの対象者や利用条件、申請の流れ、費用などをわかりやすく解説します。最後まで読むと、ホームヘルパーを頼む際の具体的な手順や注意点が理解でき、介護の負担軽減に向けた第一歩を踏み出せるはずです。在宅介護をより良いものにするためのヒントが見つかるかもしれません。

1ホームヘルパー(訪問介護サービス)の利用対象者

ホームヘルパー(訪問介護サービス)を利用できる対象者は、主に要介護1〜5の認定を受けた方です。また、要支援1〜2の認定を受けた方も「介護予防訪問介護」というサービスを利用できます。

 

さらに、介護保険を利用したヘルパーサービスと、介護保険外のヘルパーサービスの2種類があります。

 

介護保険を利用したサービスのメリットは、費用が1割〜3割の自己負担で済むことです。一方、デメリットとしては、サービス内容や利用回数に制限があることが挙げられます。

 

介護保険外のサービスは、より柔軟なサービス内容や時間帯での利用が可能ですが、費用が全額自己負担となります。

 

基本的には介護保険サービスを活用し、必要に応じて介護保険外サービスを併用していくことをお勧めします。これにより、必要な支援を受けながら、費用を抑えることができます。

 

ホームヘルパーの利用を検討する際は、まずは介護保険の要介護認定を受けることから始めましょう。その後、ケアマネジャーと相談しながら、適切なサービスの組み合わせを考えていくことが大切です。

2ホームヘルパーを依頼する流れ

ホームヘルパーを依頼するまでの流れは、以下の通りです。

  • 1.要介護認定の申請を行う
  • 2.調査員が訪問し、認定を受ける
  • 3.ケアプランを作成する
  • 4.事業者を選定・契約する
  • 5.訪問介護サービス(ホームヘルパー)の利用開始

申請からサービス利用開始までの期間は、通常1〜2ヶ月程度かかります。要介護認定の結果が出るまでに約30日、その後ケアプラン作成や事業者選定に2〜4週間ほどかかるためです。

 

下記にてそれぞれについて解説します。

1.要介護認定の申請を行う

要介護認定とは、介護保険サービスを利用するために必要な手続きです。認定を受けることで、自分の介護度に応じたサービスを利用できるようになります。

申請は、お住まいの市区町村の介護保険窓口で行います。必要書類は、以下の通りです。

  • 介護保険被保険者証(65歳以上の方)
  • 医療保険被保険者証(40〜64歳の方)
  • 印鑑
2.調査員が訪問し、認定を受ける

申請後、市区町村の調査員が自宅を訪問し、認定調査を行います。認定調査では、心身の状態や日常生活の様子を確認します。

 

認定区分と一般的な状態は、以下の通りです。

区分状態
要支援1日常生活に若干の支援が必要
要支援2日常生活の多くの場面で支援が必要な状態
要介護1立ち上がりや歩行が不安定で、部分的な介護が必要
要介護2立ち上がりや歩行に介助が必要で、排泄や入浴などに部分的な介護が必要
要介護3立ち上がりや歩行、排泄、入浴などに全面的な介護が必要
要介護4日常生活全般に全面的な介護が必要
要介護5日常生活全般に全面的な介護が必要で、意思の伝達が困難
3.ケアプランを作成する

ケアプランとは、利用者の状態や希望に応じて作成される介護サービス計画書です。ケアプランの作成者は、以下の通りです。

  • 要支援1・2の場合:地域包括支援センター
  • 要介護1〜5の場合:居宅介護支援事業所のケアマネジャー
4.事業者を選定・契約する

訪問介護事業者を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。

  • サービス内容や費用の説明が明確か
  • 希望する日時にサービスが受けられるか
  • 訪問日の変更やキャンセル時の対応が柔軟か
  • スタッフの資格保有状況
  • 事故発生時の対応体制
  • スタッフの言葉遣いや態度

複数の事業所を比較し、実際に話を聞いてみることをおすすめします。

5.訪問介護サービス(ホームヘルパー)の利用開始

事業者との契約が完了すると、ケアプランに基づいて訪問介護サービスの利用が開始されます。初回訪問時には、サービス内容の確認や具体的な支援方法について話し合いが行われます。

 

利用開始後も定期的に状態を確認し、必要に応じてケアプランの見直しを行います。

3ホームヘルパーに依頼できるサービス内容

ホームヘルパーに依頼できるサービス内容は、主に「身体介護」と「生活援助」の2つに分かれます。以下に、それぞれの概要を紹介します。

サービス内容概要
身体介護利用者の身体に直接触れて行う介護サービス
生活援助日常生活の支援を行うサービス

これらのサービスを利用することで、高齢者が安心して自宅での生活を続けられるようになるでしょう。次に、それぞれのサービス内容について詳しく説明します。

身体介護

身体介護とは、利用者の身体に直接触れて行う介護サービスを指します。具体的なサービス内容は、以下の通りです。

  • 食事の介助:食事の際に必要な支援を行います
  • 排泄の介助:トイレの介助やおむつの交換を行います
  • 入浴の介助:全身浴や部分浴、シャワー浴の介助を行います
  • 更衣の介助:衣類の着脱をサポートします
  • 服薬の介助:薬の準備や服用をサポートします
  • 通院・外出の介助:医療機関への付き添いや外出のサポートを行います
生活援助

生活援助とは、日常生活を支えるための家事支援を指します。具体的なサービス内容は以下の通りです。

  • 掃除:部屋の清掃や整理整頓を行います
  • 洗濯:衣類の洗濯や乾燥を行います
  • 食事の調理や準備:食事の準備や後片付けを行います
  • 買い物:日用品や食材の買い出しを行います
  • 薬の受け取り:薬局から薬を受け取って届けます

これらのサービスを利用することで、高齢者の生活の質を向上させることができます。ホームヘルパーのサービスは、高齢者の自立を支援し、家族の負担を軽減するために重要な役割を果たします。

4ホームヘルパーにかかる費用目安

ホームヘルパーの依頼にかかる費用は、「サービスの種類別料金 × 利用時間 + その他料金(加算)」で計算されます。介護保険を利用する場合、原則として費用の1割が自己負担となります。ただし、一定以上の所得がある方は2割または3割の負担となる場合があります。

 

以下に、各サービスの利用者負担額(1割負担の場合)の目安を示します。

 

【要介護1~5の認定を受けた方】

サービス内容時間利用者負担(1割)/回
身体介護20分未満163円
20分以上30分未満244円
30分以上1時間未満387円
1時間以上1時間半未満567円
生活援助20分以上45分未満179円
45分以上220円
通院時の乗車・降車等介助1回につき97円

これらの金額は基本的な料金であり、地域区分や個別の状況によって変動する可能性があります。また、夜間や早朝のサービス利用、緊急時の対応など、各種加算が適用される場合もあります。

 

実際の費用は、ケアプランに基づいて決定されるサービス内容や利用頻度によって異なるため、詳細はケアマネジャーや利用する訪問介護事業所に確認することをおすすめします。

 

なお、これらの料金は介護保険制度に基づくものであり、介護保険外のサービスを利用する場合は全額自己負担となりますので注意が必要です。

 

参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 訪問介護(ホームヘルプ)」

5ホームヘルパーを依頼する際の注意点

生活援助は、無制限に利用できるわけではありません。ホームヘルパーを依頼する際には、以下の点に注意が必要です。

  • 利用時間・回数に制限がある
  • サービス内容に制限がある

これらの制限は、介護保険制度の枠組みの中で定められており、適切なサービス提供と公平な利用を目的としています。利用者の状況に応じて、効果的かつ効率的なサービス利用を心がけることが重要です。

利用回数に制限がある

ホームヘルパーへの依頼には、介護度に応じて利用回数の制限があります。以下に各区分の目安を紹介します。

区分回数
要支援12回/週
要支援23回/週
要介護127回/月
要介護234回/月
要介護343回/月
要介護438回/月
要介護531回/月

これらの回数はあくまで目安であり、個々の状況に応じて調整される場合があります。また、1日に複数回サービスを利用する場合は、原則として2時間以上の間隔を空ける必要があります。

サービス内容に制限がある

ホームヘルパーには依頼できないサービス内容もあります。具体的には以下のようなものが含まれます。

  • 利用者以外の家族のための家事
  • 植木の手入れや模様替え
  • 大掃除や窓のガラス磨き
  • ペットの世話
  • 医療行為(例:インスリン注射、点滴)

これらのサービスは、訪問介護の範囲を超えているため、介護保険ではカバーされません。必要な場合は、介護保険外サービスを利用することを検討しましょう。

6同居家族がいる場合は、ホームヘルパーを頼めない?

同居家族がいる場合、原則としてホームヘルパーの生活援助サービスは利用できません。しかし、例外的に利用が認められるケースもあります。以下にその例外を紹介します。

  • 同居家族が病気や障害を持っている場合:同居家族が自分で家事を行うことが難しい場合は、生活援助サービスを利用できることがあります。
  • 同居家族が高齢である場合:同居している家族が高齢で、家事を行うのが困難な場合も例外として認められます。
  • 同居家族が長期間の出張や入院中の場合:家族が一時的に家を留守にする際に限り、生活援助が提供されることがあります。
  • 育児中の家族がいる場合:育児負担が重く、介護と両立が難しい場合も、一定条件のもとで利用が認められることがあります。
  • 介護者がフルタイムで働いている場合:介護者が仕事を続けるために必要と認められた場合は、サービスの利用が可能となる場合があります。

このような例外的な状況については、ケアマネジャーに相談し、具体的な対応を確認することが重要です 。

7介護認定なしでもOK!介護保険適用外サービス

介護保険適用外サービスとは、介護保険を利用せずに介護サービスを受けることができるものです。介護保険サービスとは異なり、利用者の希望や状況に応じて柔軟にサービスを提供することが可能です。

 

介護保険サービスは、要介護認定を受けた方が対象であり、サービス内容や利用回数に制限があります。一方、介護保険適用外サービスは、要介護認定を受けていない方でも利用でき、自由度が高い点が特徴です。ただし、費用は全額自己負担となります。

 

介護保険適用外サービスは、以下のような方々に利用されています。

  • 要介護認定を受けていない方
  • 短期間だけ特別な支援が必要な方
  • 介護保険サービスだけではカバーしきれないニーズを持つ方

介護保険適用外サービスの一例として、イチロウのサービスを紹介します。

 

【イチロウの特徴とメリット】

  • 24時間365日対応可能
  • 最短当日からのサービス利用
  • オーダーメイドの介護サービス提供
  • 高品質なサービス(厳選されたヘルパーによる対応)
  • 介護だけでなく、生活支援や通院付き添いなども可能

【イチロウのサービス対象エリア】

東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府(一部地域を除く)

 

イチロウのようなサービスを利用することで、介護保険では対応しきれない様々なニーズに柔軟に対応することができます。ただし、全額自己負担となるため、費用面での検討が必要です。

>>イチロウのサービスについて詳しく見る

 

介護保険サービスと介護保険適用外サービスを上手に組み合わせることで、より充実した介護・支援を受けることができます。個々の状況に応じて、最適なサービスの選択と利用を検討しましょう。

8まとめ

ホームヘルパーの利用は、在宅介護を必要とする方々とその家族にとって、大きな支えとなります。要介護認定の申請から始まり、ケアプラン作成、事業者選定と、一連の流れを理解することで、スムーズにサービスを開始できます。身体介護や生活援助など、多岐にわたるサービス内容を把握し、適切に活用することが重要です。

 

また、介護保険適用外サービスの選択肢も考慮に入れることで、より柔軟な支援を受けられる可能性があります。ホームヘルパーを上手に活用することで、介護の負担を軽減し、より質の高い生活を送ることができるでしょう。

監修者情報

2007年に介護系専門学校を卒業後、介護付き有料老人ホームに就職。

その後、慢性期病院の療養病床・2つの介護付き有料老人ホームに転職しながら介護士として現場業務に約6年間従事。

介護支援専門員資格取得後、新規開設の地域密着型老人福祉施設に転職し、施設ケアマネジャーとして入居者のケアマネジメント業務を行う。

2016年から居宅介護支援事業所へ転職。現在に至るまで、在宅で生活する要支援・要介護者のケアマネジメントに携わる。

川崎翔太(介護支援専門員)
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