介護にまつわるお役立ちコラム

訪問介護(ホームヘルパー)の利用料金目安|内容別に費用例も紹介

2024年07月02日

訪問介護は、介護が必要な方が住み慣れた自宅で生活を続けるために欠かせないサービスです。しかし、サービス内容や利用時間によって料金が異なるため、利用前に費用を把握しておくことが重要です。

 

本記事では、訪問介護の利用料金の目安や、費用負担を軽減できる制度、利用時の注意点などを詳しく解説します。また、介護保険の適用外のサービスについても紹介し、幅広いニーズに対応できる訪問介護の活用方法を提案します。

 

訪問介護を上手に利用し、安心で充実した在宅介護を実現しましょう。

1訪問介護にかかる費用目安

訪問介護の料金は、主に以下の4つの要素で構成されています。

要素概要
サービス内容身体介護、生活援助、通院等乗降介助の3種類に分かれ、それぞれ料金設定が異なる。
利用時間サービス内容ごとに設定された時間単位に基づいて料金が決まり、時間が長くなるほど料金は高くなる。
負担割合原則1割負担だが、所得に応じて2割または3割負担となる場合がある。
加算利用状況により、基本料金に上乗せして料金が加算される。

これらの要素を組み合わせて、それぞれの利用者に適した訪問介護の料金が算出されます。なお、要介護度によって料金が変わることはありません。

 

要介護度が高い方は身体介護など時間を要するサービスが必要となる傾向にあるため、結果として料金が高くなるケースも多くなります。

「サービス内容」「利用時間」「負担割合」

訪問介護の利用料金は、サービス内容と利用時間、負担割合によって決まります。以下の表は、1単位10円として計算した場合の料金目安です。

単位利用料金自己負担額
1割2割3割
身体介護20分未満1671,670円167円334円501円
20分以上30分未満2502,500円250円500円750円
30分以上1時間未満3963,960円396円792円1,188円
1時間以上1時間半未満5795,790円579円1,158円1,737円
生活援助20分以上45分未満1831,830円183円366円549円
45分以上2252,250円225円450円675円
通院等乗降介助1回あたり99990円99円198円297円

参考:厚生労働省|介護報酬の算定構造

 

この料金はあくまで目安であり、実際の料金はお住まいの地域が属する地域区分などによって異なります。地域区分は、市区町村が交付している介護保険負担割合証に記載されています。

 

また、自己負担割合は要介護認定の際に決定され、介護保険負担割合証で確認可能です。。原則1割負担ですが、所得に応じて2割、3割負担となる場合があります。

 

実際にかかる料金は、利用者の心身の状況や事業所の体制等によって異なります。詳細な費用は、訪問介護事業所までお問い合わせください。

「加算」

訪問介護の利用料金は、基本的なサービス内容と利用時間によって決まりますが、特定の条件下では加算料金が発生する場合があります。

 

加算とは、手厚いサービスなどに対して上乗せされる料金のことです。以下は、主な加算料金が発生するケースとその概要です。

加算されるケース概要
初回訪問時新規利用者の家庭に訪問し、初めてサービスを提供した場合に適用
夜間・早朝利用時夜間(18時から22時まで)または早朝(6時から8時まで)にサービスを提供した場合に適用
深夜利用時深夜(22時から翌6時まで)にサービスを提供した場合に適用
緊急で利用した場合利用者や家族から要請を受け、緊急でサービスを提供した場合に適用

これらの加算料金は、基本料金に上乗せされます。例えば、夜間や早朝の場合は基本料金の25%、深夜の場合は基本料金の50%が加算されます。

 

ただし、加算料金はこれだけではありません。事業所の体制によっては、特定事業所加算や介護職員処遇改善加算などが適用される場合もあります。これらは、サービスの質の向上や介護職員の処遇改善を目的としたものです。

 

加算料金の詳細については、利用する事業所によって異なる場合がありますので、事前に確認しておくことをおすすめします。

 

2訪問介護にかかる費用例

訪問介護の利用料金は、要介護度や利用するサービス内容、回数によって異なります。ここでは、3つのケースを例に、訪問介護にかかる月額費用の目安を紹介します。

 

■ケース1

要介護度要介護2
世帯構成独居
介護の状態食事や排泄等に一部介助が必要
利用サービス身体介護30分以上1時間未満を週3回、生活援助45分以上を週2回利用

月額利用料金:6,552円(1割負担の場合)

計算式:(396円 × 3回 × 4週)+(225円 × 2回 × 4週)= 6,552円

 

■ケース2

要介護度要介護3
世帯構成高齢者夫婦
介護の状態 入浴や移動等に全面的な介助が必要
利用サービス身体介護1時間以上1時間30分未満を週2回利用

月額利用料金:4,632円(1割負担の場合)

計算式:579円 × 2回 × 4週 = 4,632円

 

■ケース3

要介護度要介護1
世帯構成家族と同居
介護の状態定期的な見守りや声かけ等の支援が必要
利用サービス生活援助20分以上45分未満を週1回、通院等乗降介助(片道)を月2回利用

月額利用料金:930円(1割負担の場合)

計算式:(183円 × 1回 × 4週)+(99円 × 2回)= 930円

 

上記の費用例は、あくまでも目安です。実際の利用料金は、地域の単価や事業所の体制等によって異なります。また、所得に応じて2割または3割の自己負担となる場合もあります。

 

詳細な費用は、訪問介護事業所までお問い合わせください。

3在宅介護にかかる平均費用

在宅介護の費用は一時的な費用と月々の費用に分けられます。生命保険文化センターの調査によると、一時的な費用の平均は74万円、月々の費用の平均は8.3万円でした。

 

在宅介護の月額費用を詳しく見ると、平均4.8万円となっています。一方、施設介護の月額費用は平均12.2万円で、在宅介護に比べて高額です。

 

なお、在宅介護の月額費用は要介護度によって異なります。例えば、要支援1の人は平均4.1万円ですが、要介護5の人は平均10.6万円と、重度の要介護者ほど費用が高くなる傾向にあります。

 

すでに説明したとおり、訪問介護の利用料は要介護度による変化はありませんが、要介護度が上がるほどより多くのサービスを利用する必要があるため、結果的に料金は高くなると言えるでしょう。

4訪問介護の費用負担の軽減に使える制度

訪問介護の利用料は、1回あたりは高額ではありませんが、利用回数や時間によっては月々の負担が大きくなります。そこで、介護サービスの利用者負担を軽減するための制度が用意されています。

 

主な制度は、以下の3つです。

  • 高額介護サービス費
  • 高額医療・高額介護合算制度
  • 低所得者に対する利用者負担軽減制度

以下で詳しく説明します。

高額介護サービス費

高額介護サービス費とは、1か月の利用者負担額が上限額を超えた場合に、超えた分が後から払い戻される制度です。上限額は所得に応じて設定されており、低所得者ほど上限額が低くなります。

利用者負担段階区分負担上限額/月
課税所得690万円以上(年収約1,160万円以上)140,100円(世帯)
課税所得380万円以上~690万円未満(年収約770万円以上~約1,160万円未満) 93,000円(世帯)93,000円(世帯)
住民税課税~課税所得380万円未満(年収約770万円未満) 44,400円(世帯)44,400円(世帯)
世帯全員が市町村民税非課税 24,600円(世帯)24,600円(世帯)
前年の公的年金等収入金額+その他の合計所得金額の合計が80万円以下の方15,000円(個人)
生活保護を受給している方15,000円
高額医療・高額介護合算制度

高額医療・高額介護合算制度とは、1年間(毎年8月1日~翌年7月31日)の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が著しく高額になった場合、一定の上限額を超えた分が支給される制度です。対象となるのは、各医療保険(国民健康保険、被用者保険、後期高齢者医療制度)における世帯内で、医療保険と介護保険の両方に自己負担額がある世帯です。

 

【70歳未満の方がいる世帯】

所得(基礎控除後の総所得金額等)世帯の負担上限額
901万円超212万円
600万円超~901万円以下141万円
210万円超~600万円以下67万円
210万円以下60万円
市区町村民税非課税世帯34万円

【70歳以上の方の世帯】

所得区分70~74歳の世帯75歳以上の世帯
課税所得690万円以上212万円212万円
課税所得380万円以上141万円141万円
課税所得145万円以上67万円67万円
一般 56万円56万円
低所得者2(世帯全員が市区町村民税非課税) 31万円 31万円31万円31万円
低所得者1(世帯全員が市区町村民税非課税+収入が一定額以下(年金収入が80万円以下等))19万円19万円
低所得者に対する利用者負担軽減制度

低所得者に対する利用者負担軽減制度は、市区町村民税非課税世帯で、一定の要件を満たす方の利用者負担を軽減する制度です。

 

対象となるのは、以下の全ての要件を満たす方です。

  • 市区町村民税非課税世帯に属していること
  • 年間収入が単身世帯で150万円、世帯員が1人増えるごとに50万円を加算した額以下であること
  • 預貯金等が単身世帯で350万円、世帯員が1人増えるごとに100万円を加算した額以下であること
  • 日常生活に供する資産以外に活用できる資産がないこと
  • 負担能力のある親族等に扶養されていないこと
  • 介護保険料を滞納していないこと

対象者の利用者負担は25%(老齢福祉年金受給者は50%)減額されます。利用するには、市区町村への申請および「社会福祉法人等利用者負担軽減確認証」の交付が必要です。

5訪問介護利用時の注意点

訪問介護を利用する際は、サービス内容や料金体系をよく理解しておくことが大切です。ここでは、支給限度額や受けられないサービス、同居家族がいる場合の注意点について説明します。

支給限度額以上は全額自己負担

支給限度額とは、介護保険で利用できるサービスの上限金額のことです。要介護度によって、以下のように1か月あたりの限度額が設定されています。

要介護度限度額/月
要支援150,320円
要支援2105,310円
要介護1167,650円
要介護2197,050円
要介護3270,480円
要介護4309,380円
要介護5362,170円

この限度額を超えてサービスを利用した場合、超過分は全額自己負担です。例えば、要介護3の方が月に30万円分のサービスを利用した場合、限度額である270,480円を超える29,520円は全額自己負担になります。

訪問介護では受けられないサービスがある

訪問介護では、利用者本人の自立支援に直接関わるサービスが対象となります。以下のようなサービスは提供できません。

  • 医療的なケア(人工呼吸器の管理、自己導尿など)
  • 利用者家族分の家事代行(家族の食事準備、洗濯など)
  • 日常生活の援助の範囲を超えるもの(ペットの世話、大掃除、窓拭きなど)

医療的なケアが必要な場合は、訪問看護の利用を検討しましょう。また、家族分の家事代行は介護保険の対象外です。

同居家族がいる場合は、原則「生活援助」を受けられない

同居家族がいる場合、原則として「生活援助」のサービスを受けることはできません。これは、同居家族が家事を行うことが可能と判断されるためです。

 

ただし、以下のような例外があります。

  • 同居家族が高齢、障害、病気などで家事が困難な場合
  • 同居家族が仕事や学校などで日中不在の場合
  • その他、同居家族による支援が困難と認められる場合

このような場合は、ケアマネージャーや訪問介護事業所に相談し、必要性を説明することで、「生活援助」のサービスを受けられる可能性があります。

6介護保険の穴を埋める!保険適用外サービスの利用も検討しよう

介護保険サービスは、サービス内容や利用時間、対応時間帯などに制限があるため、利用者のニーズを全て満たすことは難しいのが現状です。そこで、介護保険適用外のサービスを併用することで、柔軟で幅広いサポートを受けられます。

 

保険適用外サービスとは、介護保険の対象とならない介護や生活支援サービスのことです。要介護認定を受けていない方や、介護保険のサービスだけでは不足する部分を補いたい方などが利用できます。

 

保険適用外サービスのひとつが、「イチロウ」です。イチロウは、介護保険の枠にとらわれない柔軟なサービスを提供しており、以下のような特徴とメリットがあります。

  • 最短当日からサービス利用可能
  • 利用者のニーズに合わせたオーダーメイドのサービス
  • ヘルパーの指名制で安心
  • 独自の介護ヘルパー適性検査で質の高いヘルパーを派遣
  • サービス内容や利用時間に制限がない

イチロウは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府でサービスを提供しています。料金は9時~18時までが1時間あたり3,190円(愛知県は3,080円)、それ以外の時間帯は3,828円(愛知県は3,696円)となっています。

 

介護保険サービスだけでは満足できない、もっと柔軟で柔軟で幅広いサービスを受けたいという方は、イチロウのような保険適用外サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

7まとめ

訪問介護の利用料金は、サービス内容や利用時間などによって異なりますが、介護保険の負担割合証を確認し、自己負担額を把握することが重要です。また、支給限度額以上のサービス利用や同居家族がいる場合の制限など、注意点も理解しておく必要があります。

 

訪問介護を上手に活用し、適切な費用負担で必要なサポートを受けることで、在宅介護をより充実したものにすることができます。介護保険だけでは不十分な場合は、保険適用外サービスの利用も検討しましょう。

監修者情報

保健師歴15年介護職歴5年のフリーランスWebライター。ケアマネージャー経験あり。現在は、遠距離介護を続けつつ、当事者および支援者の立場から、介護や福祉に関する記事を執筆中。

 

古賀優美子(保健師、介護支援専門員)
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