介護にまつわるお役立ちコラム

「私ばかり・・・」親の介護で不公平感・イライラを感じた場合の解決策

「私ばかり・・・」親の介護で不公平感・イライラを感じた場合の解決策
公開日:2024年07月05日
更新日:2026年09月07日

親の介護を担う中で、「私ばかりが介護をしている」「兄弟で介護の負担が私にばかりかかる」といった不公平感や、イライラを感じることは珍しくありません。不公平感を減らすには、家族で気持ちを話し合うだけでなく、介護で必要な作業、時間、費用を整理して分担を決めることが大切です。通院の付き添い、夜間の見守り、家事、排泄・入浴の介助、ケアマネジャーや医療機関との連絡などを洗い出し、家族で担うことと外部サービスに任せることを分けて考えます。本記事では、親の介護で「私ばかり」と感じる原因と、不公平感やイライラを減らすための具体的な対処法を解説します。

そもそも親の介護は誰がすべきなのか

親の介護が必要になった場合、誰がその義務を負うのでしょうか。民法では、親の介護義務は以下の関係者に発生すると定められています。

  • 直系血族

  • 兄弟姉妹

  • 配偶者

直系血族とは、親子・祖父母・孫のように、直接つながる血族を指します。「長男だから」「同居しているから」という理由だけで、特定の子どもが介護を担うと決まるわけではありません。実際の負担は、親の状態、きょうだいそれぞれの収入や健康、距離、仕事や育児の状況を踏まえて、家族で役割と費用を話し合って決めます。

「私ばかり」と感じる主な原因

「私ばかり」と感じる主な原因

親の介護で「私ばかりが負担している」と感じる背景には、介護にかかる時間や作業、費用の負担が一人に偏ることがあります。

  • 負担割合が多い

  • 一人っ子で抱え込んでしまっている

  • 経済的な負担が大きい

これらの原因を突き詰めていくことで、現状を打破するための糸口が見えてくるはずです。以下、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。

負担割合が多い

兄弟姉妹間で介護の負担割合に偏りがある場合、特定の人に負担が集中してしまい、「私ばかりが介護している」という不公平感を抱くことになります。

 

不公平感を減らすには、まず通院付き添い、夜間の見守り、家事、身体介護、医療・介護関係者との連絡にかかる作業、時間、費用を整理します。そのうえで、兄弟姉妹で担う役割と外部サービスに任せる役割を話し合い、各自の仕事や居住地、健康状態に合わせて分担を見直します。介護保険サービスに加え、生活支援と身体介護を一つのサービス内で組み合わせられる自由介護サービスも、負担を外部化する選択肢です。

一人っ子で抱え込んでしまっている

一人っ子の場合、介護を手伝ってくれる兄弟姉妹がいないために、すべての負担を一人で抱え込んでしまいがちです。

 

まず、家事、通院付き添い、夜間の見守り、入浴や排泄の介助、医療機関やケアマネジャーとの連絡など、必要な作業を分けて書き出しましょう。家族や親族で担うこと、介護保険サービスを利用すること、外部の支援に任せることを整理すると、一人で抱える負担を減らせます。何を頼めばよいか分からない段階でも、ケアマネジャーや介護の相談窓口に相談してください。

経済的な負担が大きい

親の介護には、医療費や介護サービス利用料など、多くの費用がかかります。特に一人で介護を行っている場合、その経済的負担は深刻なものになりがちです。

 

費用の負担を決める前に、医療費、介護サービス利用料、通院時の交通費、日用品、家事や見守りにかかる費用を一覧にし、誰がいくら負担しているかを家族で共有します。兄弟姉妹間で費用を分担するほか、親の資産を活用する方法も検討できます。介護保険や各種助成制度の対象を確認し、対象外の支援は必要な時間と内容を整理して外部サービスを利用するか判断すると、家族の負担と支出を見通しやすくなります。

「私ばかり親の介護をしている」不満を放置すると起きる問題

「私ばかりが親の介護をしている」という不満を抱えたまま介護を続けることは、以下のようなさまざまな問題を引き起こす可能性があります。

  • 介護うつによる共倒れ

  • 費用負担が高すぎることによる家計破綻

  • 押し付け合いによる家族関係の悪化

  • 事件に発展するケースもある

それぞれ詳細を見ていきましょう。

介護うつによる共倒れ

一人で介護を抱え込み、休息を取れずに心身を酷使し続けると、「介護うつ」を発症するリスクが高まります。介護うつとは、介護者が強いストレスから抑うつ状態に陥ることを指し、意欲の低下や体調不良など、日常生活に支障を来たす症状が現れます。

 

介護うつは、介護者の心身の健康に影響し、介護を続けることが難しくなる場合があります。眠れない、食欲がない、気分の落ち込みが続くなどの不調を感じたら、家族やケアマネジャー、医療機関に早めに相談しましょう。

 

介護うつを防ぐには、自分一人で介護を抱え込まず、家族や周囲の協力を仰ぐことが重要です。また、レスパイトサービスなど、介護者の休養を支援する制度を利用することで、心身の健康を維持しやすくなるでしょう。無理せず、休息を取りながら介護を続けていくことが、介護者自身と要介護者の両方を守ることにつながるのです。

費用負担が高すぎることによる家計破綻

親の介護には、医療費や介護サービス利用料、おむつ代など、多額の費用がかかるものです。一人で介護を行っている場合、その費用をすべて自分で負担しなくてはならないため、家計に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。

 

介護費用が家計を圧迫しそうなときは、まず医療費、介護サービス利用料、おむつ代などの支出を一覧にし、誰が何を負担しているかを家族で確認します。そのうえで、兄弟姉妹間の費用分担や親の資産の活用を検討し、利用できる助成金や減免制度も確認します。貯金の取り崩しや借入れを続ける前に負担の全体像を共有すると、特定の家族に費用が集中することを防ぎやすくなります。

 

介護費用は継続して発生するため、早い段階から支出と負担者を定期的に見直すことが大切です。家族での分担が難しいと感じた時点で、利用できる制度や外部サービスも含めて支援の方法を見直しましょう。

押し付け合いによる家族関係の悪化

「介護はお前がやれ」「自分は忙しいから無理だ」など、兄弟姉妹間で介護をめぐって押し付け合いが生じると、家族関係が悪化するリスクが高まります。特に、被介護者の財産をめぐって争いが生じるケースは珍しくありません。「自分が介護しているのだから、遺産は自分が多くもらって当然だ」という主張に対し、他の兄弟が反発するのです。

 

こうした対立が深刻化すると、互いを非難し合うだけでなく、親の介護方針をめぐっても意見が対立するようになってしまいます。その結果、親の介護がおろそかになり、本末転倒な事態を招くリスクもあるのです。

 

家族関係の悪化を防ぐには、兄弟姉妹間で率直に話し合い、お互いの立場を理解し合うことが重要です。介護の役割分担や費用負担のルール、親の遺産の取り扱いなどについて、早い段階から決めておくと良いでしょう。介護で得た功績が正当に評価されるよう、公正証書遺言などを活用する方法もあります。円滑なコミュニケーションを図ることで、家族の絆を保ちつつ介護を乗り越えていけるはずです。

事件に発展するケースもある

親の介護をめぐる兄弟姉妹間の対立が深まると、親の金銭管理や居場所をめぐって深刻なトラブルになることがあります。金銭を管理する人、支出の内容、親の生活状況を家族で共有していないと、不信感が高まりやすくなります。親の安否や居場所に不安がある場合は、憶測で責め合う前に、親本人の安全を確認し、必要に応じて警察や専門家へ相談してください。

 

トラブルを大きくしないためには、介護の作業、時間、費用を分けて見える化し、誰が担うかを早い段階で話し合います。通院付き添い、夜間の見守り、家事、身体介護、ケアマネジャーや医療機関との連絡などを一覧にすると、負担の偏りを話し合いやすくなります。家族だけで担えない作業は、外部サービスの利用も含めて分担を決めてください。

 

家族だけで分担を決められない場合は、ケアマネジャーなど介護の専門職に相談し、必要に応じて司法書士や弁護士にも相談してください。金銭管理や法的な手続きに争いがあるときは、早めに第三者を交えて事実と役割を整理します。

親の介護で不公平感を覚えたときの解決策

親の介護で不公平感を覚えたときの解決策

親の介護で不公平感が生まれたら、誰が何をどれだけ担っているかを整理して、兄弟姉妹や専門家と支援の分け方を見直します。通院付き添い、見守り、家事、身体介護、連絡調整などを、作業時間と費用に分けて書き出すと、役割分担や外部サービスの利用について話し合いやすくなります。

  • 兄弟間で役割分担・費用の負担割合について話し合う

  • ケアマネジャーなどの専門家に相談する

兄弟間で役割分担・費用の負担割合について話し合う

親の介護における役割分担や費用負担をめぐって兄弟姉妹間の対立が生じている場合、まずは冷静に話し合い、以下の点について協議することが重要です。

  • 1. 介護の方向性を決める

  • 2. それぞれの「できること、できないこと」を洗い出す

  • 3. 負担する範囲を決める

話し合いの際は、介護の方向性について改めて確認することから始めましょう。たとえば、「リハビリに力を入れて、可能な限り自立できるよう支援していく」「本人の希望を尊重し、自宅での生活を維持できるよう支えていく」など、目指すべき方向性を共有するのです。その上で、兄弟姉妹一人ひとりが、仕事や家庭の事情などを踏まえ、自分に何ができるかを提案していきます。

 

介護の内容には、「通院の付き添い」「ケアマネジャーとの連絡・調整」「家事支援」「安否確認の電話」「緊急時の駆け付け」「おむつなどの物品の購入」に加え、夜間の見守りや排泄・入浴の介助などがあります。作業ごとに必要な時間、頻度、費用を整理し、家族が担う役割と外部サービスに依頼する役割を話し合いましょう。介護の役割分担とあわせて、費用負担のルールも決めておくことが大切です。介護保険サービスの利用者負担額や、おむつ代などの消耗品費用を、誰がどのような割合で負担するのかを決めておきます。

 

こうした話し合いを通じて、お互いの立場を理解し合い、できる範囲で役割と費用を分担していきましょう。そうすることで、「私ばかりが損をしている」という不公平感は解消されていくはずです。

  • 話し合いで決着がつかない場合は扶養請求調停を申し立てることもできる

兄弟姉妹間の話し合いで解決の道筋が見えない場合、扶養請求調停を申し立てるという選択肢もあります。扶養請求調停とは、兄弟姉妹などの扶養義務者に対して、被扶養者(この場合は親)の扶養(生活費や医療費、介護費用など)を求める家事調停の一種です。

 

この調停は、以下のようなケースで有効だと考えられます。

  • 親の預貯金などの資産が乏しく、介護費用の工面が難しい

  • 兄弟姉妹の一部が、仕送りや介護の分担を拒んでいる

調停の申し立ては、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に、申立書と必要な添付書類を提出して行います。手数料は1200円程度です。調停では、裁判官や調停委員が間に入り、当事者双方の事情を聴取しながら、円滑な解決に向けて話し合いを進めていきます。

 

調停が成立した場合は、扶養の必要性や各扶養義務者の負担能力などを踏まえ、費用負担額や支払い方法についての合意が調停調書に記録されます。調停調書に記録された合意には、強制執行力があります。

ケアマネジャーなどの専門家に相談する

親の介護をめぐって一人で悩みを抱え込むのは得策ではありません。介護の知識と経験を持つケアマネジャーなどの専門職に相談し、客観的なアドバイスを仰ぐことも重要です。

 

ケアマネジャーは、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、介護保険サービスの利用に関する調整をしてくれる心強い味方です。利用者本人や家族の希望、心身の状態を考慮しながら、必要なサービスを適切に組み合わせ、過不足のない支援体制の構築を手助けしてくれます。介護の進め方に迷ったら、ケアマネジャーに現状を率直に伝え、専門的な視点からのアドバイスを求めましょう。

 

たとえば、一人で複数の役割を抱え込んで疲弊している場合、デイサービスやショートステイなどを組み合わせることで、介護者の負担を大幅に軽減できるかもしれません。

また、兄弟姉妹間の費用負担の話し合いに行き詰まっている場合、実際にかかっている介護サービス利用料や、今後発生が見込まれる費用などを、ケアマネジャーから説明してもらうのも有効です。

 

第三者の立場から、冷静に費用負担の必要性を伝えてもらうことで、兄弟姉妹間の理解も得やすくなるはずです。

親の介護に対する負担・イライラを軽減する方法

親の介護に対する負担・イライラを軽減する方法

親の介護で負担やイライラを感じたら、一人で抱え込まず、介護保険サービスや保険適用外サービスなどを組み合わせて、早めに支援を受けましょう。

  • 介護保険サービスを利用する

  • 介護保険適用外サービスを利用する

  • 各種補助金制度を利用する

  • 介護に対するスキル・知識を習得する

  • 限界を感じた場合は、施設への入所を検討する

それぞれについて解説していきます。

介護保険サービスを利用する

介護保険サービスとは、要介護・要支援認定を受けた65歳以上の人、または特定疾病により認定を受けた40歳から64歳の人が利用できる公的なサービスです。利用できるサービスは認定区分やケアプランによって異なり、家族の介護負担を減らすための選択肢の一つになります。

 

介護保険サービスには、在宅での生活を支援する居宅サービス、施設に入所して受ける施設サービス、地域密着型サービスの3種類があります。これらのサービスを利用する際には、原則として介護サービスにかかる費用の1割から3割を自己負担し、残りは介護保険から支払われます。

サービス内容

概要

居宅サービス

ホームヘルパーによる「訪問介護」、デイサービスセンターなどへの「通所介護」、福祉用具の「貸与・購入」、住宅改修の支援などがあります。

施設サービス

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険施設に入所して受けるサービスです。

地域密着型サービス

要介護者の住み慣れた地域での生活を支えるためのサービスです。 小規模多機能施設やグループホームでの介護、認知症対応型通所介護などがあり、要介護者の個別ニーズに応じたきめ細やかなケアを受けられます。

サービス利用では、要介護認定を受けた人はケアマネジャー、要支援認定を受けた人は地域包括支援センターに相談し、本人と家族の状況に合ったケアプランを作成します。

介護保険適用外サービスを利用する

介護保険適用外サービスを利用すれば、公的な介護保険制度ではカバーできないニーズにも対応できる可能性があります。介護保険外サービスには、介護保険サービスと併用しながら、制度上の区分や時間だけでは対応しにくい支援を補う選択肢があります。サービス内容は事業者によって異なるため、利用時間、夜間・休日の対応、家事・生活支援と身体介護を同じ支援内で依頼できるかを確認しましょう。通院付き添いの前後に着替えや排泄介助が必要な場合など、複数の支援をまとめて依頼したいときは、必要な内容を組み合わせられるサービスが役立ちます。

 

介護の作業、時間、費用を分けて整理すると、家族だけで担う部分と外部サービスに任せる部分を決めやすくなります。たとえば、平日日中は家族が仕事をし、夜間の見守りや通院付き添い、家事、入浴・排泄の介助を外部サービスに依頼する方法があります。遠距離で暮らす家族は、支援後の報告を受けながら、必要に応じてケアマネジャーや医療機関との連絡を分担できます。

 

介護保険適用外サービスは、介護保険の要介護認定を受けている人でも受けていない人でも、利用可能です。介護が必要になる前の段階から、予防的に利用することもできます。ただし、全額自己負担となるため、費用面では介護保険サービスよりも高くなる傾向があります。サービスの質の高さや柔軟性を考えるとメリットもあるため、ニーズに応じて利用を検討してみましょう。

 

イチロウは、家事・生活支援、通院・外出の付き添い、見守り、身体介護、夜間の介護、看護・医療的ケアを、必要に応じて組み合わせられる自由介護サービスです。介護関連資格を持つスタッフが支援を担当し、24時間365日、スポット利用から継続利用まで対応しています。

 

イチロウでは、介護関連資格を持つケアコンシェルジュが、本人の状態や家族の負担、利用中の医療・介護サービスを整理し、支援内容を設計します。何を頼めばよいか分からない段階から相談でき、必要に応じてスタッフの選定や関係者との情報共有も行います。支援後のレポートで支援内容や本人の様子を確認できるため、離れて暮らす家族や仕事で立ち会えない家族とも状況を共有できます。

各種補助金・公的支援制度を利用する

介護費用の負担を軽減する公的支援には、介護保険の負担軽減制度、税の控除、自治体独自の助成などがあります。対象となる制度を確認して利用すると、介護にかかる自己負担を抑えられる場合があります。

 

また、介護する側の心理的な負担も軽減されるため、親の介護を一人で抱え込む必要がなくなります。

助成金の種類

概要・受給要件

特定入所者介護サービス費(負担限度額認定制度)

低所得者の方が、介護保険施設やショートステイを利用した際に、食費と居住費(滞在費)の負担を軽減する制度です。受給要件は、住民税非課税世帯であること、預貯金等の合計額が基準以下であることなどです。

高額介護サービス費

1ヶ月の介護サービス利用料が一定額を超えた場合、超えた分が後から還付される制度です。受給要件は、住民税非課税世帯であること、住民税課税世帯で課税所得が基準以下であることなどです。自己負担額の上限は、所得に応じて設定されています。

高額医療・高額介護合算療養費制度

1年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が一定の上限を超えた場合、超えた分が還付される制度です。受給要件は、医療保険と介護保険の両方を利用していること、自己負担額の合計が所得に応じた上限を超えていることです。

医療費控除

医療費が一定額を超えた場合、確定申告により所得税が控除される制度です。医療費控除は、1年間に支払った医療費が原則10万円、または総所得金額等の5%のいずれか低い額を超えた場合に対象となります。介護サービスの自己負担額は、サービスの種類や内容により医療費控除の対象となる場合があります。

障害者控除

障害者手帳を持っている方や、寝たきりの高齢者を扶養している方は、確定申告により所得税が控除される制度です。障害者手帳を持つ方のほか、65歳以上で寝たきりや認知症の状態にあり、市区町村から障害者控除対象者認定書の交付を受けた方も対象となる場合があります。

生活保護

生活に困窮し、他の制度でカバーできない場合に、最低限度の生活を保障するための制度です。受給要件は、資産や能力に照らして、最低限度の生活を営むことができないことです。介護サービスの利用料も、生活保護の対象となります。

以上のように、介護にかかる費用を軽減するための様々な制度があります。これらの制度を上手に活用すれば、介護する家族の経済的・心理的な負担を大幅に軽減できるでしょう。

 

制度の対象要件、申請先、必要書類は、市区町村の窓口や地域包括支援センターで確認しましょう。介護費用や家族の負担を整理したうえで、利用できる公的支援を相談できます。

介護に対するスキル・知識を習得する

親の介護を一人で抱え込み、強いストレスを感じている場合、介護に必要な知識やスキルを高めることも重要な負担軽減策の一つです。たとえば、介護する側の腰痛は、深刻な悩みの一つだと言えます。要介護者の体位変換や移乗の介助方法を工夫することで、腰への負担が大幅に和らぐでしょう。また、認知症の症状や本人の状態に応じた対応方法を学ぶと、BPSD(認知症の行動・心理症状)への戸惑いや介護する側の負担を減らせる場合があります。

 

コミュニケーション技術を磨けば、要介護者の尊厳を守りつつ、円滑な介助が実現できるケースも少なくありません。こうした介護の知識やスキルは、介護教室への参加や介護関連書籍を通じて学べます。介護していて感じた疑問をケアマネジャーに相談し、アドバイスを受けることも有効です。

 

インターネットの動画サイトも学習のきっかけになります。体位変換や移乗など身体に負担がかかる介助は、動画だけで判断せず、ケアマネジャーや専門職に本人の状態に合う方法を確認しましょう。知識やスキルを身につけると、介護への不安を整理しやすくなり、本人に合う介助方法を選びやすくなります。負担が大きい作業は、家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーなどに相談して支援の利用も検討しましょう。

限界を感じた場合は、施設への入所を検討する

在宅介護を継続する中で、「限界だ」と感じることがあるのは自然なことです。要介護者の心身の状態が低下し、医療的ケアが必要になってくると、家族だけで適切な介護を続けることは難しくなります。介護者自身の高齢化や家族の事情の変化などによって、在宅介護を続けられなくなるケースもあります。

 

こうした状況に直面したら、介護施設への入所を前向きに検討してみましょう。特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、要介護度や利用者の希望に応じた、さまざまな種類の施設があります。施設入所には、経済的な負担や入居までの待機期間の長さなど、さまざまな課題も指摘されています。

 

在宅介護の継続が難しいと感じたら、家族だけで抱え込まず、ケアマネジャーなどの専門職に早めに相談しましょう。医療的ケアの頻度、夜間の見守り、介護者の健康や就労への影響、本人の希望を整理すると、施設入所の必要性を検討しやすくなります。施設入所に加え、生活支援、身体介護、看護を組み合わせて在宅生活を続ける方法も含め、本人と家族に合う支援体制を検討しましょう。

まとめ

親の介護をめぐって「私ばかりが損をしている」と感じたら、一人で抱え込まず、介護の作業、時間、費用を整理しましょう。通院付き添い、夜間の見守り、家事、身体介護、ケアマネジャーや医療機関との連絡を書き出し、家族で担うことと外部サービスに任せることを兄弟姉妹で話し合います。それぞれの事情を踏まえて役割分担と費用負担のルールを決めると、現実的な解決策を探しやすくなります。

 

話し合いでも解決の糸口が見えない場合は、ケアマネジャーなど専門職の知恵を借りるのも有効です。また、扶養請求調停を申し立てることで、客観的な立場から費用負担のルールを定めてもらうという選択肢もあります。

 

一方、介護の負担そのものを軽減するためには、介護保険サービスや民間の支援サービスを上手に活用することが欠かせません。デイサービスやショートステイなどを組み合わせることで、介護者の心身の休養を確保しやすくなるはずです。介護の知識やスキルを高めることも、身体的・精神的負担の軽減に直結します。介護教室への参加や、ケアマネジャーへの相談など、学びの機会を積極的に活用しましょう。

監修者情報

所属:介護老人保健施設メディトピア小諸

経歴:2008年理学療法士免許取得。長野県の介護老人保健施設にて入所・通所・訪問リハビリに携わる。介護認定調査員・介護認定審査員・自立支援型個別地域ケア会議の委員なども経験。リハビリテーション業務の傍ら、ライターとしても活動している。医療・介護の現場で働きながら得られる一次情報を強みに、読者の悩みに寄り添った執筆を心がけている。

保有資格:理学療法士・ケアマネジャー・福祉住環境コーディネーター2級

鈴木康峻(理学療法士)
鈴木康峻(理学療法士)
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