介護にまつわるお役立ちコラム
「私ばかり・・・」親の介護で不公平感・イライラを感じた場合の解決策
親の介護を担う中で、「私ばかりが介護をしている」「兄弟で介護の負担が私にばかりかかる」といった不公平感や、イライラを感じることは珍しくありません。こうした感情は、介護者の心身の負担を増大させ、介護の質にも影響を及ぼします。しかし、適切な解決策を講じることで、これらのネガティブな感情を軽減し、円滑な介護を実現することが可能です。本記事では、親の介護における不公平感・イライラへの対処法について詳しく解説します。
親の介護が必要になった場合、誰がその義務を負うのでしょうか。民法では、親の介護義務は以下の関係者に発生すると定められています。
- 直系血族
- 兄弟姉妹
- 配偶者
直系血族とは、親子・祖父母・孫といった上下の関係の血族のことを指します。ただし、「長男だから」「同居しているから」といった理由で、特定の子どもに介護を押し付けることは適切ではありません。介護は兄弟姉妹全員で負担すべきものであり、一人に偏ることのないよう、役割分担を話し合うことが重要です。
親の介護において「私ばかりが負担している」と感じる原因はさまざまですが、主なものとしては以下のようなケースが考えられます。
- 負担割合が多い
- 一人っ子で抱え込んでしまっている
- 経済的な負担が大きい
これらの原因を突き詰めていくことで、現状を打破するための糸口が見えてくるはずです。以下、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
兄弟姉妹間で介護の負担割合に偏りがある場合、特定の人に負担が集中してしまい、「私ばかりが介護している」という不公平感を抱くことになります。
この状況を解決するには、兄弟姉妹間で改めて話し合いの場を設け、お互いの事情を理解した上で、できる範囲で役割分担を見直すことが有効です。また、介護の負担を減らすために、介護保険サービスや家事代行サービスなどの外部リソースを活用することも検討してみてください。
一人っ子の場合、介護を手伝ってくれる兄弟姉妹がいないために、すべての負担を一人で抱え込んでしまいがちです。
この状況を解決するには、親族や近所の人、ケアマネジャーなど、周囲の協力を積極的に仰ぐことが大切です。一人で抱え込まず、SOSを出すことを恐れないでください。また、介護保険サービスをフル活用したり、介護に関する情報収集を欠かさず行ったりすることで、効率的に介護を進められるようになります。
親の介護には、医療費や介護サービス利用料など、多くの費用がかかります。特に一人で介護を行っている場合、その経済的負担は深刻なものになりがちです。
この状況を解決するには、兄弟姉妹間で費用を分担したり、親の資産を活用したりすることが考えられます。また、介護保険の利用や各種助成制度の活用など、公的な支援を受けられないかを調べてみるのも良いでしょう。さらに、現在のキャッシュフローを見直し、支出を抑えられる部分がないか検討してみてください。
「私ばかりが親の介護をしている」という不満を抱えたまま介護を続けることは、以下のようなさまざまな問題を引き起こす可能性があります。
- 介護うつによる共倒れ
- 費用負担が高すぎることによる家計破綻
- 押し付け合いによる家族関係の悪化
- 事件に発展するケースもある
それぞれ詳細を見ていきましょう。
一人で介護を抱え込み、休息を取れずに心身を酷使し続けると、「介護うつ」を発症するリスクが高まります。介護うつとは、介護者が強いストレスから抑うつ状態に陥ることを指し、意欲の低下や体調不良など、日常生活に支障を来たす症状が現れます。
介護うつは、介護者の心身の健康を損なうだけでなく、介護の質の低下につながるため、要介護者への悪影響も避けられません。ひどい場合、介護する側もされる側も寝たきりになるという、最悪の結末を迎えることすらあるのです。
介護うつを防ぐには、自分一人で介護を抱え込まず、家族や周囲の協力を仰ぐことが重要です。また、レスパイトサービスなど、介護者の休養を支援する制度を利用することで、心身の健康を維持しやすくなるでしょう。無理せず、休息を取りながら介護を続けていくことが、介護者自身と要介護者の両方を守ることにつながるのです。
親の介護には、医療費や介護サービス利用料、おむつ代など、多額の費用がかかるものです。一人で介護を行っている場合、その費用をすべて自分で負担しなくてはならないため、家計に深刻な影響を及ぼすリスクがあります。
介護費用の捻出のために貯金を切り崩したり、ローンを組んだりすることを余儀なくされるケースも少なくありません。生活防衛のための出費を介護費用にまわしてしまうことで、最悪の場合、家計が破綻してしまう可能性すらあるのです。介護をめぐる経済的リスクを回避するには、兄弟姉妹間で費用を分担する、親の資産を活用するなどの対策が有効です。各種の助成金や減免制度を活用することで、費用負担を大幅に軽減できる場合もあります。
介護は長期戦です。最初のうちは何とかなっていたとしても、徐々に負担が蓄積していくことを念頭に置き、早い段階から周囲と協力して対策を立てておくことが賢明だと言えるでしょう。
「介護はお前がやれ」「自分は忙しいから無理だ」など、兄弟姉妹間で介護をめぐって押し付け合いが生じると、家族関係が悪化するリスクが高まります。特に、被介護者の財産をめぐって争いが生じるケースは珍しくありません。「自分が介護しているのだから、遺産は自分が多くもらって当然だ」という主張に対し、他の兄弟が反発するのです。
こうした対立が深刻化すると、互いを非難し合うだけでなく、親の介護方針をめぐっても意見が対立するようになってしまいます。その結果、親の介護がおろそかになり、本末転倒な事態を招くリスクもあるのです。
家族関係の悪化を防ぐには、兄弟姉妹間で率直に話し合い、お互いの立場を理解し合うことが重要です。介護の役割分担や費用負担のルール、親の遺産の取り扱いなどについて、早い段階から決めておくと良いでしょう。介護で得た功績が正当に評価されるよう、公正証書遺言などを活用する方法もあります。円滑なコミュニケーションを図ることで、家族の絆を保ちつつ介護を乗り越えていけるはずです。
親の介護をめぐる兄弟姉妹間の対立が深刻化すると、最悪の場合、事件に発展することすらあります。たとえば、親の預貯金を管理していた子どもが、介護の対価だと言って多額のお金を引き出し、着服したとして告発されるケースがあります。行方不明になった親を他の兄弟が匿っているのではないかと疑い、警察沙汰になることもあるのです。
こうしたトラブルは、本人や家族だけでなく、親族や近隣住民をも巻き込む泥沼の争いに発展しかねません。感情的になって法的線を踏み越えた行為に及んだ場合、刑事事件に発展する可能性すらあるでしょう。事件化を防ぐには、初期段階でのコミュニケーション不足を解消することが重要です。たとえ意見の相違があっても、建設的な話し合いを重ね、妥協点を探っていく努力が求められます。
どうしても合意形成が難しい場合は、司法書士や弁護士などの専門家に相談するのも一つの方法です。第三者の視点から見た冷静なアドバイスが、事態の打開に役立つはずです。
親の介護をめぐって「自分ばかりが損をしている」と感じた場合、一人で抱え込まずに周囲に相談し、適切な解決策を探ることが重要です。以下に具体的な解決策を紹介していきます。
- 兄弟間で役割分担・費用の負担割合について話し合う
- ケアマネジャーなどの専門家に相談する
親の介護における役割分担や費用負担をめぐって兄弟姉妹間の対立が生じている場合、まずは冷静に話し合い、以下の点について協議することが重要です。
- 1. 介護の方向性を決める
- 2. それぞれの「できること、できないこと」を洗い出す
- 3. 負担する範囲を決める
話し合いの際は、介護の方向性について改めて確認することから始めましょう。たとえば、「リハビリに力を入れて、可能な限り自立できるよう支援していく」「本人の希望を尊重し、自宅での生活を維持できるよう支えていく」など、目指すべき方向性を共有するのです。その上で、兄弟姉妹一人ひとりが、仕事や家庭の事情などを踏まえ、自分に何ができるかを提案していきます。
介護の内容としては、「通院の付き添い」「ケアマネジャーとの連絡、調整」「家事援助」「安否確認の電話」「緊急時の駆け付け」「おむつなどの物品の購入」など、多岐にわたります。それぞれが得意分野を活かせる役割を引き受けるのが理想的です。また、介護の役割分担だけでなく、費用負担のルールについても話し合っておきましょう。介護保険サービスの利用者負担額や、おむつ代などの消耗品費用を、誰がどのような割合で負担するのかを決めておくのです。
こうした話し合いを通じて、お互いの立場を理解し合い、できる範囲で役割と費用を分担していきましょう。そうすることで、「私ばかりが損をしている」という不公平感は解消されていくはずです。
- 話し合いで決着がつかない場合は扶養請求調停を申し立てることもできる
兄弟姉妹間の話し合いで解決の道筋が見えない場合、扶養請求調停を申し立てるという選択肢もあります。扶養請求調停とは、兄弟姉妹などの扶養義務者に対して、被扶養者(この場合は親)の扶養(生活費や医療費、介護費用など)を求める家事調停の一種です。
この調停は、以下のようなケースで有効だと考えられます。
- 親の預貯金などの資産が乏しく、介護費用の工面が難しい
- 兄弟姉妹の一部が、仕送りや介護の分担を拒んでいる
調停の申し立ては、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に、申立書と必要な添付書類を提出して行います。手数料は1200円程度です。調停では、裁判官や調停委員が間に入り、当事者双方の事情を聴取しながら、円滑な解決に向けて話し合いを進めていきます。
最終的に、扶養の必要性や各扶養義務者の負担能力などを考慮し、具体的な費用負担額や支払い方法が決定されることになります。この合意内容は、調停調書という形で記録され、強制執行力を持つことになるのです。
親の介護をめぐって一人で悩みを抱え込むのは得策ではありません。介護の知識と経験を持つケアマネジャーなどの専門職に相談し、客観的なアドバイスを仰ぐことも重要です。
ケアマネジャーは、居宅サービス計画(ケアプラン)を作成し、介護保険サービスの利用に関する調整をしてくれる心強い味方です。利用者本人や家族の希望、心身の状態を考慮しながら、必要なサービスを適切に組み合わせ、過不足のない支援体制の構築を手助けしてくれます。介護の進め方に迷ったら、ケアマネジャーに現状を率直に伝え、専門的な視点からのアドバイスを求めましょう。
たとえば、一人で複数の役割を抱え込んで疲弊している場合、デイサービスやショートステイなどを組み合わせることで、介護者の負担を大幅に軽減できるかもしれません。
また、兄弟姉妹間の費用負担の話し合いに行き詰まっている場合、実際にかかっている介護サービス利用料や、今後発生が見込まれる費用などを、ケアマネジャーから説明してもらうのも有効です。
第三者の立場から、冷静に費用負担の必要性を伝えてもらうことで、兄弟姉妹間の理解も得やすくなるはずです。
親の介護を一人で抱え込んで強いストレスを感じているのであれば、負担を軽減するために以下の対策をとりましょう。
- 介護保険サービスを利用する
- 介護保険適用外サービスを利用する
- 各種補助金制度を利用する
- 介護に対するスキル・知識を習得する
- 限界を感じた場合は、施設への入所を検討する
それぞれについて解説していきます。
介護保険サービスとは、要介護認定を受けた高齢者が利用できる公的なサービスのことです。介護保険サービスを利用すれば、家族の介護負担を軽減し、イライラや不公平感の解消に繋がる可能性があります。
介護保険サービスには、在宅での生活を支援する居宅サービス、施設に入所して受ける施設サービス、地域密着型サービスの3種類があります。これらのサービスを利用する際には、原則として介護サービスにかかる費用の1割から3割を自己負担し、残りは介護保険から支払われます。
サービス内容 | 概要 |
居宅サービス | ホームヘルパーによる「訪問介護」、デイサービスセンターなどへの「通所介護」、福祉用具の「貸与・購入」、住宅改修の支援などがあります。 |
施設サービス | 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、介護医療院などの介護保険施設に入所して受けるサービスです。 |
地域密着型サービス | 要介護者の住み慣れた地域での生活を支えるためのサービスです。 小規模多機能施設やグループホームでの介護、認知症対応型通所介護などがあり、要介護者の個別ニーズに応じたきめ細やかなケアを受けられます。 |
サービス利用については、ケアマネジャーと相談しながら、要介護者のニーズに合ったプランを作成することが大切です。
介護保険適用外サービスを利用すれば、公的な介護保険制度ではカバーできないニーズにも対応できる可能性があります。例えば、介護保険では訪問介護の利用時間や回数に制限がありますが、介護保険適用外サービスでは、利用者のニーズに合わせて24時間365日いつでも必要な介護を受けることができます。また、家事支援や通院の付き添いなど、介護保険では対応できない生活支援も含まれています。
このような介護保険適用外サービスを利用すれば、親の介護に対する負担やイライラを軽減できる可能性があります。例えば、仕事と介護の両立に悩む人は、安心して仕事に専念できるようになるかもしれません。また、親の介護を一人で抱え込んでしまいがちな人も、自分の時間を確保し、心身のリフレッシュを図ることができます。
介護保険適用外サービスは、介護保険の要介護認定を受けている人でも受けていない人でも、利用可能です。介護が必要になる前の段階から、予防的に利用することもできます。ただし、全額自己負担となるため、費用面では介護保険サービスよりも高くなる傾向があります。サービスの質の高さや柔軟性を考えるとメリットもあるため、ニーズに応じて利用を検討してみましょう。
イチロウは、厳しい採用基準をクリアした一流の介護士が、24時間365日、介護保険では対応できないあらゆる介護・生活支援を完全サポートします。自宅での介護や家事支援、通院や外出の付き添い、入院中の介護、認知症ケアなど、幅広いニーズに対応可能です。
イチロウの大きな特徴は、オーダーメイド型のサービスにあります。利用者一人ひとりのニーズに合わせて、最適なサービスを提供してくれるため、細かい要望にも柔軟に対応してもらえます。また、オンラインレポートによってサービス内容が可視化されているため、家族間で情報を共有しやすいのもポイントです。
現在、イチロウは東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府でサービスを展開しています。利用料金は地域によって異なりますが、9時から18時までの時間帯は1時間あたり3,080円〜3,190円(税込)、それ以外の時間帯は3,696円〜3,828円(税込)となっています。
介護をしている家族の負担を軽減するために、国や自治体では様々な補助金や公的支援制度を用意しています。これらの制度を適切に利用すれば、介護にかかる費用を抑えられ、経済的な不安が和らぐ可能性もあります。
また、介護する側の心理的な負担も軽減されるため、親の介護を一人で抱え込む必要がなくなります。
助成金の種類 | 概要・受給要件 |
特定入所者介護サービス費(負担限度額認定制度) | 低所得者の方が、介護保険施設やショートステイを利用した際に、食費と居住費(滞在費)の負担を軽減する制度です。受給要件は、住民税非課税世帯であること、預貯金等の合計額が基準以下であることなどです。 |
高額介護サービス費 | 1ヶ月の介護サービス利用料が一定額を超えた場合、超えた分が後から還付される制度です。受給要件は、住民税非課税世帯であること、住民税課税世帯で課税所得が基準以下であることなどです。自己負担額の上限は、所得に応じて設定されています。 |
高額医療・高額介護合算療養費制度 | 1年間の医療保険と介護保険の自己負担額の合計が一定の上限を超えた場合、超えた分が還付される制度です。受給要件は、医療保険と介護保険の両方を利用していること、自己負担額の合計が所得に応じた上限を超えていることです。 |
医療費控除 | 医療費が一定額を超えた場合、確定申告により所得税が控除される制度です。受給要件は、1年間の医療費が10万円以上であること、医療費が所得の5%以上であることなどです。介護サービスの自己負担額も、医療費控除の対象となります。 |
障害者控除 | 障害者手帳を持っている方や、寝たきりの高齢者を扶養している方は、確定申告により所得税が控除される制度です。受給要件は、障害者手帳を持っていること、または65歳以上で寝たきりや認知症の状態が一定の基準に該当することです。 |
生活保護 | 生活に困窮し、他の制度でカバーできない場合に、最低限度の生活を保障するための制度です。受給要件は、資産や能力に照らして、最低限度の生活を営むことができないことです。介護サービスの利用料も、生活保護の対象となります。 |
以上のように、介護にかかる費用を軽減するための様々な制度があります。これらの制度を上手に活用すれば、介護する家族の経済的・心理的な負担を大幅に軽減できるでしょう。
制度の詳細や申請方法については、市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談するとよいでしょう。親の介護を一人で抱え込まずに、公的な支援も積極的に活用することが重要です。
親の介護を一人で抱え込み、強いストレスを感じている場合、介護に必要な知識やスキルを高めることも重要な負担軽減策の一つです。たとえば、介護する側の腰痛は、深刻な悩みの一つだと言えます。要介護者の体位変換や移乗の介助方法を工夫することで、腰への負担が大幅に和らぐでしょう。また、認知症の症状への適切な対応方法を学ぶことで、BPSD(認知症の行動・心理症状)に悩むことなく、穏やかな介護生活を送れるようになります。
コミュニケーション技術を磨けば、要介護者の尊厳を守りつつ、円滑な介助が実現できるケースも少なくありません。こうした介護の知識やスキルは、介護教室への参加や、介護関連書籍を読むことで着実に身につきます。介護していて感じた疑問をケアマネジャーに相談し、アドバイスを受けることも有効です。
その他、インターネットの動画サイトでの学習も有効です。介護のコツを分かりやすく解説したコンテンツが数多く公開されているため、スマートフォンなどを活用して気軽に学習してみるのもよいでしょう。知識やスキルを高めれば介護への不安が和らぎ、要介護者との信頼関係もさらに深まっていきます。負担軽減と介護の質の向上を同時に実現できるでしょう。
在宅介護を継続する中で、「限界だ」と感じることがあるのは自然なことです。要介護者の心身の状態が低下し、医療的ケアが必要になってくると、家族だけで適切な介護を続けることは難しくなります。介護者自身の高齢化や家族の事情の変化などによって、在宅介護を続けられなくなるケースもあります。
こうした状況に直面したら、介護施設への入所を前向きに検討してみましょう。特別養護老人ホームや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅など、要介護度や利用者の希望に応じた、さまざまな種類の施設があります。施設入所には、経済的な負担や入居までの待機期間の長さなど、さまざまな課題も指摘されています。
しかし、介護の限界を感じたまま在宅介護を続けることは、要介護者にとっても介護者にとっても、リスクの高い選択肢だと言わざるを得ません。要介護者の尊厳と暮らしの質を守るためにも、心身の限界を適切に見極め、必要な環境を整えていく冷静な判断力が求められます。ケアマネジャーなど専門職の知恵も借りながら、利用者本位の視点で、より良い介護のあり方を探っていきましょう。
親の介護をめぐって「私ばかりが損をしている」と感じた場合、一人で抱え込まず、周囲の協力を求めながら、適切な解決策を探ることが重要です。まずは、兄弟姉妹で率直に話し合う機会を設けることから始めましょう。介護の役割分担や費用負担のルールを見直し、それぞれの事情を踏まえた、現実的な落としどころを見つけていく努力が欠かせません。
話し合いでも解決の糸口が見えない場合は、ケアマネジャーなど専門職の知恵を借りるのも有効です。また、扶養請求調停を申し立てることで、客観的な立場から費用負担のルールを定めてもらうという選択肢もあります。
一方、介護の負担そのものを軽減するためには、介護保険サービスや民間の支援サービスを上手に活用することが欠かせません。デイサービスやショートステイなどを組み合わせることで、介護者の心身の休養を確保しやすくなるはずです。介護の知識やスキルを高めることも、身体的・精神的負担の軽減に直結します。介護教室への参加や、ケアマネジャーへの相談など、学びの機会を積極的に活用しましょう。