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認知症による徘徊が起こる原因とは?予防策と対処法を解説

認知症による徘徊が起こる原因とは?予防策と対処法を解説
公開日:2024年07月05日
更新日:2026年09月07日

認知症のある方が外出後に帰宅できなくなると、行方不明や事故につながるおそれがあります。本人がなぜ外出しようとするのかを理解し、日頃から予防策と発生時の対応を家族で確認しておくことが大切です。

 

この記事では、認知症のある方が外出を繰り返す主な原因、家庭でできる予防策、行方が分からなくなった場合の対応を解説します。見守りや外出時の付き添いなど、家族だけで抱え込まないための支援の選び方も紹介します。

認知症による徘徊とは

認知症による徘徊とは

認知症による徘徊の特徴と危険性を解説します。

徘徊とは

徘徊は認知症の行動・心理症状(BPSD)の一つで、本人には目的があっても、周囲には屋内や屋外を歩き回っているように見える行動を指します。認知症による徘徊は行方不明につながることがあり、早めの見守りや対応が必要です。

 

警察庁の発表によると、令和4年の行方不明者のうち18,709名が認知症又はその疑いによるものでした。認知症による行方不明者は近年増加傾向にあり、発見されてもケガをしていたり、命にかかわる状況になっていたりする場合もあります。

徘徊の危険性

認知症のある本人が外出して道に迷うと、行方不明になるおそれがあります。発見・保護まで時間がかかると衰弱し、夏は熱中症や脱水症状、冬は低体温症など、命に関わる状態になるおそれがあります。

 

また、車や電車などによる交通事故に巻き込まれたり、徘徊中に転倒してケガをしたりするリスクもあります。認知症による徘徊は、本人の安全を脅かすだけでなく、介護者にとっても大きな負担となるのです。

認知症による徘徊の原因

認知症のある人の徘徊は、記憶力や見当識、判断力の低下によって、目的地や帰宅方法が分からなくなることで起こることがあります。不安やストレス、慣れない環境なども重なると、徘徊につながる場合があります。

中核症状の影響

認知症の主な中核症状は、以下のとおりです。

  • 記憶障害

  • 見当識障害

  • 判断力の障害

それぞれ確認しましょう。

  • 記憶障害

記憶障害があると、外出の目的や慣れた道順を思い出せなくなることがあります。目的を持って出かけた後に目的地や帰宅方法が分からなくなり、歩き続けてしまう場合もあります。

  • 見当識障害

見当識障害により、自分がどこにいるのか、今が何時なのかがわからなくなります。自分の置かれている状況が分からなくなり、途方に暮れて歩き続けることにつながります。

  • 判断力の障害

適切な判断ができなくなるため、道に迷っても人に聞いたり、公共交通機関を使ったりすることが難しくなります。

不安やストレス

認知症の中核症状に不安やストレスが重なると、徘徊につながることがあります。不安や焦燥感が強まると落ち着いて過ごしにくくなり、目的なく歩き回る場合があります。また、じっとしていることが難しくなる多動の症状がみられ、部屋の中を歩き回ることもあります。

前頭側頭葉型認知症の特徴的症状

前頭側頭葉型認知症では、同じ行動パターンを繰り返す常同行動が特徴的な症状として見られます。家の中を一定のルートで歩き回ったり、外を決まったコースで毎日散歩したりするなどの行動が該当します。

 

また前頭側頭葉型認知症では、初期にはアルツハイマー型認知症のような記憶障害が目立たないことがあります。一方で、判断力や注意力の低下、衝動性によって、外出時の交通事故などにつながるおそれがあるため、行動の変化を踏まえた見守りが必要です。

認知症による徘徊のきっかけ

徘徊には、時間や場所が分からなくなる、目的を忘れるなどの認知症の中核症状が関わります。さらに、痛みや尿意などの身体的不調、不安や焦り、慣れない場所や刺激といった心理的・環境的な要因が重なると、徘徊のきっかけになることがあります。

身体的な要因

空腹や尿意、痛みなどの身体的な不快感がきっかけで、目的を伝えられないまま歩き回ることがあります。認知症のある本人は不快感の原因や対処法を判断しにくい場合があるため、まず空腹、排泄、痛みなどの身体的な要因を確認します。

心理的な要因

「仕事に行かなければ」「子どものお迎えに行く時間だ」など、過去の習慣や記憶が、本人にとって目的のある外出につながることがあります。今いる場所を自宅ではないと感じると、不安や落ち着かなさから家を探そうとして外出することもあります。

環境的な要因

入院や介護施設への入所、引っ越しなど、環境の変化をきっかけに徘徊が始まることがあります。見慣れない環境への戸惑いや不安、ストレスが、徘徊につながることがあります。

認知症による徘徊の予防策

認知症による徘徊の予防策

認知症による徘徊の予防策としては、以下が挙げられます。

  • 生活面での対策

  • 徘徊のタイミングが気付ける対策

  • 行方不明になった際に役立つ対策

  • 地域との連携に関する対策

  • 徘徊の対策グッズを取り入れる

それぞれ解説します。

生活面での対策

認知症の方が安心して生活できる環境を整えることが、徘徊予防につながります。

  • 仕事や趣味、役割を持つ

できる範囲で家事を手伝ってもらったり、趣味の時間を設けたりして、生きがいや充実感を感じてもらいましょう。

  • 外出などの運動を日課にする

  • 規則正しい生活リズムを作る

昼夜逆転を防ぎ、体調を整えることで徘徊のリスクを下げられます。

 

ストレスの原因や、普段と異なる行動がないかなど、本人の様子をよく観察することも大切です。薬の副作用で落ち着かなくなることもあるため、処方薬は医師や薬剤師の指示どおりに服用し、変化があればかかりつけ医に相談しましょう。

徘徊のタイミングが気付ける対策

徘徊が始まりそうな様子を早めに察知できれば、危険を未然に防げます。

  • ドアや窓にセンサーを付ける

ドアや窓が開くとアラームで知らせるため、家族や介護者は外出しようとする動きに早く気づけます。

  • 玄関に目を引くものを置く

靴やスリッパを玄関から遠ざけたり、ドアの手前にのれんやすだれをかけたりすることで、外出を思いとどまらせる効果が期待できます。

行方不明になった際に役立つ対策

万が一の行方不明に備えて、事前にできる対策もあります。 

  • 衣服や持ち物に名前や連絡先を書いておく

  • GPSを利用する

専用端末を靴やバッグに入れておくと、位置情報を確認して捜索の手がかりにできます。

  • 顔写真を用意する

最新の顔写真があれば、捜索時に服装や持ち物とあわせて本人の特徴を伝える手がかりになります。

地域との連携に関する対策

自治体の「徘徊・見守りSOSネットワーク」などの見守り制度を確認し、利用できる場合は登録を検討しましょう。制度の名称、登録方法、協力体制は自治体によって異なるため、事前に窓口で確認しておくと、徘徊時の早期発見に向けた地域の協力につながります。

 

民生委員や介護事業所、近所の商店など、日頃から地域とのつながりを大切にしておくことで、いざという時に協力を得やすくなります。

徘徊の対策グッズを取り入れる

専用のグッズを使うことで、徘徊のリスクを下げることができます。

  • GPSシューズ

GPSシューズは、靴に内蔵されたGPS端末で本人の位置情報を確認しやすくするグッズです。

  • 見守りセンサー

ドアの開閉だけでなく、室内の動きも検知できるタイプのセンサー。

  • アイロンプリント

服に貼り付けるシールタイプの名札。裏返して着ても外れにくい。

 

状況に合わせて、いくつかのグッズを組み合わせるのも効果的です。

 

認知症による徘徊が起きてしまった時の対処法

認知症のある方が行方不明になった場合は、次の対応を取りましょう。

  • 警察に連絡する

  • 友人や近所の方に協力を仰ぐ

  • なじみのある場所を探してみる

  • 「徘徊・見守りSOSネットワーク」を活用する

それぞれ解説します。

警察に連絡する

本人の行方が分からなくなったら、速やかに警察へ連絡してください。最後に確認した場所と時刻、服装や身体的な特徴、よく行く場所、最近の写真を伝えると、捜索に役立ちます。

友人や近所の方に協力を仰ぐ

交番に通報したら、近所の商店や民生委員、町内会など、日頃からつながりのある方々にも声をかけましょう。手分けして探せば、発見率も上がります。独りで抱え込まずに、周囲の力を借りることが大切です。

なじみのある場所を探してみる

「徘徊高齢者の効果的な捜索に関する研究等事業」では、認知症のある人が普段移動できる範囲で発見されたケースが約40%を占めています。自宅周辺、以前暮らしていた場所、昔通っていた職場の周辺など、本人になじみのある場所を重点的に探してください。

「徘徊・見守りSOSネットワーク」を活用する

自治体の「徘徊・見守りSOSネットワーク」に事前登録しておくと、行方不明時に関係機関へ情報を共有しやすくなります。行方不明に気づいたら、まず警察へ連絡し、地域包括支援センターやケアマネジャーにも相談しましょう。本人の日頃の行動範囲や立ち寄り先を知る専門職の助言は、捜索の手がかりになります。

認知症の高齢者が徘徊している時の接し方

認知症の高齢者が徘徊している時の接し方

認知症の高齢者が徘徊している時は、急に制止せず、安全を確保しながら付き添い、落ち着いて行き先や理由を尋ねましょう。

  • 無理に引き止めず徘徊に付き添う

  • 責めない・怒らない

  • 理由を聞いてみる

無理に引き止めず徘徊に付き添う

認知症の方の行動を否定したり、強く引き止めたりすると、混乱や不安が強まることがあります。安全を確保できる範囲で本人の行動に付き添い、落ち着いて過ごせるよう見守りましょう。

責めない・怒らない

認知症の方は、叱責の言葉の内容を十分に理解しにくく、怒られたという感情だけが残って不安が強まることがあります。徘徊を繰り返しても、感情的に怒鳴らず、穏やかな声で安全を確認しながら接しましょう。

理由を聞いてみる

「どこに行きたいの?」「何か気になることがある?」と、やさしく尋ねてみてください。歩き回る背景にある不安や目的を聞くことで、必要な対応を考える手がかりになります。明確な答えが返ってこなくても、本人の気持ちを受け止め、共感的に接してください。

認知症の方も利用できるイチロウのサービス

認知症の方も利用できるイチロウのサービス

介護保険外のサービスとして、認知症の方の見守りや付き添いを行う「イチロウ」を紹介します。

 

イチロウは、認知症の方とご家族の希望に合わせ、見守り、付き添い、家事・生活支援、身体介護、看護を一つのサービスで組み合わせられる自由介護サービスです。介護保険の認定前でも利用でき、既存の介護・医療サービスと併用しながら支援内容を設計できます。

  • 守り、話し相手、レクリエーションなど

  • 通院や外出の付き添い

  • 服薬管理、衣類の準備、買い物代行など

何を頼めばよいか決まっていない段階から、介護関連資格を持つケアコンシェルジュに相談できます。見守り、外出・通院付き添い、服薬確認、生活支援などを組み合わせ、介護保険の認定前や他サービスとの併用時にも、本人の生活とご家族の状況に合わせて支援を設計します。

 

料金や対応エリアなどの最新条件は、イチロウのサービスページで確認してください。現在は、東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知・京都・兵庫・大阪を中心にサービスを提供しています。

  • 基本料金(9時〜18時):3,740円/時

  • 夜間料金(18時〜9時):4,488円/時

認知症の方の在宅介護でお困りのときは、ぜひ一度イチロウに相談してみてはいかがでしょうか。

まとめ

認知症による徘徊の背景には、記憶障害や見当識障害などの中核症状に加え、身体的・心理的・環境的な要因があります。日頃から本人の様子を観察し、ストレスを和らげる関わりを心がけましょう。

 

万が一の行方不明に備えて、衣服や持ち物への名前の記入、GPSの利用など、事前の対策を怠らないようにしましょう。徘徊時の対応では、無理に引き止めず、本人の気持ちに寄り添いながら一緒に付き添うことを心がけてください。警察への通報、地域への協力依頼といった初期対応にも速やかに動くことが肝心です。

 

イチロウでは、徘徊リスクがある方に向けて、見守り、話し相手、外出・通院付き添い、家事・生活支援などを必要に応じて組み合わせられます。介護保険制度や地域の支援体制とも併用しながら、本人と家族の状況に合う支援を検討しましょう。

 

認知症の人を支えるためには、家族だけで抱え込まず、周囲の力を借りることが何より大切。一人で悩まず、できることから支援の輪を広げていきましょう。

監修者情報

2007年に介護系専門学校を卒業後、介護付き有料老人ホームに就職。

その後、慢性期病院の療養病床・2つの介護付き有料老人ホームに転職しながら介護士として現場業務に約6年間従事。

介護支援専門員資格取得後、新規開設の地域密着型老人福祉施設に転職し、施設ケアマネジャーとして入居者のケアマネジメント業務を行う。

2016年から居宅介護支援事業所へ転職。現在に至るまで、在宅で生活する要支援・要介護者のケアマネジメントに携わる。

川崎翔太(介護支援専門員)
川崎翔太(介護支援専門員)
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