介護にまつわるお役立ちコラム
寝たきりの高齢者介護に必要なものとは?在宅介護の負担を軽減する方法を紹介
寝たきりの高齢者を在宅で介護するには、さまざまな準備と知識が必要です。寝たきりになると、運動機能の低下や褥瘡(じょくそう)、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)などのリスクが高まります。介護する側も、食事や排泄、入浴など、多岐にわたる介助が求められ、肉体的・精神的な負担が大きくなります。
この記事では、寝たきり高齢者に見られる症状や必要な介護方法、介護に必要な物品などを解説します。また、自宅で利用できるサービスや、施設入所のタイミングについても触れます。在宅介護の知識を深め、周囲の支援を上手に活用することが、介護者の負担軽減につながります。本記事を参考に、適切な準備を進めていきましょう。
寝たきりの高齢者とは、長期間にわたってベッド上で過ごすことが多い状態の方を指します。
寝たきりの状態が続くと、体を動かす機会が減ることで「廃用症候群(生活不活発病)」と呼ばれるさまざまな症状が全身に現れます。
寝たきりの状態になると、以下のような症状が見られるようになります。
寝たきりになると現れる症状 | |
運動器障害 | ・筋萎縮(筋肉が衰える) ・関節拘縮(関節が硬くなり動きが悪くなる) ・骨萎縮(骨がスカスカになりもろくなる) |
循環・呼吸器障害 | ・誤嚥性肺炎(食べ物や唾液などが誤って気管支や肺に入り起きる肺炎) ・心機能の低下(心臓の働きが悪くなり全身に十分な血液を送り出せなくなる) ・血栓塞栓症(血の塊が血管で詰まってしまう) |
自律神経・精神障害 | ・うつ状態(気分が落ち込む) ・せん妄(周りの状況が理解できずぼんやりして幻覚や錯覚が見られる) ・見当識障害(今いる場所や時間がわからなくなる) |
寝たきりの高齢者の要介護認定区分は、介護の必要度が高い要介護4または5に該当することがほとんどです。
要介護認定区分とは、介護が必要な方の状態を調査して、どの程度の介護が必要かを判定する区分です。
区分は以下の7段階に分かれています。
要介護認定区分 | 状態像 |
要支援1 | 軽度の支援が必要 |
要支援2 | 支援が必要 |
要介護1 | 部分的な介護が必要 |
要介護2 | 一定の介護が必要 |
要介護3 | 重度の介護が必要 |
要介護4 | 最重度の介護が必要 |
要介護5 | 最重度の介護が必要で、意思疎通が困難 |
寝たきりの高齢者を介護するには、食事介助、床ずれ対策、入浴介助、排泄介助などが必要とされます。
これらの介護を行う際には、専用の用具や備品が必要になります。
寝たきりの高齢者は、自分で食事を摂ることが難しくなるため、食事介助が必要です。食事介助は、誤嚥(ごえん)のリスクを回避し、食事を楽しみながら必要な栄養を摂取してもらうために重要です。
食事介助の流れは、以下の通りです。
- 1. 食事の準備:食事の内容を説明し、上半身を起こして食事しやすい姿勢を取ってもらう。
- 2. 食事の介助:適量を口に運び、ゆっくりと交互に食べさせる。
- 3. 食後のケア:口腔ケアを行い、しばらく上体を起こしたままで過ごしてもらう。
食事介助の際は、以下の点に注意しましょう。
- 食べやすい姿勢で介助する
- 一口の量を調整し、相手のペースに合わせる
- 水分で誤嚥しないよう注意する
【食事介助に必要なもの、あると便利なもの】
- エプロン
- タオル
- 吸い飲み
- とろみ剤
- 介護用食器
寝たきりの高齢者は、同じ姿勢で長時間過ごすことで床ずれができやすくなります。床ずれは、皮膚や筋肉が傷つき、重症化すると命に関わることもあるため、予防が大切です。
床ずれ対策の具体的な方法は以下の通りです。
- 1. 体位変換:2~3時間ごとに体位を変える。
- 2. 皮膚のケア:清潔を保ち、保湿する。
- 3. 栄養管理:バランスの良い食事で栄養状態を保つ。
- 4. 体圧分散用具の使用:床ずれ予防用のマットレスやクッションを使う。
床ずれ対策の際は、以下の点に注意しましょう。
- こまめに体位を変えるようにする
- シーツやおむつのしわに気をつける
- スキンケアを行い、清潔を保つ
【床ずれ対策に必要なもの、あると便利なもの】
- 体圧分散マットレス
- エアマット
- 体位変換クッション
- スキンケア用品
- 保護クリーム
寝たきり高齢者は自力で入浴するのが困難なため、入浴介助が必要です。入浴は全身の清潔を保ち、皮膚の観察やスキンケアを行う良い機会です。また、温まることでリラックス効果も期待できます。
入浴介助の流れは、以下の通りです。
- 1. 入浴の準備:浴室内の温度を調節し、必要な物を用意する。
- 2. 脱衣介助:バスタオルで身体を覆い、衣服を脱がせる。
- 3. 移乗介助:浴槽内の移乗用具を使って湯船に入ってもらう。
- 4. 洗体介助:身体と髪を洗う。
- 5. 保清・整容:身体を拭き、髪を乾かし、着衣を行う。
入浴介助の際は、以下の点に注意しましょう。
- 入浴前にバイタルサインを確認する
- 湯温は38~40℃程度に調整する
- 脱水に注意し、こまめに水分補給する
【入浴介助に必要なもの、あると便利なもの】
- シャワーチェア
- 浴槽内移乗用具
- シャワーキャリー
- 滑り止めマット
- 柔らかいタオル
寝たきりの高齢者は、トイレまで移動することが難しいため、排泄介助が必要です。排泄はデリケートな問題なので、プライバシーに配慮しながら介助を行うことが大切です。
排泄介助の流れは、以下の通りです。
- 1. おむつ交換:陰部を清潔に保ち、おむつを交換する。
- 2. トイレ誘導:ポータブルトイレやベッド脇のトイレを使用してもらう。
- 3. 陰部洗浄:温水で陰部を洗浄し、清潔に保つ。
排泄介助の際は、以下の点に注意しましょう。
- プライバシーに配慮し、尊厳を守る
- こまめにおむつ交換し、陰部を清潔に保つ
- 便秘や下痢など、排泄のリズムの変化に気をつける
【排泄介助に必要なもの、あると便利なもの】
- おむつ
- ポータブルトイレ
- トイレ用品(洗浄ボトル、タオルなど)
- 使い捨て手袋
- 消臭剤
寝たきり介護を行う上で必要なものや便利なものをまとめると、以下のようになります。
- 介護ベッド
- 車椅子
- 体位変換クッション
- 床ずれ防止マットレス(エアマット等)
- スライディングボード・シート
- 介護用シーツ
- おむつ、尿とりパッド
- ポータブルトイレ
- 衣類(前開きの服、介護用パジャマなど)
- 口腔ケア用品(歯ブラシ、スポンジブラシなど)
- 清拭用タオル
- 体温計、血圧計
- 吸引器
- 介護用食器(自助具)
- とろみ剤
- 移乗用リフト
- 移動用リフト
- 浴槽内椅子・ストレッチャー
- 入浴用リフト
- シャワーキャリー
- すべり止めマット
- 福祉用具(手すり、スロープなど)
- 介護用ベッド用テーブル
- コミュニケーション機器(意思伝達装置)
- 室内モニター、センサーマット
- 介護記録ノート
車椅子や介護ベッドなど、寝たきり介護に必要な福祉用具の多くは、介護保険の適用を受けることができます。これにより、自己負担額を抑えることが可能です。ただし、利用限度額を超えた分は全額自己負担となりますのでご注意ください。
また、福祉用具の種類によって、レンタルが適用されるものと、購入が適用されるものがあります。以下の表で詳しく見ていきましょう。
福祉用具のレンタルが適用される品目 | 福祉用具の購入が適用される品目 |
・車椅子 ・車椅子付属品 ・特殊寝台(介護ベッド) ・特殊寝台付属品 ・床ずれ防止用具 ・体位変換器 ・手すり ・スロープ ・歩行器 ・歩行補助つえ ・認知症老人徘徊感知機器 ・移動用リフト(つり具の部分を除く) | ・腰掛便座 ・自動排泄処理装置の交換可能部品 ・入浴補助用具 ・簡易浴槽 ・移動用リフトのつり具の部分 |
福祉用具を適切に活用することで、寝たきり介護の負担を大幅に軽減することができます。必要な物品がある場合は、ケアマネージャーなどの専門家に相談し、介護保険の適用も含めて検討してみましょう。
寝たきりの高齢者の介護は、食事や排泄、入浴、体位変換など、さまざまな介助が必要となります。これらの介護を一人で抱え込むと、介護者の肉体的、精神的な負担が非常に大きくなります。
介護者が無理をし続けると、介護ストレスや疲れが蓄積し、最悪の場合、介護うつに陥ってしまう危険性があります。介護者自身の健康を守るためにも、負担を減らす工夫が必要不可欠です。
自宅で介護を続けるためには、介護保険サービスを上手に活用することが重要です。寝たきりの状態は、要介護レベル4〜5に該当することがほとんどです。この要介護度であれば、さまざまな在宅サービスを受けられる対象となります。
まずは、ケアマネージャーに相談し、必要なサービスは何かを一緒に考えてケアプランを作成してもらいましょう。
在宅介護で利用できる主な介護保険サービスは、以下の通りです。
サービス名 | 内容 |
訪問介護 | ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行う |
訪問入浴介護 | 看護師と介護士が自宅を訪問し、入浴の介助を行う |
訪問看護 | 看護師が自宅を訪問し、医療処置や健康管理を行う |
訪問リハビリテーション | 理学療法士や作業療法士が自宅を訪問し、リハビリを行う |
居宅療養管理指導 | 医師、歯科医師、薬剤師等が自宅を訪問し、療養上の指導を行う |
通所介護 | デイサービスセンター等で入浴、食事、機能訓練等のサービスを日帰りで利用する |
通所リハビリテーション | 介護老人保健施設や病院でリハビリを日帰りで利用する |
介護保険のサービスには、1ヶ月あたりの利用回数に制限があったり、対応できるサービス内容に制約があったりします。足りない部分を民間の保険外サービスで補うのも一つの方法です。
保険外介護サービスのメリットは、以下の通りです。
- 利用回数や時間の制限がない
- 介護保険では対応できないサービスを依頼できる
- 要介護認定を受けていなくても利用できる
柔軟で幅広いサービスを活用することで、在宅介護の負担を大幅に軽減できます。
- イチロウの介護サービスでできること
イチロウは、介護保険の制限に縛られず、オーダーメイドで介護サービスを提供しています。専属の介護士が24時間365日、介護だけでなくさまざまな生活支援を行うのが特徴です。
特に認知症の高齢者がいるご家族には、以下のようなサポートができます。
- 通院の付き添いや薬の管理などの医療面のサポート
- 買い物代行や調理などの生活支援
- 見守りによる安全の確保
- 趣味活動や外出のサポートによる生活の質の維持
家族だけで介護を抱え込まず、イチロウのような保険外サービスを活用することで、介護の負担を軽減し、穏やかな在宅生活を送ることができます。
どうしても在宅での介護が難しいと感じたら、介護施設への入所も選択肢の一つです。施設では、24時間体制で専門的なケアを受けられ、介護する家族の負担を大幅に減らすことができます。
要介護4〜5の高齢者が入所できる主な施設は以下の通りです。
【寝たきりの高齢者が入所できる施設の例】
- 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護付き有料老人ホーム
在宅か施設かは、本人の希望や家族の事情など、それぞれの状況に応じて決める必要があります。まずは色々な選択肢を知り、よく話し合って方針を決めていくことが大切です。
寝たきりの高齢者を自宅で介護するには、さまざまな知識と準備が必要です。介護者の負担を軽減するためには、介護保険サービスや保険外サービスを上手に活用することが重要です。特に、イチロウのようなオーダーメイドの介護サービスを利用することで、柔軟で幅広いサポートを受けられます。また、施設入所も視野に入れながら、本人や家族の状況に合わせた最適な介護方法を選択することが大切です。寝たきり介護の知識を深め、適切なサービスを活用することで、高齢者とその家族が穏やかで充実した生活を送ることができるでしょう。