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要介護認定区分の早わかり表|受けられるサービスや介護保険の限度額・認定までの流れを解説

要介護認定区分の早わかり表|受けられるサービスや介護保険の限度額・認定までの流れを解説
2024年07月23日

介護が必要になった時、どのようなサービスを受けられるのか不安になりますよね。介護保険制度を利用することでその負担が減ります。利用するためには、まず要介護認定を受ける必要があり、介護の程度によって、受けられるサービスや料金が異なります。この記事では、要介護認定区分について解説し、それぞれのレベルで受けられるサービスや介護保険の限度額をわかりやすく紹介します。介護が必要になった方やその家族の方は、ぜひ参考にしてください。

要支援・要介護認定とは

要支援・要介護認定は、高齢者が日常生活を送る上でどの程度の介護が必要かを判定する制度です。要支援は2レベル、要介護は5レベルの7レベルと自立の8段階に分かれています。介護のレベルは、厚生労働省によって介護にかかる時間をベースにレベル分けされています。要支援・要介護が認定された場合、介護保険を使って様々な介護サービスを受けられるようになります。

要支援と要介護の違い

要支援は、自立して生活できるが、一部のサポートが必要な状態を指します。生活援助や身体介護のサービスを受けることができますが、要介護よりも介護の必要性が低い状態です。

 

一方、要介護は、日常生活の多くの場面で介護が必要な状態を指します。こちらも、生活援助や身体介護のサービスを受けることができ、要支援よりも介護の必要度が高い状態です。要支援と要介護の違いは、必要な支援の度合いと範囲にあります。

要介護認定区分の早わかり表

要介護認定区分の早わかり表

要介護認定区分は、自立から要介護5まで8段階に分かれています。各区分ごとに受けられるサービスや介護保険の限度額が異なります。

 

ここでは、要介護認定区分について、認定の目安や受けられるサービスの一覧表を掲載します。自分や家族がどの程度の介護が必要な状態なのか、受けられるサービスは何か確認してみてください。

要介護レベル

認定の目安

受けられるサービス

介護保険支払限度額

自立

日常生活を一人で送れる

なし

なし

要支援1

日常生活を1人で送ることができるが買い物や掃除などの家事に支援が必要

訪問型サービス、通所型サービスなど

50,320円

要支援2

立ち上がりや歩行が不安定で杖や手すりが必要。一部の生活に介助が必要

訪問型サービス、通所型サービスなど

105,310円

要介護1

立ち上がりや歩行、認知機能の低下、複雑な動作などに介助が必要

訪問介護、通所介護、福祉用具レンタルなど

167,650円

要介護2

立ち上がりや歩行などの他、認知機能も低下し、生活全般に介助が必要

訪問介護、通所介護、福祉用具レンタルなど

197,050円

要介護3

車椅子や歩行器の使用、食事など日常生活全体に介助が必要

訪問介護、通所介護、短期入所生活介護など

270,480円

要介護4

全面的な介助が必要で、自力では座位も保てない

訪問介護、通所介護、短期入所生活介護など

309,380円

要介護5

全面的な介助が必要で、寝たきり状態コミュニケーションも困難

訪問介護、通所介護、短期入所生活介護など

362,170円

自立

自立と認定された場合、支援が必要な状態ではないことを意味し、日常生活を一人で十分送ることができる状態であるため、介護サービスなどの利用対象とはなりません。

要支援1

要支援1のレベルでは、立ち上がりや歩行が不安定で、転倒の不安があるような状態が目安となります。自立と比べると、日常生活の一部に軽い支援が必要な状態といえます。食事や入浴、排せつなどの日常的な動作は一人で送ることができるが、買い物や掃除、食事の用意などの家事に支援が必要な状態です。

 

要支援1では以下のような予防を目的としたサービスが利用できます。

  • 訪問型サービス

  • 通所型サービス

  • 福祉用具レンタル など

介護保険の支払い限度額は、月額50,320円です。

要支援2

要支援2のレベルでは、立ち上がりや歩行が自力では難しく、杖などを使っての移動となる状態が目安です。要支援1よりも日常生活のサポートが必要な場面が多くなり、定期的な支援が求められる状態と言えます。要支援1の状態に加えて、歩行や立ち上がりが不安定になるため、入浴にも簡単な手伝いを必要とし、杖や手すりを必要とするようになります。

 

要支援2では以下のようなサービスが利用できます。

  • 訪問型サービス

  • 通所型サービス

  • 福祉用具レンタル など

介護保険の支払い限度額は、月額105,310円です。

要介護1

要介護1のレベルでは、立ち上がりや歩行に一部介助が必要で、排せつや入浴は何とか自力で行える状態が目安です。身体能力だけでなく、認知機能が低下し、複雑な動作に介護が必要となる状態です。要支援2との違いは、認知症の有無が大きなポイントとなります。要介護1では以下のようなサービスが利用できます。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)

  • 通所介護(デイサービス)

  • 福祉用具レンタル 

  • 短期入所生活介護(ショートステイ)

  • 訪問入浴介護 など

介護保険の支払い限度額は、月額167,650円までとなります。

要介護2

要介護2のレベルでは、立ち上がりや歩行に全面的な介助が必要で、排せつや入浴も一部介助が必要な状態が目安です。要介護1と比べると、物忘れが増えて認知機能のさらなる低下が見られ、お金や服薬の管理などの頭を使うことが難しくなります。また、爪切りなどの細かい動作も難しくなります。日常生活のほとんどに介助が必要な状態といえます。要介護2では以下のようなサービスが利用できます。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)

  • 通所介護(デイサービス)

  • 福祉用具レンタル など

  • 短期入所生活介護(ショートステイ) など

介護保険の支払い限度額は、月額197,050円までとなります。

要介護3

要介護3のレベルでは、立ち上がりや歩行に加えて、排せつや入浴にも全面的な介助が必要な状態が目安です。要介護2との違いは、歩行器や車椅子を使用したり、食事や歯磨きにも一部介助が必要になることがポイントです。要介護3では以下のようなサービスが利用できます。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)

  • 通所介護(デイサービス)

  • 短期入所生活介護(ショートステイ) など

介護保険の支払い限度額は、月額270,480円までとなります。

要介護4

要介護4のレベルでは、全面的な介助が必要な上に、自力では座位も保てない状態が目安です。要介護3との違いは、物事の理解力やコミュニケーション能力が低下して、食事や排せつにも全面的な介助が必要になることがポイントです。要介護4では、以下のようなサービスが利用できます。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)

  • 通所介護(デイサービス)

  • 短期入所生活介護(ショートステイ) など

介護保険の支払い限度額は、月額309,380円までとなります。

要介護5

要介護5のレベルは、最も介護の必要度が高く、全面的な介助が必要で寝たきりの状態が目安です。要介護4との違いは、意思の伝達が困難で、日常生活全般に介助が必要な点です。おむつの交換や寝返りなどにも介助が必要です。要介護5では以下のようなサービスが利用できます。

  • 訪問介護(ホームヘルプ)

  • 通所介護(デイサービス)

  • 短期入所生活介護(ショートステイ)

  • 施設・居住系サービス など

介護保険の支払い限度額は、月額362,170円までとなります。

要支援・要介護認定を受けるまでの流れ

要支援・要介護認定を受けるまでの流れ

ここでは、要支援・要介護認定を受けるまでの流れをステップでご紹介します。

 

【要支援・要介護認定を受けるまでの流れ】

  • 1. 要介護認定を申請する

  • 2. 認定調査

  • 3. 要介護認定の判定通知

詳しくステップを追って流れを解説していきましょう。

1.要介護認定を申請する

要介護認定の申請は、お住まいの市区町村の介護保険を取り扱う窓口で行います。郵送やマイナポータルから申請することも可能です。本人が手続きできない場合は、家族やケアマネジャー、地域包括支援センターの職員や介護保険施設の職員に代行してもらうこともできます。要介護認定には必要な書類をあらかじめ用意しておきましょう。

 

【要介護認定に必要な書類】

  • 介護保険被保険者証(65歳未満の場合は医療保険証)

  • 要介護・要支援認定申請書

  • 本人の身元が確認できるもの

  • マイナンバーカード、もしくはマイナンバーが確認できるもの

  • 主治医の情報がわかるもの

  • 委任状(代理申請の場合)

  • 代理人の身元が確認できるもの(代理申請の場合)

要介護認定を受けられるのは基本的に65歳以上の方ですが、介護保険法で定められている16種類の特定疾病と診断されている40歳以上64歳以下の方も要介護認定を受けることができます。

2.認定調査

要介護認定の申請後、市区町村の調査員から調査日についての連絡が来ます。

 

市区町村の職員や委託された調査員が要介護認定を受ける本人の自宅に訪問し、心身の状態を調べる認定調査が行われます。もしも入院中の場合は病院で実施されることもありますが、日ごろの様子を知るための調査なので、基本的には自宅で行われます。

 

調査項目は「身体機能」「生活機能」「認知機能」「精神・行動障害」「社会生活への適応」に関する項目で、74項目にわたります。調査は30分~60分程度で終了します。

 

調査員による訪問の後は、コンピュータによる一次判定と、介護認定調査会による二次判定が行われます。コンピュータ判定では要介護認定ソフト(全国共通)で介護に必要な時間を算定、その時間を元に要介護度を判定しています。

 

介護認定審査会の判定では、一次判定の結果と、主治医による意見書などを元に、医療、保健、福祉の学識経験者が総合的に審査・判定をして要介護度を確定していきます。認定が出るまで約30日程度かかります。

3.要介護認定の判定通知

市区町村の介護認定審査会で判定が行われ、その結果が申請者に通知されます。結果に納得できない場合は、通知を受け取った日から3ヶ月以内であれば不服の申し立てをすることができます。また、初めての要介護認定の場合は、有効期限が6ヶ月となりますので、期限内に更新手続きが必要です。

 

また、介護認定の結果通知とともに、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証が一緒に届きます。介護サービスを利用する際に必要となりますので、大切に保管してください。

まとめ

要介護認定区分は、高齢者がどの程度の介護が必要かを判断するための重要な指標です。自立から要介護5までの各区分には、それぞれ異なるサービスと介護保険の限度額があります。介護が必要になった際は、早めに申請し、適切なサービスを受けることが大切です。ご自身やご家族の状態に合ったサービスを選択し、安心して生活が送れるように準備しておきましょう。

一方で、介護保険を利用しない選択肢もあります。イチロウが提供しているサービスは、介護保険外の訪問介護サービスを提供しており、介護認定を必要とせずに利用できる点が特徴です。イチロウでは、介護保険では対応できないあらゆる介護・生活支援を24時間365日、最短当日から完全サポートすることが可能です。イチロウを利用することで、介護保険の制限にとらわれず、必要な時に必要なサポートを受けることができます。より自由度の高い支援を考えているのであれば、ぜひ問い合わせてみてはいかがでしょうか。

監修者情報

2007年に介護系専門学校を卒業後、介護付き有料老人ホームに就職。

その後、慢性期病院の療養病床・2つの介護付き有料老人ホームに転職しながら介護士として現場業務に約6年間従事。

介護支援専門員資格取得後、新規開設の地域密着型老人福祉施設に転職し、施設ケアマネジャーとして入居者のケアマネジメント業務を行う。

2016年から居宅介護支援事業所へ転職。現在に至るまで、在宅で生活する要支援・要介護者のケアマネジメントに携わる。

川崎翔太(介護支援専門員)
川崎翔太(介護支援専門員)
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