介護にまつわるお役立ちコラム

介護保険サービスの種類一覧|サービス内容と利用の流れを解説

2024年07月02日

介護を必要とする高齢者の増加に伴い、多くの人が介護の問題に直面しています。介護保険サービスは、そのような介護の悩みを抱える方々を支援するために設けられた制度です。しかし、介護保険サービスにはさまざまな種類があり、どのようなサービスが受けられるのか分からないという方も多いのではないでしょうか。家族の介護に悩んでいる方に向けて、介護保険サービスの種類とその内容、利用の流れについて解説します。介護保険サービスのそれぞれの特徴や利用方法を知ることで、最適な介護プランを見つける手助けとなるでしょう。

1介護保険サービスとは

介護保険サービスとは、介護を必要とする65歳以上の高齢者や、40歳以上65歳未満で末期のがんや、関節リウマチ、初老期の認知症などの特定疾病の方が、自立した生活を送るために受けられる公的なサービスです。介護保険制度が始まったのは、2000年です。サービスの利用には、要介護認定が必要で、その結果に基づいて利用できるサービスが決まります。これらのサービスは、都道府県や市町村から指定・監督を受けた事業者によって提供されます。サービス利用料は、原則として費用の1割から3割です。介護保険サービスによる適切な支援を受けることで、生活の質の向上が期待できます。

2介護保険サービスの種類

介護保険サービスは、大きく分けると「介護給付サービス」と「介護予防サービス(予防給付サービス)」の2種類です。これらのサービスは、要介護度や利用者の状況に応じて提供されます。

  • 介護給付:要介護1~5の方が対象
  • 介護予防給付:要支援1~2の方が対象

また、都道府県または市町村が指定・監督するサービスによって、以下のように分類することもできます。

指定・監督サービス名概要
都道府県居宅サービス自宅で受けるサービス
都道府県施設サービス介護保険施設に入所して受けるサービス
都道府県居宅介護支援ケアマネジャーによるケアプラン作成
都道府県介護予防サービス要支援1~2の方が自宅で受けるサービス
市町村地域密着型サービス要介護1~5の方が住み慣れた地域で受けるサービス
市町村地域密着型介護予防サービス要支援1~2の方が住み慣れた地域で受けるサービス
市町村介護予防支援要支援1~2の方のケアマネジメント

今回は、介護認定レベル別に受けられるサービスを紹介します。

3【要介護1~5が対象】介護給付サービス

介護給付サービスとは、要介護1~5と認定された方が利用できるサービスです。介護給付サービスには次のような種類があります。

  • 居宅介護支援
  • 宅サービス
  • 施設サービス
  • 地域密着型サービス
居宅介護支援

居宅介護支援とは、ケアマネジャーが利用者の心身の状況や生活環境などを考慮して、適切な介護サービスを利用できるようにサポートするサービスです。居宅介護支援の流れは以下のとおりです。

  • 1. アセスメント:利用者の心身の状況や生活環境を把握
  • 2. 話し合い:利用者や家族と介護サービスの内容や目標を話し合う
  • 3. ケアプランの作成:利用するサービスの種類や回数などを定めたケアプランを作成
  • 4. 介護サービスの利用スタート:利用者と家族、介護サービス事業所と調整の上、介護サービス利用を進める
居宅サービス

居宅サービスとは、要介護者が自宅で受けることができる介護サービスの総称です。居宅サービスは以下の4種類です。

  • 訪問サービス
  • 通所サービス
  • 短期入所サービス
  • その他のサービス
  • 居宅サービスの「訪問サービス」一覧

訪問サービスとは、要介護者の自宅を訪問して行うサービスです。居宅サービスの訪問サービスには次のような種類があります。

サービス名概要
訪問介護ホームヘルパーが自宅を訪問し、身体介護や日常生活の援助を行う
訪問入浴介護移動入浴車で自宅を訪問し、専用の浴槽を使用して、入浴介助を行う
訪問看護看護師や保健師などが自宅を訪問し、医療的なケアや診療の補助を行う
訪問リハビリテーション理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、リハビリを行う
居宅療養管理指導医師、歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行う
  • 居宅サービスの「通所サービス」一覧

通所サービスとは、要介護者が施設に通って受けるサービスです。居宅サービスの通所サービスには次のような種類があります。

サービス名概要
通所介護デイサービスともいい、日中に施設で入浴や食事、機能訓練やレクリエーションなどのサービスを日帰りで受ける
通所リハビリテーションデイケアともいい、施設で理学療法士や作業療法士など、医療機関が提供するリハビリ中心のサービスを日帰りで受ける
  • 居宅サービスの「短期入所サービス」一覧

短期入所サービスとは、要介護者が短期間、施設に宿泊しながら受けるサービスです。居宅サービスの短期入所サービスには次のような種類があります。

サービス名概要
短期入所生活介護介護老人福祉施設や短期入所専用施設などに短期間宿泊し、日常生活上の世話を受ける
短期入所療養介護介護老人保健施設や短期入所専用施設などに短期間宿泊し、医療的ケアや日常生活上の世話を受ける
  • 居宅サービスの「その他のサービス」一覧

通所や訪問サービス以外にも、要介護認定を受けている人が介護保険で利用できるサービスがあります。介護保険を利用することで、生活環境を整えるためのサービスもあり、次のような種類があります。

サービス名概要
特定施設入居者生活介護有料老人ホームやケアハウスなどの特定施設に入居し、日常生活上の世話を受ける
特定福祉用具販売福祉用具専門相談員に福祉用具の選定や使用方法の指導を受けて購入する
福祉用具貸与車いすや特殊寝台などの福祉用具の貸与を受ける

なお、要介護度によって利用できないサービスもあります。詳しくは居宅介護支援事業所のケアマネジャーにご相談ください。

施設サービス一覧

施設サービスとは、介護保険施設に入所して受けるサービスです。施設サービスには次のような種類があります。

施設名概要
介護老人福祉施設特別養護老人ホームともいい、常時介護が必要で、自宅での生活が困難な方が入所する施設
基本的には、要介護3~5の認定が利用できる
介護老人保健施設病状が安定期にあり、リハビリに重点を置いたケアが必要な方が入所する施設
要介護1~5の認定が利用できる
介護医療院長期にわたっての療養が必要な方が、可能な限り自立した生活ができるよう医療と日常生活に必要なサービスをサポートする施設
要介護1~5の認定が利用できる

施設サービスには、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院などがあります。これらの施設では、24時間体制で介護や医療的ケアが提供されます。

地域密着型サービス一覧

地域密着型サービスは、地域に根ざした小規模なサービスで、グループホームや小規模多機能型居宅介護などが含まれます。これらのサービスは、地域住民と連携し、利用者が住み慣れた地域で生活を続けられるよう支援します。主に要介護1~5までの方が対象のサービスです。

施設名概要
夜間対応型訪問介護夜間の定期的な巡回や通報を受けて行う訪問サービス
認知症対応型通所介護認知症の方を対象とした通所介護
認知症と診断された要介護1以上の方が利用できる
小規模多機能型居住介護「通い」「泊まり」「訪問」を組み合わせて受けられる小規模な在宅サービス
認知症対応型共同生活介護グループホームともいい、認知症の方が少人数で共同生活を送るための施設
要介護1以上の方が利用できる
地域密着型特定施設入居者生活介護定員29人以下の小規模な介護付き有料老人ホーム
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護定員29人以下の小規模な介護老人福祉施設
4【要支援1~2が対象】介護予防サービス

予防給付サービスは、要支援認定を受けた方が利用できるサービスです。主に介護予防を目的とし、介護状態の進行を防ぐための支援が行われます。このサービスには次のような種類があります。

  • 介護予防支援
  • 予防給付サービス
  • 地域密着型介護予防サービス
介護予防支援

介護予防支援とは、要支援者が介護予防サービスを適切に利用できるよう、ケアマネジャーがサポートするサービスです。

予防給付サービス

介護予防サービスとは、要支援者の心身の状況の維持・改善を目的としたサービスです。
予防給付サービスには以下の4種類があります。

  • 訪問サービス
  • 通所サービス
  • 短期入所サービス
  • その他のサービス
  • 介護予防サービスの「訪問サービス」一覧

介護予防サービスの訪問サービスには次のような種類があります。

施設名概要
介護予防訪問介護ホームヘルパーが自宅を訪問し、調理や掃除などの生活援助を行う
介護予防訪問入浴介護移動入浴車で自宅を訪問し、入浴介助を行う
介護予防訪問看護看護師や保健師などが自宅を訪問し、療養上の世話や診療の補助を行う
介護予防訪問リハビリテーション理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、リハビリを行う
介護予防居宅療養管理指導医師、歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行う
  • 介護予防サービスの「通所サービス」一覧

介護予防サービスの通所サービスには次のような種類があります。

サービス名概要
介護予防通所介護介護予防デイサービスともいい、予防通所介護施設で運動や趣味活動などを日帰りで行う
介護予防通所リハビリテーション介護予防デイケアともいい、施設で理学療法士や作業療法士などによるリハビリを日帰りで受ける
  • 介護予防サービスの「短期入所サービス」一覧

介護予防サービスの短期入所サービスには次のような種類があります。

サービス名概要
介護予防短期入所生活介護介護老人福祉施設や短期入所専用施設などに短期間宿泊し、日常生活上の世話を受ける
介護予防短期入所療養介護介護老人保健施設や短期入所専用施設などに短期間宿泊し、医療や日常生活上の世話を受ける
  • 介護予防サービスの「その他のサービス」一覧

通所や訪問サービス以外にも、要支援認定を受けている人が介護保険で利用できるサービスがあります。次のような種類があります。

サービス名概要
介護予防特定施設入居者生活介護有料老人ホームなどの特定施設に入居し、介護予防を目的とした日常生活上の世話を受ける
特定介護予防福祉用具販売福祉用具専門相談員に福祉用具の選定や使用方法の指導を受けて購入する
介護予防福祉用具貸与車いすや特殊寝台などの福祉用具の貸与を受ける

なお、要支援では利用できないサービスもあります。詳しくは地域包括支援センターの職員にご相談ください。

地域密着型介護予防サービス

地域密着型介護予防サービスとは、要支援者が住み慣れた地域で受けることができる介護予防サービスです。地域密着型介護予防サービスには次のような種類があります。

施設名概要
介護予防認知症対応型通所介護認知症の方を対象とした通所介護
介護予防小規模多機能型居宅介護「通い」「泊まり」「訪問」を組み合わせて受けられる小規模な介護予防サービス
介護予防認知症対応型共同生活介護認知症の方が少人数で共同生活を送るための施設
要支援2の方のみ利用できる
5介護保険サービスの利用の流れ

介護保険サービスを利用する際の流れは以下の通りです。

  • 1. 要介護認定の申請
    介護が必要になったら、まず市区町村の窓口に要介護認定の申請を行います。
    本人や家族以外に、地域包括支援センター職員やケアマネジャーが代行して申請することも可能です。
  • 2. 認定調査・主治医意見書
    市区町村の職員等が自宅を訪問し、心身の状態や日常生活の状況などを調査します。主治医が意見書を作成し、市区町村に提出します。
  • 3. 審査判定・認定
    認定調査の結果と主治医意見書をもとに、介護認定審査会が要介護度を判定します。
    非該当、要支援1~2、要介護1~5のいずれかの区分に認定されます。
  • 4. ケアプランの作成
    認定結果をもとに、居宅介護支援事業者所のケアマネジャーと相談してケアプランを作成します。
    要支援の認定を受けた方のケアプラン作成は、地域包括支援センターの職員が行います。
    利用するサービスの種類や回数、目標などを定めます。
  • 5. 介護保険サービスの利用開始
    ケアプランに沿って、介護保険サービスの利用を開始します。
    サービス提供事業者との契約が必要です。

なお、要介護認定の有効期間は原則として6ヶ月です。引き続きサービスを利用する場合は、更新手続きが必要となります。

6介護保険が使えないサービス

介護保険では下記のような、外出の付き添いや話し相手といった日常生活のサポートや、掃除、調理、洗濯などの家事代行サービスは対象外です。

  • 医療行為:病院での治療や手術などは医療保険が適用されます。
  • 生活支援サービス:家事代行や見守りサービスなど、介護保険外のサービスです。
  • 高額な施設費用:一部の高額な介護施設の利用費用は、全額自費となります。
7介護保険の穴を埋める!保険適用外サービスの利用も検討しよう

介護保険サービスは、サービス内容や利用時間、対応時間帯などに制限があるため、利用者のニーズを全て満たすことは難しいのが現状です。そこで、介護保険適用外のサービスを併用することで、柔軟で幅広いサポートを受けられます。

 

保険適用外サービスとは、介護保険の対象とならない介護や生活支援サービスのことです。要介護認定を受けていない方や、介護保険のサービスだけでは不足する部分を補いたい方などが利用できます。

 

保険適用外サービスのひとつが、「イチロウ」です。イチロウは、介護保険の枠にとらわれない柔軟なサービスを提供しており、以下のような特徴とメリットがあります。

  • 最短当日からサービス利用可能
  • 利用者のニーズに合わせたオーダーメイドのサービス
  • ヘルパーの指名制で安心
  • 独自の介護ヘルパー適性検査で質の高いヘルパーを派遣
  • サービス内容や利用時間に制限がない

イチロウは、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、京都府でサービスを提供しています。料金は9時~18時までが1時間あたり3,190円、それ以外の時間帯は3,828円となっています。

 

介護保険サービスだけでは満足できない、もっと柔軟で柔軟で幅広いサービスを受けたいという方は、イチロウのような保険適用外サービスの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

8まとめ

本記事では、介護保険サービスの種類と内容、利用の流れについて詳しく解説しました。介護保険サービスには、要介護度に応じて介護給付と介護予防給付があり、それぞれ居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービスなどの種類があります。また、介護保険では対象外のサービスもあるため、必要に応じて介護保険外サービスの利用も検討しましょう。介護保険サービスを利用する際は、要介護認定の申請から始まり、認定調査・主治医意見書、審査判定・認定、ケアプランの作成といったプロセスがあります。介護の悩みを抱えている方は、まずは市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談してみることをおすすめします。家族の介護に悩んでいる方は、ぜひ介護保険サービスを積極的に活用し、安心して暮らせる環境を整えましょう。

監修者情報

保健師歴15年介護職歴5年のフリーランスWebライター。ケアマネージャー経験あり。現在は、遠距離介護を続けつつ、当事者および支援者の立場から、介護や福祉に関する記事を執筆中。

古賀優美子(保健師、介護支援専門員)
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