介護にまつわるお役立ちコラム

在宅介護の費用はいくら?老人ホームなどの施設介護にかかる費用との比較も

2024年07月23日

在宅介護の費用は、要介護度や利用するサービスによって大きく異なります。在宅介護は、家族の協力を得ながら自宅で生活を続けるための選択肢ですが、経済的な負担も重要な要素です。一方、老人ホームなどの施設介護は、専門スタッフによる24時間のケアが提供されるため、安心感が高いものの、費用は高額になりがちです。

 

この記事では、在宅介護と施設介護の費用を比較し、それぞれの特徴などを詳しく解説します。在宅介護を選ぶ際の参考にしてください。

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在宅介護にかかる費用は、介護サービスの利用頻度や内容、要介護度によって大きく異なり、月額で平均5万円程度とされています。この費用には、訪問介護やデイサービス、福祉用具のレンタル費用などが含まれます。介護サービスをどの程度利用するかによって、費用は増減します。

平均費用/月
全体平均5万円
要介護13万3,000円
要介護24万4,000円
要介護36万円
要介護45万9,000円
要介護57万4,000円

このデータからもわかるように、要介護度が上がるにつれて、介護にかかる費用も増加します。この理由は、要介護度が高くなると介護にかかる手間が増え、サービスの利用頻度や内容も増えるからと考えられます。

 

参考:家計経済研究所

在宅介護と施設介護の費用相場

要介護3の方が在宅介護を受ける場合と、介護施設に入居した場合の毎月の自己負担額を比較してみましょう。

 

■要介護3の場合

在宅介護施設介護
居住費0円7万円
介護サービス利用料5万円3万円
施設管理費0円2万円
福祉用具レンタル(9割給付)5,000円0円
食事/月3万円4万円
光熱費1万円0円
その他(日用品費など)5,000円1万円
合計10万円17万円

上記の費用はあくまでも一例です。在宅介護の場合、介護サービス利用料や福祉用具レンタル代などがかかりますが、居住費や食費は自宅で生活している分を計上しているため、トータルの費用は施設介護に比べて安くなっています。

 

一方、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームでは、居住費や食費が別途かかってくるため、在宅介護よりも高額になりがちです。ただし施設介護の場合、居住費に光熱費や日用品費なども含まれているケースが多く、これらを別途支払う必要がある在宅介護とは費用の内訳が異なります。

 

もし賃貸に住んでいるのであれば、家賃が上乗せされるためシミュレーションよりも高くなる場合がありますが、傾向としては在宅介護の方が料金は安く、施設介護の方が高くなります。そのため、費用を抑えたい場合は在宅介護を選択するとよいでしょう。

2在宅介護で利用できるサービス

在宅介護では、さまざまな介護保険サービスを利用できます。以下に、それぞれのサービスの概要を紹介します。

 

■介護保険サービス

概要
訪問サービスホームヘルパーや看護師などが自宅を訪問し、身体介護や生活援助、医療的ケアを行います。
通所サービスデイサービスやデイケアに通い、入浴、食事、機能訓練などのサービスを受けます。
短期入所サービス介護老人福祉施設などに短期間宿泊し、日常的な介護を受けます。
地域密着型サービス小規模多機能型居宅介護など、住み慣れた地域で365日・24時間の介護サービスを受けられます。
介護用具・住宅改修に対するサービス介護用ベッドのレンタルや手すりの取り付けなど、自宅での生活を支援するための用具や住宅改修に対して補助が受けられます。
訪問サービス

訪問サービスは、介護職員や看護師などの専門家が自宅を訪問し、必要なケアを提供するサービスです。以下のようなサービスがあります。

サービス名概要
訪問介護ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事・排泄などの身体介護や、調理・掃除などの生活援助を行います。利用料はサービスを受けた時間が多いほど高くなります。1回あたり200円~500円程度(1割負担の場合)が目安です。
訪問入浴介護看護師と介護職員が自宅を訪問し、入浴介助を行います。1回あたり1,200円前後(1割負担の場合)が目安です。
訪問看護看護師などが自宅を訪問し、医療的なケアや健康管理を行います。1回あたり300円~1,000円程度(1割負担の場合)が目安です。
訪問リハビリテーション理学療法士や作業療法士などが自宅を訪問し、リハビリテーションを行います。1回あたり300円程度(1割負担の場合)が目安です。
居宅療養管理指導医師、歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問し、療養上のアドバイスを行います。医師の場合は月2回まで、1回あたり300円~500円程度(1割負担の場合)が目安です。

これらの訪問サービスは、要介護度や利用時間数によって費用が異なります。介護保険の自己負担分は1割~3割となっており、残りの費用は介護保険から給付されます。

通所サービス

通所サービスとは、要介護者が日中に施設へ通って受けるサービスです。以下に、具体的なサービス内容と費用の目安を紹介します。

サービス名概要
通所介護食事や入浴、レクリエーションや機能訓練などを提供する日帰りの介護サービスです。他の利用者と交流しながら楽しく過ごせるのが特徴です。要介護1~5の方が利用可能で、1回あたり600円~1,000円程度(1割負担の場合)が目安となります。
通所リハビリテーション老人保健施設や病院・診療所に通い、理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを中心に、入浴、食事等のサービスも受けられます。機能訓練に重点を置いたプログラムで、心身機能の維持・回復を図ります。要支援1~要介護5の方が利用可能で、1回あたり300円~1,300円程度(1割負担の場合)が目安となります。

これらのサービスを利用する際の自己負担額も原則1割(一定以上の所得の方は2割または3割)です。要介護度が高く、利用時間が長いほど、利用料は高くなる傾向にあります。

 

ただし介護保険の支給限度額を超えてサービスを利用する場合、超過分は全額自己負担となります。区分支給限度基準額は、要支援や要介護の認定を受けた人が毎月利用できる介護サービスの金額上限を指します。この基準額は、被保険者の介護の必要度合いに応じて異なり、制度によって設定された額まで介護サービスを利用することができます。これにより、利用者は自己負担を抑えながら必要なサポートを受けることが可能となります。

短期入所サービス

短期入所サービス(ショートステイ)は、介護老人福祉施設や介護老人保健施設などに短期間宿泊しながら、日常的な介護や機能訓練を受けるサービスです。家族の休息や冠婚葬祭などにより、一時的に在宅介護が困難になった場合に利用できます。

サービス名概要
短期入所生活介護介護老人福祉施設などに短期間入所し、食事、入浴、排泄などの日常的な介護を受けるサービスです。機能訓練も行われます。要支援1~要介護5の方が利用可能です。1日あたり400円~1,000円程度(1割負担の場合)が費用の目安となります。
短期入所療養介護介護老人保健施設や医療機関に短期間入所し、医学的管理のもとで介護やリハビリテーションを受けるサービスです。医療ニーズの高い方に向けたサービスといえます。要支援1~要介護5の方が利用可能で、1日あたり500円~1,000円程度(1割負担の場合)が費用の目安となります。

短期入所サービスの利用料は、施設の種類や利用期間、居室のタイプ(個室・多床室)などによって異なります。介護保険の自己負担割合は、原則1割(一定以上所得の方は2割または3割)です。

 

ただし、介護保険の支給限度額を超えてサービスを利用する場合、超過分は全額自己負担となります。また、食費や滞在費、日用品費などの実費負担も発生します。

 

短期入所サービスは、在宅介護の継続を支える重要な役割を担っています。介護者の心身の休養を確保し、要介護者に必要なケアを提供することで、在宅生活の質の維持・向上につながります。計画的に利用することで、在宅介護の長期的な安定が図れるでしょう。

地域密着型サービス

地域密着型サービスは、要介護者が住み慣れた地域で継続的に介護を受けられるよう、地域の実情に応じたサービスを提供します。小規模な施設で、利用者と職員との馴染みの関係を重視したケアが特徴です。以下のようなサービスがあります。

サービス名概要
夜間対応型訪問介護夜間や早朝に定期的な巡回や通報システムによる対応を行います。1回あたり2,000円程度(1割負担の場合)が目安です。また、オペレーションセンターを設置しない事業所を利用した場合は、月額定額制で2,700円程度/月となります。
認知症対応型通所介護認知症の方を対象としたデイサービスで、専門的なケアを提供します。1回あたり500円~1,500円程度(1割負担の場合)が目安です。
小規模多機能型居住介護通い、訪問、泊まりを組み合わせ、24時間365日の支援を行います。1ヶ月あたり6,000円~30,000円程度(1割負担の場合)が目安です。
認知症対応型共同生活介護認知症の方が少人数で共同生活を送る住まいです。1ヶ月あたり100,000円~200,000円程度(1割負担の場合)が目安です。
地域密着型特定施設入居者生活介護定員29人以下の小規模な介護付き有料老人ホームです。1ヶ月あたり150,000円~200,000円程度(1割負担の場合)が目安です。
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護定員29人以下の小規模な特別養護老人ホームです。1ヶ月あたり90,000円~150,000円程度が目安です。

これらのサービスは原則として、住所地の市町村の被保険者のみが利用できます。介護保険の自己負担割合は、原則1割(一定以上所得の方は2割または3割)ですが、食費や居住費などの実費負担も発生します。

 

地域密着型サービスは、地域との連携を生かしたきめ細やかなケアが可能であり、在宅での生活の継続を支援する上で重要な選択肢となります。ただし事業所数が限られているため、利用にあたっては各市町村の介護保険担当窓口に相談することをおすすめします。

福祉用具・住宅改修に対するサービス

在宅介護を行う上で、福祉用具や住宅改修は欠かせません。介護保険では、これらの費用の一部を補助する以下のようなサービスが提供されています。

サービス名概要
特定福祉用具販売入浴や排泄などに使用する福祉用具(入浴補助用具や腰掛便座など)の購入費用の一部を支給します。支給限度基準額は10万円で、自己負担割合は原則1割(一定以上所得の方は2割または3割)です。
福祉用具貸与在宅での自立した生活を支援するための用具(車いすや特殊寝台等)を貸与します。介護保険の自己負担割合は、原則1割(一定以上所得の方は2割または3割)です。
住宅改修在宅での生活を継続するために必要な小規模な住宅改修(手すりの取り付けや段差の解消等)に対して、費用の一部を支給します。支給限度基準額は20万円で、自己負担割合は原則1割(一定以上所得の方は2割または3割)です。
3在宅介護は費用が安いけど負担は大きい

在宅介護は施設介護と比べると、家賃や食費、光熱費などの生活費が抑えられるため、総じて費用を低く抑えることができます。しかし、その分家族の肉体的・精神的な負担は大きくなりがちです。

 

在宅で介護する場合、以下のような負担が想定されます。

  • 常に介護に拘束され、自由な時間が持てない
  • 介護のための夜間の睡眠不足や休息不足
  • 介護技術の不足による不安や戸惑い
  • 要介護者の症状悪化への不安
  • 仕事と介護の両立の難しさ

こうした負担から、介護者が心身ともに疲弊してしまうケースは少なくありません。

 

それでも、経済的な理由から在宅介護を選択せざるを得ない場合や、要介護者本人が住み慣れた自宅での生活を強く望む場合には、できる限り外部の介護サービスを活用し、家族の負担を軽減することが大切です。

 

公的な介護保険サービスは年々充実してきてはいますが、利用できる時間や回数には上限があるなど、いくつかの制約があるのも事実です。食事や排泄、入浴などの日常生活に欠かせないケアを、すべて介護保険サービスでまかなうことは難しい場合があります。

 

そこで、状況に応じて介護保険外のサービスの利用も視野に入れることをおすすめします。例えば、家事代行サービスや配食サービス、自費での訪問介護の利用などが考えられます。これらを組み合わせることで、より柔軟に在宅介護を継続することができるでしょう。

 

在宅介護は費用面で優れた選択肢ではありますが、家族の負担には十分に配慮する必要があります。公的サービスと民間サービスを上手に併用しながら、無理のない範囲で在宅介護を続けていくことが重要です。

4在宅介護の強い味方イチロウのサービス

在宅介護を続けていく上で、介護保険サービスだけでは対応しきれない部分が出てくることがあります。そんな時、オーダーメイド型の民間介護サービス「イチロウ」が強い味方になってくれます。

 

イチロウでは、以下のような幅広いサービスを受けることができます。

  • 自宅での介護や家事・生活支援
  • 通院や外出の付き添い
  • 入院中の介護
  • 日中・夜間の見守り介護
  • 認知症のケア・介護

特に、介護保険サービスでは対応が難しい以下のようなニーズにも、柔軟に応えてくれるのが特徴です。

  • 早朝や深夜、365日いつでもの対応
  • 長時間の見守りや付き添い
  • 介護サービスと家事支援の組み合わせ
  • 介護認定前の方への支援

イチロウでは、厳しい審査をクリアした一流の介護士が在籍し、ケアプランに縛られない高品質なサービスを提供。スピード感があり、最短当日からサービス利用が可能な点も魅力です。

 

また、専用システムによる見える化で、サービス内容の透明性も確保します。ご家族は安心して任せることができます。

 

介護保険サービスを補完し、在宅介護の負担を和らげてくれる心強い存在といえるでしょう。在宅介護でお困りの際は、イチロウのサービス利用を一考されてみてはいかがでしょうか。

 

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5まとめ

在宅介護は施設介護と比べて費用を抑えられる一方、家族の負担は大きくなりがちです。介護保険サービスを上手に活用しつつ、自治体の支援制度や民間サービスを併用することで、費用と負担のバランスをとることが重要です。

 

特に、介護保険では対応しきれないニーズに応える民間サービスは、在宅介護の強い味方となるでしょう。在宅介護を続けるためには、まず利用できるサービスを知り、ご家族の状況に合わせて柔軟に選択していくことが求められます。

監修者情報

所属:介護老人保健施設メディトピア小諸

経歴:2008年理学療法士免許取得。長野県の介護老人保健施設にて入所・通所・訪問リハビリに携わる。介護認定調査員・介護認定審査員・自立支援型個別地域ケア会議の委員なども経験。リハビリテーション業務の傍ら、ライターとしても活動している。医療・介護の現場で働きながら得られる一次情報を強みに、読者の悩みに寄り添った執筆を心がけている。

保有資格:理学療法士・ケアマネジャー・福祉住環境コーディネーター2級

鈴木康峻(理学療法士)
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