介護にまつわるお役立ちコラム
デイサービスの費用は1回いくら?要介護度による変動は?
「デイサービスの費用はどのくらいかかるの?」「要介護度で変わるって本当?」と気になっている方。デイサービスを利用したいけど、費用面が心配ですよね。
実は、デイサービスの費用は要介護度や利用時間、施設の規模などによって変動します。この記事では、デイサービス費用の仕組みを丁寧に解説。自身に合ったデイサービスを、無理のない費用で利用するためのポイントが見えてきます。費用を抑えるための軽減制度や控除もご紹介しているので、ぜひ最後までチェックしてくださいね。
デイサービスを1回利用する際の費用は、おおよそ1,000~2,000円程度が相場です。この金額になる理由は、利用する介護サービスごとに「介護報酬単位」が決められており、その単位数に地域別の1単位あたりの単価(10円前後)を掛けて算出されるからです。
介護報酬単位は要介護度や利用時間、施設の規模などによって変動します。たとえば、要介護1の方が通常規模の施設で7~8時間利用した場合、658単位かかります。1単位10円とすると6,580円になりますが、このうち利用者の自己負担は原則1割なので658円となります。
※具体的な料金については、利用する施設に直接確認しましょう
これに食費(500~1,000円程度)や、おむつ等の日用品費(100円程度)などの実費が上乗せされ、1回あたり1,000~2,000円程度の費用になるというわけです。ただし、自己負担額は所得に応じて2割や3割の負担となる場合もあります。
それでは、デイサービスを利用した場合の1ヶ月の自己負担額の目安を見てみましょう。
たとえば要介護1の方が、1回7~8時間のデイサービスを週2回利用するケースを想定します。1回あたりの自己負担額が658円(介護報酬)+1,000円(食費・おやつ代など)=1,658円だとすると、週2回で3,316円、1ヶ月(4週間)だと13,264円が目安になります。
- 要介護1の場合
1回あたりの費用:1,658円
週に2回利用:1,658円 × 2回 = 3,316円
1ヶ月(4週間)利用:3,316円 × 4週 =13,264円
同様に要介護3だと、1回900円(介護報酬)+1,000円(食費・おやつ代など)=1,900円となり、
週2回で3,800円、1ヶ月(4週間)では15,200円が目安の自己負担額となります。
- 要介護3の場合
1回あたりの費用:1,900円
週に2回利用:1,900円 × 2回 = 3,800円
1ヶ月(4週間)利用:3,316円 × 4週 =15,200円
これはあくまで目安であり、施設の規模や利用時間、居住地域、利用する送迎サービスの有無、おむつ等の使用、所得に応じた自己負担割合(1~3割)など、それぞれの条件によって負担額は変動します。
ただ、介護保険には、1ヶ月の自己負担額の合計が高額になったとき、利用者が申請すると上限額を超えた金額が払い戻される「高額介護サービス費」といった制度があります。デイサービスを利用してみたいけど費用が心配、という方は、一度お住まいの地域の地域包括支援センターに相談してみるのもおすすめです。
デイサービスの費用は、介護保険適用分と適用外分の合算で構成されます。以下の表で、介護保険が適用されるサービスと適用されないサービスを解説します。
介護保険が適用されるサービス | 介護保険が適用されないサービス |
・利用料(基本料金) ・送迎費 ・入浴介助費 ・機能訓練費 | ・食事代 ・レクリエーション費用 ・材料費(工作など) ・おやつ代 |
介護保険が適用されるサービスは利用料の1割、2割、または3割が負担となります。一方、介護保険が適用されないサービスは全額自己負担となります。
利用料とは、デイサービスを利用するための基本的な料金です。利用料を構成する要素には以下が含まれます。
- 要介護度と利用時間・施設規模
- 利用する地域
- 利用する施設規模
- 要介護度と利用時間
要介護度と利用時間によって利用料は異なります。以下の表に通常規模の場合にかかるデイサービス費用を示します。
■事業所規模が「通常規模」の場合の自己負担額/回(1単位あたり、10円換算で表記)
要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 | |
3~4時間未満 | 368円 | 421円 | 477円 | 530円 | 585円 |
4~5時間未満 | 386円 | 442円 | 500円 | 557円 | 614円 |
5~6時間未満 | 567円 | 670円 | 773円 | 876円 | 979円 |
6~7時間未満 | 581円 | 686円 | 792円 | 897円 | 1,003円 |
7~8時間未満 | 655円 | 773円 | 896円 | 1,018円 | 1,142円 |
8~9時間未満 | 666円 | 787円 | 911円 | 1,036円 | 1,162円 |
- 利用する地域
実際にデイサービスを利用する地域によって利用料金は異なります。
理由は、人件費などの地域差をなくすために設定されている地域ごとの上乗せ割合と介護サービス種別による人件費割合により、1単位あたりの単価が異なるためです。
以下の表に地域別の上乗せ割合と人件費割合をふまえた単価を示します。
地域例 | 上乗せ割合 | 人件費割合 | |||
45% | 55% | 70% | |||
1級地 | 東京23区 | 20% | 10.90円 | 11.10円 | 11.40円 |
2級地 | 大阪市など | 16% | 10.72円 | 10.88円 | 11.12円 |
3級地 | 名古屋市など | 15% | 10.68円 | 10.83円 | 11.05円 |
4級地 | 神戸市など | 12% | 10.54円 | 10.66円 | 10.84円 |
5級地 | 横須賀市など | 10% | 10.45円 | 10.55円 | 10.70円 |
6級地 | 仙台市など | 6% | 10.27円 | 10.33円 | 10.42円 |
7級地 | 札幌市など | 3% | 10.14円 | 10.17円 | 10.21円 |
8級地 | そのほかの地域 | 0% | 10.00円 | 10.00円 | 10.00円 |
参考:厚生労働省資料
- 利用する施設規模
デイサービスの利用料金は、利用する施設の規模に応じて異なります。
施設の規模は、月平均利用者数によって、地域密着型、通常規模型、大規模型(Ⅰ・Ⅱ)の3つに分けられます。
以下の表に施設規模の分類と1回あたりの自己負担額を記載しますのでご参考ください。
■要介護1の利用者が8時間利用した場合
施設規模 | 月平均利用者数 | 1回あたりの自己負担額(1割負担 |
地域密着型 | ~10名以下 | 300円~500円 |
通常規模型 | 11~30名 | 500円~800円 |
大規模型(Ⅰ) | 31~50名 | 800円~1,000円 |
大規模型(Ⅱ) | 51名以上 | 1,000円~1,200円 |
参考:厚生労働省資料
サービス加算とは、基本サービスに加えて提供される特別なサービスの費用です。以下は、サービス提供体制強化加算と特定サービス加算の例です。
■サービス提供体制強化加算の種類
種類 | 料金/回 | 要件 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 22円 | 介護福祉士7割以上配置 |
サービス提供体制強化加算(Ⅱ) | 18円 | 介護福祉士5割以上配置 |
サービス提供体制強化加算(Ⅲ) | 6円 | 介護福祉士4割以上配置 |
■特定サービス加算の一例
項目 | 料金/回 | サービス内容 |
入浴介助加算 | 40円 | 入浴介助サービス |
生活機能向上連携加算 | 100円 | 生活機能向上のための連携サービス |
個別機能訓練加算 | 56円 | 個別の機能訓練サービス |
認知症加算 | 60円 | 認知症対応サービス |
栄養改善加算 | 200円 | 栄養状態の改善を目的としたサービス |
参考:厚生労働省資料
デイサービスの利用者は、以下のような制度を利用することで、費用負担を軽減できます。
- 高額介護サービス費
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
- 低所得者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額の軽減制度
これらの制度は、一定の条件を満たせば、所得に応じて利用者負担の上限額が設定されたり、負担額そのものが軽減されたりします。
高額介護サービス費とは、介護サービスを受ける際の月々の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。
【対象者】
高額介護サービス費の対象者は、以下の条件を満たす人です。
- 介護サービスの自己負担額が高額になった人
- 収入に応じた限度額を超えた人
【申請方法】
- 申請書の提出:市区町村の介護保険担当窓口で申請書を受け取り、必要事項を記入して提出します。
- 支払証明書の提出:介護サービスの利用料支払証明書を申請書と一緒に提出します。
- 審査と決定:市区町村が審査を行い、払い戻しの可否を決定します。適用される場合、超過分の払い戻しが行われます。
年収 | 課税所得 | 負担上限額/月 |
約1,160万円以上 | 690万円以上 | 140,100円 |
~約1,160万円未満 | ~690万円未満 | 93,000円 |
~770万円未満 | 380万円未満 | 44,000円 |
世帯の全員が市町村民税非課税 | - | 24,600円 |
生活保護を受給している方等 | - | 15,000円 |
参考:厚生労働省資料
高額医療・高額介護合算療養費制度とは、医療費と介護費の両方がかかる場合、合算した自己負担額が高額になると、その超過分が払い戻される制度です。
【対象者】
高額医療・高額介護合算療養費制度の対象者は、以下の条件を満たす人です。
- 医療保険と介護保険の両方に加入している人
- 医療費と介護費の自己負担額が合算して高額になった人
【申請方法】
- 申請書の提出:市区町村の介護保険担当窓口で申請書を受け取り、必要事項を記入して提出します。
- 支払証明書の提出:医療費および介護費の支払証明書を申請書と一緒に提出します。
- 審査と決定:市区町村が審査を行い、払い戻しの可否を決定します。適用される場合、超過分の払い戻しが行われます。
年収約1,160万円~ 標報83万円以上 課税所得690万円以上 | 212万円 |
一般年収770万~1160万円 標報53~79万円 課税所得380万円以上 | 141万円 |
年収370万~770万円 標報28~50万円 課税所得145万円以上 | 67万円 |
一般(年収156~370万円) 健保 標報26万円以下 国保・後期 課税所得145万円未満 | 56万円 |
市町村民税世帯非課税 | 31万円 |
市町村民税世帯非課税 (所得が一定以下) | 19万円 |
参考:厚生労働省資料
低所得者に対する介護保険サービスに係る利用者負担額の軽減制度とは、経済的に困窮している高齢者が介護サービスを受けやすくするための制度です。
【対象者】
この制度の対象者は、以下の条件を満たす人です。
- 市区町村民税非課税世帯に属する人
- 生活保護を受けている人
- その他、市区町村が定める要件に該当する人
【申請方法】
- 申請書の提出:市区町村の介護保険担当窓口で申請書を受け取り、必要事項を記入して提出します。
- 所得証明の提出:所得を証明する書類(非課税証明書、生活保護受給証明書など)を申請書と一緒に提出します。
- 審査と決定:市区町村が審査を行い、適用の可否を決定します。適用される場合、軽減された自己負担額で介護サービスを利用できるようになります。
参考:厚生労働省資料
デイサービスの利用者は、以下のような控除制度を利用することで、所得税の負担を軽減できます。
- 医療費控除
- 扶養控除
- 障害者控除
これらの制度は、一定の条件を満たせば、所得税の計算上、所得から一定額を控除できるというものです。それぞれについて、対象となるサービスと申請方法を解説します。
医療費控除とは、1年間に支払った医療費が一定額を超えた場合、その超えた分を所得から控除できる制度です。
【対象となるサービス】
医療費控除の対象となるサービスは以下のとおりです。
- デイサービスの利用料(医療行為が含まれている場合)
- 介護保険サービスの自己負担分
- 送迎サービスの費用
【申請方法】
- 医療費の明細書を準備:支払った医療費の領収書を保管し、医療費控除の明細書を作成します。
- 確定申告書の提出:確定申告時に、医療費控除の明細書とともに申告書を税務署に提出します。
扶養控除とは、納税者が扶養している親族がいる場合、その人数に応じて一定額を所得から控除できる制度です。
【対象となるサービス】
扶養控除の対象となるサービスは以下のとおりです。
- デイサービスの利用料
- 介護保険サービスの自己負担分
【申請方法】
- 扶養控除申告書の提出:年末調整や確定申告時に扶養控除申告書を提出します。
- 必要書類の準備:扶養親族の所得証明書や住民票などの必要書類を準備します。
障害者控除とは、納税者本人または扶養親族が障害者手帳を持っている場合、一定額を所得から控除できる制度です。
【対象となるサービス】
障害者控除の対象となるサービスは以下のとおりです。
- デイサービスの利用料(障害者手帳を持つ場合)
- 介護保険サービスの自己負担分
【申請方法】
- 障害者控除申告書の提出:年末調整や確定申告時に障害者控除申告書を提出します。
- 必要書類の準備:障害者手帳のコピーや必要な証明書を準備します。
介護保険の認定を受けていない方でも、全額自己負担でデイサービスを利用することは可能です。ただし、費用は介護保険が適用される場合に比べて高額になります。
介護認定なしでデイサービスを利用する場合、1回あたりの費用の目安は以下のとおりです。
- 1回6〜8時間の利用で、1万円〜1.5万円程度
- 食事代や送迎費用が別途かかる場合あり
- 施設や利用時間、提供サービス内容によって異なる
介護保険の適用がない場合、デイサービスの1ヶ月の利用料は、安くても6〜10万円程度かかるケースが多いようです。
介護保険が利用できない場合でも、自費で介護サービスを利用したいというニーズは少なくありません。そんな時は、介護保険適用外の訪問介護サービスを利用するのも一つの手です。
たとえば、「イチロウ」では、介護保険の対象外の幅広いサービスを提供しています。身体介護はもちろん、生活援助や通院の付き添い、外出の同行など、利用者のご要望に合わせたオーダーメイドのサービスが特徴です。しかも、最短即日からサービスを開始できるそうです。
介護にまつわる費用負担は、介護保険の利用の有無によって大きく変わります。まずは介護認定を受けることをおすすめしますが、それが難しい場合でも、自費サービスを上手に活用することで、負担を減らしつつ、必要なサービスを受けることができるでしょう。
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デイサービスの費用は、要介護度や利用時間、施設の規模、立地など、さまざまな要因によって異なります。しかし、介護保険の適用や各種の費用軽減制度、控除制度を上手に活用することで、家計の負担を減らしつつ、必要なサービスを受けることができます。介護が必要になった際は、まずは介護認定を受けることをおすすめします。
そして、ご自身やご家族に合ったデイサービスを選び、安心して利用できる環境を整えましょう。