介護にまつわるお役立ちコラム

親が老人ホームなど施設に入りたくない!嫌がる理由と説得する方法を解説

2024年07月23日

親が老人ホームなどの施設への入居を拒否することは、介護する多くの家族が直面する課題です。解決するには、家を離れたくない思いや、家族による介護への固執、見捨てられる不安など、さまざまな要因を理解することが重要です。

 

この記事では、親が施設入居を嫌がる主な理由と、その解決方法について詳しく解説します。さらに、施設見学や体験入居を活用するなど、効果的なアプローチ方法を紹介します。

 

今回の内容が、親子ともに納得できる最適な選択肢を見つける手助けとなれば幸いです。

1親が老人ホームなど施設に入りたくないとを嫌がる理由

高齢者が老人ホームなどの施設に入るのを拒む理由は多岐にわたります。背景にあるのは、家族や住み慣れた環境への強い愛着、介護に対する価値観、そしてプライドなどです。

 

以下では、主な理由とその対処法について解説します。

家を離れたくないという思いが強い

住み慣れた自宅で生活を続けたいという思いは、多くの高齢者に共通しています。実際、やや古いデータになりますが、ある調査によると、「可能な限り自宅で介護を受けたい」と答えた人の85.6%が「住み慣れた自宅で生活を続けたいから」という理由を挙げています。長年過ごしてきた家には思い出がたくさん詰まっており、そこを離れることへの抵抗感は非常に強いものです。

介護は家族が行うべきという従来型の価値観を持っている

介護保険制度が始まる以前は、家族が高齢者の介護を担うことが当たり前とされていました。この価値観は今でも根強く残っており、施設に入ることを「家族の義務を放棄すること」と捉える高齢者も少なくありません。

 

2022年時点の によると、介護保険サービスを利用している方のうち、在宅介護の数が399万人なのに対して、施設介護の数が96万人と、まだまだ在宅介護の割合が高いことがわかります。この数字からも、多くの人が家族による介護を選択していることがうかがえます。

 

家族に見捨てられるのではないかという不安

老人ホームへの入居を提案されると、「家族に見捨てられるのではないか」という不安を抱く高齢者は多いです。実際、厚生労働省が作成した「平成29年度人生の最終段階における医療に関する意識調査報告書」によると、自宅で最期を迎えたい理由として「住み慣れた場所で最後まで過ごしたい」「最後まで自分らしく生きたい」といった意見が多く挙げられています。

 

これらの気持ちを理解しつつ、老人ホームや介護施設での生活が本人にとってベストな選択肢であることを丁寧に説明することが大切です。施設に入居しても家族との絆は変わらないこと、むしろ専門的なケアを受けることで安心して生活できることを伝えましょう。

高いプライドから介護施設への入居の必要性を認めたくない

高齢者の中には、自力で生活できなくなることを認めたくないという方も少なくありません。長年、家族を支えてきた立場から、今度は支えられる側になることへの抵抗感が強いのです。

 

特に、これまで家庭や社会で重要な役割を担ってきた方ほど、介護が必要な状態を受け入れることが難しいようです。このような場合、本人の自尊心を傷つけないよう配慮しながら、現在の状況を理解してもらうことが重要です。

老人ホームに良いイメージがない

過去の老人ホームに関するネガティブな報道や、昔ながらの施設のイメージから、老人ホームに対して良くない印象を持っている高齢者も多いです。

 

しかし、現代の老人ホームは大きく変化しています。個室が増え、プライバシーが守られるようになったり、さまざまな活動やサービスが提供されたりと、生活の質を高める工夫がなされています。

 

このような方々には、現代の老人ホームの実態をしっかりと説明し、メリット・デメリットを含めた正確な情報を提供することが大切です。また、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど、さまざまな形態の施設があることを紹介し、本人に合った選択肢を一緒に探ることが重要です。

2老人ホームなど施設に入りたくない親を説得する方法

老人ホームなどの施設への入居を拒む親を説得することは、決して容易なことではありません。しかし、適切なアプローチと理解を示すことで、徐々に親の心を開くことができるかもしれません。

 

ここでは、親を説得するための効果的な方法をいくつか紹介します。説得するといっても、常に親の気持ちを第一に考え、焦らずに丁寧に対応することが大切です。

 

親に寄り添って話を聞いてあげる

まずは、親の話をじっくりと聞くことから始めましょう。傾聴することで、施設入居を拒んでいる真の理由を引き出せる可能性があります。

 

親の気持ちを否定せず、「住み慣れた自宅で生活を続けたい」という思いに共感を示しながら、なぜ施設入居を勧めているのかを丁寧に説明することが重要です。時には複数回の対話が必要になるかもしれませんが、粘り強く親の気持ちに寄り添うことで、徐々に理解を得られる可能性が高まります。

医師やケアマネージャーなど専門家に相談する

家族だけでは説得が難しい場合、医師やケアマネジャーなどの専門家に相談するのも有効な方法です。専門家の意見は、親にとってより説得力のあるものとして受け止められる可能性があるからです。

 

特に、かかりつけ医から「老人ホームに入居できることは幸せなことですよ」などと伝えてもらうことで、親の考えが前向きに変わる場合もあります。また、ケアマネジャーは介護サービスに関する幅広い知識を持っているため、親の状態や希望に合わせた適切な施設を提案してくれる可能性が高いです。

施設の見学や体験入居を検討してみる

いきなり入居を勧めるのではなく、まずは施設の見学や短期間の体験入居を提案してみるのも良いでしょう。親が老人ホームの実際の雰囲気や生活を体験し、抵抗感を徐々に軽減できる可能性があるからです。

 

見学の際は、施設のスタッフや入居者とコミュニケーションを取る機会を設けることで、より具体的なイメージを持ってもらえるかもしれません。また、体験入居では、食事やさまざまな活動を実際に体験することで、施設での生活に対する不安を和らげることができるでしょう。

入居を嫌がる理由に合わせて施設を紹介する

親が入居を嫌がる理由に応じて、適切な施設を紹介することも効果的です。現在では、さまざまな種類の高齢者向け施設があり、それぞれ特色のあるサービスを提供しています。

 

以下に、いくつかの例を挙げます。

  • 温泉が楽しめる施設
  • 筋力の維持・向上を目的とした運動メインの施設
  • 趣味や芸術活動を重視した施設
  • 自然豊かな環境で過ごせる施設
  • 医療サービスが充実した施設

例えば、温泉が好きな親には、温泉施設を併設した老人ホームを紹介することで興味を引き出せるかもしれません。また、健康維持に関心がある場合は、専門のトレーナーによる運動プログラムを提供する施設を勧めるのも良いでしょう。

 

親の興味や生活スタイルに合わせて施設を選ぶことで、入居への抵抗感を減らし、新しい生活への期待を持ってもらえる可能性が高まります。大切なのは、親の個性や希望を尊重しながら、最適な選択肢を一緒に探っていくことです。

3施設に入りたくない場合は在宅を続ける選択肢も

親が老人ホームなどの施設に入居することを拒否している場合、必ずしも施設入居を強引に進める必要はありません。むしろ、ご本人の意思を尊重しつつ、在宅での生活を継続する選択肢も十分に検討する価値があります。

 

介護保険サービスだけでは対応しきれない部分を、介護保険外の訪問介護サービスで補完することで、在宅生活を続けることが可能になる場合があります。そのようなサービスの一つとして、イチロウという訪問介護サービスがあります。

 

イチロウは、24時間365日、あらゆる介護ニーズに対応できる一流の介護士によるサポートを提供しています。介護保険では対応できない範囲の介護や生活支援、通院の付き添いなどを、柔軟にカバーすることができます。

 

主なイチロウのサービスの特徴は以下になります。

  • オーダーメイドの介護サービス:ご本人やご家族の要望に合わせて、柔軟にサービス内容をカスタマイズできる。介護保険では制限されるサービスも、必要に応じて提供可能。
  • 高品質な介護サービス:厳しい基準をクリアした介護士が、ホスピタリティの高いサービスを提供。
  • 迅速な対応:最短で当日からのサービス利用が可能。急な介護ニーズにも素早く対応できる。
  • 幅広いサービス内容:自宅での介護や生活支援はもちろん、通院や外出の付き添い、入院中の介護、日中・夜間の見守り介護、認知症のケアなど、多岐にわたるサービスを提供している。
  • 透明性の高いサービス:オンラインレポートにより、提供されたサービスの内容を確認できる。これにより、離れて暮らすご家族も安心して介護の状況を把握できる。

イチロウのようなサービスを利用することで、介護保険だけでは難しかった在宅生活の継続が可能になる場合があります。例えば、夜間の見守りや外出の付き添いなど、介護保険では対応しきれない部分をカバーすることで、ご本人の生活の質を保ちながら、在宅での暮らしを続けられる可能性があります。

 

また、イチロウでは介護士の指名制を採用しているため、気の合う介護士に継続的にケアを依頼することができます。これにより、ご本人の安心感や快適さを高めることができるでしょう。

 

在宅生活を続けるか、施設に入居するかは、ご本人の状態や家族の状況、利用可能なサービスなどを総合的に考慮して決定する必要があります。イチロウのようなサービスの活用を検討することで、より多くの選択肢の中から最適な介護の形を見つけることができるかもしれません。

4まとめ

親が老人ホームに入りたくないと拒否する背景には、さまざまな理由や不安があります。これらを理解し、適切なアプローチを取ることが重要です。親の気持ちに寄り添い、丁寧に説明しながら、専門家の意見も取り入れることで、より良い解決策を見つけることができます。施設見学や体験入居を通じて、老人ホームの実態を知ってもらうことも効果的です。親の意思を尊重しつつ、家族全体の幸せを考えながら、最適な選択をすることが大切です。この過程を通じて、親子関係をより深め、互いの理解を深めることができるでしょう。

監修者情報

テラステック株式会社

2013年に株式会社が経営するデイサービス兼有料老人ホームに就職後、2年後に生活相談員兼現場統括・財務管理に従事。

2017年に一般社団法人の有料老人ホームに転職後、介護福祉士を取得。

2019年に株式会社が経営するグループホームに転職後、認知症実践者研修を修了。

2022年に訪問介護事業所の新規開設。

2023年に居宅介護・重度訪問介護の指定取得。

現在は事業所の管理者に従事。教育に重点を置き、人間性やコミュニケーションの取り方を発信。

沼原義和(介護福祉士)
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