介護にまつわるお役立ちコラム

認知症の在宅介護|気になる症状への対応法と限界を感じた時の解決策を紹介

2024年07月05日

認知症の方の在宅介護は、介護者にとって大きな負担となることが少なくありません。暴言や徘徊など、認知症特有の症状に悩まされることもあるでしょう。しかし、認知症について正しく理解し、適切な対応方法を身につけると、在宅介護をスムーズに続けられます。

 

この記事では、認知症介護の基本的なポイントや介護サービスの利用方法、症状別の対応のコツ、そして介護者自身のケアについて詳しく解説します。認知症の方を在宅で介護されている皆さまの参考になれば幸いです。

1認知症の方の在宅介護で大切な3つの心構え

在宅で認知症の方を介護するには、いくつかの重要な心構えが必要です。ここでは特に大切な3つの心構えについて解説します。

  • 自分も大切にする
  • すぐ相談する
  • 一緒にいる時間を大切にする
自分も大切にする

認知症の家族を介護する際、ついつい介護される人のことばかりに意識が向きがちです。しかし、介護する側の心身の健康も等しく重要です。無理をし過ぎて倒れてしまっては、結局介護される側の人も困ってしまうからです     。

 

自分の時間をしっかり確保し、ストレス発散する機会を作るのは大切です。趣味の時間をもったり、友人と会ったりするのも良いでしょう。介護から少し離れてリフレッシュすることで、前向きに介護に取り組めるはずです。自分自身の心と体の健康があってこそ、良いケアができるのだということを忘れないようにしましょう。

 

すぐ相談する

認知症の家族を介護する際、ついつい介護される人のことばかりに意識が向きがちです。しかし、介護する側の心身の健康も等しく重要です。無理をし過ぎて倒れてしまっては、結局介護される側の人も困ってしまうからです     。

 

自分の時間をしっかり確保し、ストレス発散する機会を作るのは大切です。趣味の時間をもったり、友人と会ったりするのも良いでしょう。介護から少し離れてリフレッシュすることで、前向きに介護に取り組めるはずです。自分自身の心と体の健康があってこそ、良いケアができるのだということを忘れないようにしましょう。

 

すぐ相談する

認知症介護で悩みや不安を感じたら、一人で抱え込まずにすぐ周りに相談することが大切です。認知症ケアに詳しいケアマネジャーや医師、看護師など専門家に頼るのはもちろん、介護経験がある身内や     友人などにも遠慮なく相談してみましょう。

 

悩みを共有し、アドバイスをもらうことで心の重荷が軽くなります。介護者をサポートしてくれるような頼れる存在を日頃から作っておくと、いざという時に心強いですね。一人で頑張り過ぎず、周りの力を借りながら介護を続けていく姿勢が肝心です。

一緒にいる時間を大切にする

認知症が進行すると、一緒に過ごせる時間は徐々に限られてきます。今できることを一緒に楽しむことを心がけましょう。好きな音楽を聴いたり、昔話をしたり、散歩に出かけたり。ささやかでも、一緒に過ごす何気ない日常の一コマ一コマが、かけがえのない思い出になります。

 

介護は先の見えない長い道のりで、不安になる日もあるでしょう。ですが、目の前にいる大切な人との一瞬一瞬に意識を向けることで、今を充実させられます。残された時間を、穏やかで豊かなものにしていけるよう、意識していきたいものですね。

2 認知症の方の在宅介護で重要な5つのポイント

認知症の方への在宅介護では、正しい理解とスキルが求められます。ここでは、特に重要な5つのポイントを取り上げます。

  • 健康管理
  • 信頼関係の構築
  • 自尊心への配慮
  • 理解する努力
  • 社会との関わり

それぞれ詳しく解説します。

健康管理をする

認知症の方は自身での健康管理が難しくなるため、服薬や食事、運動などの日々の健康管理は介護者の大切な役割です。処方薬はきちんと飲めているか、バランスのとれた食事が取れているか、適度な運動はできているかなど、細やかに注意を払いましょう。

 

体調の変化に早めに気づくことで、重症化を防げます。毎日の健康チェックを習慣づけ、少しでも気になることがあれば速やかに医師に相談するようにしてください。健康あってこその穏やかな生活です。本人の体調管理を最優先に考えて介護にあたりましょう。

信頼関係を築く

認知症の人との良好な関係性は、円滑なケアに欠かせません。言葉よりも表情や雰囲気から本人の気持ちを汲み取り、ゆっくりと優しく寄り添う姿勢を心がけましょう。アイコンタクト、スキンシップ、微笑みかけることも信頼関係を深めるポイントです。

 

命令口調や強い口調は避け、落ち着いた穏やかな口調で接することを意識してください。相手のペースに合わせ、焦らずゆったりと関わっていくことが肝心です。安心して心を開いてもらえるよう、日頃からコミュニケーションを大切にしていきましょう。

自尊心に配慮する

認知症の方の中には、自分ができなくなっていくことへの不安や恥ずかしさから、強い劣等感を抱いている方も少なくありません。介護者は本人の自尊心を傷つけないよう、細心の注意を払う必要があります。

 

トイレの失敗や同じ失敗の繰り返しなどに対しても、決して叱責したり馬鹿にしたりせず、さりげなくフォローを入れるようにしましょう。たとえ認知症が進行しても、一人の尊厳ある人として接することを忘れてはいけません。本人の残存能力を最大限に活かせるよう、自立の気持ちを尊重した介護を心がけましょう。

認知症の方を理解する

認知症の人の言動には、必ず何らかの理由があります。食事を拒否する、いつも同じ場所をウロウロするなど、一見すると理解に苦しむ行動も、その人なりの事情があるはずです。介護者は、「どうしてそういう行動をとるのか」と、相手の立場に立って考えるのが大切です。

 

認知症に伴う中核症状のほか、不安や混乱、ストレスなどが原因となって、いわゆる問題行動が起こることも少なくありません。表面的な行動だけでなく、その背景にある心理的な要因にも目を向ける努力が求められます。相手への深い理解があって、初めて適切なケアが可能になるのです。

社会との関係を維持する

認知症の進行に伴い外出の機会が減り、他者との交流が失われがちです。しかし、社会から切り離されてしまうと認知機能の低下に拍車がかかるため、介護者はなるべく社会とのつながりを保てるよう心がけましょう。

 

散歩に一緒に出かけたり、地域のサロンに参加したり、昔の友人に会う機会を作ったりと、本人の状態に合わせていろいろ工夫してみてください。他者と交流することで、脳への良い刺激となり、ストレス解消にもつながります。閉じこもりがちな生活は、認知症にとって良くありません。介護者の見守りのもと、少しずつ社会参加を促していくことが肝要です

3在宅介護で認知症の方の気になる症状への対応法

認知症の症状はさまざまで、介護者を悩ませるものも少なくありません。ここでは、特に対応に苦慮しやすい4つの症状への適切な対応法をご紹介します。

  • 暴言・暴力
  • 徘徊
  • 被害妄想
  • 介護拒否

詳しく見ていきましょう。

暴言・暴力への対応

認知症の方が言葉や身体で攻撃的になる「暴言・暴力」は、介護者の心身に大きな負担となる症状です。暴言には極端な悪口や感情的な言葉、一方的な非難などが含まれ、暴力には物を投げる、叩く、蹴るなどの行為が該当します。

 

暴言・暴力が起こる原因としては、認知症による中核症状のほか、身体的苦痛やストレス、環境の変化に伴う不安などが考えられます。対応としては、まずは興奮が収まるまで安全な距離を置きましょう。次に、本人の心理状態を慮り、優しく寄り添うことが大切です。

 

痛みなど身体的な要因がないかをチェックし、ストレス源があれば取り除くよう努めてください。穏やかに接しながら、安心できる環境づくりを心がけることが大切です。暴力がエスカレートする恐れがある場合は、ケアマネジャーや医師に相談するのも一案です。

徘徊への対応

認知症の方が目的もなくさまよい歩く「徘徊」への対応も、介護者にとって大きな課題となります。徘徊の背景には、トイレなど特定の場所への移動、過去の生活習慣、何かを探す行為、帰宅願望など、さまざまな理由が潜んでいます。

 

行動を無理に止めるのは逆効果であるため、付き添える範囲で自由に歩かせるのも一案です。GPSなどを活用し、見守る体制を整えておくことも重要です。スムーズなコミュニケーションを心がけ、徘徊の理由を聞き出すよう努めましょう。

 

デイサービスの利用や、散歩の習慣化など、本人の気持ちが和らぐ工夫をすることで、徘徊行動の抑制にもつながります。事故の危険性を考え、地域にも協力を仰ぎながら、できる限り目を離さないことを心がけてください。

被害妄想への対応

「物を盗られた」「嫌がらせをされている」など、根拠のない被害妄想を訴える認知症の方への対応に悩む介護者は少なくありません。被害妄想の原因として考えられるのは、認知症に伴う中核症状のほか、不安感や疎外感が背景にあるケースが多いようです。

 

妄想の内容を否定するのは厳禁です。本人にとっては真実の出来事であり、むげに否定されると混乱に拍車がかかります。まずは本人の訴えにじっくり耳を傾け、不安な気持ちを受け止める姿勢が大切です。その上で、話題を転換するなど、注意をそらす工夫を試みてみましょう。

 

被害妄想の根底にある孤独感や疎外感を和らげるためにも、日頃から本人の話に耳を傾け、より良い     関係性の構築に努めることが求められます。被害妄想の改善には一定の時間を要しますが、根気強く向き合っていくことが肝要です。

介護拒否への対応

食事や入浴、服薬などを拒む「介護拒否」も、在宅介護の大きな壁となる症状のひとつです。介護拒否の背景には、自尊心やプライドの高さ、あるいは介護者への遠慮など、本人なりの理由が隠れていることが少なくありません。

 

拒否される理由を一緒に考え、納得のいく説明を心がけることが大切です。頭ごなしに介護を強要するのは避け、本人の気持ちに寄り添いながら、タイミングを見計らって声をかけましょう。信頼関係を築くことが、介護拒否の改善への第一歩となります。

 

食事や排泄などの基本的欲求に関する介護は、なるべく毅然とした態度で臨むことも時には必要です。どうしても拒否が続くようなら、ケアマネジャーなど専門職の助言を仰ぐのも賢明です。周囲の協力を得ながら、あせらずじっくりと向き合っていくことが肝心です。

4 認知症の方の在宅介護でストレスを感じる原因

認知症の方を在宅で介護するには、介護者に多大な負担がかかります。身体的、精神的、経済的な問題が重なることで、介護者の心身は疲弊し、強いストレスを感じるのも珍しくありません。

 

在宅介護を続けていく上で、こうしたストレス要因を理解し、適切に対処していくことが欠かせません。ここでは、認知症の在宅介護において介護者がストレスを感じやすい代表的な原因を3つ取り上げ、詳しく解説していきます。

身体的負担

認知症の方の在宅介護では、排泄や入浴の介助など、肉体的な負担が伴う場面が多々あります。特に要介護度が高くなるにつれ、その負担は増大していきます。また、認知症の方の中には、夜間に徘徊される方もおり、介護者は休む間もなく何度も起きなければならないため、十分な睡眠を確保できないこともしばしばです。

 

睡眠不足が慢性化すると、心身の疲労は蓄積し、強いストレスにつながります。介護疲れを和らげるためにも、デイサービスやショートステイなどの介護サービスを上手く活用し、介護の手を休める          時間を作るのも大切です。周囲の協力を得ながら、介護者自身の休養もしっかりと取れるよう心がけましょう。身体的な負担を軽減できれば、在宅介護を続けていく上でのストレス軽減にもつながるはずです。

精神的負担

認知症が進行すると、介護者は大きな精神的ストレスを抱えることになります。認知症の症状によっては、介護者のことを忘れてしまったり、感情のコントロールがきかず心無い言葉を浴びせられたりすることもあるでしょう。一方で、症状の進行に伴い、先行きへの不安も募ります。

 

このように、認知症介護の精神的負担は計り知れません。こうしたストレスを和らげるには、介護者同士の交流の場に参加し、思いを共有することが大切です。認知症カフェなどに足を運び、リフレッシュを図ることをおすすめします。介護の悩みを打ち明けられる相談相手を見つけることも、精神的な負担を和らげる上で欠かせません。介護を一人で抱え込まず、周囲のサポートを上手に活用していくことが、ストレス軽減への近道となるでしょう。

経済的負担

認知症の在宅介護を続けていく中で、経済面の不安を感じる介護者は少なくありません。要介護度が上がるにつれ、また介護期間が長引くほど、介護にかかる費用も嵩んでいきます。介護サービスを利用する場合、要介護度に応じて1〜3割の自己負担が発生します。

 

加えて、認知症の症状によっては、介護と仕事の両立が難しくなり、止むを得ず離職する「介護離職」に至るケースもあります。経済的な問題は、介護者の心理的負担をさらに増幅させる要因となり得ます。公的支援の活用はもちろん、場合によっては施設入居なども視野に入れながら、長期的な視点で介護の方針を立てることが求められます。 経済的な側面からも在宅介護の限界を見極め、現実的な選択肢を柔軟に考えていく姿勢が欠かせません。一人で問題を抱え込まず、ケアマネジャーなど専門家に相談しながら、適切な解決策を導き出していくことが何より重要です。

5在宅介護のストレス軽減方法

認知症の方の在宅介護は、肉体的にも精神的にも非常に負担の大きい仕事です。長期間にわたりストレスを溜め込んでしまうと、やがて介護者自身の心身の健康を損なう恐れもあります。介護を継続していく上で、ストレス軽減のための方策を講じることは欠かせません。ここでは、在宅介護のストレスを和らげる具体的な方法を3つ取り上げます。

  • 在宅介護以外の時間を作る
  • ケアマネジャーとケアプランの見直す
  • 施設入居を検討する

上手にストレス発散を図りながら、穏やかな介護生活を目指しましょう。

在宅介護以外の時間を作る

在宅介護のストレスを軽減するためには、介護以外の時間を意識的に作ることが大切です。趣味の時間を持ったり、友人と会ったりと、自分だけの時間を過ごすことで気分転換を図りましょう。介護から少し離れリラックスすることで、心身ともにリフレッシュできます。

 

また、介護とプライベートのメリハリをつけることで、介護に向き合う気持ちも新たになるはずです。オンとオフの切り替えを上手に行うことが、在宅介護を続けていく上での秘訣と言えます。自分の時間を大切にしながら、介護とプライベートのバランスを保つよう心がけましょう。介護の息抜きを定期的に取り入れることが、ストレスフルな介護生活を乗り越えるための活力となります。

ケアマネジャーとケアプランの見直す

在宅介護でストレスを感じている場合、ケアマネジャーと相談してケアプランを見直すのも一案です。ケアマネジャーは介護の専門家として、ケアマネジャーする豊富な知識を持っています。介護の悩みを打ち明け、アドバイスをもらうことで、ストレスの軽減につながるでしょう。

 

また、ケアプランの見直しを通じて、改めて認知症介護の方法を考える良い機会ともなります。本人の状態に合わせ、適切なサービスを取り入れることで、介護の負担を和らげることもできるはずです。ケアマネジャーと二人三脚で介護方針を練り直すことで、在宅介護の新たな可能性が開けるかもしれません。

 

介護の悩みを一人で抱え込まず、専門職の力を借りながら、少しずつ前に進んでいきましょう。ケアマネジャーはいつでも味方です。遠慮なく相談に乗ってもらうことが、ストレス軽減への第一歩となります。

施設入居を検討する

在宅介護の限界を感じた時は、施設入居について検討してみるのも一案です。施設入居とは、認知症の方に適した環境が整った介護施設に入っていただくことを指します。施設では、訓練を受けた専門スタッフによる24時間の手厚いケアを受けられます。

 

介護者にとって、在宅介護から解放されることがストレス軽減の大きな助けとなるでしょう。一方、本人にとっても、施設では安心して穏やかな生活を送れます。在宅介護の行き詰まりを感じたら、まずは介護される本人としっかり話し合ってみましょう。

 

その上で、ケアマネジャーとも相談しながら、最適な施設選びをすることが肝要です。施設入居にはある程度の費用がかかりますが、介護保険の補助を受けられる場合もあります。長期的な視点に立ち、現実的な選択肢として施設入居を視野に入れてみるのも良いかもしれません。在宅介護に限界を感じた時は、思い詰めずに柔軟に考えていくことが大切です。

6認知症の方の在宅介護に限界を感じた時の解決策

認知症の方の在宅介護は、肉体的にも精神的にも非常に負担の大きな仕事です。介護者の献身的な努力にも関わらず、認知症の症状は徐々に進行し、やがて在宅介護の継続が難しくなる時期が訪れるかもしれません。しかし、そんな時こそ、適切な解決策を見出すことが何より大切です。ここでは、在宅介護に行き詰まりを感じた時の具体的な打開策を3つご紹介します。

  • 認知症の専門医に相談する
  • 認知症介護への考え方を変える
  • 介護保険外サービスを利用する

それぞれ 詳しく解説します。

認知症の専門医に相談する

在宅介護に限界を感じた時は、まずは認知症の専門医に相談してみましょう。認知症の診断や治療に精通した医師から、症状の進行具合や今後の見通しなどを把握できます。介護の悩みを打ち明け、アドバイスを受けることで、問題の整理ができるかもしれません。

 

専門医は、介護者の心理的負担にも理解を示してくれるはずです。介護ストレスの蓄積は、認知症の方にもよくありません。早期に専門的な助言を仰ぎ、具体的な解決策を探ることが肝心です。客観的な立場から状況を判断してもらうことで、在宅介護の限界が見えてくるはずです。

 

認知症は、一刻も早い対応が求められる疾患です。在宅介護に行き詰まりを感じた時は、ためらわずに専門医の力を借りることをおすすめします。最善の道を共に探る良き相談相手として、認知症専門医を頼ってみてはいかがでしょうか。

認知症介護への考え方を変える

在宅介護に限界を感じた時は、認知症介護に対する考え方を改めて見つめ直すことも大切です。これまで、介護者は認知症の方に寄り添い、献身的にケアに努めてきたことでしょう。しかし、そのために自分自身を犠牲にしてはいなかったでしょうか。

 

介護とは、決して介護者だけが一方的に与えるものではありません。認知症の方との相互のやり取りの中で、新たな絆を育んでいくプロセスとも言えます。在宅介護を続けることだけが最善ではないのかもしれません。

 

介護の目的や、家族の役割分担なども含め、改めて認知症介護のあり方を考え直してみましょう。時には下の世代にバトンタッチすることも、賢明な選択となり得ます。認知症の人も、穏やかに安心して過ごせる場所が何より大切なのです。固定観念にとらわれず、柔軟に介護のあり方を見直すことが、打開策の糸口になるはずです。

介護保険外サービスを利用する

在宅介護に限界を感じた時は、公的な介護保険外のサービスを利用するのもひとつの選択肢です。家事代行や移動支援、外出同行など、介護保険適用外の多様なサービスを組み合わせることで、在宅介護の負担を大幅に軽減できるかもしれません。

 

例えば、「イチロウ」は、就労やひとり親家庭の方など、どうしても介護に時間を割けない方を対象とした介護保険外サービスを提供しています。食事の準備や洗濯、掃除など、日常の家事全般から通院の付き添いまで、幅広くサポートしてくれます。

 

首都圏を中心に、関東と関西の一部地域でサービス展開しており、状況に合わせて柔軟にプランを組むことができるのも魅力です。介護保険外のサービスは、公的支援の狭間を埋める心強い味方となり得ます。在宅介護に行き詰まりを感じたら、まずは介護保険外サービスの活用を検討してみるのも良いかもしれません。

7まとめ

認知症の方の在宅介護に行き詰まりを感じることは、決して珍しいことではありません。介護者は、強い無力感や疲労感を抱えながらも、献身的に介護に向き合ってきたことでしょう。しかし、在宅介護の限界を感じた時こそ、立ち止まって冷静に状況を見つめ直すことが大切です。

 

認知症専門医への相談を通じて介護の悩みを打ち明け、認知症介護のあり方自体を問い直すことも時には必要となります。一方で、介護保険外のサービスを上手に活用することで、在宅介護の負担を大幅に軽減できる可能性もあります。

 

いずれにしても、認知症介護の道のりは決して平坦ではありません。介護者も、自身の人生を大切にしながら、柔軟に介護のあり方を模索していくことが何より重要です。認知症の人が安心して穏やかに過ごせる場所を、共に探し続けていきたいものですね。

監修者情報

4年制大学を卒業後、首都圏の回復期リハビリテーション病院へ入職。主に脳卒中や整形疾患を患った患者様を担当。同施設内の訪問リハビリテーション部門に異動となり、在宅での訪問リハを経験。その後、地元の地域リハに興味が湧き、帰郷し現在の訪問看護ステーションへ転職。脳卒中後遺症をはじめ、整形疾患、小児疾患、神経難病を患われた方々の生活をサポートするためのリハビリを提供している。訪問看護ステーション在籍中に、精神科訪問看護研修受講、認知症ライフパートナー検定2級を取得。

岡本龍(作業療法士)
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