介護にまつわるお役立ちコラム
住宅型有料老人ホームとは?特徴や費用、選び方を解説!
高齢者が自宅で生活するのが困難となった場合、誰かの支援を求めて、老人ホームへ入居するのはよくあることです。しかし、老人ホームにも、いろいろ種類があり、どこに入居するのが良いか迷うことがあります。そんな時は、いろいろな老人ホームについて情報を得て、比較検討するのが良いでしょう。この記事では、住宅型有料老人ホームについて、特徴や費用、メリット、デメリットおよび選び方を説明します。
住宅型有料老人ホームは、老人の福祉を図るため、心身の健康保持のため、生活の安定のために設けられた、生活支援サービスのついた高齢者向け居宅施設です。60~65歳以上の高齢者が対象とされ、地域、施設によって対象年齢はまちまちです。自立、支援、要介護すべての状態の人が入居対象となります。また、医療依存度が高くないなどの条件を満たせば、終身入居可です。住宅型有料老人ホームは、民間事業者により運営され、日常生活費はすべて自己負担となります。
出典:厚生労働省「有料老人ホームの概要( https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12600000-Seisakutoukatsukan/0000038009_1.pdf)」
高齢者になると、多かれ少なかれ、身体機能が低下して、介護用品があった方がよくなります。住宅型有料老人ホームに入居中の方が、介護保険で要支援あるいは要介護と認定されると、介護用品をレンタルできるのです。要支援1,2および要介護1の方は、次の用品をレンタルできます。
- 手すり
- スロープ
- 歩行器
- 自動排泄処理装置
要介護2以上となると、他にも以下の物をレンタルできます。
- 車椅子および付属品
- 特殊寝台および付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 歩行補助杖
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト
こういった介護用品を使用すれば、ADLが改善して、住宅型有料老人ホームでも暮らしやすくなります。
住宅型有料老人ホームの主な利点として、生活支援サービスが受けられ、その内容は以下の通りです。
1) 食事の提供
原則毎日3度の食事とおやつが提供されます。食事形態は、入居者の身体機能に合わせて、普通食、ソフト食、きざみ食、ミキサー食を選べます。また、減塩食、カロリー量指定などの調整も可能です。
2) 家事のサポート
洗濯、掃除といった家事のサポートを受けられます。もちろん、自分で家事を全部しても構わないのですが、頼めば手助けしてもらえます。
3) 健康管理
看護職員のいる施設では、バイタルサインのチェック、服薬管理、健康相談等のサービスを受けられます。さらに、医療機関と連携している施設は、往診を受けられるところもあります。
住宅型有料老人ホームは、要介護度の低い人が多く、レクリエーションやイベントが多く設けられています。囲碁、将棋、麻雀、カラオケ、図書館、アトリエといった類はもちろんのこと、いろいろな趣味の交流をおこなうためにレクリエーションが盛んです。施設によっては、華道や茶道の講師を呼んで、本格的に習い事をすることもあります。さらに高級な施設では、フィットネスルーム、プールがあります。
また、食事関連のイベントとして、マグロの解体ショー、出張寿司屋、そば打ちまでやっているところもあります。施設によってレクリエーションやイベントの内容はいろいろですが、日頃の楽しみごとですから、入居する施設を選ぶための大きな要因となるでしょう。
生活支援サービスは基本的に受けられますし、それ以外に必要なサービスを組み合わせて利用できます。例えば、介護が必要になった場合、居宅介護⽀援事業所を通して、介護保険の適応のもと、訪問介護を利用できます。最近では、介護支援専門員を配置している施設が多いようです。
また、施設に併設されたデイサービスに参加することもできます。医療面では、看護職員を配置している施設もあり、訪問看護を利用することもできます。さらには、医療機関と連携している場合、往診を受けることも可能です。こういった医療サービスを利用すれば、ある程度の医療行為が必要な人でも施設内で生活できます。
住宅型有料老人ホームではいろいろな費用がかかります。まず、初期費用として、入居一時金が必要な施設があります。それから、月額費用として、居住費、管理費、食費、水道光熱費がかかります。
さらに、オプションで依頼した訪問介護、訪問看護にかかる利用料は、介護保険で決められたとおり、1~3割を自己負担しなければなりません。
入居時一時金の金額は施設によって大きく異なります。0円のところもありますし、高級な施設では1億円にもなります。支払い方は施設により決まっており、次の3通りです。
1) 全額前払い方式
終身にわたって掛かる費用を全部前払いする方式です。入居時から後何年生きるかを想定して、費用が決められていますが、年齢に関係なく、一律に固定されているところが多いようです。高級施設によく見られます。この場合、思いがけず、短命に終わったとしても、払い戻しはありません。
2) 一部前払い、一部月払い方式
終身にわたって掛かる家賃を前払いし、その他の費用を月払いします。
3) 月払い方式
この場合初期費用は0円です。
月額利用料は、10~40万円とばらつきがあります。施設の場所や設備によって、大きく費用が変わってくるのです。これ以外にも、介護保険サービスの自己負担金等が必要ですが、これはサービスの内容によって変わります。
参考までに、介護保険サービス利用限度額(30日)を示しますが、これの1~3割が自己負担金の上限です。
要支援1:50,030円
要支援2:104,730円
要介護1:166,920円
要介護2:196,160円
要介護3:269,310円
要介護4:308,060円
要介護5:360,650円
自己負担金の上限額は大きな幅があります。ただし、上限を超えた金額を自己負担すれば、それ以上のサービスでも受けることはできます。
出典:厚生労働省「サービスにかかる利用料(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/commentary/fee.html)」
住宅型老人ホームのメリットは、いろいろなバリエーションがあるということです。介護が必要な人は、介護保険を利用して、訪問介護を受けられます。医療が必要な人は、訪問看護を受けられますし、施設によって、医療重視、リハビリ重視のところもあります。
また、福祉用品のレンタルサービスを利用できることもメリットです。美容室、売店、健康管理室が設置されていたり、食堂がレストラン仕様になったところもあり、高級志向のバリエーションもいろいろです。イベントやレクリエーションが盛んなことも大きなメリットです。
デメリットは、緊急時や夜間に介護を受けられない点です。要介護度が高くなると、オプションの介護サービス費が高くなり、提供できるサービス範囲を超えると退去する必要がでてきます。さらには、医療サービスは施設によって大きく異なり、医療依存度が高くなり過ぎる場合は退所が必要です。高級施設は料金が高く、平均的な収入の人にはとても払えないのも、大きなデメリットでしょう
住宅型有料老人ホームに入居希望の方は、自分の必要なニーズに合わせて施設を選ぶ必要があります。つまり、入居者の心身状態や生活スタイル、経済状況に合った施設を選ぶということです。施設数が多いため、入所難易度は比較的低めですが、費用によって設備やサービス内容が大きく異なります。ですから、受けられるサービス内容、メリット・デメリット、費用等を十分に調べてから入所した方がよいでしょう。
一度入所してしまうと、他へ転居するにも、費用が掛かり大変です。住宅型有料老人ホームには、施設見学や体験入居できるところがあり、まずはそれを体験してから検討するのがよいかもしれません。それから、介護度が非常に高い人は、住宅型有料老人ホームは不向きですので、介護付有料老人ホームがおすすめです。
住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスのついた高齢者向け居宅施設です。要介護状態の人でも、訪問介護や訪問看護を利用しながら入居できます。いろいろなバリエーションがあり、イベントやレクリエーションも盛んです。費用は比較的安価なところから、すごく高価なところまであります。メリット、デメリットを天秤にかけ、入所するかどうか検討してください。