介護にまつわるお役立ちコラム
家事代行と介護の違いとは?利用料金やサービス内容などを徹底比較
家事代行と介護、どちらも家事のサポートをしてくれるサービスですが、利用できる人や料金、サービス内容など、いくつかの違いがあります。家事代行サービスは忙しい現代人の強い味方としてニーズが高まっていますが、介護が必要な状況になった際にはどのようなサービスを利用すればよいのでしょうか。今回は、家事代行と介護の違いについて、それぞれの特徴を詳しく解説します。家事のサポートを検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
家事代行とは、依頼した方の自宅に訪問し、掃除や洗濯、料理など、日常の家事を代行してくれるサービスのことです。共働き世帯や独身世帯の増加により、家事の負担を軽減するために利用する人が増えています。一般的な家事はもちろん、窓ふきや庭の掃除など、一定の範囲内であれば柔軟に対応してもらえるのが特徴です。
ただし、家事代行サービスは、あくまでも家事を代行するためのサービスであり、介護を必要とする方への対応は基本的にできません。介護サービスを提供するには、介護保険制度に基づいたサービス提供が必要となります。ただ、最近では、介護保険外のサービスとして、家事や介護を柔軟に組み合わせたサービスを提供する事業者も増えつつあります。
介護とは、加齢や病気などによって日常生活を営むことが困難な人に対して、家事、歩行、排せつ、入浴などを通じて、身体的、精神的にも尊厳ある自立した生活が送れるように支援をすることです。
介護が必要な状態になると、炊事や掃除、洗濯など、今まで自分でできていた家事が難しくなります。また、トイレや入浴などの身の回りのことにも手助けが必要になる場合も多いです。介護サービスは、そうした場面で適切な支援を行い、できる限り自立した生活を送れるようにサポートします。
介護保険制度では、要介護認定を受けた方が介護サービスを利用することが可能です。ホームヘルパーなどの専門職が自宅を訪問したり、デイサービスなどの施設に通ったりしながら、必要なサービスを受けられる仕組みになっています。
家事代行と介護は、どちらも家事のサポートをしてくれるサービスですが、いくつかの違いがあります。ここからは、両者の違いを目的や利用対象者、利用料金など、各観点から詳しく見ていきます。
家事代行と介護は、サービス提供の目的に違いがあります。家事代行は、利用者に代わって家事を行うことで、利用者の家事負担を軽減することが目的です。共働きや単身世帯など、自分で家事をする時間がない人のための代行サービスと言えるでしょう。
一方、介護は、何らかの理由で日常生活を送ることが難しくなった方に対して、その人の自立を支えることが目的です。家事を含め、食事や入浴、排泄など、生活に欠かせない動作のサポートを通して、できる限り自分らしい生活が送れるよう支援します。
つまり、家事代行はあくまでも家事を代わりにしてもらうことがメインですが、介護は利用者の自立した生活を支えるために、必要な部分に介入するのが特徴だと言えます。
家事代行と介護では、主な利用対象者が異なります。以下、それぞれの特徴を見ていきましょう。
- 家事代行の対象者
家事代行サービスは、特に利用者の条件は設けられていません。共働き世帯や単身世帯など、家事をする時間がない人であれば、誰でも利用できるサービスです。実際、共働きの子育て世帯や、仕事で忙しいビジネスパーソンなどの利用が多いと言われています。
老若男女問わず利用できるため、利用者の年齢層は幅広いのが特徴です。単身の高齢者など、介護が必要とまではいかないものの、家事に不安を抱える高齢者の利用もあります。
- 介護の対象者
一方、介護サービスの対象は、介護が必要な状態にある方々です。具体的には、加齢や心身の障害、病気などが原因で、食事や入浴、排泄など、日常生活を送るのが難しくなった方が挙げられます。
介護サービスのうち、介護保険の対象となるサービスを利用するには、原則65歳以上で介護や支援が必要と認定された方(要介護・要支援認定者)である必要があります。
ただし、介護保険によるサービスだけでなく、保険外の介護サービスを利用することで、40代や50代の比較的若い方も介護サービスを利用できるようになってきているのも事実です。
家事代行と介護では、利用料金にも違いがあります。以下、それぞれの料金体系の特徴をご紹介します。
- 家事代行の利用料金
家事代行サービスの利用料金は事業者によって異なりますが、1時間あたり3,000円~4,500円程度が相場だと言われています。この料金に加えて、交通費や利用時間帯による割増料金などが発生する場合もあります。
料金はサービスの依頼内容や事業者によって異なるため、事前に依頼内容を伝えた上で見積もりを取るのがよいでしょう。
- 訪問介護の利用料金
次に、介護サービスのうち、家事代行と比較的近いサービス内容の訪問介護についてご説明します。訪問介護は、ホームヘルパーが利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行うサービスです。訪問介護の利用料は、要介護度や利用するサービス内容、住んでいる地域などによって異なりますが、介護保険を利用する場合、1~3割の自己負担で利用できます。
【身体介護】
20分未満 | 163円 |
20分以上30分未満 | 244円 |
30分以上1時間未満 | 387円 |
1時間以上 | 567円(30分を増すごとに+82円) |
※自己負担額(1割負担の場合)
【生活援助】
20分以上45分未満 | 179円 |
45分以上 | 220円 |
※自己負担額(1割負担の場合)
家事代行に比べると、利用料金はリーズナブルな設定となっています。ただし、あくまでも介護保険の自己負担額であり、実際のサービス提供にかかる費用の1~3割です。
家事代行と介護では、提供されるサービス内容にも違いがあります。以下、それぞれの特徴を確認しておきましょう。
- 家事代行のサービス内容
家事代行サービスは、掃除や洗濯、料理、片付けなど、一般的な家事を幅広く提供しています。そのため、利用者のニーズに合わせて、サービス内容を自由に組み合わせることが可能です。
例えば、日々の掃除だけを依頼することもできれば、庭の手入れや窓拭きなど、普段の家事とは異なる作業も頼むことができます。同居する家族の分の家事を頼むこともできるので、家事全般を任せたい人に適したサービスだと言えるでしょう。
- 訪問介護のサービス内容
一方、訪問介護は、主に以下のようなサービスを提供しています。
・入浴、食事、排泄などの身体介護
・調理、掃除、洗濯などの生活援助
身体介護は、利用者の体に直接触れる介助で、入浴介助や食事介助などが含まれます。生活援助は、身体介護ほど直接的な介助ではありませんが、調理や掃除など、利用者の日常生活をサポートする役割を担います。
ただし、訪問介護は介護保険のサービスであるため、サービス内容に一定の制限があるのが特徴です。例えば利用者本人の分の調理はできますが、同居家族の分は対象外です。また、サービスの時間や頻度も要介護度などに応じて決められています。
家事代行と介護では、サービスを提供する事業所の形態も異なります。
家事代行サービスの場合、個人事業主として開業届を提出するだけで、誰でも事業を始められます。サービス提供にあたって、特別な資格や許可は必要ありません。
一方、訪問介護を提供するには、都道府県や市町村の指定を受ける必要があります。事業所の人員配置や設備、運営方法などについて、一定の基準を満たしていることが求められます。
つまり、訪問介護は、サービスの質を担保するための一定のルールが設けられているのに対し、家事代行は参入障壁が低く、比較的自由に事業を展開できる分野だと言えるでしょう。
サービス提供するスタッフにも、家事代行と介護では違いがあります。家事代行の場合、サービス提供者に特別な資格は必要ありません。そのため、主婦やシニア層など、それぞれの経験を活かしてサービス提供する人が多いのが特徴です。
一方、訪問介護では、介護保険で定められた人員基準を満たす必要があります。訪問介護員(ホームヘルパー)は、介護福祉士や介護職員初任者研修の修了者であることが必須です。
つまり、訪問介護は一定の専門性を担保する必要がある分、スタッフの質が比較的均質に保たれているのに対し、家事代行は個人の資質や経験に左右されやすいサービスだと言えます。
高齢者向けのサービスとして、介護保険外のサービス(=保険外サービス)も存在します。保険外サービスの中には、家事代行と介護サービスの両方の性質を併せ持つものもあるため、ここで違いを確認しておきましょう。
保険外サービスは、高齢者の自立支援に主眼を置いているため、利用者の心身の状態に応じたサポートが重視されます。家事をするだけでなく、利用者とのコミュニケーションを大切にし、できる限り自立した生活が送れるよう支援します。また、保険外サービスのスタッフは、高齢者介護の知識や経験を持つ人材が中心です。介護福祉士などの資格を持つスタッフも多く、高齢者の特性を理解した上でサービス提供できる点が特徴です。
対して、一般の家事代行は、あくまでも依頼された家事を行うことが目的のため、スタッフに専門的な知識は求められません。もちろん、利用者とのコミュニケーションを大切にするサービスもありますが、基本的には「家事をする」ことに重点が置かれているのが特徴です。
介護保険外サービスの特徴は、主に以下の3つが挙げられます。
- 1. サービスの提供時間を利用者が決めることができる
- 2. 介護保険適用サービスと比較してサービスの内容に関して融通がきくことが多い
- 3. サービスの対象者が認定された本人のみだけでなく家族にも含まれる
まず、介護保険のサービスでは、1回あたりの所要時間が細かく定められていますが、介護保険外サービスはそうした制限がないため、利用者のニーズに応じて柔軟に時間を設定することができます。
また、介護保険のサービスでは、予防給付と介護給付でサービス内容が分かれており、利用できるサービスの種類や回数が制限されています。一方、介護保険外サービスでは、家事援助から外出同行、話し相手に至るまで、さまざまなサービスを組み合わせて利用することが可能です。
さらに、介護保険のサービスが、要介護・要支援認定を受けた本人のみを対象としているのに対し、介護保険外サービスでは、同居している家族も一緒にサービスを受けられる場合があります。これは、「家族を含めて利用者を支える」という介護保険外サービスの理念によるものです。
このように介護保険外サービスは、介護保険サービスの枠にとらわれない、より柔軟で幅広いサービス提供が可能だと言えるでしょう。
介護保険外サービスの料金は、地域や事業者、サービス内容などによって異なりますが、おおむね以下のような相場となっています。
大都市圏(東京・大阪) | 3,000~6,000円 |
政令指定都市 | 3,000~6,000円 |
それ以外のエリア | 2,200円~4,500円 |
出典:LIFULL介護
利用料は介護保険サービスに比べると割高ですが、その分、よりきめ細かいサービス提供が期待できます。ただし、事業者選びは慎重に行うことが大切です。サービス内容や料金体系、スタッフの質などをしっかりチェックし、利用者に合ったサービスを選ぶようにしましょう。
おすすめの事業者の一つが、「イチロウ」です。イチロウは首都圏、関西圏を中心に全国展開している介護保険外サービスで、訪問介護から家事代行、移動支援まで幅広いサービスを提供しています。
イチロウの特徴は、何と言ってもスタッフの質の高さです。全スタッフの9割以上が介護福祉士などの有資格者で、専門的な知識と技術を兼ね備えています。また、365日24時間対応なので、緊急時の対応も万全です。
サービス内容も充実しており、掃除や調理などの家事代行から、通院の付き添いや話し相手まで、利用者のニーズに合わせて柔軟にプランを組むことができます。事前の面談で利用者の状況をしっかりと把握した上で、最適なサービス提供を心がけているのも大きな特徴です。
介護保険外サービスの利用を検討している方は、ぜひイチロウを選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。
家事代行サービスと介護保険外サービスは、どちらも家事の負担を軽減してくれる頼もしい存在ですが、サービスの目的や提供方法には違いがあります。家事代行サービスが「家事の代行」に特化しているのに対し、介護保険外サービスは「利用者の生活の質の向上」を目指したサービス提供を行っているのが特徴です。プロの視点から利用者に寄り添い、一人ひとりに合ったサービスを提供してくれるのが、介護保険外サービスの強みだと言えるでしょう。
もちろん、利用料金は介護保険サービスに比べると高めですが、その分、専門性の高いスタッフによるきめ細かなサービスを受けられるメリットがあります。
介護保険外サービスへの関心が高まる中、大切なのはサービス事業者選びです。料金や提供エリアはもちろん、スタッフの質や事前面談の有無など、さまざまな角度から比較検討し、信頼できる事業者を選ぶことが何より重要です。
介護を必要とする人にとって、介護保険外サービスは心強い味方になってくれるでしょう。まずは介護保険サービスの利用状況を確認し、不足しているサービスを介護保険外サービスで補う、といった組み合わせ方も検討してみてはいかがでしょうか。