介護にまつわるお役立ちコラム

要介護2でも一人暮らしは可能?受けられる介護サービスと注意点を解説

2024年07月02日

家族が要介護2の認定を受けたけれど、一人暮らしは可能なのか?と不安に感じる方は多いのではないでしょうか。特に日常生活に手助けが必要となる要介護2と認定された場合、その不安や悩みは大きいと思います。実は、要介護2でも適切な介護サービスを利用すれば、一人暮らしを続けることが可能です。本記事では、要介護2の方が一人暮らしを続けるために受けられる介護サービスについて詳しく解説します。介護保険の限度額やケアプランの作成例、住環境の整備など具体的な対策を紹介し、安心して一人暮らしを続けるためのヒントをお伝えします。

1要介護2とは

要介護2とは、身体機能の低下により日常生活に手助けや部分的な介助が必要な状態を指します。具体的には、手先の細かい動作が難しく、食事やトイレに軽い介助が必要な状態です。他にも、歩行が不安定で転倒の危険性が高い、入浴に介助が必要などの状態が該当します。

 

要介護2の身体状態の例

  • 立ち上がり、歩行に支えが必要
  • 食事やトイレ、入浴、着替えなどに軽い手助けが必要
  • 爪切りや調理などの手先の細かい動きが難しい
  • 一定の判断力が低下している

要介護1は部分的な介助が必要な状態、要介護3はほぼ全面的な介助が必要な状態と言えます。以下の表で各要介護度の認定基準を比較しました。

要介護度
認定の基準
要介護1
立ち上がりや歩行が不安定で、部分的な介助が必要
要介護2
食事やトイレ、入浴に軽い介助が必要
要介護3
ほぼ全面的な介助が必要
2要介護2で一人暮らしをすることはできる?

結論から言うと、要介護2の方でも、適切な介護サービスを利用すれば一人暮らしは可能です。

 

要介護1までであれば、部分的な介助が必要な時もありますが、基本的に一人暮らしに大きな支障はありません。一方、要介護2は食事やトイレ、入浴に介助が必要なため、一般的には一人暮らしは難しいと判断されがちです。しかし、必要な介護サービスを適切に選択し、組み合わせることで、一人暮らしを続けることは可能なのです。

 

要介護3になると、ほぼ全面的な介助が必要となるため、介護保険内のサービスだけでの在宅は厳しくなります。その場合は、施設への入居か、自費サービスを組み合わせながら在宅を続ける選択肢を検討する必要があります。

 

要介護2の方の一人暮らしには、安全性を確保することが重要です。適切な介護サービスを利用し、住環境を整え、見守り体制を確保することで、一人暮らしを続けることが可能です。

例えば、週に数回の訪問介護サービスを利用することで、食事の準備や掃除、洗濯などの日常生活の支援を受けられます。また、デイサービスを利用することで、食事や入浴、リハビリテーションを受けられます。

3要介護2の方が受けられる介護サービス一覧

要介護2の方が受けられる主な介護サービスは、以下の通りです。これらを適切に組み合わせることで、一人暮らしも不可能ではありません。

 

要介護2の方が受けられるサービス一覧

サービスの形態
サービス名
概要
自宅で受けられる
訪問介護
ホームヘルパーが自宅を訪問し、家事や身体介護を行う
訪問入浴介護
移動入浴車で自宅を訪問し、入浴の介助を行う
訪問看護
看護師等が自宅を訪問し、療養上の世話や診療の補助を行う
訪問リハビリテーション
理学療法士等が自宅を訪問し、リハビリを行う
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
日中・夜間を通じて定期巡回や随時の対応を行う
施設に通う
デイサービス
施設に通い、入浴、食事、レクリエーション等のサービスを受ける
デイケアサービス
施設に通い、リハビリを中心としたケアを受ける
地域密着型通所介護
小規模な施設で、入浴、食事等のサービスを受ける
療養通所介護
医療施設等に通い、医療ケアを含むサービスを受ける
認知症対応型通所介護
認知症の方を対象とした通所介護
短期宿泊
ショートステイ
施設に短期間宿泊し、入浴、食事、介護等のサービスを受ける
短期入所療養介護
介護老人保健施設等に短期間入所し、医療ケアを含むサービスを受ける
通い・宿泊
小規模多機能型居宅介護
通所、訪問、宿泊を組み合わせ、家庭的な環境で多機能なサービスを受ける
看護小規模多機能型居宅介護
小規模多機能型居宅介護と訪問看護を組み合わせたサービス
レンタルサービス
福祉用具貸与
車いすや特殊寝台等の福祉用具をレンタルする
特定福祉用具販売
入浴や排泄に使う福祉用具を購入する
要介護2の方の介護保険の限度額

これらのサービスには介護保険が適用され、自己負担額を軽減することができます。ただし、介護保険の限度額には上限が定められており、所得に応じて1割から3割の自己負担となります。

 

介護保険の限度額は要介護度によって異なります。以下の表は各要介護度の1ヶ月の限度額です。

こちらは令和元年12月時点のデータです。地域や条件により金額は前後します。

 

要介護2の方の1ヶ月の利用限度額

要介護度
1ヶ月の限度額
要支援1
50,320円
要支援2
105,310円
要介護1
167,650円
要介護2
197,050円
要介護3
270,480円
要介護4
309,380円
要介護5
362,170円

要介護2の方が受けられる介護保険の支給限度額は、月額約197,050円です。この範囲内で、訪問介護、デイサービス、福祉用具レンタルなどのサービスを利用することができます。限度額を超える分は自己負担となりますので、計画的にサービスを利用することが重要です。

4要介護2の方が一人暮らしをするためのケアプラン例

要介護2の方が一人暮らしをするためには、個別のケアプランを作成することが重要です。

ケアプランの一例を以下に紹介します。

  • 毎日の訪問介護(1日1時間程度)
    - 朝食や夕食の準備や片付け、服薬確認、掃除等
  • 週2回程度のデイサービスの利用
    - 入浴、食事、レクリエーション、リハビリ等
  • 週1回の訪問看護
    - バイタルチェック、体調管理、服薬管理等
  • 月1回の訪問リハビリテーション
    - 筋力維持や転倒予防のための運動等
  • 福祉用具の活用
    - 手すりやシャワーチェアの設置、歩行器の利用等

こうしたサービスを組み合わせ、安心で快適な在宅生活を送ることが可能です。週に何回訪問介護を利用する、どのような福祉用具をレンタルする、など具体的なサービスの組み合わせを計画します。ケアマネジャーと相談しながら、個々人に合ったプランを立てましょう。

5要介護2の方が一人暮らしを続ける際のチェックポイント

要介護2の方が介護サービスを利用しながら一人暮らしを続けるためには、できる限り安全に過ごせる環境を整えることが重要です。以下のようなチェックポイントに気をつけましょう。

  • 住環境をバリアフリーに整える
  • 防犯対策を徹底する
  • 高齢者の見守りサービスを活用する
  • 介護保険外サービスを利用する
住環境をバリアフリーに整える

加齢による身体機能の低下を補うためには、住環境のバリアフリー化が欠かせません。特に住居の中でもトイレや浴室は、転倒リスクが高い部分のため、手すりの設置や段差の解消が重要です。また、リスクは転倒だけではありません。入浴の際のヒートショックを予防するためにも、浴室換気暖房を導入するのもおすすめです。

 

バリアフリーへのリフォームにかかる費用の相場は以下の通りです。

 

バリアフリーへのリフォームにかかる費用相場

手すりの設置3〜5万円
洗面台と浴室の床の段差解消2~3万円(クッションフロアの場合)
浴室の出入り口を引き戸に交換2~15万円
浴室換気暖房の導入7~15万円

将来的な生活のことを考えると、住居全体に段差の解消やトイレ・浴室以外にも手すりを設置するリフォームは必要になります。床の段差を解消する費用は、リフォームする面積と使用する床材で変わります。手すりのリフォームは一般的な家庭の廊下(約5m)の場合で、5~10万円、階段で10万円~20万円程度です。

防犯対策を徹底する

空き巣などの侵入犯罪は高齢者が狙われやすい傾向にあります。特に、高齢者の一人暮らしが全国的にも増加していることから、孤立しやすく、体力や判断力が低下している高齢者はターゲットとして狙われやすいです。一人暮らしの高齢者にとって、防犯対策は重要です。ドアの二重ロックやインターホンの設置、セキュリティサービスの利用などで、防犯対策を強化しましょう。また、地域の見守り活動に参加することも有効です。

高齢者の見守りサービスを活用する

高齢者の見守りサービスとは、センサーやカメラ等を利用して高齢者の生活状況を遠隔で確認するサービスです。具体的には、部屋の温度や湿度、ドアの開閉、動きの検知等を24時間モニタリングします。異変があればすぐに駆けつけられる体制を整えられるため、一人暮らしの高齢者の安全を確保するために有効な手段と言えます。

 

高齢者の見守りサービスを活用することで、緊急時の対応が迅速に行われます。定期的な電話連絡や訪問サービス、緊急通報装置の設置などで、常に見守られている安心感を得ることができます。これにより、万が一の事態にも対応できる体制を整えましょう。

 

導入する際は、見守りに必要な状況や、見守りをすることで確認したい目的に合わせたサービスを導入し、被介護者の意向も尊重するようにしましょう。

介護保険外サービスを利用する

介護保険サービスで利用できるサービスには限界があるため、保険外サービスを組み合わせることも選択肢の一つです。保険外サービスは介護保険のように制限がなく、広範囲にわたるサポートを受けられます。日々の配食サービスや趣味活動や外出の付き添い、緊急時の対応など、柔軟なサービス提供が可能です。介護保険サービスと組み合わせることで、より安心で充実した生活を送ることができるでしょう。

6まとめ

要介護2と認定されても、適切な介護サービスを組み合わせることで一人暮らしは可能です。ただし、安全に生活するためには住環境のバリアフリー化や防犯対策が重要です。介護保険サービスに加え、保険外サービスや見守りサービスを活用することで、より安心で充実した生活を送ることができるでしょう。ケアマネージャーと相談しながら、自分に合ったケアプランを作成し、安心して一人暮らしを続けるための準備を進めましょう。この記事を参考に、安全で快適な生活を実現してください。

監修者情報

テラステック株式会社

2013年に株式会社が経営するデイサービス兼有料老人ホームに就職後、2年後に生活相談員兼現場統括・財務管理に従事。

2017年に一般社団法人の有料老人ホームに転職後、介護福祉士を取得。

2019年に株式会社が経営するグループホームに転職後、認知症実践者研修を修了。

2022年に訪問介護事業所の新規開設。

2023年に居宅介護・重度訪問介護の指定取得。

現在は事業所の管理者に従事。教育に重点を置き、人間性やコミュニケーションの取り方を発信。

沼原義和(介護福祉士)
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