介護にまつわるお役立ちコラム

夜間対応型訪問介護とは|介護保険サービスの特徴

2024年10月30日

夜間の介護に不安や負担を感じていませんか? 一人で見守るのは大変だし、緊急時の対応も心配ですよね。でも、そんな悩みを解決してくれるサービスがあります。

 

夜間対応型訪問介護は、定期巡回や通報による随時対応を組み合わせた介護保険サービスです。夜間も安心して在宅生活が送れるようサポート。介護する家族の負担も軽減できる、頼もしい味方です。ぜひこの記事で、夜間対応型訪問介護の特徴をチェックしてみてください。

1夜間対応型訪問介護とは

夜間対応型訪問介護は、要介護者が夜間において、安心して自宅での生活を継続できるように、訪問介護員等が定期的な巡回や利用者からの通報を受けて居宅を訪問し、入浴、排せつ、食事等の介護などのを提供する介護保険サービスです。

 

このサービスは地域密着型サービスです。地域密着型サービスとは、要介護者等が住み慣れた地域での生活を継続できるよう、身近な市町村が提供基盤の整備を行うサービスのことを指します。原則として、利用者はサービスを提供する事業所のある市町村の住民に限られます。

 

夜間対応型訪問介護でいう「夜間」とは、午後10時から午前6時までの時間帯を指しますが、多くの事業所では午後6時から午前8時までをサービス提供時間としています。日中の時間帯である午前8時から午後6時までは含まれません。

 

利用者宅へ訪問するのは、看護師や介護福祉士などの資格を持った専門のスタッフです。利用者の心身の状況を把握し、適切なサービス提供ができるよう努めます。

 

参考:厚生労働省「夜間対応型訪問介護

定期巡回・随時対応型訪問介護看護との違い

夜間対応型訪問介護と混同されやすい類似サービスに、定期巡回・随時対応型訪問介護看護があります。

おもな違いは以下の3点です。

<参考まで>夜間対応型訪問介護定期巡回・随時対応型訪問介護看護
サービス提供時間夜間のみのサービス提供24時間365日のサービス提供
サービス内容訪問介護のみの提供訪問介護と訪問看護を一体的に提供
報酬体系夜間に特化しているため、サービス提供時間が限定している24時間体制での提供となるため、サービスの利用頻度や時間帯に応じて料金が変動する
  • サービス提供時間

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は24時間365日のサービス提供ですが、夜間対応型訪問介護は夜間のみのサービス提供です。

  • サービス内容

定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、訪問介護と訪問看護を一体的に提供しますが、夜間対応型訪問介護は訪問介護のみの提供です。

  • 報酬体系

夜間対応型訪問介護は、夜間に特化しているため、サービス提供時間が限定されており、料金体系もその分シンプルです。一方、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は、24時間体制での提供となるため、サービスの利用頻度や時間帯に応じて料金が変動します。

 

両サービスとも、要介護者の在宅生活を支えるために重要な役割を担っており、利用者のニーズに合わせて適切なサービスを選択することが大切です。

2夜間対応型訪問介護の対象者

夜間対応型訪問介護は、要介護1から要介護5までの認定を受けた方が利用できます。要支援1・2の方や、要介護認定を受けていない方は利用することができません。

 

また、夜間対応型訪問介護は、地域密着型サービスに分類されるため、利用者は原則としてサービスを提供する事業所のある市町村の住民に限られます。他の市町村に住んでいる場合は、特例的なケースのみ利用できる場合があります。

 

また、以下のようなケースも、夜間対応型訪問介護は利用できません。

  • グループホームや有料老人ホームなどの特定施設に入居している場合
  • 短期入所生活介護(ショートステイ)を利用している場合
  • 小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護を利用している場合

これらのサービスを利用している方の夜間の介護ニーズは、それぞれの施設やサービスでの対応となります。

夜間対応型訪問介護は、在宅で生活する要介護者の夜間の安心・安全を確保するためのサービスです。

 

対象者や利用条件をしっかりと理解した上で、ケアマネージャーや市町村の担当窓口に相談し、適切なサービスを選択することが大切です。

3夜間対応型訪問介護のサービス内容

夜間対応型訪問介護は、以下の3種類のサービスを組み合わせて提供されます。

  • 定期巡回
  • 臨時対応
  • オペレーションサービス

いずれのサービスも、夜間における要介護者の在宅生活を支援するために欠かせないものです。以下で詳しく説明します。

定期巡回

定期巡回は、あらかじめ決められた時間帯に、訪問介護員等が利用者の自宅を訪問し、入浴、排せつ、食事などの介助や、夜間の安否確認などを行うサービスです。

 

1回の訪問の所要時間は、利用者の心身の状況や必要とされる介護内容によって異なりますが、目安としては30分程度です。

 

定期巡回の際には、利用者やその家族に対する直接的な介助以外のサービス(家族の家事代行など)や、日常生活に支障のない範囲のサービス(ペットの世話、大掃除など)は提供されませんので注意が必要です。

臨時対応

随時対応は、利用者やその家族からの連絡を受けて、訪問介護員などが利用者宅を訪問し、必要な介護サービスを提供するものです。

 

具体的には、利用者の体調の急変時や、転倒などの事故が発生した際に、利用者からの通報に基づいて、訪問介護員などが駆けつけ、適切な対応を行います。必要に応じて、複数の訪問介護員等が対応するケースもあります。

 

随時対応の1回の訪問時間も、目安として30分程度です。サービス提供時間内であれば、複数回の利用が可能ですが、利用回数に応じて料金が発生する点にも注意が必要です。

 

また、夜間は医療的なケアが必要となる場合もあるため、多くの夜間対応型訪問介護事業所では、訪問看護ステーションや主治医との連携体制を整えています。

オペレーションサービス

オペレーションサービスは、利用者からの連絡を受けて対応するコールセンター機能を指します。

 

オペレーターは、看護師、介護福祉士、医師などの有資格者が担当し、利用者の状況に応じて、訪問介護員などの訪問の要否の判断や、医療機関への連絡、救急車の手配など、適切な対応をコーディネートします。

 

利用者は、オペレーションサービスと連動した専用の端末(ケアコール端末)を自宅に設置し、簡単なボタン操作で、オペレーターと連絡が取れます。

 

オペレーションサービスは、利用者や家族にとって、夜間の大きな安心につながるものです。

 

一方で、利用者数が少なく、訪問介護員などが利用者からの連絡に十分対応できる場合、事業所の判断により、オペレーションセンターを設置しない点には留意が必要です。

4夜間対応型訪問介護で依頼できないサービス

夜間対応型訪問介護は、要介護者の夜間の在宅生活を支援するための重要なサービスですが、サービスの性質上、依頼できない内容もあります。

 

大きく分けると、以下の2つのサービスは、夜間対応型訪問介護の対象外となります。

具体例
直接介護者の援助に該当しないサービス利用者の家族のための料理や洗濯、訪問者への応対、来客のための準備など
日常生活の援助範囲を超えるサービス草むしり、ペットの世話、大掃除、窓のガラス磨き、正月の準備など

依頼できないサービスがあるのは、夜間対応型訪問介護の目的が、要介護者の夜間の生活を支え、尊厳の保持のためです。限られた時間とマンパワーを、最も必要とされる介護サービスの提供に集中させて、サービス範囲の適切な設定が重要といえるでしょう。

 

参考:厚生労働省「どんなサービスがあるの? – 夜間対応型訪問介護

5夜間対応型訪問介護の利用にかかる費用

夜間対応型訪問介護の利用料は、オペレーションセンターの設置の有無によって異なります。オペレーションセンターとは、利用者からの通報を受信し、訪問介護員等への指示や連絡調整を行う拠点のことです。

 

オペレーションセンターは、利用者がおおむね300人程度になると設置されます。ただし、利用者数が少なく、訪問介護員等が利用者からの連絡に十分対応できる場合、事業所の判断により設置しないこともできます。

 

■オペレーションセンターを設置している場合

区分利用者の負担額(1割)
基本夜間対応型訪問介護1,013円/月
定期巡回サービス379円/回
随時訪問サービス(1名による訪問の場合)578円/回
随時訪問サービス(複数名による訪問の場合)778円/回

■オペレーションセンターを設置していない場合

区分利用者の負担額(1割)
基本夜間対応型訪問介護2,751円/月

なお、これらの金額はあくまでも目安であり、事業所の所在地や利用者の所得状況などによって変動する場合があります。また、サービス提供体制や内容によっては、別途加算が適用される場合もあるので注意が必要です。

 

利用者やその家族は、サービス利用前に、介護支援専門員や事業所から、具体的な費用について十分な説明を受け、理解するのが大切です。必要に応じて、市区町村の介護保険担当窓口に相談してみましょう。

6夜間対応型訪問介護の利用パターン例

夜間対応型訪問介護の利用パターン例は以下になります。

  • 要介護者が一人暮らしで、夜間の生活に不安がある場合
  • 老老介護の世帯で、夜間の緊急時に備えたい場合
  • 家族が夜勤などで不在の時間帯に、要介護者の介護が必要な場合
  • 認知症の要介護者がおり、夜間の見守りや対応が必要な場合
  • 要介護者の状態が不安定で、夜間も定期的な確認や介護が必要な場合

このような状況において、夜間対応型訪問介護を活用しながら、要介護者の安全・安心を確保し、介護者の負担を軽減できるでしょうきます。

 

利用にあたっては、要介護者や家族のニーズ、生活状況、経済的な面などを総合的に考慮し、ケアマネージャーと相談しながら、最適なサービス利用計画を立てるのが重要です。

7夜間対応型訪問介護の利用手順

夜間対応型訪問介護の利用手順は、以下のとおりです。

  • 1. ケアマネージャーに相談する

まずは、担当のケアマネージャーに夜間の介護ニーズについて相談しましょう。要介護者の心身の状況や家族の介護力、生活環境などを総合的に判断し、夜間対応型訪問介護の利用が適切かどうかを検討します。

  • 2. ケアプランの作成

次にケアマネージャーが、要介護者や家族の意向を踏まえ、夜間対応型訪問介護の利用目的や内容、頻度などを盛り込んだケアプランを作成します。その際に、地域の夜間対応型訪問介護事業所の情報や、サービス内容・体制、料金などを確認しましょう。

  • 3. サービス利用開始

サービス利用開始時には、ケアプランに基づき、選定された夜間対応型訪問介護事業所との契約が必要です。事業所からは、サービス提供時の具体的な手順や連絡方法、注意点などの説明を受けます。また、オペレーションサービスを利用する場合は、ケアコール端末の設置や操作方法の確認もおこなわれます。

 

利用手順における注意点は、以下のとおりです。

  • 要介護者の心身の状況や介護ニーズを正確に伝え、適切なサービス内容や頻度を設定する
  • 事業所のサービス提供体制や連絡方法を十分に確認し、緊急時の対応も話し合っておくサービス利用中に要介護者の状態や介護ニーズに変化があった場合は、速やかにケアマネージャーや事業所に連絡し、ケアプランの見直しを検討する

夜間対応型訪問介護は、要介護者の尊厳を守りながら、安全・安心な夜間の在宅生活を支えるサービスです。利用にあたっては、要介護者や家族、ケアマネージャー、事業所が緊密に連携し、それぞれの役割を果たしていくことが大切でしょう。

8まとめ

夜間対応型訪問介護は、要介護者が夜間も安心して在宅生活を送るための護保険サービスです。定期巡回や随時対応の訪問介護を組み合わせ、介護者の負担を軽減しつつ、安全な環境を提供されますが、介護保険ではサービス提供時間や内容に一定の制限があります。

 

一方、自費の訪問介護サービスでは、、24時間365日、利用者のあらゆる要望に応えられるのが強みです。イチロウの介護サービスは、自費で提供されるため、介護保険の制約を受けずに利用者のニーズに応じたオーダーメイドの介護が可能です。さらに、厳選された一流(専門性の高い)の介護士が対応し、家事支援から通院の付き添いまで幅広くサポートします。介護保険サービスと併用で、より充実した介護環境を整えられるでしょう。

監修者情報

1990年看護師資格取得、同年総合病院の脳神経内科・リハビリテーション科に就職。

ライフスタイル(結婚・出産・育児など)に合わせながら、30年以上看護業務に従事。

主な経歴は、訪問看護・施設看護師・クリニック勤務など。

2003年介護支援専門員資格取得

2022年に個人ブログ開始、2023年から医療ライターとして活動中。

得意ジャンルは、老年看護・認知症・介護保険・アンチエイジング

田代文恵(看護師)
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