介護にまつわるお役立ちコラム
介護付き有料老人ホームとは?入居条件から施設を選ぶ手順まで解説!
祖父母や親の老後を考えた際に、老人ホームの利用が選択肢に挙がる人もいるでしょう。さまざまな老人ホームの中でも「介護付き有料老人ホーム」は、食事や入浴の介助・家事援助などのサービスを受けられる施設です。老後の生活を安心して過ごしてもらうためには、本人や家族に合う介護付き有料老人ホームを選ぶ必要があります。
そこで今回は、介護付き有料老人ホームの概要や種類、入居条件、施設を選ぶ手順について分かりやすく解説します。
介護付き有料老人ホームとは、行政から認可を受けた有料の老人ホームです。入居者への介護サービスを提供しているほか、ゲームやカラオケなどのレクリエーション・イベント、リハビリを実施することもあります。自立に向けた生活面のサポートだけでなく、入居者が楽しく過ごせるよう工夫されている点もポイントです。
介護付き有料老人ホームでは、要介護度や身体状況に応じて介護サービスを利用できます。看護職員の配置が義務付けられており、万が一の対応も受けられることから、「終の棲家」として介護付き有料老人ホームを選ぶ人もいます。
介護付き有料老人ホームには、「健康型」「介護専用型」「混合型」の3種類が存在します。
健康型 |
健康型は、主に介護を要しない自立した人が対象です。キッチンやトイレなど、居室には充実した設備が整えられてます。ただし、入居中に要介護と認定された場合は契約解除となる可能性があります。 |
介護専用型 |
介護専用型は、要支援1以上の人が利用できます。介護スタッフが24時間体制で勤務するため、緊急時の対応も可能となっています。 |
混合型 |
混合型は、自立している人も要介護認定を受けた人も利用可能です。例えば、妻が自立していて夫が要介護という場合でも、混合型であれば一緒に入居することができます。 |
入居者の健康状態によって、利用できる介護付き有料老人ホームの種類は異なります。
介護付き有料老人ホームは、一般的に65歳以上の人が入居できます。施設によっては、65歳未満でも入居可能です。また、年齢以外にも介護付き有料老人ホームの種類によって入居条件は変わります。「混合型」では特に要介護度は問われませんが、「健康型」は原則自立した生活を送れること、「介護専用型」は要支援1以上が条件です。
また、介護付き有料老人ホームを利用する際は入居金と月額利用料が発生します。
入居金の相場は約10万~200万円、月額利用料の相場は約15~40万円です。月額利用料には、居住費・食費・光熱費などを含みます。入居金が0円の施設もありますが、その分月額利用料が高くなります。ただし、入居金・月額利用料の相場は地域によって異なる点に注意してください。
介護付き有料老人ホームと混同しやすい施設に「住宅型有料老人ホーム」があります。住宅型有料老人ホームは、食事サービスや生活支援などが付いている施設です。居室のほか、リハビリスペースなどもあり、高齢者が暮らしやすいよう基本的に施設内はバリアフリーになっています。デイサービスや訪問介護事業所が併設されていることもあります。
生活面のサポートや見守りを受けられる点は介護付き有料老人ホームと共通ですが、サービス内容・入居条件・料金などは違います。
介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | |
サービス内容 | 介護サービスが含まれ、食事・入浴・排泄などの介護を受けられる | 介護サービスは付いておらず、希望者は外部の事業者と契約を結ぶ |
入居条件 | 一般的に65歳以上であれば、自立・要介護の状況に応じた種類の施設に入居できる | 一般的に60歳から利用でき、「自立できる人のみ」「医療依存度が高い人も受け入れる」など条件は施設によりさまざま |
料金 | 介護サービスが含まれる分、月額利用料は住宅型有料老人ホームよりも高くなる場合がある | 介護付き有料老人ホームほど月額利用料は高くないが、外部の介護サービスの費用は別途となる |
このように、介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームは、サービス内容に介護が含まれるかどうかが大きな違いとして挙げられます。
本人の介護度が高く万が一の対応も考える必要がある場合は「介護付き有料老人ホーム」、ある程度自立していて介護サービスを選びたい場合は「住宅型有料老人ホーム」を検討してみるとよいでしょう。
介護付き有料老人ホームを選ぶ際には、入居する本人はもちろん、家族も安心して任せられる施設を探すことが大切です。介護付き有料老人ホームを探す際は、3つの手順を踏むと本人や家族に合う施設を見つけることができます。さまざまな施設をピックアップし、よく比較検討するようにしましょう。
ここからは、介護付き有料老人ホームを選ぶ手順について説明します。
まずは予算を決めます。ギリギリ支払える金額ではなく、無理のない金額を設定することが大切です。予算を考える際は、現時点で手元にあるお金と、将来の収入を換算しましょう。
現時点で手元にあるお金 | 預貯金、売却して得た株の利益など |
将来の収入 | 年金、家賃収入、満期保険金など |
次に、介護付き有料老人ホームに求める条件を洗い出します。この段階を経ることによって、ニーズに合う施設を見つけやすくなるでしょう。希望条件を考える際は、以下をチェックしてみてください。
立地 | 【家との距離】家族が住む家からは近いか、面会に行きやすいか |
【住環境】自然に囲まれた場所がよいか、商業施設の近くがよいか | |
居室 | 【グレード】居室の広さや設備の充実度はどれくらいがよいか |
【部屋のタイプ】個室でよいか、夫婦で入居できる2人部屋はあるか | |
ケア体制 | 【スタッフの数】手厚いフォローを受けられる体制が整っているか |
【方針】居室へ物品を自由に持ち込めるか、個別のケアは充実しているか | |
【医療】看護職員の配置はあるか、認知症への対応は可能か |
上記以外にも、食事内容や施設設備に対する希望があれば、条件に付け加えるとよいでしょう。
候補の施設が決まったら、見学・体験入居を申し込みます。どのような施設なのか直接見ることで、資料などでは得られないリアルな情報を知ることが可能です。スケジュールが可能であれば別の日時も希望し、複数回見学してもよいでしょう。見学・体験入居する際は、下記をチェックします。
施設スタッフの対応 |
施設スタッフの受け答えや表情を見ることで、施設の雰囲気をある程度掴むことができます。スタッフ同士の会話・ケアの方法なども観察するとよいでしょう。 |
設備 |
本人が安全かつ快適に過ごせそうか、トイレやお風呂の安全面・バリアフリー設計の度合いを確認します。ゆっくりとくつろげるレクリエーションルーム・食堂があるかもチェックしてみてください。 |
入居者 |
どのような年齢・健康状態の人が多いのかを見ます。例えば、コミュニケーションをたくさん取りたい人は、若い人・元気な人の割合に注視するとよいでしょう。入居者同士の雰囲気にも着目し、本人に合うかどうか確認します。 |
食事サービスや入浴回数の制限など、不明点がある場合は見学の際に尋ねることをおすすめします。
介護付き有料老人ホームは、都道府県からの認可を受けた、介護サービス付きの老人ホームです。施設によっては要介護度の重い人も受け入れており、終の棲家として利用を考える人もいます。
介護付き有料老人ホームの種類は、自立した人を対象とする「健康型」、要介護度1以上の人が暮らせる「介護専用型」、身体状態を問わず利用できる「混合型」の3種類です。各施設によって、必要な費用やサービスなどは異なります。予算と希望条件の兼ね合いを考え、複数施設を見学した上で、本人や家族のニーズに合う施設を見つけましょう。