病院・施設内での介護
サービス利用例

愛知県名古屋市名東区 S様
2年8カ月、夫婦ふたりで挑んだ在宅介護――限界を超えた先に見えた“頼れる支援”
対象者
配偶者
利用期間
2年8ヶ月
利用頻度
週3回
1.はじめに
在宅介護ーーそれは「できることなら自宅で見取りたい」と願う多くの家族にとって、覚悟と忍耐が問われる時間でもあります。S様(70歳)は、車椅子で全介助を必要とする奥様(68歳)を自宅で2年8カ月にわたって介護し、今でも介護を続けています。親族等の支援がなく、夫婦ふたりきりで乗り越えてきた日々には、国の制度だけでは支えきれない「現実」がありました。

※S様へのインタビューは2回目となります。1回目のインタビューは、下記を参照ください
https://ichirou.co.jp/uservoice/3247/
2.まずは、佐々木さんが介護を始めた経緯について教えてください。
もともと妻は老健に入っていたんです。看取りまでできるという説明だったので、安心してお願いしていたんですが、コロナ禍をきっかけに急激に体調が悪化していって。これはもう自宅で看ようと決意し、広い賃貸へ引っ越しまでして、同居生活を始めました。
3.それは大きな決断でしたね。奥様の介護、大変だったのではないでしょうか?
覚悟はしていたつもりでしたが、現実は甘くなかった。着替え、食事、トイレ…妻は身体障害者1級で、何一つ自分ではできません。深夜早朝にトイレで起こされて、8時半には訪問ヘルパーさんが来て30分だけ手伝ってくれる。その後は、また私が朝食を準備して、日中もずっと目が離せない。訪問ヘルパーさんには、30分単位で、朝昼晩と3回来てもらっていましたけど、介護保険内では、全くおいつかない状態でした。

***
編集メモ:当時のことを担当ケアパートナーに確認したところ、「お二人とも疲弊し、喧嘩も少なくなかったようです。奥様は不穏状態になることもありましたし、ご主人も体調を崩されていましたし」と振り返ります。訪問時には奥様より喧嘩の話を聞くこともあり、状況は芳しくなかったそうです。
***
4.Sさんはご自身の時間を確保できていたのでしょうか?
週に16時間だけが、私の“自由な時間”でした。訪問介護に加えて、ショートステイを月に一度2泊3日で取り入れて、やっと1カ月で36時間。けれど、ショートステイにも合う合わないがあり、トラブルが続くと、かえって心の負担になったこともあります。
5.どんなトラブルがあったのでしょうか?
例えば、「飲み物は用意不要」と言われたのに、持参していないことを責められたり。リハビリスタッフが突然辞めて予定の対応が受けられなかったり、などです。結局、施設側の事情が変わるたびに、家族がそれに合わせて振り回されていました。
6.本当に“人”によって左右される部分が大きいですね。
やはり、人なんですよ。妻も「また一から自分のことを説明しなきゃいけないのが辛い」と漏らしていました。そんな時、支えになったのが、介護保険外のサービス――つまり、イチロウさんだったんです。
7.どのようにイチロウをご利用いただくことになったのですか?
介護保険内ではどうしても時間が足りない。30分の支援では食事の支度一つもままならない。自費にはなりますが、2時間単位でお願いできるイチロウさんの存在は、本当にありがたかった。一時期は、週に2日間(週に8時間)支援を受けていましたが、その時間だけは、安心して自分の時間を持てました。

***
編集メモ:
現在、奥様はサ高住に入所されていますが、イチロウの支援は継続しており、施設入居時も「外部の人(≒イチロウ)が自由に出入りできること」「好きな食べ物を好きな時間に食べられること」が条件とされていました。佐々木様ご夫妻にとって、イチロウの支援は“第二の家族”として欠かせない存在となっています。
***
8.ご自身の生活にも変化はありましたか?
あります。施設入所を機に、再就職しました。パートで週3〜4日、1日4時間働いています。定年後、介護が始まったことで諦めていた“自分の時間”が、ようやく戻ってきた感じですね。今では一泊の小旅行もできるようになりました。
9.在宅介護を選んで、施設入所を決断するまで、後悔はありませんか?
後悔はありません。むしろ、やれるところまではやった、と思っています。妻と向き合った2年8カ月は、辛いこともありましたが、無駄ではなかった。ただ、1人で介護を抱えるのは限界がある。それを痛感したからこそ、制度でまかなえない部分をどう補っていくかが、今後の社会の課題だと強く思います。
10.これから介護を始める方に伝えたいことはありますか?
一つ挙げるとしたら、ケアマネジャーとの関係性を大切にすることですね。ケアマネさん次第で介護の質も大きく変わる。合わないと思ったら、遠慮せずに交代を申し出る事も必要です。相談できる人がいること、それだけでも心の支えになります。
11.さいごに(編集後記)
佐々木さんのお話から伝わってきたのは、想像を超える日々の“リアル”でした。制度では支えきれない隙間に、確かに存在する“限界”。その現実と向き合い、逃げずにやりきった誇り。そしてそれを可能にしたのが、制度の外側にあった「柔軟な支援」でした。ご夫婦二人三脚の記録は、私たち一人ひとりが介護の未来を考えるヒントになるはずです。
ご利用いただいているサービス
食事の介護
参考ご利用料金(1日約3時間・週3回利用)
  • 1時間の料金 × 時間
    3,080円円(税込)× 約3時間
  • 1回分の交通費
    500
  • 訪問回数
    3
  • 合計金額
    29,220円(税込)
1時間の料金 × 時間1回分の交通費訪問回数合計金額
3,080円円(税込)× 約3時間500329,220円(税込)
icon_arrow_gotop