介護にまつわるお役立ちコラム
特定施設入居者生活介護とは?施設の種類やサービス内容を紹介!
高齢者がサポートを受けられる施設について調べてみると、施設の違いによって基準やサービス内容が異なるため、「どの施設が自分や家族に合っているのかわからない」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。この記事では国からの基準を満たした施設として人気がある特定施設で受けられる「特定施設入居者生活介護」について詳しく解説します。ほかの施設と特定施設との違いがわからない方、特定施設入居者生活介護の具体的なサービス内容や雰囲気を知りたい方はぜひ参考にしてみてください。
はじめに、特定施設入居者生活介護とは何なのか知ることからスタートしましょう。特定施設入居者生活介護とは、高齢者が利用できる施設のひとつである「特定施設」内で受けられる一定の介護的サポートをあらわす言葉です。ここからは、特定施設入居者生活介護についてより詳しく知るために、以下4つの項目に分けて解説します。
- 特定施設入居者生活介護の施設種別は4種類
- 人員配置の基準
- 設備基準
- 運営基準
特定施設入居者生活介護が受けられる施設は、おもに以下の4種類に分けられます。
- 介護付き有料老人ホーム
- 介護型軽費老人ホーム(ケアハウス)
- 特別養護老人ホーム
- サービス付高齢者向け住宅(一部のみ)
「介護付き有料老人ホーム」は、自立している人から要介護の度合いが高い人まで幅広く利用できる施設です。施設ごとに設備やサービス内容が異なるため、予算や好みに合わせて利用しやすい環境を選べる点が人気です。「介護型軽費老人ホーム(ケアハウス)」は、65歳以上かつ要介護の度合いが1以上の人が利用できます。要介護の度合いが高くなっても引き続き利用できるため、長く同じ施設を利用したい人に人気です。
「特別養護老人ホーム」は要介護の度合いが3以上と高い方向けで、軽度の認知症で1人の生活が難しい方でも利用できます。生活支援に加えて入浴や排泄などのサポートも受けられるだけではなく、比較的安く利用できることから人気があります。
「サービス付高齢者向け住宅」は、一般的には自立している人から要介護の度合いが3までの人が利用できる施設です。
バリアフリーはもちろん入居者同士がコミュニケーションを取れるスペースも充実しており、最低限の生活支援を受けられます。
特定施設に認定されるためには、国が決めた人員配置の基準を満たしている必要があります。人員配置とは、施設の管理者や介護スタッフなどの各担当者がそれぞれ何名いなければならないと定められた基準のことです。利用者に安定したサービスを提供するため、施設内の業務を円滑に進めるために設けられています。特定施設入居者生活介護を受けるために必要な人員のおもな基準は以下のとおりです。
- 管理者は原則1名必要
- 生活相談員は利用者100名に対して1名以上を常勤させる
- 介護スタッフと看護スタッフは要介護利用者の人数が3名に対して1名、要支援利用者の人数が10名に対して1名
- 機能訓練指導員と呼ばれるリハビリ専門の担当者は1名以上
- ケアマネージャーは利用者100名に対して1名必要
人員配置の内容によって利用時の満足度や居心地も変わってくるため、高齢者向けの施設を探している方はしっかりチェックしておくことが大切です。
特定施設に認定されるためには、国が決めた設備基準を満たしている必要があります。設備基準を設けることによって利用者のサポートをスムーズに進めやすくするとともに、サポートする立場の介護スタッフなどが働きやすい環境を作ることが可能です。たとえば利用者が多くの時間を過ごすことになる部屋のタイプ、浴室、トイレ、リハビリ室、食事をおこなうレクリエーションスペースなど幅広い範囲に基準が定められています。特定施設入居者生活介護を受けるために必要な設備基準はおもに以下のとおりです。
- 施設内にバリアフリーが施されていて車椅子でも移動しやすい
- プライバシーが守られている個室もしくは4名以下の部屋であり、介護をスムーズに行える広さが確保されている
- 浴室は要介護者が利用しやすい環境である
- 利用者が過ごす部屋がある階ごとにトイレが設置されている
- リハビリ室(機能訓練室)は利用者が十分に動きやすい広さが確保されている
他にも細かい基準が定められているため、利用者にとって最適な環境を探している方はチェックしてみてください。
特定施設に認定されるためには、国が決めた運営基準を満たしていることも重要なポイントです。運営基準には利用者の申し込みを受け付ける流れやスタッフへの指導方法、介護の具体的な流れ、緊急時に対応を依頼する病院などさまざまなものがあります。これらを明確に決めておくことによって施設の管理者やスタッフが日々の業務をスムーズに進めやすくなるため、結果的に利用者の満足度アップにもつながります。
ほかには利用者の状態に合わせた最適なサービス内容を計画すること、申し込み前に重要事項説明をしてサービス内容などについて理解してもらうことなど、運営基準も利用者の過ごしやすさに関わる大切な項目です。運営に関する基準が明確に定められていない場合、入居する前後で利用者がイメージしていた環境と相違が生じる可能性があります。特に施設を利用する本人が認知症などで状態を認識する能力が衰えている場合、実は十分なケアを受けられていないことに気付けない可能性もあります。特定施設入居者生活介護を受けられる施設であれば、安定したサービスの供給がルールとして定められているため、本人、家族の安心感が得られるでしょう。
次に、特定施設入居者生活介護で受けられるサービス内容について詳しく見ていきましょう。特定施設入居者生活介護では、大きく分けて以下3種類のサービスを受けられます。
- 生活支援サービス
- 24時間の介護サービス
- 機能訓練のサービス
特定施設入居者生活介護は基本的に要介護の度合いが1以上の人が利用できるため、なかにはすべてのサービスを必要としない方もいるでしょう。しかし、将来的に状態が変化したときに最適な選択をするためにも、具体的なサービス内容をしっかり理解しておくことが大切です。
特定施設入居者生活介護では生活支援サービスを受けられます。生活支援の中には、おもに以下のようなサービスが含まれます。
- 衣類やタオルなどを洗濯する
- 部屋を清掃して清潔で過ごしやすい環境を保つ
- ベッドや枕のシーツを取り換える
- 服薬の回数やタイミングを管理する
- 買い物の同行や代行
- 食事を手配して部屋まで運ぶ
- 食後の片付けをする
生活支援とは、生活をするうえで必要なことを利用者の状態に合わせてサポートすることです。要介護の度合いが低い場合で自身で行えることに関しては、サービスを受けないことも可能です。また、細かい生活支援の内容は施設ごとに異なり、すべてが基本的な利用料に含まれるとは限りません。内容によってはオプション料金が発生する可能性もあるため、施設ごとの生活支援についてしっかり確認しておきましょう。
特定施設入居者生活介護では、24時間の介護サービスを受けられます。24時間スタッフが常駐しているため、夜間や早朝であっても介護や看護のサービスを受けることが可能です。1人で基本的な行動が出来る方であっても、高齢者の場合は突然体調が悪くなるなどの不安があります。ほかにも夜間に突然トイレに行きたくなるケースも考えられます。特定施設であれば時間を問わずサポートしてもらえるため、利用者も安心感のある時間を過ごせるでしょう。介護サービスの中身は、主に以下のような内容となります。
- 見守り
- トイレへの同行、排泄介助
- ベッドからの起き上がりサポート
- 移動時の支え
- 着替え
- 入浴介助
- 緊急時の対応
- 食事のサポート
- 送迎時の乗降介助など
介護サービスについては介護保険の対象になるため、要介護の度合いで料金も決まっています。
特定施設入居者生活介護では、機能訓練のサービスも受けられます。機能訓練は、利用者の身体的な機能を維持したり鍛えたりするためにも重要です。機能訓練をおこなうことによって歩く、食べる、座るなどの基本動作をスムーズに行いやすくなるため、健康維持の観点からも導入することが定められています。
機能訓練を担当するのは専門の指導員で、理学療法士や言語聴覚士、作業療法士などです。ほかにも看護師や柔道整復師などの資格を取得しているスタッフが担当するケースもあります。
特定施設には利用者がリハビリを十分おこなえる広さの機能訓練室を置くことも定められています。利用者の状態によってどのようなリハビリをおこなうのかは変わるため、気になる方は申し込み前に問い合わせておきましょう。
この記事では特定施設入居者生活介護の特徴や基準、サービス内容について解説しました。特定施設入居者生活介護は24時間スタッフのサポート体制がある、施設の基準が国で定められている、リハビリを受けられるなど多くのメリットを得られます。基準が明確になっていることによって、利用者側も施設の雰囲気をつかみやすい安心感があります。ただし、施設ごとの特色はそれぞれ異なる点に注意が必要です。これから高齢者向けの施設を探したいと考えている方は、早めにリサーチを始めて理想的な環境を見つけましょう。