介護にまつわるお役立ちコラム
デイサービスの送り出しが大変・・・スムーズに送り出すためのポイント
高齢の親御さんがデイサービスを嫌がったり、行きたがらなかったりするという悩みを抱えている家族は多いのではないでしょうか。デイサービスは要介護者の生活リズムを整え、社会との接点を持つ上で重要な役割を果たしています。
しかし、様々な理由から利用を嫌がるケースもあります。本記事では、デイサービスを嫌がる理由と、スムーズに送り出すためのポイント、どうしても嫌がる場合の対処法などについて詳しく解説します。
要介護者がデイサービスを嫌がったり、行きたがらなかったりする場合には、必ず何らかの理由があります。代表的な理由として、以下のようなものがあります。それぞれ詳しく解説していきます。
- 慣れない場所で疲れるから
- 人付き合いが億劫だから
- レクリエーションがつまらないから
- 合わない場所だから
- 入浴が面倒だから
- 認知症の症状
高齢者にとって、慣れない場所は大きなストレスになります。特に認知症の方の場合、新しい環境に適応することが難しく、疲労感を感じやすくなります。デイサービスは自宅とは異なる空間であり、初めての場所では緊張感を持って過ごすことになるため、疲れを感じてしまうのです。
このような場合、まずは短時間から始め、徐々に慣れてもらうことが大切です。慣れるまでの数回は、送迎に家族が同行し、安心感を与えることも効果的でしょう。また、デイサービスのスタッフと情報共有を密にし、要介護者の様子を観察してもらいながら、無理のない範囲で活動に参加してもらうようにしましょう。
高齢になると、新しい人間関係を築くことに対して消極的になる傾向があります。デイサービスでは、他の利用者やスタッフとのコミュニケーションが求められるため、人付き合いが苦手な方にとっては負担に感じてしまうのです。
こうした場合は、デイサービスのスタッフに事情を伝え、要介護者の性格に合わせた対応を取ってもらうことが重要です。例えば、少人数のグループ活動に参加してもらったり、スタッフが一対一で話し相手になったりするなど、徐々に人との交流に慣れていってもらう工夫が必要でしょう。家族も、デイサービスでの様子を聞き、良かった点を褒めるなどして、通うことへの意欲を高めていくことが大切です。
デイサービスでは、体操やゲーム、創作活動など、様々なレクリエーションが用意されています。しかし、本人の趣味や興味と合わない内容であれば、つまらないと感じてしまい、デイサービスへの参加を嫌がってしまうこともあります。
このような場合は、デイサービスの担当者に要介護者の趣味や好みを伝え、できるだけ本人が楽しめるプログラムを提供してもらうようにしましょう。また、レクリエーションへの参加は強制ではないことを本人に伝え、無理な参加を促さないことも大切です。時には、他の利用者との交流を楽しむことをメインとし、レクリエーションは段階的に参加してもらうなど、柔軟な対応が求められます。
デイサービスへの送り出しを嫌がる理由の一つに、単純にその施設が本人に合っていないというケースがあります。雰囲気が合わない、スタッフの対応が悪い、サービス内容が期待外れだったなど、様々な要因が考えられます。
こうした場合は、他のデイサービスへの変更を検討するのも一つの方法です。見学や体験利用を重ね、要介護者本人の意見を聞きながら、最適な施設を選ぶことが重要でしょう。ただし、何度も施設を変更するのは逆効果になることもあるため、慎重な判断が求められます。まずは、デイサービスの担当者とよく話し合い、改善の余地がないか探ってみるのも良いでしょう。
デイサービスでは、入浴サービスも提供されていますが、中には面倒に感じて嫌がる方もいます。身体的な理由で入浴が大変だったり、他人に身体を見られるのが恥ずかしかったりと、様々な理由が考えられます。
このような場合は、デイサービスの入浴サービスを利用しない選択肢もあります。家族が自宅で入浴介助を行ったり、訪問入浴サービスを利用したりするなど、本人の意向に沿った対応を取ることが大切です。ただし、入浴は身体の清潔保持や気分転換の面で重要な役割を果たすため、できるだけ入浴の機会を設けるよう工夫しましょう。デイサービスでの入浴に抵抗がある場合は、まずは足浴やシャワー浴から始めるなど、段階的に慣れていってもらうのも一つの方法です。
デイサービスへの参加を嫌がる理由として、体調不良を訴えるケースもあります。普段は大した理由もなく嫌がることが多い方の場合、仮病を疑ってしまいがちですが、高齢者の体調変化には注意が必要です。
体調不良を訴える場合は、まずは本人の様子をよく観察しましょう。食欲の低下や睡眠状況の変化、いつもと違う言動などがないか確認します。必要に応じて、かかりつけ医に相談するのも良いでしょう。体調に問題がなさそうであれば、気分転換するために、散歩へ誘ったり、好きなことをしてもらったりするなど、別の方法で過ごす時間を設けてみるのも一案です。
ただし、無理強いは禁物です。体調や気分に合わせて、臨機応変に対応することが求められます。
認知症を患っている方の場合、記憶障害や見当識障害などの症状から、デイサービスへの参加を嫌がるケースがあります。慣れない場所に行くことへの不安や、日課の変更に対する拒否感から、強く拒絶するような態度を取ることもあるでしょう。
認知症の方へは、簡潔で分かりやすい言葉で説明し、安心感を与えることが大切です。デイサービスに一緒に参加したり、手をつないで歩いたりと、寄り添う姿勢を示しましょう。また、デイサービスのスタッフとも密に連携を取り、認知症ケアの経験や知識を活かした対応を依頼することが重要です。環境の変化に敏感な認知症の方は、無理に参加を促すのではなく、その日の体調や気分に合わせて、臨機応変に対応していくことが求められます。
ここからは、デイサービスへスムーズに送り出すためのポイントを紹介します。
- どんな理由でも共感する
- 強い言葉で強要しない
- たまに休ませる
高齢者がデイサービスを嫌がる際は、理由を尋ね共感することが大切です。強要せず、良い点を伝え穏やかに提案し、たまには休養日を設け、参加意欲を高めつつ、休みすぎないようバランスを取ることにも留意しましょう。
デイサービスを嫌がる理由が些細なことに感じられたとしても、本人にとっては大きな問題なのです。そうした気持ちを否定せず、共感の姿勢を示すことが信頼関係の構築につながります。
例えば「デイサービスは嫌いだ」と言われたら、「どうして嫌いなの?」と理由を尋ね、しっかりと話を聞くことが大切です。本人の気持ちに寄り添い、一緒に解決策を探る姿勢を見せることで、デイサービスへ行く気持ちを前向きにしていけるでしょう。もし、否定的な態度を取ってしまうと、本人は受け止めてもらえないと感じ、さらに拒否感を強めてしまう恐れがあります。
「デイサービスに行きなさい!」などと強い口調で言ってしまうと、反発を招くだけです。あくまで本人の意思を尊重し、強要は避けましょう。
もし強い言葉で接してしまうと、本人のプライドを傷つけ、デイサービスだけでなく、家族に対しても心を閉ざしてしまうかもしれません。「デイサービスに行くと、友達もできるし、楽しいと思うんだけどな」など、デイサービスの良い点を伝えながら、穏やかに提案していくことが大切です。
デイサービスに毎回参加するのは、高齢者にとって大きな負担になることもあります。時には休む日を設け、ゆっくり過ごす時間も必要です。
例えば、「今日は疲れているみたいだから、デイサービスはお休みにしようか」と声をかけ、自宅で過ごしてもらうのも良いでしょう。休養日があることで、気持ちがリフレッシュし、次のデイサービスへの参加意欲も高まります。ただし、あまり休みすぎるのは逆効果なので、バランスを見ながら調整することが大切です。
デイサービスの送迎時、家族が仕事などで不在のケースもあるでしょう。そんな時の対処法を見ていきましょう。
- 自力で準備してもらう
- 送り出しヘルパーを利用する
要介護者のデイサービス準備は、自立度に応じて自力で行うか、送り出しヘルパーを利用する方法があります。送り出しヘルパーは介護保険適用外で自己負担ですが、忙しい朝の時間帯でも対応可能です。
比較的自立度の高い要介護者の場合は、自分で準備をしてデイサービスの送迎車に乗ってもらうことも可能です。ただし、安全面への配慮は必要不可欠です。
施設の送迎担当者には、本人の身支度が整っているか確認してもらい、必要に応じて手助けをお願いしましょう。玄関先までの移動が難しい場合は、家の中まで迎えに来てもらうことも検討します。ただし、要介護度が高い方の場合は、一人で準備するのは難しいため、介助が必要になります。事前に施設側と よく話し合い、対応の範囲を確認しておくことが大切です。
家族が不在の場合、送り出しヘルパーを利用するのも一つの方法です。送り出しヘルパーは、要介護者の自宅を訪問し、身支度や身繕いの介助、デイサービスへの送り出しまでを行ってくれるサービスです。
朝の忙しい時間帯でも、事前に予約をしておけば対応してもらえます。ただし、急な予定変更などで対応が難しい場合もあるため、早めに連絡を取ることが大切です。また、送り出しヘルパーは介護保険の適用外サービスであるため、利用料金は自己負担になります。費用面も考慮した上で、利用を検討しましょう。
デイサービスへの参加をどうしても嫌がる場合、次の2つの選択肢が考えられます。
- デイサービスを変える
- デイサービスの利用を止める
デイサービスが本人の希望に合わない場合、施設を変更するか利用を一時的に止めることを検討します。新施設選びでは本人の意見を聞き、訪問介護や民間サービスへの切り替えで負担軽減を図ることも考えられます。
本人の希望に合わないデイサービスであれば、施設を変更することも一案です。新しいデイサービスを探す際は、以下のポイントを確認しましょう。
- 要介護者の趣味や関心に合ったサービス内容があるか
- 施設の雰囲気は明るく、スタッフの対応は丁寧か
- 送迎サービスや入浴介助など、必要なサービスが適切に提供されているか
- 利用者の健康状態に合わせた食事や運動メニューが用意されているか
見学や体験利用を通して、本人の意見を十分に聞き、納得のいく施設を選ぶことが重要です。
どうしてもデイサービスの利用を嫌がる場合、利用を一時的に止めることも選択肢の一つです。ただし、急に利用をストップすると、かえって混乱を招く恐れがあります。
まずは、デイサービスから訪問介護サービスに切り替えることを検討しましょう。自宅で過ごしながら、必要なサービスを受けられるため、本人の負担も軽減できます。また、デイサービスとは別の民間の保険適用外サービスを利用するのも一案です。柔軟なプランが用意されているため、要介護者のニーズに合わせたサービス提供が期待できるでしょう。
- 訪問介護を利用する
- 保険適用外サービスを利用する
- 訪問介護を利用する
デイサービスの代わりに、訪問介護サービスを利用するのも一つの方法です。訪問介護では、ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴、排泄などの身体介護や、掃除や洗濯などの生活援助を行います。デイサービスとは異なり、自宅での生活を維持しながら必要なサポートを受けられるため、環境の変化に敏感な要介護者にとってはメリットが大きいでしょう。
また、一対一のサービス提供になるため、要介護者のペースに合わせたきめ細やかな対応が可能です。ただし、訪問介護では、デイサービスで提供されるようなレクリエーションや機能訓練、他者との交流といった要素は少なくなるため、その点は留意が必要です。
サービス内容 | 概要 |
身体介護 | 入浴や排泄、食事などの介助が中心です。要介護者の身体的な負担を軽減し、安全かつ快適な生活を送れるようサポートします。例えば、デイサービスに行く前の着替えや、身支度の手伝いなどを行います。また、帰宅後の衣服の着脱や、ベッドへの移乗などもヘルパーが対応可能です。 |
生活援助 | 掃除や洗濯、調理、買い物など、日常生活に必要な家事全般をサポートするサービスです。デイサービスに行く前に、利用者の住環境を整えておくことで、帰宅後もスムーズに過ごせるよう配慮します。例えば、デイサービスから帰宅した際に、すぐに休めるようベッドメイクをしておいたり、靴下やパジャマを用意しておくことで、利用者の負担を減らすことができます。 |
通院時の乗車・降車等介助 | デイサービスへの送迎時に特に重要です。玄関からデイサービスの車両まで、安全に移動できるようヘルパーが付き添います。車両への乗車や降車の際は、転倒などの事故を防ぐため、細心の注意を払ってサポートします。また、乗車中も利用者の体調に気を配り、急な体調変化にも対応できるよう備えます。 |
訪問介護を上手に活用することで、デイサービスへの送り出しにかかる負担を大幅に減らすことができます。ヘルパーによる細やかな支援により、利用者は安心してデイサービスに通うことが可能となります。
また、家族介護者の精神的・肉体的な負担も軽減されるため、介護者自身の生活の質の向上にもつながります。
- 保険適用外サービスを利用する
介護保険サービスとは別に、自費で利用できる保険適用外サービスもあります。こうしたサービスは、比較的軽度の要介護者や、支援が必要だが要介護認定を受けていない方でも利用可能です。
保険適用外サービスの特徴は、利用者のニーズに合わせて柔軟にサービス内容を組み立てられる点です。例えば「イチロウ」では、施設への送迎や通院の付き添い、趣味の活動支援など、幅広いサポートを提供しています。
利用料金は全額自己負担になりますが、要介護者の状態やライフスタイルに合わせたオーダーメイドのサービスを受けられるため、満足度の高いサポートが期待できるでしょう。ただし、サービス提供エリアが限られていることが多いため、利用の際は事前の確認が必要です。
本記事では、デイサービスを嫌がる要介護者への対応について詳しく解説してきました。デイサービス拒否の理由は様々ですが、本人の気持ちに寄り添い、適切なサポートを提供することが大切です。
スムーズに送り出すためには、まずは本人の訴えを丁寧に聞き、共感の姿勢を示すこと。強引な説得は避け、時にはデイサービスを休む日を設けるなど、柔軟に対応することが求められます。
どうしてもデイサービス拒否が続く場合は、施設の変更や、訪問介護、保険適用外サービスの利用など、状況に合わせた代替手段を検討しましょう。いずれにせよ、要介護者の意向を尊重しながら、適切なサービス利用につなげていくことが重要です。
最後に、介護の悩みを一人で抱え込まず、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所などの専門機関に相談することをおすすめします。多職種協働によるアセスメントを通して、要介護者とその家族に合った支援プランを一緒に考えていきましょう。