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老人ホームの退去費用相場はいくら?退去時の費用内訳や注意点を解説

公開日:2024年07月02日
更新日:2026年09月01日

老人ホームを退去する際、どのような費用がかかるのか気になる方は多いでしょう。退去費用の内訳は施設によって異なり、トラブルに発展するケースもあります。この記事では、老人ホームの退去費用の相場や内訳、注意すべきポイントについて解説します。老人ホームへの入居を検討中の方や、ご家族が入居中の施設からの退去を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

老人ホームの退去費用とは

老人ホームを退去する際には、さまざまな費用が発生する可能性があります。これらの費用は施設によって異なるため、入居前の確認が必要です。老人ホームの退去費用をめぐるトラブルは多く、入居者や家族にとって大きな負担となることがあります。そのため、退去費用については特に注意が必要です。

 

具体的には、以下の3つの内訳が主な退去費用として挙げられます。

  • 未払金

  • 備品の修繕費

  • 清掃費

未払金は、入居中に発生した利用料や食費などの未払い分です。備品の修繕費は、入居者が使用していた部屋や共有スペースの備品が損傷した場合に発生します。清掃費は、次の入居者が快適に生活できるよう、部屋を元の状態に戻すために必要な費用です。

 

老人ホームの退去時には、原状回復費用に加え、未払利用料や清掃費が請求されることがあります。請求できる費用、精算方法、入居一時金や敷金の返還条件は施設ごとに異なるため、入居契約書と重要事項説明書を確認してください。

 

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常損耗や経年変化の修繕費は、原則として借主の負担ではないとされています。老人ホームでは入居契約の内容によって精算方法が異なるため、この考え方がどのように扱われるかを、入居契約書と重要事項説明書で確認してください。

老人ホームの退去費用の内訳

老人ホームを退去する際に発生する費用には、どのようなものが含まれるのでしょうか。ここでは、退去費用の主な内訳を見ていきます。

  • 未払金

  • 備品の修繕費

  • 清掃費

まず、未払金です。入居中に発生した利用料や食費などの未払い分を指します。退去時に精算が行われ、未払い分を支払う必要があります。

 

次に、備品の修繕費です。入居者が使用していた部屋や共有スペースの備品が損傷した場合、その修復にかかる費用が退去費用として請求されます。例えば、壁紙が破れていたり、家具が傷ついていたりする場合、元の状態に戻すための修繕費用が必要になります。

 

最後に、清掃費です。退去後の室内清掃や消毒にかかる費用で、具体的な作業内容や負担の有無は施設との契約によって異なります。カーペットの洗浄、壁や床の汚れの除去、設備の消毒などが含まれる場合があります。

 

以上の3つが、老人ホームの退去費用の主な内訳です。施設によっては、退去時の手続き費用や残置物の処分費用などが別途かかる場合があります。請求前に、未払金、原状回復や清掃の費用、残置物処分費の有無と金額を確認しましょう。

 

多くの老人ホームでは、入居時に敷金を支払わない代わりに、退去時にこれらの費用が発生する可能性があります。ただし、国土交通省のガイドラインでは、経年劣化による損耗は原状回復費用の対象外とされています。つまり、通常の使用による傷や汚れは、入居者の負担にはなりません。しかし、施設によってはガイドラインとは異なる基準を設けている場合もあるため、入居前に退去費用について十分な説明を受け、理解しておくことが大切です。

老人ホームの退去費用を負担する人

老人ホームの退去費用は、原則として入居者本人の財産から支払います。入居者が死亡した場合も、まずは遺産から精算し、身元保証人や相続人が負担するかは入居契約や相続状況によって異なります。

 

入居者本人が存命の場合、退去にかかる費用は本人の財産から支払います。認知症などで本人が契約や支払いの手続きを行えない場合は、成年後見人などの代理人が手続きを行うことがあり、家族や身元保証人が支払義務を負うかは契約内容によって異なります。
 

入居者が死亡して退去する場合は、契約書で定められた連絡先や身元保証人、相続人が施設と退去手続きを進めます。身元保証人の責任の範囲は入居契約の定めによるため、費用の負担者や対応内容を契約書と重要事項説明書で確認してください。

 

死亡後は、部屋の明け渡し、契約で定めた原状回復、残置物の処分、未払いの利用料や食費の精算が必要になる場合があります。これらを誰が行い、どこまで費用を負担するかは、入居契約の身元保証に関する条項、相続人の有無、遺産の状況を確認して判断します。

 

ただし、身元保証人の負担には限度があります。入居契約時に取り交わした範囲内の責任しか負わないため、それ以上の費用を請求されることはありません。

老人ホーム退去費用の相場

老人ホームの退去時には、未払い利用料、契約に基づく原状回復費、清掃費、残置物処分費、入居一時金の償却・返還などが発生する場合があります。費用の有無と金額は、契約内容、居室の状態、退去時に残る物品によって異なります。

 

原状回復費は、通常の使用による経年劣化か、入居者側の負担となる損傷・汚れかを契約書に照らして確認します。壁紙やフローリングの傷・シミ、専門清掃が必要な汚れ、残置物の処分は、費用が生じる場合があります。

 

老人ホームの退去費用は、10~30万円程度が目安として紹介されることがあります。ただし、この金額に未払い利用料、原状回復費、清掃費、残置物処分費、入居一時金の償却・返還が含まれるかは、施設ごとに異なります。相場だけで判断せず、費用の内訳と契約上の負担者を施設に確認してください。

 

退去費用を確認する際は、契約書と重要事項説明書で、原状回復、清掃、残置物処分、入居一時金の精算に関する定めを確認します。退去前に費用の内訳と精算時期を施設へ確認すると、認識の違いを減らせます。

老人ホーム退去時は入居一時金が返金される?

入居一時金を受け取る老人ホームでは、入居時に一定額を支払います。入居一時金は、居室や共用施設の利用料などを前払いする性質を持ち、対象となる費用や償却方法は施設との契約で定められます。毎月の利用料が入居一時金から差し引かれるとは限らないため、月額利用料と入居一時金の関係を契約書で確認しましょう。

 

入居一時金の金額は施設によって異なりますが、数十万円から数千万円と幅広いのが特徴です。一般的に、高級な施設ほど入居一時金が高額になる傾向にあります。

 

ここで注目したいのが、入居一時金の償却と返金です。入居一時金は、基本的に時の経過とともに減少していきます。これを償却と呼びます。つまり、入居者が老人ホームを利用すればするほど、入居一時金の残額は少なくなっていくわけです。

 

退去時に入居一時金が返金されるか、返金額がいくらかは、契約上の返還金制度、初期償却、償却期間、退去時期によって決まります。返還金制度がある場合でも、初期償却額やすでに償却された分は返金されないことがあります。トラブルを防ぐため、入居前に契約書と重要事項説明書で以下の点を確認しましょう。

【トラブル回避のために確認しておきたいポイント】

  • 入居一時金の返還の有無

  • 償却が始まるタイミング

  • 初期償却の割合

  • 償却期間

  • 中途解約時の返金方法

初期償却の割合と償却期間は、返金額に大きく影響します。初期償却とは、入居後すぐに一定割合の入居一時金が差し引かれることを指し、この割合が高いほど、返金額は少なくなります。また、償却期間が長いほど、返金額は減少していきます。もし不明な点があれば、遠慮なく施設側に質問し、納得するまで確認することをおすすめします。

老人ホームを退去する際に知っておきたいポイント

高齢者施設を退去する際には、さまざまな注意点があります。ここでは、老人ホームを退去する際に知っておきたいポイントについて紹介します。

 

老人ホームに入居する際には、入居一時金や月々の利用料など、多額の費用がかかります。しかし、入居後まもなく体調を崩したり、亡くなったりして退去せざるを得ない状況になることもあるでしょう。そのような場合、支払った費用はどうなるのでしょうか。

3ヶ月以内の退去は日割り額を差し引いて返金される

老人ホームに入居してから3ヶ月以内に退去する場合、入居一時金は90日以内なら全額返金されます。ただし、入居日数分の家賃は支払う必要があります。90日ルールや短期解約特例制度といわれるものです。これは「老人福祉法」にも明記されている通りです。

 

例えば、入居一時金が300万円で、入居後1ヶ月で体調を崩して退去することになった場合、1ヶ月分の利用料を差し引いた約270万円が返金されることになります。ただし、月々の管理費などの経常的費用については、日割り計算の対象外となる場合もあるので注意が必要です。

 

なんらかの事情でやむを得ず退去しなければならない時は、契約書をよく確認し、施設側としっかり話し合いましょう。退去後のスムーズな費用精算のためにも、入居時の契約内容を十分に理解しておくことが大切です。

原則、ハウスクリーニングは施設が負担する

老人ホームの退去時にハウスクリーニング費用を誰が負担するかは、契約内容と汚損・損傷の原因によって判断します。通常の使用に伴う清掃であれば、入居者に費用負担が生じないことが一般的です。

 

入居者の通常の生活で発生した汚れやダメージは、経年劣化や通常損耗として扱われ、入居者に原状回復義務はありません。しかし、入居者の故意や過失による損傷や、通常の使用を超えるような著しい汚損が認められる場合は、入居者に原状回復費用の負担が求められることがあります。

 

ただし、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」はあくまでガイドラインであり、法的拘束力はありません。ハウスクリーニング費用を入居者側に求めることを禁じるものではないのです。

 

したがって、ハウスクリーニング費用について取り決めがある場合は、入居時の契約書や重要事項説明書をしっかりチェックしておきましょう。事前に費用負担について説明を受け、納得した上で契約することが肝心です。退去時のトラブルを避けるためにも、入居の際は契約内容を十分に確認し、疑問点は解消しておくことが重要といえるでしょう。

まとめ

老人ホームの退去費用について、相場や内訳、注意点などを詳しく解説してきました。退去費用は施設によって大きく異なり、数万円から数百万円までと幅があることがわかりました。主な費用の内訳は、未払金、備品の修繕費、清掃費などです。

 

トラブルを避けるため、入居前に契約書と重要事項説明書で退去費用の条件を確認しましょう。未払金、入居一時金の償却・返還、原状回復、清掃、残置物処分の費用負担を分けて確認すると、精算時の行き違いを防ぎやすくなります。
 

老人ホームの退去では、費用の精算に加えて、退去日、本人の転居先、通院や生活支援の手配も確認しましょう。家族だけで対応が難しい場合は、退去前後に必要な付き添い、見守り、生活支援をケアコンシェルジュに相談し、既存の介護・医療サービスとの役割分担を整理できます。

監修者情報

ケアマネジャー20年の実績があり、100名以上の高齢者を担当。

がん末期や難病、認認介護、介護拒否などの事例も多く経験。現在はWebライターとして介護分野を中心に執筆している。

 

長谷部宏依(介護支援専門員)
長谷部宏依(介護士専専門員)
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